六文銭2023/09/17生徒のために体をはる先生の鑑みょーちゃん生徒の悩みや疑問に対して、文字通り体当たりでぶつかる保健室の先生・みよか。 通称、みょーちゃん。 お察しのとおり悩みの多くがシモによるものだが、生真面目というかちょっと天然はいった感じで、解決するために必死になり、答えなくていいことまで無駄に答えちゃうのが面白くて、何より可愛い。 生徒のためならなんでも・・・例えば女性の体に幻想抱いている男子生徒には、自分のボディラインを石膏で型づくって説明する始末。 こんな感じで、1話完結形式で笑いあり、ちょいセクシーありの内容。 また、みょーちゃんが既婚者というのが個人的に新しい。 しかも、夜の営み的なことも赤裸々にするから、そのあたりも斬新でした。 アイドル的な存在ではなく、ごく1人の既婚者女性的に描かれているのも、親近感があってよい。 まだ2巻ですが、みょーちゃん先生にはやくもハマってます。みょーちゃん先生はかく語りき鹿成トクサク 無敵ソーダ3わかる
六文銭2023/09/13懐かしくて笑えて泣ける懐かしの昭和を描いた作品で、なんともおっさんホイホイな1冊。 ファミコンや駄菓子屋、めんこなどのアナログの玩具。 およそ昭和生まれにささるワードがビンビンあって、たまらなかったです。 特に、父親と一緒に紙飛行機を飛ばすシーンに心を鷲掴みされました。 あぁ、これだよ、こんなので子供の頃は感動してたんだよと主人公とシンクロしました。 物質的な豊かさや、インターネットなど技術的な利便性では実現できない人間同士の繋がり、不可逆的な時代の流れに思いを馳せて、懐かしくて泣けました。 基本ギャグ路線なのに、急にノスタルジックなものを差し込まれるの弱いです。 子供のころのって、毎日の授業とかマラソン大会とか強制イベントが多いので、意外と不自由であんま楽しかった思い出がないのですが、 この本読むと、主人公やその友人たちは、毎日フリーダムに楽しそうなのが、いいですね。 昭和うまれにおすすめしたい1冊です。しなのんちのいくる仲曽良ハミ4わかる
六文銭2023/09/13お嬢様が立ち飲みで癒やされる📷そんな話。 普段は美食評論家?で味の欠点に辛辣なコメントをしているのだが、そんな日々に疲れて、気ままに飲み食いできる立ち飲み屋を楽しむ流れ。 『コンビニお嬢様』(これもおすすめ!)と同じ作者さんなので、コンビニ=立ち飲みになった感じ。 立ち飲み屋の振る舞い方や、食事のうんちくなんかが出てくるけど、それ以上にコミュ障による対人関係の葛藤(隣の人に声かけていいか悩むとか)が凛としたお嬢様とのギャップも相まって面白い。 個人的に、何より食事の表現が面白い。 だし巻き卵をお布団系と表現したのがツボでした。(添付) 絶妙にわかる感じが良いです。 お酒弱い人間なので座れない立ち飲みとか、正気の沙汰ではないのですが、本作の気兼ねない感じは楽しそうでいいなぁと思いました。立ち飲みご令嬢松本明澄4わかる
六文銭2023/08/31メンヘラ女子を扱うギャグ漫画📷メンヘラ女子ってリアルだと、どちらかというと怖いイメージですが、 本作は面白い。 最初、男である山田がキモイ(毎日同じ時間のバス停留所で待っているとか)かと思ったが、告白して付き合いだしたら相手の佐々木さんのほうがヤバかった感じ。 即OKするあたり地雷臭がしたが、案の定付き合いだしてからヤバイ。 コミカルな会話劇で、山田もうまく受け流していて(添付)これが小気味よいのが、クセになります。 佐々木さんも、彼氏(山田)を友人には、盛ったスペックでホラ吹いているあたりも面白い。 そこらへんは、一応世間体気にするんだと。 メンヘラの人って、自分が好きだったら何でもいい、むしろ他の人にわかってほしくないかと思ってました。 なんにせよ、ギャグ漫画なので、メンヘラ女子が出てきても刺されたり、怖くないので安心して読めます。 クスリと笑いたいときにおすすめします。メメメメメメメメメメンヘラぁ…栗井茶3わかる
