六文銭2023/06/27カルト宗教に翻弄された人々を描くカルト宗教である「神の郷」に家族がハマってしまい、その惨劇と洗脳からの復活、そして宗教の崩壊までを描いた作品。 「神の郷」の教祖・神郷宝仙とその餌食になった城山家族を中心に物語がすすむ感じ。 そして、1巻目では、その物語の軸となる教祖・神郷宝仙の過去の話なのですが・・・これがもう衝撃的すぎて、正直、この後の展開でも彼を完全な悪者としてみることができなかったです。 彼自身もまた母親がカルト宗教によって狂わされた人間の1人なわけで、母親に対する愛情の深さや家族を失った悲しみは憐れでもあり、心から憎めなかったんですよね。 この1巻の影響が強すぎて、2巻目以降「神郷宝仙」が、信者に対して行う数々の悪行に対しても、どこかしょうがないとか思ってしまう自分がいました。 自分がツライ思いをしたから、他人を不幸にしてもいいわけではないですけど、それほど1巻が私には衝撃でした。 母親の前で泣き叫ぶシーンは子を持つ親としては胸に刺さり、悪に染まってしまう気持ちもやむ無しとか思ってしまったんですね。 とまぁ、自分はそんな感想でしたが、全体通して飽きさせない展開が多く、最後の最後まで予測がつかない展開は圧巻でした。 4巻とサクッと読めるのも魅力で、アングラ作品が好きな人にはおすすめしたい作品です。 カリスマ新堂冬樹 八潮路つとむ 西崎泰正10わかる
六文銭2023/06/26今の時代にあったテーマ主人公は色々あって、祖父母が経営していた仏具屋を受け継ぎ、代わりに「葬儀屋」を始める展開。 「葬儀屋」というあまり馴染みがない分野の経営方法は興味深く、また葬式を通したヒューマンドラマ的な側面もあるのが自分好みでした。 また、題材としても非常に今っぽいなと思いました。 人生100年時代。 長く生きられて健康なうちに死に方を選べるって人によっては重要だし、今後時代的にも生前葬とかその手の話題がでてきそうな予感なんです。 というのも、自分も年を重ねるごとに身内の死を経験することが多くなってきたのですが、ただ「死ぬ」だけで残された人に、結構、不便というか・迷惑がかかるんですよね。(甚だ不謹慎で恐縮なのですが) 本作にも描かれているように、相続やらお布施の仕方やら、細々ながらも決断をしなければならないことって結構負荷だなと。 死んでしまえば、後は知らん! 的な発想ができる豪快な人ならまだしも、自分みたいな小心者は突然死でもない限り 死んだ後くらい、迷惑はかけたくない と思ってしまうので、予め色々やっといたほうがいいなと。 自分だけでなく、世代間格差で苦労してきた世代は、今後そういう考えの人が多くなるんじゃないかなぁと考えます。 下の代に迷惑をかけたくない的な。 一方で、そんなネガティブな側面だけでなく、思い出を残すという意味で予め準備しておくというのも重要だと思います。 本作の主人公も葬式を企画するプランナーとして、訪問客に対して色々提案する感じなのですが、その中で家族間のトラブルなども当然出てくるわけで、主人公のちょっとしたおせっかいや思いやりが重要になってきます。 こうやって第3者が介入して長年のわだかまりが好転し、死を間際にして後悔が減っていく感じが読んでいて心地いいです。 人に歴史ありとはよく言ったもので、その最後が少しでもハッピーエンドになるように尽力する主人公は応援したくなります。 心温まるヒューマンドラマな1冊で、今後も続いてほしいと強く願います!葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】高山繭4わかる
