冥土と浮世を行来する花魁、亡者の魂を救うあおのたつき 安達智さいろく浮かばれない哀しき者たちの叫びに耳を傾け、元花魁が情で絆して諌める。 難しい言い回しするとこんな感じなんだけど、元花魁の主人公 あお は自分の事は多く語らない。 金が欲しい、金がどんどん必要だ。 その想いは決して下品なものではなく、かといって人に言いたくもなく、助けて欲しいとも思ってない。 彼女自身を救うのは果たしてーーー という冥土に行ってしまった人気絶頂で死んだ花魁が、冥土の入り口で狐様に出会い、魂を救う助手をするような形で色々な哀れな者たちと出会う物語。 絵柄が可愛いというのもあるけど、パースも丁寧で絵が上手で読んでいて気持ちが良い。 あとお稲荷さんがかわいい。 辛く悲しい想いをした者たちの話というだけでも切ないのに。 3巻の猫の話なんかは苦しくなる。 いい作品です。タイトルからは想像もできないほど過酷な山下和美の戦い世田谷イチ古い洋館の家主になる 山下和美さいろく読者から見たらこれが現実どおりにフェアに描かれてたとしても 少なからずご都合よく描かれてるんでしょう?と邪推はしてしまう。 そのぐらい本当に戦いになってしまっている。 洋館を残したいという想いだけでここまで動けるものなの?というのもあるが、想いが意地になってしまっているわけではないんだろうと月日の長さが証明してくれている気がする。 単純に売れっ子漫画家はすごいにゃぁ、で済んでしまう明るい漫画を期待して開いた私は2巻まで一気に読んでこのあとの展開が怖くなるのであった。 実録であるということもすごいが、Twitterはきっと探したら当時のやり取りがいっぱい出てくるんだろう。 この漫画が売れる事で山下和美先生のこの運動(といってしまう)の足しになればいいなと思う。奇才 三宅乱丈の髄ペット リマスター・エディション 三宅乱丈さいろく三宅乱丈作品はクセが強く、読み手は選ぶかもしれない。 でもこの「ペット」の概念は面白く、さすがだと思わされる。 不思議な愛情と地位とプライドが現代社会でイメージを持つ能力者たちの織りなす一つの物語になっていく様はとても魅力的で、理解が追いつく頃にはもっともっと読みたいと感じるようになってく。 やっぱクセが強い。できるだけ嘘はないように来陽と青梅 深山はなさいろくどんなときも優しくあれるように とはback numberの「水平線」の歌詞。 この子の苦悩、苦味すら感じる葛藤は本人からしてみたらこの世の全てが敵に回ったような、胃がひっくり返るような想いだろう。 大人はわかってくれない、とガキの頃は思うものだけど、実はその大人は共感が足りないだけでよくわかってたんじゃないか。 今の自分はどっちの目線でこの漫画を読めばいいのか。胃が痛い。 素晴らしく、甘くなく、ただ酸っぱいだけのはずの主人公の苦悩。 それを俯瞰して見てしまい、その他の、彼女の周囲に広がる可能性のある未来まで含めて見てしまう我々大人は「甘酸っぱい」と表現してしまうんだと思う。肉を食す幸せを教えてくれる肉女のススメ 小鳩ねねこさいろくタンパク質を摂取すると云々とかそういうことじゃなく、本能的に肉を食べる悦びを噛みしめる女子たちが出てくるだけなのだけど、その女子たちの背景が割としっかり描かれていて(かつ重かったり闇が見え隠れしてすべては語られてなかったり)ついついどんどん読んでしまう。 そして肉食いたくなる。 登場人物名がみんな動物の名前が入ってるのもいい。 狼さん犬さん熊さん、いずれも可愛いんだよなあ。 ちなみに1巻の表紙が狼さんです。最初からかわいそうな展開なのだけどこういうキャラ好き。高橋留美子せんせーのキャラのように見えてくる。 それぞれの深堀りもしっかりされてるし、毒もなく、食を勧めるとてもいい漫画でありました。『こうふく画報』に続き心底ほっこりするつれづれ花譚 【かきおろし漫画付】 長田佳奈さいろくたまらない、笑顔を作る漫画。 これが漫画のちからだ、漫画は素晴らしい、と再認識できた。 『こうふく画報』と同様、大正時代のとある町のお噺。 登場人物(すべてのモブ含む)を忘れぬうちに一気読み推奨。この味わい深い短いお噺がたまらないこうふく画報 長田佳奈starstarstarstarstar_borderさいろくそして犬が可愛い。こんな犬初めて見た。可愛い。 ときは大正時代、舞台は日本のどこか、多分東京かな?関西弁は珍しいらしい。 食べ物がちょっとずつ出てくる小噺と、それぞれおまけの1頁がついている。 1話を読んでるときはそういう和菓子屋の話なのかなと思っていたけど、町内(に限らないかもだけど近そう)の話っぽく、少しずつ素敵な物語で紹介していってくれる。 