六文銭2023/08/31武田家の滅亡を描く大河ドラマ『どうする家康』が好きで、武田家の話がメインになったとき、本作にたどりつきました。 武田家の滅亡を武田側の目線で描いた作品。 正直、信玄以後、長篠の戦いで織田・徳川連合にフルボッコにされた後は、どう滅ぼされたのかあまり知らなかっただけに、その点も興味深く読めました。 主人公・レイリは、織田兵に家族を殺され、襲われているところを、武田家家臣・岡部元信に救われる。 武田領で剣技を磨き過ごしていたところ、武田家の嫡男・信勝に似ていることから影武者として教育をうける。 そこから、織田・徳川による甲斐征討に巻き込まれる・・・という展開。 個人的には、歴史モノとしては珍しい、非常に読みやすいのが特徴だと思います。 文章による説明が多くないのにも関わらず、問題なくストーリーが入ってくるのが、巨匠・岩明均だとうなりました。(もちろん背景となる歴史をある程度知っておく必要はありますが・・・) レイリという名前の由来とそこから派生する最後の描写は非常によかったです。 何より、後で調べたのですが、 最終的に家康に士官し、レイリによって育てられた土屋惣蔵(土屋昌恒)の息子、その母親は岡部元信の「娘」だと知って、岡部元信のあのセリフがフラッシュバックしてグッときました。 歴史モノとしてでなく、歴史の流れに翻弄されるヒューマンドラマとしても楽しめる作品でした。レイリ岩明均 室井大資6わかる
六文銭2023/08/29少女ではなく中年ついにきました。魔法中年です。 『魔法少女・三十路』もありましたが、こっちは中年です。 わいも中年なので、親近感しかない。 内容ですが、魔法少女が敵である魔女を倒すと、魔女の使い魔が怨念により凶暴化する。 しかし、残念なことに、この世界の魔法少女は視聴率稼ぐための娯楽対象として扱われているので、実はそんな強くない。 なので、その凶暴化した使い魔(悪魔みたいな風体)を倒すのが、この「魔法中年」の役目。 主人公の田中も、そんな魔法中年で、魔法少女が倒したり、倒しそびれた悪魔を倒す感じ。 色々ツッコミたくなる設定だが、とにかく田中が強くてスカッとするのが面白い。 表紙のとおり、絵に描いたような社畜気質な腰の低い中年なのでそのギャップにより面白さが際立ちます。 魔法中年ですが、変身もできるようで、なんと若かりしころ?の美少年にもなったもする。 2巻以降は過去の因縁めいたものもでてきて、物語にぐっとひきこまれます。 『ワンパンマン』とか、異世界ジャンルの目立たないおっさんが強い系作品が好きな人はハマルと思います。 魔法中年灰刃ねむみ 魔木2わかる
六文銭2023/08/25大谷翔平もこうだったのかと思いを馳せる今、めっちゃ面白い野球マンガ。 野球マンガ・・・というよりも、天才が才能に苦悩する様のほうが目を引くので、単純なスポーツマンガになっていないのが、少年ジャンプではなくヤンジャンなんだと思った。 内容は、スポーツなら何をやってもずば抜けた結果を出してしまう主人公・綾瀬川。 しかもその結果を鼻にかけることなく純粋に競技そのものを楽しんでいるだけで、底抜けにいいヤツという感じ。 ただ周囲の同年代のメンバーにとって、彼の眩しすぎる才能は絶望を与える存在となり、少し経つと嫉妬かヒカれてみんな離れていってしまう。 少年マンガの主人公がもっている高い能力って、むしろ羨望か格好いいもののはずなのに、この違い。 だからこそ現実的でもあり、それをきちんと描いた作品に出会えたのは個人的に初めてだったので新鮮だった。 そして、この恵まれた才能によって狂わされたのは本人ではなく、指導者である大人で、彼の意図に反し野球のU-12日本代表という大きな流れに飲まれていく。 そこでもずば抜けた結果を出してあっさりエースに。 だけど、根っこである動機や情熱がないから、その価値にも気づかず誰もが憧れたエースの称号も粗末に扱う。 この幼さゆえの、残酷さがエグい。 自分が結果を出すことで、相手が傷つくことを恐れわざと負けようとしたり、それをナジラれて板挟みになったり。 天才すぎるゆえの苦悩が見事に描かれ、そしてまた周囲の言い分もわかり双方に共感できて面白い。 随所に出てくる、主人公が甲子園?にいっているようなシーンも伏線となって今後出てくるのかと思うと期待しかない。 また現在の時の人でもある、大谷翔平も幼少期はこんな気分だったのかな?とか思いながら読むのも一興です。 上述のとおりスポーツ漫画としての枠におさめるのはもったいない作品なので、ヒューマンドラマとか青春群像劇的なものが好きな人にはぜひおすすめしたい作品です! ダイヤモンドの功罪平井大橋11わかる