六文銭2023/06/22大麻を売って家族を守れ主人公・千東森生(ちとうもりお)は学生時代に植物を専門していたこともあって花屋を経営するも、あまりうまくいかず家計は火の車状態。 ある日同窓会で、大学時代の友人・加賀山と出会い、金策に苦しんでいる千東をみかねて大麻の栽培を勧めてくる。 当然、犯罪であるから一度は断るも、そんな折に千東の妻が車の事故に会い入院費や壊れた車の買い替えなどで必要な出費に迫られて、ついに大麻の栽培に手を出してしまう。 元々、植物を育てることに才能があった千東は大麻でもその能力を発揮。 抜群の効き目から、高値にも関わらず、どんどん売れる。 しかし、彼のつくった大麻が広まると、今度は反社の人間に目をつけられてしまい・・・という展開。 ただの一般人でも、一度悪に手を出すと、どんどんぬかるみにハマって、抜け出せなくなっていく感じが怖くもあり刺激的です。 特に反社の人間から何をされても、自分も捕まってしまうから警察などの公権力に頼れない感じが絶望そのもの。 だからこそ、自分の力で何とかするしかないのですが、元々気弱だった千東が腹くくって反社の人間たちと対峙する姿にはグッときます。 家族を守るため、父親としてやるべきときはやるんです(まぁ犯罪なんですけど) ずっと反社の連中に追い回されたり、抵抗して殺して?しまったりピンチな状態が続いているんですけど、ここからタイトルにある「大麻王」にどうなっていくのか? 予測ができない感じで、今後が楽しみな作品です。 余談ですが、『銭麻』という作品でも大麻を売っていましたし、捕まっている人も多いし、大麻、密かにブームなのかな。(ダメ、ゼッタイ)東京カンナビス特区 大麻王と呼ばれた男稲井雄人2わかる
六文銭2023/06/21また良きグルメ漫画がここに「国民のお嫁さん」と称される女優が主人公。 彼女がお忍びで、好きなものを好きなように食べる話。 料理も様々なのだが、いわゆるB級とかを豪快に食べるといった 「キレイなお姉さんが意外とずぼら」 的なギャップを狙った感じではなく、全体的に下品にならない感じが本作の良いところだと思います。 というか美しく、丁寧に味わうのが良い。 エロを変に交えたりもせず、ど真ん中に料理を楽しむ感じが逆に新しいです。 女優仲間の後輩がでてきたり人間関係も今後幅がでてきそうで楽しみです。 料理にまつわる説教臭いうんちくもなく、さらさらと読めるから、妙にクセになる感じがおすすめな1冊です。 良いグルメ漫画でした。女優めし藤川よつ葉 うえののの6わかる
六文銭2023/06/19戦後日本を舞台にヤミ資金を守れ!書影がかっこよすぎて久しぶりにジャケ買いしましたが、後悔していないです。 第二次大戦後の日本が舞台。 主人公は旧陸軍で「狂犬」と呼ばれた男・高村伊知。 終戦後の東京に戻ると、実家も妻もなくなった状況の中で、新興ヤクザ組織「長門商会」のボス・岡本宇ノ介と出会い、彼の用心棒として雇われるところから始まる。 岡本は元々海軍の主計長(ありていにいうと経理や兵站係)で、その流れから長門商会は旧海軍が集う場所。 海軍と「長門」商会と言う名から推測されるように、戦艦「長門」とも深い関係があって、岡本が戦時中にある目的で手にした「ヤミ資金」が物語の軸となります。 敗戦国としてGHQの支配を受けていた日本で、志をもって暗躍していく様は、読んでいて熱くなります。 そして当然、彼らを邪魔する反社的な組織、それらを裏で糸引く政治家の存在などが障壁として登場してきます。 彼らを相手に、高村や岡本はどう立ち居振る舞うのか? そして「長門商会」は本懐を遂げられるのか? 大人向けの半フィクションな物語として今後に期待したい作品です。ヤミナベ~占領下日本敗残兵物語~清澄炯一 軍事法規研究会先任研究員大木浩明5わかる
六文銭2023/06/16タワマンに住んで後悔したい何かと話題のタワマン文学なるもののコミック。 「タワマン文学」・・・これ自体、つくづく今の時代っぽいなと思う。 SNSを通して、芸能人だけでなく、これまで見えてこなかった一般人の生活が筒抜けになり、そこでセレブで綺羅びやかな生活を過ごす方々(本当かどうかは別として)と自分を比較し嫉妬や憎悪を募らせる。 特に、その富の象徴と格差の証明としてタワマンがそびえ立つわけです。 本作も、そんなタワマンに惹かれ、そしてタワマンですり減っていく人々を描いた作品。 中の上くらいの一般家庭が無理して住んでしまったケース。 パワーカップルの家庭のケース。 高給取り夫をもつ家庭のケース。 同じところに住んでいるが、異なる悩みと葛藤を抱える3人。 決してわかちあうことなく、建前だけで過ごす日々。 比較され、競争心を煽られ、何が正しいのかもわからなくなっていく。 読んでいてつくづく、本当の幸福ってなんだろう?って思ってしまった。 少なくとも、世間の評価が自分の幸福と必ずしも一致しないことだけは言える。それは、この3人がぞれぞれ出した結論にもつながっていると思いました。 自分らしさ、とは何か? 自分の立ち位置を相対評価で判断したくないものです。 とはいえ、一度くらいタワマン住んでイキってみたいっすね。 後悔するだけ、羨ましいとちょっと思ってしまいました。タワマンに住んで後悔してるグラハム子 窓際三等兵1わかる
