吉川きっちょむ(芸人)
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2019/01/27
ちょうどいい
ストレスなくゆるく読めるから、そんなガッツリ読みたい気分じゃないときにちょうどいい。 「ネットスーパー」という謎スキルのおかげで異世界でも余裕で生きていけるという話。 いいなー便利だなーと思ったけど、確かに現代人には必須のサービスで普段から恩恵受けまくり。 そんな「ネットスーパー」の能力を要所要所で使いながら、基本的にはわりと自分で頑張っているから好感度が高い。 無双しすぎないのは読んでいて気持ちがいい。 味気ないご飯しかない異世界では美味すぎるご飯を作れることで超協力モンスターや神との契約もできてしまうあたりはもとろん無双しているのだけど、本人自体はいたって弱いまま。 そう考えると直接の肉体的・物理的な強さじゃなくて状況の変化にスキルを有効に使えるのが工夫の見せ所で面白い。 目を付けられないように放浪しているが、本人も修行しながらの旅だし、いまのところ基本的に一話完結だけどこれからストーリーに進展はあったりするのかなと楽しみ。 ちゃんと異世界から持ち込んだゴミをどうするのかという問題にも配慮していて、スライムに全部食べさせるという力技で、しかも食べまくるとレベルアップする。 便利~。 料理するのは楽しいけど、片付けってめんどうだったりするもんね、特に油使ったあとのフライパンとか皿とか。
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2019/01/19
素敵な短編集
📷
どこか海外の香りがするなーと思っていたらロンドンで美術学んでらしたんですね、衿沢世衣子さん。 いろんな雑誌に載っていた短編をギュッと集めた短編集。 表紙の素敵さがヤバい。 ポスターにして飾りたい。 タイトルは掲載された短編のタイトル3つを合わせたもの。 衿沢世衣子さんを初めて知って読んだのが、『うちのクラスの女子がヤバい』だった。 思春期の性だったり関係性など彼女らにそっと寄り添ったような悩みを淡々としているようですごくいいバランス感覚で描くなーと思っていたんだけど、それももしかしたら海外にいたことで培えたものもあるのかもしれない。 すごく勝手な話だけど、こういう価値観をもって描けるような大人が親戚の叔母あたりのポジションで自分と仲良かったらいいのになと思ってしまう。 いや、違うか、こういう人と結婚したい。 短編はどれも素敵で健やかで愛しい。 8本ある短編だけど、ちょうどタイトルの ・ラ・フランス ・難攻不落商店街 ・ベランダ が好きだった。 その中でも特に「ベランダ」。 たわいない会話にグッとくる。 そして見た目から推測できることはあくまで推測でしかなく、心配することは大人の自分勝手な善意の押しつけのようなもののしんどさや重さと表裏一体だ。 何かから逃げてきた子供の「別の国じゃなくなっちゃった」のセリフを描けるのは本当にすごい。 自在に特定の年代の人間と同じ目線になれるんだろうか。 よっぽど深く潜れないとその言葉は引き出せないと思う。 しかし、ここで見せたいのは少女の方ではなく、あくまでそれを聞いた大人の女性の表情だ。 僕たち読者は一緒にハッとさせられる。 それまで呼んでいた「テキサス」というおちゃらけたあだ名が耳の奥で響き宙に浮く。 このあと、結局最後までストーリーには一切関わってこなかった主人公の杖が気になるようになった。 彼女も過去に何かあったのかも、とは深読みのし過ぎか。 誰にだって何かの事情はあるものだ、ということかもしれない。 梅雨が明けた頃、この短編をもう一度読もうと思った。 画像は僕が一番好きな、なにげない会話のシーン。
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2019/01/14
壮大な自衛隊×異世界が楽しめる
面白かった。 最近、なろう系というか、現実世界とファンタジー世界を扱ったような作品が流行っているので、いろいろ読み漁っているが、その中でも特に読み応えがあった。 突如として日本・銀座に異世界への門が開き、モンスターを引き連れた大軍勢が攻めてきて甚大な被害を被ったものの自衛隊が返り討ちにし、逆に門から異世界側に乗り込み調査を始める。 主人公は、現地の人と交流を深めて困ってたら助けたり支援したり自衛隊として為すべきことをしていくと少しずつ現地に味方が増えていき頼られるようになっていく。 いろいろと巻き起こる問題を政治や国交などの観点も踏まえて自衛隊的に解決していくのが面白い。 ファンタジー世界に対しても、あくまで日本が国としてどう対処するのかという部分も描かれている。 門の向こう側には未知の資源が溢れる大地が広がっているわけで、アメリカ、ロシア、中国など各国が喉から手が出るほどほしいゆえに起こる問題もさまざま。 ファンタジー世界で起きる内線への軍事介入、銀座で攫われていた捕虜の奪還、自衛隊と火を吹く竜との戦いなど見どころ満載だ。 いざ戦うとなったら中世の世界観であるファンタジー世界の武力に対して、現代兵器満載の自衛隊の大火力は絶大なダメージを与えるので、一網打尽すぎて笑いが止まらない。 火力もそうだが、なにより戦いは情報だというのも分かる。 どこまで考証がされているのか分からないし、リアルなのかも分からないけど、はー、なるほどなー、自衛隊がファンタジー世界へ行くとこうなるかーと感心するばかりだった。 もちろん政治家たちも動いているし、ラブコメもあり、魔法もあるしエルフも亜人たちもいる。 盛りだくさんすぎてたまらない。 すごくよく考えられているので、いつかどこかで起こるんじゃないかという気さえしてきてしまう。 現時点での最新刊14巻まで読んで、まだまだ問題は山積みのようなのでしばらくは楽しめそうだ。
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2019/01/09
ジャケ買い大当たり!