六文銭2023/08/22現実に未練を残した芸人が異世界から戻ろうと頑張る話大好きな作家の1人なので、つい手にとってしまった。 『どるから』も連載中なのに、新作もあるとはファンとしてありがたい。 ジャンルは、異世界もの。 主人公は売れない芸人。 M-1のファイナル進出が決まり、打ち上げしていたところ、いきなり異世界にいってしまう流れ。 異世界ものでよくある「不遇の中死去」とかではないし、何か特別なスキルが与えられるとかもないのが特徴。 異世界からむしろ現実に戻りたいし、売れない芸人生活で培った謎の我慢スキル(罰ゲームとかで食らう苦いやつとか)でなんとか異世界を乗り切ろうとする感じ。 作家さんの絵柄が好きだし、『どるから』でも魅せたバトルシーンは本作も健在。 変にエロに振り切ってないのも良い。 ただ、まぁ異世界ものとしては刺激や意外な展開などが今のところないので、そこは今後に期待したいです。僕たちは異世界芸人です!ハナムラ 大桶純一3わかる
六文銭2023/08/22昭和生まれのおっさんの琴線に触れる📷8月31日を繰り返してしまう、高校生男女2人の話。 ループするけど、この2人だけは記憶が残るという設定。 ジャンルとしては、ラブコメだと思う。 冒頭が毎話、服だけ代わって同じ感じではじまるのも特徴(添付画像) 懐かしい感じの絵柄や、野暮ったい男子とフランクな女子という関係が、おっさんである自分の心に謎に刺さりまくる。 夏という甘酸っぱい季節なのが、またいい。 なんとも形容しがたいのだが『タッチ』とか好きだった人は好きになってくれるんじゃないかと思う。 この2人だけ同じ日を繰り返しているのだが、基本はその謎を解くとかではなく、この現実を受け入れて、毎回2人でどこか行ったり、同じ日でも変化をつけて、笑いあり、ちょいシリアスありな展開が飽きさせない。 2人の仲も一進一退で、進んだと思ったらちょっと後退するなどの駆け引き的なのも良い。 この夏の終わりにぜひ読んで欲しい作品。8月31日のロングサマー伊藤一角5わかる
六文銭2023/08/15人間が家畜のように扱われる世界他の方も言及されていますが、この著者 『ワニ男爵』とか『愛しのアニマリア』とか『ナマケものがナマケない』とか、ゆる~い動物ギャグが特徴だったのですが・・・ 新作は、その真逆! シリアスな猟奇的かつホラーな衝撃作。 めっちゃたまげました。 『動物人間』というタイトルからして不穏でしたが、全くその通りの内容。 動物が人間のようにふるまい、喋る村。 そこに迷い込んだ人間を、時に家畜のように飼育し、時に狩りのように追い込む。 そして、動物が人間を食べるのである。 普段、人間がやっていることを逆にするだけでめっちゃ怖い。 両方、知恵があって喋るからより一層不気味だったりします。 これまでの作風とのギャップにおったまげましたが、独特の目線が持ち味な著者だったので、本作も普通の展開で終わりません。 ネタバレなので控えますが、オムニバス形式で村に迷いこんだ人間を描くのかなと思っったのですが、そうではなく話が繋がっていたのも秀逸だし、最後は結構衝撃的でした。 あーそういう終わり方するのか?と。 『ジンメン』とか動物が襲う系の話だけでなく、ホラー好きな人にもおすすめなので、1巻完結ですしぜひ読んでほしい!動物人間岡田卓也7わかる
六文銭2023/08/15食事にこだわりをもつ素晴らしさいわゆる誰もが一度食べたことがあるB級グルメや、B級食材について、登場人物たちがマイベスト的なものを語り、ときに激論を交わす内容。 本作を読むと、つくづく自分は何も考えずに食べてきたんだと痛感する。 特に、飲食のチェーン店やスーパーで売っているお菓子や食材とか、正直どの店・銘柄もジャンルが同じなら大差ないと思ってたし、 安くて、そこそこ美味しければなんでもいい とさえ思っていた。 本作を読むと、自分のこだわりのなさ、無頓着さに恥ずかしささえ感じます。 この作品に出てくる登場人物は、食べ物や食べ方に何かと一家言あって、1食に命でもかけてんのか?ってくらいアツイ。 身近にあるものだからこそ愛着も強く、読んでいるとその気持ちもわかってしまう。 (時々、わからないものもあるが) 食事にこだわりをもつと人生もっと豊かになるのかな?とさえ思ってしまう。 