六文銭2023/06/14牛丼、しかも吉野家のが食べたくなる松屋、すき家、吉野家が並んでたら迷わず吉野家を選ぶくらい、吉野家の牛丼が好きです。 他のはあまりそうならないのですが、吉野家だけは、なぜか無性に食べたくなるときがあるんですよね。 麻薬でも入っているんでしょうか?(入ってません。) 少し前に吉野家のマーケティングのエライ人が 「生娘シャブ漬け戦略」 とか称して炎上してましたが、このネーミングがアレであったとしても、中毒性という点においては納得してしまいます。 本作も、そんな吉野家に取り憑かれたサラリーマンが主人公で、絵もそうなのですが、吉野家の牛丼の素晴らしさについて語る部分が共感しかなくて、読んでて無性に食べたくなります。 そして、原作者がゲームの『ドラッグオンドラグーン』『NieR:Automata』で一躍有名になったゲームクリエイターの「ヨコオタロウ」氏というからびっくりしました。 『君死ニタマフ事ナカレ』の漫画原作もされてましたが、こちらは、まだつくっているゲームの世界観と近しいので理解できましたが、こういうアットホームなグルメものも描けるのかと驚きました。 御本人のnoteにも、その経緯が書いてありましたが、宣伝でも何でもなく好きだから描けるものは、打算がないぶん純粋ですね。 その点でも興味深い作品でした。吉野家兄弟ヨコオタロウ 秋鹿ユギリ3わかる
六文銭2023/06/13『ソウナンですか?』のタッグが描く異世界マンガ飛行機事故で無人島に漂着してしまった女子高生たちの、本格的サバイバルを描いた名作『ソウナンですか?』のタッグが今度は異世界ジャンルに。 大分、方向転換されたなと。 特に原作者である岡本健太郎氏は『山賊ダイアリー』なども手掛けており、リアルで生々しい世界の知識や描写が持ち味だと思っていたから、正直びっくりしました。 さて、その内容ですが、ブラック企業に勤めていた主人公は、異世界へ・・・と、ここまではいつもの異世界系のテンプレ。 (主人公がそのテンプレを理解しているのはいつものと違いますが) 主人公は、エルフのミリアを指導者に、そこで魔道士として修行をしていくという展開。 異世界系としては奇をてらっていない、ど真ん中の作品とも言えるのですが、これがなかなかどうして面白い。 自分自身、前作の『ソウナンですか?』は、随所に大笑いではないがクスリと笑えるギャグ要素とかわいいキャラが相まって魅力だと感じているんですよね。 本作も、著者独自の異世界のおもろい設定(魔法は耳からでるとか)や、前述のミリアや竜人ソフィーなど、異種族のかわいいキャラたちが、ジャンルが違えどテイストやノリが同じで楽しめました。 まだ2巻時点ですが、ブラック企業で 「代わりはいくらでもいる」 と言われていた主人公。 異世界で魔道士としてどう変わっていくのか。 また、この異世界の中でも戦争など緊張感のある展開も少しずつでてきて、今後もストーリーが楽しみな作品です。 そんなヒロキも異世界へ岡本健太郎 さがら梨々1わかる