1巻にして傑作の匂いがプンプンする! 生まれてこの方ずっと日陰を歩んできたような地味な女性が、30歳の誕生日に芝居のチケットを買わされ初めて観劇したことで、舞台上のキラキラ華やいだ世界に想いを馳せ、人生に光が差し始める。 「まぶしい・・・。 私も・・・私も、舞台に立ちたい! 私も、キラキラしたい!」 出てくるキャラクターが全員一面的でなく、ほどよく癖があって場面によっては良くも働き、ときとして悪くも映る。 かわいくて派手で嫌味なようで、実は素直でとても姉想いの妹。 娘の幸せを願ういい親であるようで、偏見まみれで視野狭窄的かつ前時代的な母。 他人を見た目で判断し、下に見ることで安心を得ようとする職場の同僚たち。 おじさんになるまで芝居の夢を追い続け、他人の心にズカズカ踏み込む押しが強い売れない舞台俳優。 絶世のかわいさでちやほやされ、地味なものに何の価値も感じなかった人気女優。 ただ悪いだけの人は登場しないし、同じように全くの善人もいない。 世の中、はっきり白黒つけられることの方が少ない。 とにかく人をすごくよく見て描かれているなと思わされる。 30歳にして初めて一歩踏み出し、ゆるやかに青春が始まっていく様がたまらなくワクワクするし、まだ何者にも染まっていないピュアすぎる主人公に「頑張れー」ってエールを送りたくなる。 一話のラストなんて最高だ。 ストーリーの進行具合にもよるだろうけど、すぐにでもドラマ化してもおかしくなさそう。 描写力がずば抜けて良くて、デフォルメされたかわいい絵でも感情がしっかり伝わってくるから、心の声がほとんどないにも関わらず何を考えているか手に取るように分かる。 ビッグコミックオリジナル2018年第17号に載っていた同作者の読切「特別読切『初恋』」も素晴らしかった。 早く2巻出てくれないかなー!
