野愛
野愛
2024/04/21
アップデートというよりも根本のお話
見た目も収入も申し分ないけどモラハラ気質で古い男が、恋人にフラれたことをきっかけに自らをアップデートしていくストーリー。 恋人が仕事終わりに作ってくれたご飯に、色味がどうだ出汁がどうだバランスがどうだとケチ(アドバイス)をつけ、そりゃプロポーズしてもフラれるわ!ざまあみろ! と思うものの、ちゃんと傷つきちゃんと学ぼうとする姿を見るとだんだん応援したくなってくる。 そして変わろうとするのは何も男ばかりじゃない。勝男をフった鮎美も、自分が本当に好きなものを見つけ人生を変化させていく。 読んでいくと2人はお似合いのカップルだったんだなあ、と皮肉じゃなくて本当に思う。 理屈じゃなく惹かれあった男女が、結婚という目的や男と女という役割に縛られてお互いが見えなくなっていく、なんて悲しい話。 そうさせているのは世間の空気や常識や今まで歩んできた人生など要因は様々だけど、「わたし」と「あなた」だけをしっかり見ていれば起こらないはずなのになあ……。でもそれが難しいんだよね。 勝男と鮎美の人生が再び交わるかどうかはさておき、2人もわたしもみなさんも、自分と相手の好きを大切にして人間関係を築いていけたらいいなと思った。
野愛
野愛
2024/04/15
ネタバレ
人間こそがモンスター #1巻応援
あくまでもこの作品はホラーとかミステリーの類で、クリーチャーやモンスターを見る感覚で楽しむのがいいと思います。 いいとは思うんですが、こういう人って実際にいるんだよなあ……という現実が余韻となって襲ってきます。 人気エッセイスト・中井ルミンのオンラインサロンには悩みを抱えた多くの人たちが集まります。 「みんなで幸せになろう」を合言葉に、おっとりとした口調とあたたかい言葉で人々を照らす彼女。 学生時代にクラスであったいじめや、執拗なファンに誹謗中傷されたことなど、自身の辛い経験を糧としながら人のために前を向く彼女。 たしかに魅力的だけどなんかもやもやする……と思って読み進めていくと、徐々にその違和感の正体が明かされていきます。 中井ルミンを暴く側の視点だけでなく、中井ルミン視点も描かれているのがこの作品の面白いところです。 誰も嘘をついているつもりがないから救いようがないし、まともな人間は心折れて立ち去るしかないのだなと思い知らされます。 相手は化け物なんだから逃げるしかないと思えればいいけれど、逃げるしかないと気づいた時にはもう遅い。 月並みな言葉だけど、お化けより何より人間がいちばん怖いと思い知らされる作品でした。