六文銭2023/06/122番目にかわいいとは?大枠で言うと 「陰キャ主人公×陽キャヒロイン」が、共通の趣味で、クラスメイトとは内緒で交流するラブコメ的な話。 ラノベ原作だとこの手の構図(『弱キャラ友崎くん』など)増えたなと個人的に思うのですが、在りし日の青春時代の願望垂れ流しなストーリーが、イタくもあり、眩しくもあり読んでしまいます。 本作も、美人でクラスカーストの上位にいながら、B級映画好きという接点から交流がはじまり、陰キャの主人公と同じくゲームや漫画などのオタク趣味も理解があるというから意気投合しちゃう展開。 陽キャ特有の積極性でグイグイ主人公のパーソナルスペースに侵入してくる感じ、嫌いじゃないです。 『冬物語』のレビューでも記載しましたが、ウジウジした主人公(男)を引っ張ってくれたり、無条件に励ましたりしてくれるヒロイン像、昔から好きなんですよね。 いつだって自分の価値観だけで凝り固まった世界を広げてくれるのは、こういうヒロインの力で、こういう人に憧れてしまうんです。 またヒロインはクラスで2番目にかわいいというのも陰キャにはポイント高い。 1番だと恐れ多いから。 たとえ、フィクション、夢想、妄想、幻想でも、学校の1番目のヒロインと良い感じになるのは陰キャにはキツいんすよね。 この点も個人的には良かったポイントです。 今後もヒロインが複数出てきそうで、特にヒロインと親友でもある1番目も主人公のこと気にしだして、2番目との関係がどう展開されるか楽しみです。 クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった尾野凛2わかる
六文銭2023/05/30二人の関係性が最高に心地よいいわゆる陽キャのグループに属するあやが気になっているのは、自分の好みの音楽がかるCDショップのクールな店員さん。 しかもその店員は男だと思ったら実は女性で、クラスでは目立たない、どちらかという陰キャな同級生みつきだったという話。 対照的な2人だが、ニルヴァーナやレディオヘッドなどの洋楽ロックが好きという共通点で少しずつ心を通わせていく流れ。 この関係性、もう最高でした。 百合的な作品で紹介されてて、自分はあまり百合系の作品は好んで読むタイプではなかったのですが、本作は刺さりました。 個人的に百合というか、友情として捉えるほうが正しい気がしますし(最初は男だと思っていたし)、それぞれが大事にしているものがあって、どんなものであっても尊重し合う姿は友情そのものだなと思います。 同じ価値観を強制される同調圧力の激しい学校という場所では、自分の好きを貫くのが難しい。 自分もマイナージャンルが好きだっただけによくわかります。 自分の価値観に従うのって勇気がいりますよね。 批判されると人格否定された気分になるし。 だからこそ、それが少しでもわかってくれる人がいる喜びは何事にも代えがたいですよね。 2人の関係がまさに、この価値観の共有にあって、少しでもこの経験があった人には共感できると思います。 まだ、物語は動きだしたばかりですがハイセンスな絵柄で、テンポよく進む展開はやみつきになりそうな予感です。 気になってる人が男じゃなかった新井すみこ24わかる
六文銭2023/05/30歴史好きには設定が秀逸すぎ期待大📷歴史上の英雄が時代を超えてバトルする漫画はよくありますが、なんと本作は政治をする話。 まずは、何もいわずに添付画像みて欲しいんです。 もうこの時点でワクワクしかなくないですか? よくアンケートで 「歴史上の人物の誰に総理大臣やってほしいですか?」 とかみたことあると思いますが、皆一度は考えると思うんですよね。 それが、大臣全てが歴史上の人物ってもうヤバい。 官房長官 坂本龍馬 財務大臣 豊臣秀吉 経済産業省 織田信長 文部科学大臣 菅原道真 ここらへんは教科書的な知識でもわかるし、 秀吉と信長、逆でもよくない? とか 坂本龍馬って外務大臣のほうがよくない? とか議論したくなるのも楽しい。 (だけど本作の外務大臣に足利義満をもってくるあたりに唸ってしまうのも、また一興なんです。) さらに 総務大臣 北条政子 厚生労働大臣 徳川綱吉 というのも、意外性があって、今後どう動いていくのか予測できるようでできない感じが良い。 この曲者揃いの大臣を束ねるのが家康というのも良い。 まだ序盤なので全部はでてませんが、いずれにせよ未曾有の窮地の日本に、この歴史をつくってきた英雄たちがどう議論し決断し、新たな歴史を刻むのか、今後がますます楽しみな作品です。 もしも徳川家康が総理大臣になったら―絶東のアルゴナウタイ―藤村緋二 眞邊明人2わかる
