さいろく
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2020/01/06
自衛艦が"タイムスリップ"したらどうなるのか
本作の主軸となる自衛艦「みらい」は、自衛隊活動としてエクアドルへの遠征の途中で突如タイムスリップ。1942年のミッドウェー海戦のど真ん中にいきなり飛ばされてしまう。 自衛艦っていうのは自衛隊員が乗っているわけなのだが、"自衛隊"を本当の意味で理解していなかったなと深く考えさせられる本作。 同じくかわぐちかいじ著書の超名作「沈黙の艦隊」の主人公:海江田四郎のようにゴリゴリのカリスマが率いるのかと思いきや、自衛隊員としての葛藤を全員が抱えているため割と登場人物が強め。 ちなみに歴史上の実在の人物たちも多く登場している。 「やってみせ言って聞かせてさせてみて~」の山本五十六ぐらいしか私はすぐにわからなかったけど、当時の"大日本帝国"がそのまま存在する設定なので「艦これ」とか好きな人はたまらないのではないだろうか。 私は戦艦も戦争も本当に全く知らなかったけど、それでもストーリーを追っていくだけで考えさせられるシーンが多々あり、感心しながら読み続けられた。長いけど。 読後にWikipediaとかブログとかを探してみたけどやっぱりかなり熟考されてる方がいるようで、実際の史実との差異であったり細かな指摘はあるもののみんなジパング大好きだなーっていうのはよくわかった。 絵がリアルで大人向け感強く見えるかもしれないけどめちゃくちゃ難しい話だけということでもなく、画力と雰囲気とテンポの良さによってかわぐちかいじという稀代の漫画家の実力を知ることが出来る素晴らしい作品だと思う。 かわぐちかいじ先生はきっと若い世代の人たちからすると「沈黙の艦隊」や「太陽の黙示録」「イーグル」そしてこの「ジパング」と戦争や政治ものを描く漫画家というイメージなんじゃないだろーか。 最近はたしかにそんな感じだけど「アクター」とか「ハード&ルーズ」とかみたいな時代の色が強く反映されている作品も多く、こっちの方が個人的に推しだったりもするので是非もっと若い人たちにも読んでいただきたい。 政治とか戦争とかとっつきにくいと思うし(私はそう)
さいろく
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2019/12/19
この世の最高の享楽とタイムリープと。
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懐かしい気持ちで読み返したがこのネオ・ファウストは男性なら一度は読んでおいた方がいい。 誰しもが一度は妄想するであろう世界とその幕引きがわかりやすく描かれている今作では、男というものがどれだけ愚かかが(特に坂根や一ノ関を見ていると)非常によくわかる。 「享楽」という単語も初めて読んだ小学生の頃の自分には理解できず広辞苑で調べた懐かしい記憶。 享 が読めなかったんだよなぁ…ともかく享楽を描いた作品なのです。 また、この作品には現代への影響が非常に強烈だったことがいくつかの点から想像できる。タイムトラベルものは当時も多くあったがこういう使い方はさすが。 「時をかける少女」みたいな今で言う"タイムリープ"ものも当時は"タイムトラベル"と呼ばれていたなぁ。 ドラえもんのタイムマシンが多くの人達の妄想を掻き立てたように、いい大人となった男性の妄想を掻き立てる作品。 そしてもちろん手塚先生の最高傑作の一つ、と言いたいのだが惜しむらくはちゃんと完結していないところ。 手塚治虫の最後の作品となり未完のままとなったものの、全2巻として売られているのももう納得するしかないのだ。 (電子版に最後の続きのネームが入ってて涙出そうだった。本当に悔やまれる)
さいろく
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2019/12/14
アムロとシャアだけじゃない!「ガンダム」を知ろう
安彦良和先生のガンダム。 これこそがORIGIN。本当にありがたい。 アニメの機動戦士ガンダムをちゃんと見れてなかった世代としてはガンダムがゲームやカードダスで一世を風靡しているにも関わらず本当のシナリオを全て理解出来ていなかった事が心残りというか悔しいというかだったんですが、このORIGINはアニメ版以上に安彦良和で(そりゃそうなんだけど)思っていたガンダムが本当に今描かれているんだと。 ものすごく古い時代のマンガだったらちょっと手を出しづらいとこあるじゃないですか、正直。 でもこれは最近になって描かれてるんですよ。ようやくガンダムを知る事ができる!と嬉しくなって読み始めたら見事に期待を上回る作品だった。 小さい頃、小学生低学年の頃はアニメも疎らに見てカードダスとかガン消しとかしか持ってなくて知識も乏しくて。。。そんな頃、悪役だったザビ家は馬鹿な悪いやつなんだと思ってたんですよ、ガルマのせいかもしれないけどさ。でもORIGIN読んだらドズルのファンになるよ、絶対。 ガンダムという日本が誇る壮大なスルメコンテンツを今になってこんなに丁寧な作品として出してくれた安彦先生とKADOKAWAに感謝したい。