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2018/12/23
いい短編に出会えると本当に嬉しい #読切応援
加納梨衣先生の短編集が出たら絶対に買う!と誓ったスペリオールの読切。 美大受験で一浪し、予備校に通っている純情少年が初めての裸婦デッサンに動揺を隠しきれず全く描けなくてムキになっていたところに、さっきのヌードモデルが話しかけてきて・・。 あんなに爽やかで胸キュン必至の『スローモーションをもう一度』が描けて、こんなにじっとりとしたエロティックな作品も描けるなんて! 多くの言葉を必要としない、心情を表情や目で語る描き方がとても上手いし面白いし、美しい。 間を表現する表情のアップにハッとさせられる。 セリフは関係や感情を示すわざとらしい言葉は極めて少なくごく自然なやりとりがされているところが映画的で素晴らしい。 50分くらいで映像化してくれたりしないだろうか。 面白くない映画の特徴として、やたらと状況や感情を言葉で説明してしまうものがあって、そうされてしまうと観る側としてはその人にそれ以上の何かがあるようにも思えず、もはやそのキャラクターに自分を重ね合わせてその奥の感情を読み取る気が萎え、全体的に薄っぺらく感じて興醒めしてしまう。 それに比べてこの作品は表情の一つ一つで読者をがっちり掴んで離さない。 彼女の目がすごい。 目は口ほどに物を言うとはいうが、この目が感情を語り、心動かされ、その心情の奥を掘り下げたくなってしまう。 主人公の前にはまだまだ可能性が満ち溢れていて、経験したことがないこともたくさんある。 そんなとき突然鼻先にぶら下げられた魅力的な彼女、突き動かされた性欲に思考がぶん回され本来の目的を見失ってしまうのも分かる。 彼女の好意と興味は確かにあったであろうが、それが相手の人生を狂わせてしまうものであれば、と決断するほどには本気だったのかもしれない。 いや、だからこそ逆に遊びなのか? どちらにせよ、優しさゆえの決断だったと分かるし、もっとしっかりしていれば違う形もあったんじゃないかという後悔も出てきそうだ。 その決断に報いるには前を向いて頑張ることだ。 スマホやLINEらしきものが出てくるので現代と分かるが、それ以外は特に時代性を感じさせず、いつの時代のどこの地方に当てはめてもある程度読めそう、というのが僕は大好きだ。 路面電車とか、髪のなびき方、乱れ方などディテールの良さと画面の白さの抜き加減のバランスもたまらない。 あー、絵とか全然描かないけど、知り合いがやっているヌードデッサンにたまらなく行きたくなってしまった。
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2018/12/16
薦められて絶対に損しないマンガ
裏社会ですら都市伝説と言われている伝説級の殺し屋「ファブル」が、1年間の休養を大阪で命じられ、「一般人」として一般社会に紛れるが・・。 裏社会のごたごたに巻き込まれてしまうシリアス部分と、日常の肩の力が抜けきったコメディ部分のアンバランスさがたまらなくいい塩梅。 緊張と緩和でそれぞれのシーンがいい振り幅になっていて、より楽しめる。 ファブルが常人離れして強いとはいえ、描かれる強さはバキなどのような誇張された過剰なものではなく、壮絶な訓練の末に人間が辿り着けるであろう極致。 単純に強いというか、一つ一つの所作から技術、意識、感覚まで練度MAXにしている感じ。 なので、スーパーマンとまではいかないが、普通の殺し屋程度では赤子の腕を捻るレベルで強いので、見ていて爽快感がある。 策を弄してファブルを追い詰めようとするも、簡単に破られてしまうという快感は、振って振ってワンパンで倒してしまう『ワンパンマン』にも近いものがある。 そんな凄いファブルも、一般社会に入ると一転して「一般常識を知らないちょっと変わったお兄さん」扱いで、その世間知らず具合が程良くてプププっと笑けてくる。 これが絶妙でたまらない。 話のテンポ感や、どこかあり得るかもと思わせる妙なリアリティ、生き生きした登場キャラの人間味など、どこを取っても素晴らしい作品。 最初に、台詞のあの伸ばし棒部分「―――」を語尾が伸びてると認識して読んでしまっていたのが痛恨のミス。 ただの間として表現されていたものなのでそう遠くはないのだけれども、今から読み人はご注意を! これはこれでみんな、だら~っと話しているみたいで味わい深くていいんだけどね…、もう戻れないよ・・。
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2018/12/13
読むと体が熱くなってきて上着を脱いでしまう漫画
読むたびに体温が上がる!! 必死に、とにかく必死に世界No.1ジャズプレイヤーを目指す自分を信じてアルトサックスを吹いて吹いて吹きまくる! ある日友達に誘われて見に行ったジャズライブでジャズにどハマりし、自分もプロのジャズミュージシャン目指してアルトサックスを始める高校生の宮本大。 夏も冬もどんな日だって必死に、とにかく必死に世界No.1ジャズプレイヤーを目指す自分を信じてアルトサックスを吹いて吹いて吹きまくる! いま世の中で一番アツいマンガといっても過言じゃない! そのアツさで読むだけで体温が2度は上がるのに、面白さにゾクゾクして鳥肌は立ちっぱなしの体の大矛盾! 静かでアツく、そして織り成す人間ドラマの前にただ涙するだけなのです! ライブシーンなんて圧巻で、その凄まじさに不思議と耳の奥と皮膚がビリビリする! 初ライブで文句言ってきた酔っぱらいオヤジに、練習しまくって力を付けて再び演奏を聞かせて「ギャフン」と言わせ上京を決めるシーンの良さったらもう! 読むと、「頑張ろう、まだまだ自分にはやれることがある!」と思わせてくれる素晴らしいマンガ!!