六文銭2023/05/24登場人物全員が生きている久しぶりに 「人間をきっちり描いてる」 と思えるような作品に出会えました。 タイトルから処女をこじらせた主人公の恋愛話かと思ったのですが、主人公の周囲にいる登場人物までも背景や価値観を丁寧に描き、しかもどこかしら自分と通じる部分もあって、全員に共感しかなかったです。 バリキャリもいれば、家庭に入った人もいたり。 彼氏とうまくいっている人もいれば、うまくいっていない人もいる。 言いたいことガンガン言える人もいれば、言えない人。 ホントに多種多様な、そしてある点において自分によく似た環境や考え方の人もいて、どの登場人物にも感情移入が凄まじしいんです。 漫画のキャラクターなのですが、まるで生きているかのような、読んでいてそんな感覚をおぼえました。 基本的には主人公が、処女で焦り悶々としている様を軸に、他の人物のストーリーも出てきて、この視点変わる展開の仕方も飽きさせずひきこまれます。 結果として、主人公も素敵な彼氏と出会えるのですが、そこに至るまでのもどかしい感じもたまらんのです。 自分もコミュ障で恋愛奥手マンだったから、何するにしても相手がどう思うか考えてしまい、結果、何もできない or すれ違う様が、じれったくて、でも、お前は俺かと共感に首がもげそうになりました。 何にせよタイトルからくるイメージとは良い意味で全然違った、ピュアな恋愛と、多様な人物描写が魅力的な作品でした。 瓜を破る板倉梓12わかる
六文銭2023/05/23最高にかわいい作品表紙みて姉妹か親子の話かと思っていましたが、なんと叔父さんと姪のお話。 表紙の背が高いほうの美人は、なんと男性でした。 その内容も、地味で外見に自信がない姪のメイとイケメンの叔父さんとの生活を描いた、いわゆる大枠では日常系のくくりだと思うのですが・・・これが、もう最っっっっっっ高によかった!!×100 何が良かったのか?と聞かれると、非常に形容しにくいのですが、二人の関係や広がる優しい世界、欲しい言葉をすっぽりはめてくるセンスに、メイのちょっとした気配せから生じる謎の可愛さ! 叔父と住んでいる理由として、メイの母親(叔父の姉)はすでに他界しているという暗い背景もありますが、これもちょっとしたスパイスになっていて、なおのことメイが健気で愛おしく感じます。 2人の世界をずっと眺めていたい・・・。 とにかく読んだものにしかわからない、素晴らしさがあるので、読んでほしいっ・・・!! 個人的に、今年一番かもしれない。 これがハルタというのも納得してしまう。かわいすぎる人よ!綿野マイコ11わかる
六文銭2023/05/22『信長を殺した男』の秀吉版『信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~』が非常に興味深い内容でしたので、本作も手にとってみました。 まだ4巻ですが、これもめちゃくちゃ面白い。 前作の主人公が明智光秀で、黒幕である秀吉との対立構造を中心に描いておりましたが、本作は、本能寺の変以後も含む、より秀吉に物語がフォーカスした内容になっております。 前作同様、引き続き秀吉は悪役のようなテイストになっておりますが、それでも出自のエグさを中心に、秀吉のあらゆる行動の動機や経緯を丁寧に描かれており、どちらかというと秀吉に共感したくなってしまうのが良かったです。 誰の子かもわからない、卑しい身分から立身出世し、いかにして最高権力者まで昇りつめることができたのか。 そのバイタリティの一旦が垣間見えます。 具体的に、なぜ、朝鮮出兵したのか? 諸外国の交流とくに宗教の制限をした理由など、出生時の経験とともに描かれており、また膨大な参考文献の数々で裏打ちされているのも、説得力増してよかったです。 マンガでありながら、秀吉が思い描いた大望について(あくまで諸説あるなかの一説としてですが)知れる重厚な内容です。 デマルカシオンの意味も本作で知りました。 歴史好きにはぜひ読んでいただきたい一冊です。信長を殺した男~日輪のデマルカシオン~藤堂裕 明智憲三郎2わかる