あと、本作を読むと、特に歴史あるチェーン店や食品は、各社しのぎをけずってより良く改善している様も説明してくれるので、その企業努力にひらすら唸ります。 何気なく食べていたけど、時代にあわせて色々変えたり、飽きさせないつくりをしているのを知ると、今日まで残っている意味がわかります。 変わっていないようで、変わっているんだなと思い知らされます。 といった感じで、グルメマンガの中でも、めちゃくちゃ教養(?)的にうんちくのある部類で、美味しいもの食べて「おいしー」で終わらない凄みがある作品です。 普段食べているものが、より興味深くなったりしますよ。 小生も、かろうじてラーメンが好きなので、ラーメン系の話が特にお気に入りです。 めしばな刑事タチバナ坂戸佐兵衛 旅井とり3わかる
六文銭2023/08/14謎すぎる世界進路希望を提出していないことで居残りさせられていた同級生4人。 すると突然、4人以外の人間がいなくなってしまったという話。 ちょっと何言っているかわからないかもしれないが、本当にそうなんです。教室に風がふき、カーテンがふわっとなったら、もう誰もいない感じ。 パラレルワールドに迷いこんだとか、そんな描写や説明もなく、一瞬で世界に取り残された4人。 学校はもちろん、街も誰もいないし、電車もこない。 コロナ感染など息苦しい世界に辟易としていたこともあって、4人しかいない世界に恐怖するよりも、その自由を楽しみ始める。 カラオケいったり、お店で好きなもの取ったりやりたい放題していく。 が、数日経つと、徐々に電気がとまり、食料も腐りはじめ、ネズミが蔓延し(動物はいる?)だんだんと自分たち以外の人間がいないことで、当たり前の生活のが保てなくなってくる。 そうなると当然4人の関係にも綻びがでてきて・・・という展開。 (1巻の冒頭がその結果です。) こういう、ディストピア的な話、大好物なんで本作も好きな部類なのですが、世界観の設定がいかんせん謎すぎる。 なにかの陰謀で・・・とか、戦争によって崩壊された世界で・・・とか、そういう説明があったほうがまだ納得できるタイプなので、この一瞬で今までの世界とは違う世界にいってしまうとか、むしろ恐怖でしかない。 この展開が自分的には新鮮で、 だから、逆にどういうオチがつくのか気になって読んでしまっております。 誰もいない世界でどうやって生きていくのか? この世界の意味は? など、謎を念頭に最後まで読み続けたいと思います。人間消失江戸川エドガワ2わかる
六文銭2023/08/10コミュ力強め女子との特別な時間『恋は光』など、独特な恋愛観が持ち味の秋★枝先生の最新作。 コミュ力高いギャル風な荻野目さんと、ちょっとコミュ障気味な二宮くんの、図書室で繰り広げられる会話劇。 図書室というほぼ誰もいない空間で、2人だけの特別な時間が描かれます。 端的にいってスゴイよかった~。 元々『恋は光』が好きだったのもあるけど、『隣のお姉さんが好き』とか『僕の心のヤバイやつ』とか、じわじわとすすむ2人の関係が好きな人だったらハマると思います。 なんでもない会話なんだけど、読みやすいテンポで、また誰もが一度はもった疑問だったりちょっと興味のあるテーマ(例えば心理学的なものやことわざ的なもの)だったりするからつい読んでしまう。 なんでもないようなことを独自の着眼点で面白く描けるのが、この作家さんの持ち味だな~と思う。 コミュ力モンスターの荻野目さんによって、会話が苦手な二宮くんもついついしゃべってしまい、それが楽しくなって、やがて特別な感情を持ち始める。 一方、荻野目さんは何を考えているのか、わからない感じ。 この2人の関係ずっと眺めてられますわ~。 個人的に2023年ベストコンビです。 放課後メタバース秋★枝7わかる
六文銭2023/07/29不憫可愛いという新ジャンル負けヒロインの不憫さがこんなに可愛いく描けるなんて思わなかった。 幼馴染みは負けフラグなんていいますが、そんないわゆる「負けヒロイン」の要素をすべてもった姫ヶ崎櫻子。 何やっても想い人・三森夏樹には届かず、真剣に扱われず、むしろコミカルになってしまう。 ラッキースケベも、見飽きたレベル。 ぽっと出の転校生である榊雪菜は、黒髪清楚で、謎な親の都合で夏樹と同棲することになるといった、正ヒロイン感がむんむん。 姫ヶ崎の空回りっぷりも面白いのですが、 どこかズレている榊雪菜との二人のやりとりがとにかく面白い。 姫ヶ崎が究極的に何もわかっていないのが(何がわかってないかは本編1巻で出てくるので確認してほしい)、より面白い。 不憫可愛いというのも、よく分かる感じ。 もうすでに負けているのか、勝っているのかわかりませんが、ラブコメとしては好きな部類でした。 ラブコメのドタバタした感じが好きな人はハマると思います。姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い安田剛助3わかる