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2018/12/12
高校生の繊細な感情を撫でるような作品
しん、と空気が冷えた部屋で隣近所が寝静まった真夜中に読みたいなと思った。 もしくは早朝の誰もいない公園のベンチ。 この漫画には、十代の純粋で無邪気で困惑していて憧れて焦って嫉妬して絶望するような息苦しさの中でもがく美しさがあった。 誰かに無遠慮に無関係に傷つけられても本来文脈の無いそこで悲しむことはないんだけど、そんなこと言われたところで意味は分かっても飲み込むのは大概難しい。 同調圧力は、自分が最も毛嫌いしていることの一つで、どこかのだれかが「普通」を免罪符にお前はどうなんだと脅してくる。 「普通」であることは何も偉いことではないし、安心することでもないが、何か縋りつける指標でもないと安心できないというのも分からないでもない。 自由を生きるのは恐ろしいものだ。 制服を脱ぎ捨て自分を生き始める前、既製服に包まれ親や学校に守られている間、大多数が現状と自分の未来に不安を抱き「普通」を求める。 人によっては、その後もずっとだ。 高校の頃、自分が何を考えていたのか少し思い出せた気がする。 いまの高校生が読んだら、具体的にこれと言葉にできなかった不安や焦燥、哀しみを自覚できるのかもしれない。
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2018/12/10
ネタバレ
アニメーション版バクマン?
1987年当時のアニメ事情や社会情勢を背景に、高校生だったアニメ好きの山口と絵が上手い宇部の2人がクラスで出会い、長編アニメーション映画初監督・作画監督まで?を描く。 第1話で、2017年現在の変わったようで変わらない2人の関係を見せ、2話目以降から87年当時の高校生として出会いから描いていく。 仲間内でアニメ好きを隠すっていうのは、趣味の多様性が認められつつある現代とは違って、「オタク」が認知され始めて肩身が狭い時代だからか、いや結局いまもそうなのかな。 そんな時代に彼らが出会い、互いに触発され歩みを進め始める。 一人はアニメーターとして、もう一人は演出・プロデューサーとして。 宇部が、見たものを目に焼き付けて動画や静止画として描けたり、パッと見たアニメキャラの絵柄で見えない部分は他から補完して描いたり、飛びぬけた観察力と天才的な部分を見せていくシーンがワクワクする。 そして対比として描かれる山口の凡庸さだ。 嫉妬・羨望などあるが、素直なやつなので卑屈にならずにすぐに認めて前を向く爽やかさがあって良い。 マンガとしてもアニメーションを意識しているのか、動きが連続して描かれる箇所がたびたび出てきて面白い。 池袋駅の雑踏の効果音を「ザハザハ」としているのが、ん?となるが、確かに「ザハザハ」で想像してみると、そう聞こえる気がする。 もしかして、「ザハザハ」と書いて「ザワザワ」と読むのかな?どっちだろう。 派手な面白さがあるタイプの作品ではないが、ゆっくり彼が行く先、その動向を見守っていきたくなる漫画。
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2018/12/04
続きが気になる第一話
個人的には、『呪術廻戦』以来の期待できるジャンプの新連載。 親の借金を肩代わりさせられた主人公が、仲良くなったチェンソーの悪魔と借金返済のためヤクザの雇われデビルハンターとしてどうにか頑張るが、ある悪魔に追い詰められてしまい・・。 『ファイアパンチ』の作者だけあってやはり雰囲気がとても渋めだが、ジャンプっぽくポップ目に仕上がっている。 画面の暗さかな?暴力描写なども映画的というか、ノワールっぽくていい。 『ファイアパンチ』然り、タイトルがすごくシンプルかつどこかレトロさを感じさせるようなダサいようなかっこいいような感じで良い。 第一話ラストでは、まさにタイトル通りの状態に。 チェンソーの悪魔なんて聞いたことないし、オリジナリティすごいなと思ったけど、なるほど、先にこっちの変身ビジュアルあってのそれかーとも思える。ダサカッコイイ。 貧乏と悲しみと業を背負った少年が主人公というのはやはり良い。 状況的には『NARUTO』と似ているのかもしれない。 そう考えるとここから骨太なストーリーが展開されることが予想されるのでとても楽しみだ。 なにより、彼は第一話でさっそく居場所を与えられた?というスピード展開。 これから少しずつそこに「居る」ことを許されていくのだろう、と思うとワクワクする。 どちらでもない何か、どこにも属せない、人間ではない何かに変質してしまう哀しみ、というのはドラマがあっていい。 『寄生獣』もそうだ。 ということは、まさにバディものでもあるんだろう。 淡々と冷めてるようでいて実は芯が熱い、貧乏だが夢を持った主人公というのが一話だけでも読み取れるので、とても親切だ。 「人間が食べられる(殺される)脅威がある世界観」という作品はかなり魅力的な作品が多いが、この作品はそれが悪魔だ。 しかも、悪魔のデザインの自由度が限りなく高いので嬉しい。 全体の雰囲気的にはジャンプSQの方が合ってそうな気もするけど、作者の前作の評価や軸の強さを考えると編集部も長く続けさせてくれてりするんじゃないかなーと。
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2018/12/03
ネタバレ
体の変化で気持ちにも変化が!