六文銭2023/05/19エグイ世界観に釘付け人間とヒト。 同じ人間でも、人権が剥奪され家畜当然に扱われる「ヒト」の存在が当然の如く存在する世界。 ヒトとなった人間は、人間のペットにされたり、強制労働や薬物実験などに使われる。 そして最終的には、家畜の餌になる。 この胸糞悪くなるエグイ世界観。 1話で、人間とヒトが区分けされる適正結果なるものが主人公のもとにきて、人間ではなくヒトとして判別されてしまう。 そこから、目が離せないほど怒涛の展開。 ヒトとして強制収容された先で、さらに分別がおこなわれ、主人公はコード「G」と判断され、このランクのヒトは人間たちの道楽であるデスマッチのショーに出場させられるという流れ。 ヒトとして、生き残りをかけて戦っていく。 世界観のえぐさもさることながら、息もつかせない設定や衝撃的な展開の数々に釘付けです。 世界観にも謎が多いし、あと人間だったころの友人(主人公に生き残るヒントを与えるなど、この世界の仕組みを知っていそうな存在)も謎があって、今後の展開が楽しみです。 できれば一気読みを推奨します。皆様には人権がございません【合冊版】三石メガネ4わかる
六文銭2023/05/19就活生は読んだほうがいい📷社会人になって読んだけど、もっとはやく読みたかったと言える作品。 『ドラゴン桜』の三田紀房が原作というだけあって、日本社会の構造について核心めいた表現が多々あり、うなります。 (余談ですが、絵もかなり寄せられてるので、初見で違う人が作画なの気づかなかったw) 例えば、添付画像のように、大企業って会社の看板だけで仕事がくるから、基本下請け(子会社とか)に依頼するだけ。 子会社や孫会社が受け取る仕事だとスキルアップも当然限定的で、本質的に価値のある課題解決や、そのPM(プロジェクトマネジメン)には関われれない、とか。 こういうのどこも教えてくれないですからね? 学校はもちろん、社会人ですら言及してくれない。 だから就職する先、会社だけでなく業界も超大事ってこと。 それを非常にわかりやすく教えてくれる漫画・・・というか、ビジネス書っていってもいいくらい。 就活生だけでなく、転職したい人も、まず本作を読むことをおすすめします。 どこ行っても同じだろと、会社名をあいうえお順に受けていたような雑な人間だったので、もっとはやくこの情報知りたかった~銀のアンカー三田紀房 関達也3わかる
六文銭2023/05/181話でモヤスカさせてくれるちょっと前SNSで上がっていて作品として認知はありましたが、改めて読んでみました。 非常識な言動した人に対して、論破というか説教というか、正論ぶちかましてくれて、モヤスカ具合が爽快でした。 なかなか、初対面では言いにくいことをズバッといってくれる勇気に感服します。 また、主人公の名前が「クロエ」というように、日本人じゃないのもポイント。 日本の武士に憧れているフランス人という設定で、我々日本人が失った心を思い出させてくれる感じ。 読んでて襟元正す思い出いっぱいになりました。 基本1話完結なのでサクサク読めるの良い。 時々、うっかりしたり、ぎこちない箸の使い方だったり、可愛い、萌えるクロエもみれます。 クロエを見習って同じように行動をする・・・には勇気がいりますが、他人に説法できなくても、自分は間違ったことはしたくないなと強く思える作品でした。クロエの流儀今井大輔4わかる
六文銭2023/05/18これは良いアンソロジーきれいなお姉さんは好きですか? なんてキャッチコピーありましたが、個人的に 強い女性は好きですか? のほうが、食い気味で反応しそうな私です。 きれいなお姉さんよりも、強い方が好きです。 『無限の住人』の乙橘槇絵しかり、『進撃の巨人』ミカサしかり、強い女性のほうが魅力的なんですよね。(二人共美人だろが!と言われればそうなんですけども!) なので、本作はタイトルからして俺得でした。 軍人、人外、令嬢、色々なバリエーションで肉体的・精神的に強い女性がでてきます。 基本1話完結形式で読みやすく、オチも予想外なものが多くて楽しめました。 そんな中で特に異彩を放ったのは『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチ先生のお話。 これまでの流れが、戦うとか信念のある女性が多く登場していたなかで、この話だけ、彼氏や職場の人間、誰に対しても自分の意見を言えない女性が主人公。