六文銭2023/07/29夢みた後の現実を描くこれ高校の教科書にして欲しいと強く思ったくらい衝撃的でかつ素晴らしかったです。 作者が『群青戦記』の人とわかって『リビドーズ』に続き、作風の幅広さにびっくりした。 内容は進路指導で夢を追うことの現実を伝える主人公、通称夢なし先生。 彼と彼の教え子1人を中心に、その教え子が自身の希望する進路を選んだ先で起きる苦悩や葛藤を描いた内容。 教え子1人ずつエピソード的に紹介するオムニバス形式な感じ。 夢を追うことのリスク。 夢がかなう人の確率や他者事例を頭では理解しているつもりでも、どこか 「自分は絶対そうならない」 と思い込んで突き進み、結局自分もその他大勢だったり 周囲の期待や意見との折衷によって、結果捻じ曲げられた夢だったことに気づかず、本当に自分が大事にしていたもの何か?を見失ったり。 その手の、夢を追ったことで得た代償をリアリティたっぷりに描いてくれます。 大きな夢をもて、夢を諦めるな、なんて安易に言えなくなります。 本作の素晴らしい点は、仮に失敗したとしても夢なし先生の指導によって、きちんとその後の未来(現実)を描いていること。 夢見て失敗した後の悲惨さだけではなく、何度でもやり直せるという力強いメッセージを感じます。 夢がある人もない人も、本当に多くの、特に色んな可能性に溢れた若者に届いてほしい作品だと思います。夢なし先生の進路指導笠原真樹6わかる
六文銭2023/07/29性と愛と広告で大きなイチ◯ツみたいなのがまわってきて、矢も盾もたまらず読んでしまった作品。 全7巻読んで、当初想定していた以上に壮大なテーマだったなというのが率直な感想。 作者が『群青戦記』の人だと読んでから気づき、妙に納得した。 さてその内容ですが、 「リビド」と呼ばれる謎のウィルス?みたいなものに感染すると、異性に性的興奮を覚えると自身の欲望をコントロールできずに襲いかかり、粘膜経由から相手にも感染させる。 特に男性の場合は、体が膨張し(要はアレのように)、肉体的にも強靭な感じになる。 主人公もひょんなことで、バイトによくくる風俗嬢から感染してしまうが、他のリビド感染者と異なり、自我が一定保てて、肉体的にも常に変化しているわけではなく、ある程度制御がきく状態。 幼馴染で長年の思い人であった初瀬が、リビド感染者に襲われそうになったところ、リビド感染によって手にした力で助けることから物語は進む。 主人公と同じようにリビドの能力はあるが自我が保てている人も現れ、その能力を使って革命を起こそうとする集団が現れたりします。 彼らから勧誘的に主人公の力を求めてきたり、ないしは上述のように特別な肉体であるから「リビド」の抗体をつくるため、人類存亡のために国家に狙われたりする。 このあたりはパニックホラー系やディストピア系な物語では醍醐味ですよね。 主人公は、初瀬さんへの思いを武器に闘うわけですが・・・ この思いというのが、ただの性的なものなのか愛なのか?そんなことを終始考えている。 性的興奮しなければ強くなれず、強くなければ守れない。 本人を前に欲情などしていいのか、など葛藤しているわけです。 彼女への思いはピュアゆえに、苦悩も大きい。 読み進めていくうちに、自分自身 性は汚いもので、愛は綺麗なものと思い込んでいたけど、そもそも性と愛は切っても切れないものではないのか? とか、色々考えてしまいました。 ただ、そんな小難しい話よりも、登場人物は良い味だしているし(初瀬さんは天然で可愛いし、クセのあるキャラたちは皆信念があって愛着もてる。AV監督の人とか)パニックホラー的な、パンデミックな状況下のバトル漫画として十分面白いので、この手のジャンルが好きな人にはオススメできる作品だと思います。 裏にありそうな、性と愛とかいう壮大なテーマはスパイス的に楽しんでいただければと。 リビドーズ笠原真樹2わかる