地に足のついたリアルな女体化漫画! 32歳サラリーマン、既婚、子ども無し。 妻との間には倦怠感が漂い、かつては子どもがほしいと言っていた妻も今は昔。 どこか不満を口にするのも許されないような閉塞感がある日々を送っていたが、急遽自分の身に大きな変化が訪れる。 それは、医学的にも原因ははっきりしない、「異性化」という現象…。 32歳で急に体が女性そのものになってしまった主人公が、女性の体を持った男性視点で、妻との関係性、会社や社会との関わりなどから女性であることを意識せざるを得なくなってくる。 いままですぐ隣にあっても意識を向けなかったがゆえに、知ることのなかった世の中のことがらにフォーカスしていくことで、きっと新たな世界が見えるに違いない。 それはごくごく簡単なことのように見えて、実は少しでも自分に関係ないと思ってしまったらなかなかできないことなのだ。 女性という性にもいろいろな形があり、自分との付き合い方もタイトル通り「個人差」があるだろう。 日暮キノコの『喰う寝るふたり 住むふたり』では、長年付き合い同棲も長い男女の微妙な気持ちのすれ違いなどを描いてきたので、この作品も読んでいくのが楽しみだ。
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2018/11/26
ヤンジャンの新連載でいま一番楽しみ
絵に見覚えあると思ったら「群青戦記」の人か! この新連載は、ちょっと面白そうな設定。 「その病気」に感染した状態で男の性器が興奮状態になってしまったら発症・変異してしまい、全身が勃起時のように血管が浮き出て膨張し近くにいる異性に襲い掛かるというおそろしい症状だ。 その病気は少しずつ社会に蔓延しつつある。 バイト先のコンビニに店長、常連客の風俗嬢、クラスメイト・・。 そして、主人公。 主人公は奇跡的に感染をコントロールできるのか、どうか。 今後の展開としてはゾンビ的なパンデミックパニックものの方向へ進むとは思うんだけど、主人公はある事情から性的なことに嫌悪感も抱いている。 もしかしたら、そこが鍵になってくるのかもしれない。 主人公は病気の力を利用し好きなあの子の救世主になることができるのか・・! この病気を抱えたまま、ヒロインとイイ感じになってもセックスはもちろん、キスすらできないジレンマと戦うことになるだろう。 感染が拡大し社会が崩壊したあと、グループに分かれ生活し始めた時に主人公は感染しながらも自我を保つ異質な存在として迫害されるのか、英雄視されるのか。 感染したと誰にも言えないときに、きっとあの親友が助けになるんだろう。 陸上をやっていた経験も生きるかもしれない。 どういう方向に展開していくのか楽しみでならない! 誰しもが内に抱えている性という怪物を本当に怪物として描くこの作品。 序盤で、日常の理不尽さ、どうしようもなさを丁寧に、リアルに描写することで巻き起こる異常事態がより際立って見えてくる。 ここ最近のヤングジャンプの新連載攻勢の中では一番期待している。
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2018/11/18
ガンバレ蜘蛛ちゃん!