一瞬、 これが強い女性なのか? と最初は面食らいましたが、よーく考えると、この我慢ができることも強さであるのかな?と考えてしまいました。 言いたいこと言いたいように言いまくるだけが強さではないんだと、言いたいことをグッとこらえる我慢も強さであるなら、この主人公もまた強い女性なんだと思いなおしました。 真意は不明ですが、自分はそうとらえました。 このような感じで女性の色んな角度の強さを描いた作品で、とても興味深く読めました。 同じテイストで2巻でて欲しい~。強い女アンソロジーマキヒロチ 西島大介 カワハラ恋 ひるのつき子 伊藤イット 藤松盟 atheko3わかる
六文銭2023/05/16魔人が説法していくスタイル#1巻応援いわゆる魔法のランプを手にした主人公が、願いを叶えてくれるランプの魔人を呼び出す。 魔人に「マジカルチ○ポ」(どんな女性も行為に及べば好意をもたれるという、ファンタスティックなもの)が欲しいと願うと、 「自分の魅力を上げるほうが建設的だ」 とアドバイスしてくる魔人。 なにこの、まともな感じ。 欲望に忠実な人間、そしてその欲望で身を滅ぼす様を上から目線で眺めるのが魔人キャラの様式美だと思ったが、卑劣な願いに対して根本的な解決を提示していく、この感じが新しい。 ドラえもんですら、のび太の願いを叶えるというのに。 なんか魔人のほうが逆に優しいんじゃないかとさえ思ってしまう。 全編通して、 主人公が困る →解決するために魔人に願いをする →正論で返される →結局願いはかなわない の展開だが、大学生活で出会ったサークルの先輩や友人など魔人以上にクセの強いキャラも出てきて飽きない。 特に主人公の幼なじみである、つつみさんがツンデレ可愛い。 主人公にちゃんと好意もっているが素直になれず、けれど裏で嫉妬したりする姿が最高です。 魔人がよいアドバイス役になっているのも面白い。 この関係(主人公とつつみさん、あと魔人も)が、ぜひ続いて欲しいと願います。 願いを叶えてくれない魔人ナラボン3わかる
六文銭2023/04/30個人的に今年1番の期待作仙石秀久を主人公にした名作『センゴク』シリーズ。 その著者宮下英樹が描く関ケ原となれば、否が応でも期待せずにはいられない。 また、歴史的にも最も興味のある関ケ原が舞台となれば、より高まるというもの。 まだ1巻だが、もう面白くなりそうな予兆がある。 特に、家康の描き方。 秀吉も死に、かつての戦国大名がことごとく居なくなったこの時代になると、いよいよ次の天下人へと二心ありな老獪として描かれることが多い家康だが、本作はおっちょこちょいで色々ザルな感じが人間味を感じる。 先手先手へとやっていることが、時局からみると尚早だったりして逆に謀反や野心と捉えられて、家康のうろたえる様が、どっしりしている印象だっただけに面白い。 逆に一層、三成の有能さも光る。 まだ随所にしか出てきませんが、関ケ原において三成贔屓な人間としては、この点も魅力的。 また冒頭にある著者のスタンス 『「天下簒奪の陰謀」「豊臣氏への忠孝」当事者にそんな余裕があったとは思えない その舞台裏を描く』 とある点も興味深いです。 歴史全般的に言えることですが、正直、最終的に天下を統べる人間がどこまで結果を予測できたかってわからないですよね。 というか、自分はそんなわけないと思ってまして。 もちろん向かいたい方向性はあったとは思いますが、すべてが計算による政治的駆け引きの結果とは到底思えなくて、その場その場でうまく時流にのせてしのいだというのが正しい気がしております。 もしそんな絵図が描けるのであれば、家康は、もっと早く天下獲って良いはずだし。 だから、本作がそのある種のどうしようもない時代のドタバタした流れが描かれるのか?と思うと期待しかないです。 願わくば、完結までいってほしいので、ゲキ応援します。大乱 関ヶ原宮下英樹7わかる