六文銭2023/07/25下ネタに抵抗がなければ楽しめるギャグ漫画アニメもあって途中巻まで読んでいたのですが(12巻)、そういえば最後どうなったのかな?と思い一気に読み直してみました。 悪魔を使役し依頼人の課題を解決する探偵・アクタベ。 その助手、佐隈りん子はひょんなことで、アザゼルという淫奔(要はエロい)の悪魔と契約させられて、事件を解決していくながれ。 悪魔を使役するために必要な「グリモア」という本があり、それは人間社会に自然と紛れ込んでいる。 なので、一般人も知らない間に悪魔と契約してしまい、、悪事を働いているのを倒す展開もあるのだが、まぁ、総じてギャグテイストで重くならず、ゆるく楽しめるのが本作の魅力。 出てくる悪魔も、前述のアクタベの能力によってマスコットキャラみたいな2頭身なのが可愛い。 (後半出てくる「魔界」だと、その悪魔たちの本当の姿がみえます。エグいくらい大きく強かったりする) 下ネタが結構青年漫画のギリギリを攻めている部分もあるので、下ネタに抵抗がないことが前提になりそうですが、ギャグレベルが小3な自分はゲラゲラ笑えました。 この作風でどう終わっていくのかな?と思ったのですが・・・ まず、アクタベと佐隈さんの関係。 一部界隈では「アクさく」と言われるくらい人気のカップリングだったのですが、これは、また妄想の余地が増えた感じ。 次にアクタベの正体。 個人的に超気になってたので、最後に何かしら正体に関するものがでるかな?と思ったのですが、なかった。 むしろ、後半に「神」が出てくる展開があるのですが、それと同じ紋章?みたいなのがアクタベにもあって、いよいよわからなくなった感じ。 特に解説もなく終わってしまい、すごい気になる。 そんな感じで謎を残したまま若干消化不良な感じ終わってしまったのですが、上記とは別にラストの佐隈さんのあのシーンは結構グロかったです。 (詳細はネタバレになるので避けますが、読んで同じ気分を味わって欲しい…) 「悪魔」を題材にした漫画らしいといえばらしいラストなのですが・・・ その点も含めて謎の余韻が残った作品でしたが、ギャグ漫画としては十分楽しめる作品でした。よんでますよ、アザゼルさん。久保保久 シマダヒデアキ(LocalSupportDepartment)5わかる
六文銭2023/07/25予測不能な怒涛の展開主人公は漫画家で、自身の漫画に登場させている「ピエロマン」に、そっくりなピエロに襲われるという話。 漫画の「ピエロマン」自体は映画化が決まるなど人気を博し、またそのヒットまでに主人公は漫画家として長く苦労しているのも背景にある感じ。 とにかく、予測不可能な展開が面白い。 ピエロマンの正体を追う展開なのですが、怪しい人がゴロゴロいる。 アシスタントとか、担当編集、同期の漫画家とか、大体身近な存在が一般的ですよね? そこに、犯人と思われた人物が、次々にピエロマンとして出てくるんですが、彼らはただ本物のピエロマンにたぶらかされただけの、偽物だったりするわけです。 ピエロマンではないか?と疑われた人物は、逆に本物に襲われたりもする。 「たぶんこうだろ?」的な予測を裏切られるわけです。 まだ3巻なので全容がでておりませんが、1巻からずっとこの調子で、怪しいと思った人物が次の瞬間違ったりなど飽きさせない、こちらの予測を裏切ってくる展開がスゴイんです。 逆に想像力をかきたてられます。 まだまだ、主人公自身も過去に何かありそうですが、ピエロマンの正体あわせて恨まれる理由が少しずつわかってくるのかと思うと続きが楽しみな作品です。 ピエロマン本田真吾 高橋伸輔6わかる