女子高生が、気づいたらダンジョン内の最弱モンスターである蜘蛛に転生していて弱肉強食の世界で何度も死にかけながら強くなってサバイブしていく話。 生まれた時から家族が共食いしてるハードモードでスタート。 一難去ってまた一難すぎる。 異世界転生ジャンルはすべての障害を難なく順調にクリアしてストレス無く読めるものが多いが、この作品は一安心したらやばい死ぬ・・!の繰り返しなので、それがいい。 ある能力特化型のスーパー雑魚キャラが、工夫で毎回キワキワで生き延びるの見てるの楽しくない? 糸と毒(あと素早さ)だけで、絶体絶命切り抜けるのいいよね! ていうか、ちゃんと絶体絶命になるのいいよね!と思うのはこのジャンルがみんなチートすぎてそうならないからだろう。 そういう展開は少年漫画にあてはめればわりとベタなのだけれども。 そして着実に実力をつけていく蜘蛛ちゃん。 そういえばジョジョのストーンオーシャン編も主人公徐倫の能力が糸で、まじかよって絶望した記憶ある。 一見弱そうな能力ほど応用が効いて使い勝手があったりする。 5部ブチャラティのスティッキーフィンガーズというジッパーの能力然り。 ゲーム的世界観なので、ピロンッとレベルも上がるしスキルもあって、強くなれば技や能力を獲得するので、目に見えて強力になっていくのが楽しい。 同時に周囲のレベルが高いところにどんどん突き進んでしまうので依然常に危機には変わりない。 常に危機には変わりないが、獲得していくスキルの中に妙なものが混じっていて何か不穏なことが裏でゆっくり進行しているのがとてもナイス。 生きていくうえでの食事が描かれているのもよくて、これがあるのと無いのとじゃキャラクターの説得力が全く変わってくるし、目の前に死ぬほどの危機がゴロゴロ転がっているのに「地上に出て美味しいご飯が食べたい」っていう欲求があって頑張れてるのが女子高生的でかわいい。 ついつい応援してしまう。 ガンバレ蜘蛛ちゃん!!
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2018/11/18
僕はヒモになりたい
準備万端で行く異世界は快適だった。 ブラック企業で働く主人公が異世界へ転移させられるというところまではベタな流れで、そこから元の世界に戻るかこの世界で暮らしていくか考える時間を元の世界で考えてしっかり準備できる期間を設けられるという。 異世界で暮らすなら美人な女王と結婚でヒモ生活待ったなしなので即決。 元の世界に戻り、発電機やら電化製品やら生活費需品を詰め込んで異世界へ。 そこからめちゃくちゃ快適な異世界生活が始まった、と思いきや、王族としての生活は意外とやることがあって政治的にも重要なポジションにいたため、ただのだらだらヒモ生活とはいかない。 現代の快適さと、王侯貴族による権謀術数の渦巻く政治、そして普通の現代人かと思ったら特殊な力(チート)まであった主人公の話が思ったより良くて読み進めてしまった。 奥さんである女王様もバリバリにセクシーで賢くていい。 やはり主人公が社会人として働いていたことがみそで、これが高校生では上手くいかないだろう。 こういう生活が送れるのであれば異世界へ行くのも悪くないな、というか最高。 大量の漫画と映画を持ち込んで浸りたい。
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2018/11/14
確かに異世界転生モノの名作
異世界転生ジャンルとか関係なく、普通に面白かった。 前世で通り魔に襲われ、亡くなりゆく意識の中で獲得していったスキルが、異世界へ転生後発揮され、体はスライムに、そしてスライムには持て余すほどの強いスキルを手に入れ、目覚めた直後にいた最強のドラゴンを捕食し、吸収。 序盤から敵なしの最強スライムが誕生する。 だが、スライムだ。 スライムゆえに不自由な部分を、もがきながら快適にしていく痛快サクセスストーリー。 システムの勝利かと思ったら話も面白い。 世界観やシステムをスキルに説明させることができるので、試行錯誤の部分がもう本当にいろいろ省力できるし、捕食することでその者が持つスキルを手に入れられるのでぐんぐん強くなっていく。 ということは、ほぼノンストレスでストーリーパートをぐいぐい進められるということで、詳しいあらすじ読んでる並みのスピードで話が展開していくから気持ちいいのなんの。 スライムなのに~、と、スライムだからこそ~、が散りばめられているのもいい。 個が力を持った先に何があるかというと、強すぎる個だけでは対応できないこと、つまり大規模な政治。 早々に軍団を作り上げて近隣とも政治をしていって政治的にもどんどん力を持っていく。 強さは戦いだけじゃないよというのも良いし、転生ものの醍醐味である前世の知識もそれなりに活用している。 そして、やはり絵が上手いし、漫画も上手い。 女の子もかわいいし、男もかっこいい。 ギャグもいける。 これは売れるわーと思うが、やはり苦労と絶望をしてほしい部分はあるな~。その振れ幅を楽しみたい。 危機的状況にあってもわりと簡単に解決できちゃうのはノンストレスでいいのだけど、それはこの作品に求めることではないのかしら。 気軽に読めるのが何よりの魅力だとしたらいらないんだろうな。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2018/11/14