そしてこの各話が混じっていくクロスしていく感覚が読者を常に"こうふく"にしてくれる、というものだと思う、だってそうなったもの。 そしてこんなに目頭に来るとは思わなかった。声が出そうだ。 マストバイです。さいろく1年以上前NETFLIXでアニメ化…! ダーシュの声優がキーやんだし、ネイは日笠陽子さん。 そしてガラが安元洋貴さんという、わかってるじゃん(シリアスじゃない方で)という感じがして、今更かよというツッコミは置いといてこれ超期待ですね。映像すごそう。 https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=14455BASTARD!!ザーザードザーザードスクローノーローノスーク2わかる蟻の目線・鳥の目線、そしてタヌキの目線お前、タヌキにならねーか? 奈川トモさいろく死ぬくらいなら、タヌキになってみねえか? すごい。 幸いにも私は死のうとすることなくこれまで過ごせているけれど、羨ましい。 死のうとしている登場人物たちに対してタヌキがちょっと目線を変えた世界(タヌキの目線だけど)を見せてくれる事で、思いとどまったりタヌキになりたくなったりするという心温まるストーリー。 タヌキも可愛いし、内容もほんわか気味でとても和む。良い。戦国時代終盤、九州で狼小僧が大暴れ九国のジュウシ 西公平さいろく狼に育てられる、という点もそうだがこの時代ってまだニホンオオカミいたんだっ、九州に。(どうやら明治以前には本州・四国・九州に普通にいたようでした)というとこでへぇ〜と思ってしまった。 九国(くこく)が今の九州とは違う分かれ方をしていた戦国時代末期、島津と大友の争いにおいてはキリシタンに狂った大友宗麟が色々と奇天烈なエピソードを残していてどれが本当かわからなかったりする。 そんな大友宗麟の家臣(庶流)として有名なのは立花道雪。立花道雪と協力し、当時まさに鬼神の如く九州を下から平らげようとしていた島津を抑えるべく奮起し、歴史に残る戦いを見せたのが高橋紹運&その息子であり立花道雪の婿養子となった立花宗茂の親子である。 これを「岩屋城の戦い」と言います。 本作はこの岩屋城の戦いにおいて高橋紹運という男、そしてその息子、さらにはここに「いたのではないか」と言う"人外"を描いた物語。 タイトル、表紙からも当然主人公は狼小僧だと思って見てしまうがその実、本当の主役は高橋紹運という男。 というわけで、完結記念でクチコミを。 めちゃくちゃ好きな作品でした。各大名を好きだとより一層楽しめるでしょう。なにより、立花道雪がかっこよすぎて目頭が熱くなります。紹運も飄々としてるように見せていて長は、親は大変なんだなと。 大友宗麟のヤバい雰囲気もまるでへうげもののようでインパクト大。 淡々と進むところに惜しさも感じつつ、これはこれですごくいい味なんじゃないかとも思う。さいろく1年以上前オノ・ナツメ「@BADON」のリリーちゃん(最新刊読んだばっかりなので贔屓目だけど)自由広場一緒に住みたい漫画キャラクター2わかる同人と百合の結びつきは自然であり必然であった同人女百合アンソロジー 一迅社アンソロジーさいろく百合思考の人たちの事を指す名詞って何かあるんでしょうか、普通に「百合好き」でいいのかな… 本作は一迅社の代表的百合専門誌、「コミック百合姫」作家陣によるアンソロ。 「マッチングアプリ百合アンソロジー」も素敵でしたがこちらもどうしてなかなか。 ただし同人あるあるがありまくりなので「コミケって美味しいの」系の人には少し解りづらいやもしれません。 惜しむらくは、どうしても最初の3本ぐらいが強すぎて後半との実力差を感じがち(失礼に聞こえたらすみません)なのが一迅社のアンソロ…という… あ、でも好みの問題なので個人の感想です! 私はミノちゃんが好き。 « First ‹ Prev … 72 73 74 75 76 77 78 79 80 … Next › Last » もっとみる