六文銭2023/07/20子は親を選べないとは言うけれど・・・この手の子供の虐待(ネグレクト含)的なエッセイって、読むのもキツイのわかっているのですがなぜか読んでしまうんですよね。 今までは、 「自分はまだ恵まれているということを確認したい」 という意図があったと思うのですが、最近は 「自分は子供にこんなことしない抑止力」 のために読んでいるんだと、本作を読んで気づかされました。 なので、読むたびにツライ気持ちになると同時に、家族に対して こんなことは絶対しないようにしようという強い気持ちになります。 本作も、主人公も幼少期の寂しさは目を覆いたくなります。 まだ保育園くらいの小さい時に朝起きて家族の誰もいない状態とか。 子供にとっては恐怖でしかないのに、それができる親の神経を疑うし、可哀想すぎる。 ネズミが出るような汚部屋の環境、親の離婚、そして再婚によって振り回される様(再婚相手に性的虐待をうけたり)、どれも親の都合でしかない。 著者である主人公にはこれが「普通」なんだ思い込んでいるのも悲しい。 そんな幼少期の凄惨な状況にもかかわらず、ご自身も家庭をもち子供に対して、かつての親のようなことを自分はしないと決意する様が、上記の私の考えとリンクしました。 同じようなことをしてしまうかもと悩み苦しみながらも、前向きに決断していった主人公に勇気づけられました。 最初のほうは胸糞悪く、悲しい気持ちでいっぱいになりますが、不思議と読後感は悪くないのも良かったです。 著者を応援したくなりました。家族、辞めてもいいですか?魚田コットン1わかる
六文銭2023/07/18元アニメーターがアニメ業界を描く、胸アツマンガアニメ好きの主人公が高校卒業とともに、とあるアニメーション会社に就職。 他の新卒メンバーよりもうまくない、手が遅いなかで、人生を変えたアニメの感動を情熱に変えて成長していく物語。 端的にいって、めっちゃ胸アツだし、こういうクリエイターなどモノづくりに関わる人間の作品は大好物なので、本作もツボでした。 特に、技術はなくても情熱のある主人公が、上司のアドバイスをもとに、自分のなかで昇華し成長していく過程が応援したくなり、うまくできたときの喜びは共感しかないです。 作者自身が元アニメーターということもあって、新人のつまずきポイントや、ダメな例や良い例などの理由が明瞭で説得力があります。 また、どういうところを意識して描くのかを知れるのも、漫然と絵をみているだけの人間には興味深いです。 また、アニメ業界の闇深さ(原画1枚単価の低さ、時給に換算するとヤバイとか)も、しっかり描いていて、単純な夢物語やサクセスストーリーになっていないのも、個人的にはポイント高いです。 やりがいや情熱ではどうにもならないところもしっかり伝えて、その上でやるのか?やらないのか?の決断をするのは、知らないで決断するそれとは腹のくくりが違いますもんね。 自分はアニメ好きなのですが、同時にプロスポーツ選手同様、技術に差がある世界でもあって、一部のクオリティの高い作品や才能ある人間に寄ってしまう部分はしょーがないと思っています。 『これ描いて死ね』の「☆野 0」の担当編集だった金剛寺さんが言っていた 「同情は創作の敵だと考えます。」 (『これ描いて死ね』2巻参照) という言葉がピッタリあてはまって、アニメーターが食べていけないのにプロである以上同情するつもりはないのですが・・・ 業界の衰退具合も考えると、もう少しなんとかならんもんかね?とは常々思っています。 特に日本の優秀なアニメーターが海外にいってしまうとかのニュースをみると、危機感しかないです。 製作委員会方式のビジネスモデルが悪いのか、アナログで手間がかかりすぎているのか、ちょっと門外漢なのでわかりませんが、本作が、その切り口になってくれることを願ってやみません。 あとは、刊行速度が異様に遅いので(2023年7月時点の最新巻5巻が3年前・・・)、そこもなんとかならんのか?と願ってやみません。アニメタ!花村ヤソ3わかる
六文銭2023/07/14伝説の魔法少女(30)再始動設定が秀逸なラブコメでした。 主人公の奥さんである「みく」は元魔法少女。 しかも、ただの魔法少女ではなく伝説的にすごかった魔法少女で、「ミラクルみく」とか言われていた存在。 主人公は、そんな魔法少女だった彼女のいわゆる追っかけというか、推し活をしていたオタクで、ひょんなことで大人になった彼女と合コンで出会う。 そして、そのほとばしる情熱で結婚までいってしまう。 順風満帆な夫婦生活をしていた矢先、昨今の魔法少女不足から、引退したはずのみくにも魔法少女として復帰の依頼がきて・・・という流れ。 魔法少女は大人になると魔力がなくなるようなのだが、みくは伝説的な魔法少女だっただけに、30歳でもバリバリ現役。 だけど、年不相応な格好(魔法少女的な露出度高めの服)に恥ずかしがったり、夫に魔法少女の変身をみられたくなかったり、こういったラブコメ要素が、すごくいいです。 わたくし、クールな美人が赤面するのがツボなので最高でした。 夫婦、ラブラブなのもいい。 魔法少女として戦うシーンはないのですけど、ラブコメとして楽しめる作品です。 1巻の終わりもよかったので、続きが気になります。 ぼくの奥さんは魔法少女かもしれない相川真霜3わかる