初めて読む異世界転生ものにはとてもいい気がする
引きこもりでオタクのデブクソニートだった男が家を追い出されて路頭に迷っているところトラックに引かれそうな学生を助けて死に、そして異世界へ転生、というベタな始まりから、再スタートした人生を本気で頑張る異世界ファンタジー。 異世界転生ものってだいたいずば抜けた才能だったり、チートな何かをもっていたりするみたいだけど、この作品は前世を後悔しまくった主人公が常に本気で生きて、赤ちゃんの頃から前世の知識と精神年齢を持っているという点ですでにハイスペックだよね、という感じで描かれている。 そりゃ赤ちゃんのころからしっかり目的意識持って努力を続けていたら神童並みには強くはなるよねー、と納得できる。 つまり、努力で手に入れられる範囲の才能なので、頑張ったね、偉いねという目線で見てられるし、実際、前世の知識はそこまで使っていないので妙なチート感もなく、子どものころから精神年齢高めの自我を持った子が超頑張ってるファンタジー漫画という感じ。 物語の世界観や導入の説明がめんどうな部分や、動機付けを異世界転生パートで補っているだけで、わりとガッツリファンタジーなので読み応えがある。 何度もちゃんと死にそうにはなるし、主人公より強い存在もざらに出てくる。 途中から、もともとクソニートだったやつが中に入ってることも忘れるくらいのとっても良い子になったのは前世の自分への反面教師が強すぎるがゆえだろう。 ストーリーも安易な方向にはいかないし、これからどうなるんだろうと楽しみに読める良作。 全然ペラくなくてよかった。 絵もクオリティ高くて読みやすい。 出てくる女の子もかわいいが、ラブコメの範囲内で主人公のこと好き好きすぎるのでそこだけ引っ掛かりはあるが、異世界転生もののジャンル全体がそれのオンパレードなのでそういうものだろうと思って読むしかない。
吉川きっちょむ(芸人)
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2018/11/11
設定を掘り出していく過程が楽しい
異世界転生とかそういうジャンルをあんまり読んでこなかったので、意を決して売れてそうなあたりからいくつか読んでみて、その中で良かったなと思ったのがこの作品。 同ジャンルでわりと雑な漫画描写が多いなか、すごく丁寧に描かれているのでそれだけで評価が高い。 原作はどうか知らないが読んだのが3巻までなのでまだハーレム展開になっていないのと、主人公がバカみたいに強すぎてイケイケで無双するパターンはあまり好みではないので、そうではないのがいい。 ゲーム的世界観に転移し、主人公だけがゲーム画面のコマンドのようなものが見えて、各パラメータにステータス振りをいくらでもし直せるということで試行錯誤していじくってダンジョンに挑んでいくのが面白い。 持てる能力で何ができるか、のような設定を細かく試行錯誤していくのが好きなので僕は楽しかった。 丁寧に描いているのでテンポ感はいまいち良くなくて、どういう話になっていくのかはピンとこない部分はある。 ストーリーが進んでいく気持ちよさが好きな人には向いていないと思う。 あと、絵のクオリティが素晴らしくて、ヒロインの女の子がめちゃくちゃかわいい。 エロい展開にもなるが、女の子があほみたいに主人公にメロメロでべたべたしてくるわけではないので、他人を受け入れるという行程を経て行う情事で互いの緊張感が伝わってきてとてもよかった。 ゲームの世界観に来てしまったということで非現実的なことや倫理的にどうなの、ということも、その世界での常識なら受け入れるという柔軟な姿勢は、郷に入っては郷に従えスタイルで致し方ないのかなと思う。 許可された殺人や奴隷制がそうなのだけど、積極的に受け入れ楽しんでいる。 そういう状況になった場合、自分はどうなんだろう、と悩んでしまう。 現実でのスタイルを貫くか、移動先の風習に従うか。 そこの葛藤を描かないための手段として上手く言い訳が効いているなと思ったのが、転移後すぐに盗賊出現、VRのゲームかと思って退治(殺害)、のちにゲームではないと知る。 要は殺人を犯したと知るのは事後なのだ。 殺人は最初のハードルこそおそろしく高いが、一度やってしまったのだから、一人殺すのも十人殺すのも大差はない、という描き方、もしくは、ゲームっぽいのでどこか現実として捉え切れていない部分があるのか。 そうなると、勝手な話だが一度瀕死のダメージを負って命の危険を目の当たりにしてほしくなってしまう。 遊びじゃないんだと。 ただ、読んでる感じ、ゲームのごとく順を追ってぬるぬる強くなっているのでそんなことにはならなそうだ。 ハーレムになっていく過程でまだ読みたいと思えるかどうかはきっとコミカライズ担当の漫画家の手腕なんだろうなと思うとそこが楽しみ。