冥土と浮世を行来する花魁、亡者の魂を救うあおのたつき 安達智さいろく浮かばれない哀しき者たちの叫びに耳を傾け、元花魁が情で絆して諌める。 難しい言い回しするとこんな感じなんだけど、元花魁の主人公 あお は自分の事は多く語らない。 金が欲しい、金がどんどん必要だ。 その想いは決して下品なものではなく、かといって人に言いたくもなく、助けて欲しいとも思ってない。 彼女自身を救うのは果たしてーーー という冥土に行ってしまった人気絶頂で死んだ花魁が、冥土の入り口で狐様に出会い、魂を救う助手をするような形で色々な哀れな者たちと出会う物語。 絵柄が可愛いというのもあるけど、パースも丁寧で絵が上手で読んでいて気持ちが良い。 あとお稲荷さんがかわいい。 辛く悲しい想いをした者たちの話というだけでも切ないのに。 3巻の猫の話なんかは苦しくなる。 いい作品です。タイトルからは想像もできないほど過酷な山下和美の戦い世田谷イチ古い洋館の家主になる 山下和美さいろく読者から見たらこれが現実どおりにフェアに描かれてたとしても 少なからずご都合よく描かれてるんでしょう?と邪推はしてしまう。 そのぐらい本当に戦いになってしまっている。 洋館を残したいという想いだけでここまで動けるものなの?というのもあるが、想いが意地になってしまっているわけではないんだろうと月日の長さが証明してくれている気がする。 単純に売れっ子漫画家はすごいにゃぁ、で済んでしまう明るい漫画を期待して開いた私は2巻まで一気に読んでこのあとの展開が怖くなるのであった。 実録であるということもすごいが、Twitterはきっと探したら当時のやり取りがいっぱい出てくるんだろう。 この漫画が売れる事で山下和美先生のこの運動(といってしまう)の足しになればいいなと思う。奇才 三宅乱丈の髄ペット リマスター・エディション 三宅乱丈さいろく三宅乱丈作品はクセが強く、読み手は選ぶかもしれない。 でもこの「ペット」の概念は面白く、さすがだと思わされる。 不思議な愛情と地位とプライドが現代社会でイメージを持つ能力者たちの織りなす一つの物語になっていく様はとても魅力的で、理解が追いつく頃にはもっともっと読みたいと感じるようになってく。 やっぱクセが強い。できるだけ嘘はないように来陽と青梅 深山はなさいろくどんなときも優しくあれるように とはback numberの「水平線」の歌詞。 この子の苦悩、苦味すら感じる葛藤は本人からしてみたらこの世の全てが敵に回ったような、胃がひっくり返るような想いだろう。 大人はわかってくれない、とガキの頃は思うものだけど、実はその大人は共感が足りないだけでよくわかってたんじゃないか。 今の自分はどっちの目線でこの漫画を読めばいいのか。胃が痛い。 素晴らしく、甘くなく、ただ酸っぱいだけのはずの主人公の苦悩。 それを俯瞰して見てしまい、その他の、彼女の周囲に広がる可能性のある未来まで含めて見てしまう我々大人は「甘酸っぱい」と表現してしまうんだと思う。肉を食す幸せを教えてくれる肉女のススメ 小鳩ねねこさいろくタンパク質を摂取すると云々とかそういうことじゃなく、本能的に肉を食べる悦びを噛みしめる女子たちが出てくるだけなのだけど、その女子たちの背景が割としっかり描かれていて(かつ重かったり闇が見え隠れしてすべては語られてなかったり)ついついどんどん読んでしまう。 そして肉食いたくなる。 登場人物名がみんな動物の名前が入ってるのもいい。 狼さん犬さん熊さん、いずれも可愛いんだよなあ。 ちなみに1巻の表紙が狼さんです。最初からかわいそうな展開なのだけどこういうキャラ好き。高橋留美子せんせーのキャラのように見えてくる。 それぞれの深堀りもしっかりされてるし、毒もなく、食を勧めるとてもいい漫画でありました。『こうふく画報』に続き心底ほっこりするつれづれ花譚 【かきおろし漫画付】 長田佳奈さいろくたまらない、笑顔を作る漫画。 これが漫画のちからだ、漫画は素晴らしい、と再認識できた。 『こうふく画報』と同様、大正時代のとある町のお噺。 登場人物(すべてのモブ含む)を忘れぬうちに一気読み推奨。この味わい深い短いお噺がたまらないこうふく画報 長田佳奈starstarstarstarstar_borderさいろくそして犬が可愛い。こんな犬初めて見た。可愛い。 ときは大正時代、舞台は日本のどこか、多分東京かな?関西弁は珍しいらしい。 食べ物がちょっとずつ出てくる小噺と、それぞれおまけの1頁がついている。 1話を読んでるときはそういう和菓子屋の話なのかなと思っていたけど、町内(に限らないかもだけど近そう)の話っぽく、少しずつ素敵な物語で紹介していってくれる。 そしてこの各話が混じっていくクロスしていく感覚が読者を常に"こうふく"にしてくれる、というものだと思う、だってそうなったもの。 そしてこんなに目頭に来るとは思わなかった。声が出そうだ。 マストバイです。さいろく1年以上前NETFLIXでアニメ化…! ダーシュの声優がキーやんだし、ネイは日笠陽子さん。 そしてガラが安元洋貴さんという、わかってるじゃん(シリアスじゃない方で)という感じがして、今更かよというツッコミは置いといてこれ超期待ですね。映像すごそう。 