六文銭2023/07/11まったり異世界系がちょうどいい異世界系漫画というと、スキルを駆使して(たいてい最初は弱かったりするが)なんやかやで最強になっちゃうバトル系が多いのですが、本作はちょっと違う。(3巻時点) 主人公のスキルは「ウォーキング」という、どんなにも歩いても疲れない程度のスキルで、そんなのだから異世界を練り歩いて楽しもうとする感じがまったりして心地良いんですね。 トコトコ歩くだけで、その世界の設定や雰囲気をゆっくりと楽しむ感じが、異世界を旅行しているような気分になります。 メインも「お使い系」(どこどに〇〇を運ぶ的な)のクエストをやっている感じ。(最新刊になると、ちょっとしたバトル要素もありますが、) 歩く歩数で、レベルアップもしているので、気づけば超強くなっているとかあり得そうですが、今のところは、ひょんなことで出会った冒険者の女性2人と料理したり、イチャコラしたりでのんびり旅を続けています。 これが読んでいて、ちょっとした癒やし効果があり、血沸き肉踊るバトル系の異世界モノとは違った楽しさがあるので、異世界ジャンルは好きだけどそういう作品に食傷気味だった人におすすめしたい1作です! 異世界ウォーキング小川慧 ゆーにっと あるくひと3わかる
六文銭2023/07/10癒し系ギャル、爆誕ギャル漫画が好きなんです。 なんというか、ギャル漫画に出てくるギャルのコミュ力やテンションの高さが元気の象徴みたいで、読んでいてエネルギーを貰える感じなんですね。 (実際のギャルとは接点皆無なので、実態は知らない。) そして、本作は、そんなギャルの中でも、癒し系とも言えるギャル。 主人公は仕事に疲れきったサラリーマンなのですが、ひょんなことで出会った個人店の喫茶店でバイトするギャル・瑠衣加(るいか)と交流していく流れ。 仕事で疲れたメンタルに、瑠衣加が栄養補給してくれる感じ。 もーう、すばらしい! とにかく、瑠衣加が良い子すぎて、ハゲる。 どんなことでも一生懸命だし、一生懸命な人をバカにしないし、ギャルに対する偏見や誹謗中傷に負けないし、自分が働いている喫茶店のことを凄く大事にしているところもあって、めちゃくちゃいい子なんです。 こんな子がいるなら、週5で通いたいくらい良い! 読む心の清涼剤としておすすめしたい作品です。 また新たな魅力的なギャルを発見した気分です。 喫茶店にギャルがいる田丸鴇彦2わかる
六文銭2023/06/29陰キャ同士が高校デビューを頑張る話📷主人公は中学時代、陰キャゆえの不遇をうけて、その悔しさから高校デビューをはかり、結果、高校ではクラスカーストの中位程度(なんだその表現)の友人ができるなどある程度成功する。 そんな中、クラスにいる学年一の美少女が、実は同じ中学で、しかも同じく中学まで陰キャだった楠木さんだったという話。 楠木さんも高校デビューをはかり外見が変わるも、その容姿に惹かれる男性からは一定声がかかるが、中身が昔と変わらず陰キャコミュ障のため、ひとりも友達ができていない状況。 男性にちやほやされているから、女子からは疎まれる始末。 そこで、ある程度高校デビューが成功してそうな主人公に助けを乞うという流れ。 楠木さんのコミュ障解消のため、一緒に昼ごはんをとったり、一緒に帰ったり、夜電話する関係になる。学園一の美少女と。 なんだ、その羨ましい状況! と血涙しそうですが・・・自分自信も高校はそうだったので、誰も知らない環境にいって自分を変えたい願望はよーくわかります。 だから、主人公も楠木さんの気持ちもよくわかるので、血涙までは我慢しました。 しかし、楠木さんが可愛いすぎる。 ちょっとおどおどしている感じも、天然っぽくヌケている感じも、狙っていない小悪魔な発言も!(添付画像参照。夜は電話をしただけです。) この2人の関係なかなかいい感じなので、ずっと眺めていたくなる。 今後どうなるか楽しみな作品です。 楠木さんは高校デビューに失敗しているみいみつき2わかる