吉川きっちょむ(芸人)
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2018/11/03
戦争と死のリアル
第一話読んだ。 前作「バンデット」の勢いとかキャラの強さ、圧みたいなものの描き方が好きなので、この新連載も楽しみ。 2199年。 AIや機械に頼り戦争にも人間を必要としなくなっていたが、「大断絶」が起き、文明は若干の退行を見せ、再び人の生身が必要になっているという時代。 主人公は「配信者」で有名になることを夢見ているが、復興が目の前に横たわった世間の状態では白い目で見られている。 社会が裕福で許容できる時代じゃないと立場が低そうだ。 そんな彼が兵士になるため、圧倒的にリアルな仮想現実の中で、肌で過去の戦争を体験することになるのだが、その様子がなかなか痺れる。 偶然だろうが、たった一発の銃弾が向かった先に人がいればあっさりと命は摘み取られるのが戦争のリアルだ。 戦争、死の現実感を目の前でまざまざと感じ、ちゃらんぽらんな生き方をしてきた主人公はどうなってしまうのか。 過去の戦場と未来の戦場を横断する感じになっていくのか。 「12モンキーズ」という映画で、未来では囚人が過去の戦争に参加したり、重大な事件を阻止するために過去に送られるというシーンがあって、それをふと思い出した。 映画「マトリックス」然り、圧倒的な現実感を持った仮想現実は現実とほぼ変わりない。 最近でも、VRと自覚したうえで斬首を受けた人が、体調に異変を生じてしまったという話がある。 リアルすぎて痛みを感じられるほどの仮想現実の戦場での死は、精神が死を感じ取って現実の死に直結してしまうのではないかと勝手に変な心配をしてしまった。 大作になりそうな予感がビンビンするので、ぜひ最後まで描き切ってほしい。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
2018/10/13
ネタバレ
閉鎖的な村を描くサスペンス新連載
都市部から遠く離れ、山間に位置して外部との交流がほとんどない村っていう設定だけで、ご飯三杯いけるほど好きな設定。 絶対によそ者には厳しいに決まってるし、隠された因習なんて当たり前。 行動はすべて筒抜けだし、監視されているような気分になる、っていうか、たぶん常時監視されている。 隣近所が無関心な都会から来たのなら余計にそう感じるに違いない。 刺激のなかった村にとって、よそ者など絶好の噂の種だ。 さらに、この話では主人公が警官である。 外部の人間な上に、法律という明確なものさしを持っていて組織に属していて、村の中のヒエラルキーやルール、関係性とはまた違う部分での権力を持った明らかな異物だ。 偏見かもしれないが、こういった村は強烈な内と外の価値観を持っているので、内の人間が何かしでかしても村ぐるみで隠そうとする、らしい、ようなことを聞いたことがある。 警察も抱き込めるのであれば抱き込むし、それが難しければ嫌がらせ、村八分をするだろう。 本当かは分からないが、癒着が危ないので、こういった土地への警官は地元出身の人は絶対に派遣されないようになっていると聞いたことがある。 さっきからずっとあやふやなのは、すべて又聞きか漫画で得た知識でソースを調べてないからだ。 調べたくない気持ちがあるのは、僕の中でこういった村の存在はファンタジーとして置いておきたい気持ちが少なからずあるから。 だって・・、詳しく知りすぎてないほうが妄想の余地があってワクワクして楽しいじゃない! とまあ、こんな気持ちでとてもワクワクして期待して読むことになりそうで、さっそく一話目からすごくねっとりした感じの村人たちがたまらなく気味が悪くて最高だ。 絶対に何かを隠している。 なんだろう・・。 冒頭に出た「人食い」の話・・まさかねー。 でも、タイトル「ガンニバル」って、あの「ハンニバル」から来てるよね絶対、「羊たちの沈黙」の食人趣味のある猟奇殺人鬼「ハンニバル・レクター」から。 そして癌か、銃か関係してるのか、また別のものか。 そういえば、人を食糧としたり害を成す存在の漫画って面白いものが多い。 特に最近に多いイメージなんだけど、 「寄生獣」 「進撃の巨人」 「テラフォーマーズ」 「東京喰種」 「約束のネバーランド」 「ファイアパンチ」 ゾンビ系の漫画 などなど。 「ハンターハンター」もそうか。 さてさて、この漫画はどう展開していくのか、読むのが楽しみ!