https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=14455BASTARD!!ザーザードザーザードスクローノーローノスーク2わかる蟻の目線・鳥の目線、そしてタヌキの目線お前、タヌキにならねーか? 奈川トモさいろく死ぬくらいなら、タヌキになってみねえか? すごい。 幸いにも私は死のうとすることなくこれまで過ごせているけれど、羨ましい。 死のうとしている登場人物たちに対してタヌキがちょっと目線を変えた世界(タヌキの目線だけど)を見せてくれる事で、思いとどまったりタヌキになりたくなったりするという心温まるストーリー。 タヌキも可愛いし、内容もほんわか気味でとても和む。良い。戦国時代終盤、九州で狼小僧が大暴れ九国のジュウシ 西公平さいろく狼に育てられる、という点もそうだがこの時代ってまだニホンオオカミいたんだっ、九州に。(どうやら明治以前には本州・四国・九州に普通にいたようでした)というとこでへぇ〜と思ってしまった。 九国(くこく)が今の九州とは違う分かれ方をしていた戦国時代末期、島津と大友の争いにおいてはキリシタンに狂った大友宗麟が色々と奇天烈なエピソードを残していてどれが本当かわからなかったりする。 そんな大友宗麟の家臣(庶流)として有名なのは立花道雪。立花道雪と協力し、当時まさに鬼神の如く九州を下から平らげようとしていた島津を抑えるべく奮起し、歴史に残る戦いを見せたのが高橋紹運&その息子であり立花道雪の婿養子となった立花宗茂の親子である。 これを「岩屋城の戦い」と言います。 本作はこの岩屋城の戦いにおいて高橋紹運という男、そしてその息子、さらにはここに「いたのではないか」と言う"人外"を描いた物語。 タイトル、表紙からも当然主人公は狼小僧だと思って見てしまうがその実、本当の主役は高橋紹運という男。 というわけで、完結記念でクチコミを。 めちゃくちゃ好きな作品でした。各大名を好きだとより一層楽しめるでしょう。なにより、立花道雪がかっこよすぎて目頭が熱くなります。紹運も飄々としてるように見せていて長は、親は大変なんだなと。 大友宗麟のヤバい雰囲気もまるでへうげもののようでインパクト大。 淡々と進むところに惜しさも感じつつ、これはこれですごくいい味なんじゃないかとも思う。さいろく1年以上前オノ・ナツメ「@BADON」のリリーちゃん(最新刊読んだばっかりなので贔屓目だけど)自由広場一緒に住みたい漫画キャラクター2わかる同人と百合の結びつきは自然であり必然であった同人女百合アンソロジー 一迅社アンソロジーさいろく百合思考の人たちの事を指す名詞って何かあるんでしょうか、普通に「百合好き」でいいのかな… 本作は一迅社の代表的百合専門誌、「コミック百合姫」作家陣によるアンソロ。 「マッチングアプリ百合アンソロジー」も素敵でしたがこちらもどうしてなかなか。 ただし同人あるあるがありまくりなので「コミケって美味しいの」系の人には少し解りづらいやもしれません。 惜しむらくは、どうしても最初の3本ぐらいが強すぎて後半との実力差を感じがち(失礼に聞こえたらすみません)なのが一迅社のアンソロ…という… あ、でも好みの問題なので個人の感想です! 私はミノちゃんが好き。
さいろく1年以上前NETFLIXでアニメ化…! ダーシュの声優がキーやんだし、ネイは日笠陽子さん。 そしてガラが安元洋貴さんという、わかってるじゃん(シリアスじゃない方で)という感じがして、今更かよというツッコミは置いといてこれ超期待ですね。映像すごそう。 https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=14455BASTARD!!ザーザードザーザードスクローノーローノスーク2わかる
浮かばれない哀しき者たちの叫びに耳を傾け、元花魁が情で絆して諌める。 難しい言い回しするとこんな感じなんだけど、元花魁の主人公 あお は自分の事は多く語らない。 金が欲しい、金がどんどん必要だ。 その想いは決して下品なものではなく、かといって人に言いたくもなく、助けて欲しいとも思ってない。 彼女自身を救うのは果たしてーーー という冥土に行ってしまった人気絶頂で死んだ花魁が、冥土の入り口で狐様に出会い、魂を救う助手をするような形で色々な哀れな者たちと出会う物語。 絵柄が可愛いというのもあるけど、パースも丁寧で絵が上手で読んでいて気持ちが良い。 あとお稲荷さんがかわいい。 辛く悲しい想いをした者たちの話というだけでも切ないのに。 3巻の猫の話なんかは苦しくなる。 いい作品です。