六文銭2023/04/29嫌いからはじまるグルメ漫画主人公は超がつくほど偏食家のOL・桐切蛍。 パンの耳とブドウ糖とかしか食べない。 偏食を超えてなんかもう色々ヤバイ感じ。 そこに、嫌いな食べ物がない新人の衣袋が現れて、ひょんなことで食べることの楽しさを教えて彼女の偏食を変えていってくれる流れ。 これまでの人生で1度も食べたことがないくら嫌いだったのに、ちょっとしたことで食べてしまう蛍さんのちょろさが一周回って可愛い。 ふだん生真面目なところのギャップも良い。 最初のうちはそう思っていたのですが、嫌いなものはやっぱり嫌いなママだったりするので、そこまでガバガバでもない 食べるも食べないも自分で決める、意志もしっかりもっています。 嫌いだった食べ物が美味しく感じる瞬間の喜び、食べ物を通した人間模様など読み応え十分で、全3巻とすっきり読める作品。 とってつけたような終わり方もしてないのも良かった。 嫌いな食べ物がある人はもちろん、グルメ漫画としても十分も面白いので、おすすめしたい1冊。桐切蛍の嫌いな食べもの木綿八十子3わかる
六文銭2023/04/27この作家のギャグは唯一無二『ヒナまつり』の独特のテンポのギャグが好きだった人は、この作品も当然好きだと思う。 ギャグ漫画家自体、唯一無二の個性があるとは思いますが、この作家さんはその中でも異色だと感じてます。 大爆笑ではないのですが、クスリと笑えるというか、クセになる感じ。 本作も、前回はエスパーだったのが今回は除霊師。 ただし、前回のヒナと違い能力はないので、言ってしまえば詐欺まがいのことをして、なんとか凌ぐ感じ。 この口八丁や雰囲気やノリでなんとかしのいでいく様が笑いを誘います。 随所に回想で出てくる強キャラっぽい父親も、言動がぶっ飛んでて面白い。 『ヒナまつり』ではまり、好きな作家さんだっただけに、待望の新シリーズで今後に期待大です。 ハルタからグランドジャンプってのも、なんか面白い。女子高生除霊師アカネ!大武政夫2わかる
六文銭2023/04/27ネタバレ予備校時代に読みまくった📷87年連載開始で、映画化にもなった本作。 灰色の予備校時代に、帰り道のブッ○オフでずっと立ち読みしていた作品。(その後全巻買ったので、買えよ!というご意見はご容赦頂きたい) なんで、これを読んだかというと 「自分より下の人間をみて安心したかったから」 というクソみたいな動機。 最悪な動機なんですが、今思うと鬱屈した予備校時代に自分の心の支えになっていたのも事実で、その点で思い出深い作品だったりします。 さて、その内容ですが、滑り止めの大学すら落ちた主人公が、予備校で出会った美少女に惹かれ、その美少女が東大を目指すことから、自身も東大を目指すという話。 学力が全く足りないのに、この無謀な挑戦と、この無目的に流されるままの主人公に、当時の自分は勇気づけられてました。 あ、こんなんでいいんだ、と。 ここの登場人物たち予備校といっても、ほとんど勉強していないし、出席もせずスグに茶をしばきにいきます。 色恋沙汰も随所に出てくる。 およそ予備校生とはいえない、この体たらくに自分の張り詰めた気持ちが軽くなったものです。 (もっとも、この主人公のふらふらしている様に読む人によっては苛立つかもしれませんが・・・。) 添付画像のように、すべて他責にしてどうしようもない主人公なのですが、一方で、なぜか女性に好かれる。 母性がくすぐられるからなのかよくわかりませんが、だから一層、この作品の女性陣は魅力的で、こんな主人公でも、応援したり、支えたり、ありのままを受け入れつつ、現状から引っ張り上げてくれる感じが読んでて心地いいんですよね。 いつだって男が変わるのは女性の力なんだと痛感します。 (前時代的な発想なのかもしれませんが) ウジウジしている男に、元気な女性(幼なじみとか)の構図が好きなので個人的にツボです。 最後も、、決してハッピーとはいえないのですが、この主人公らしいラストなのもリアルでいいです。 つらつらと描きましたが、今読んでも古さは感じない・・・とまで言いませんが(時代背景が80~90年代だし、携帯とかないし)、絵柄やテンポの良い展開は今でも遜色なく読めると思います。 冬物語原秀則3わかる
六文銭2023/04/19負けヒロインにスポットを当てた意欲作負けヒロインっていいですよね。 リアルでは、恋愛ごとにおいては負ける(惨敗か不戦敗)が多いので、恋愛漫画で主人公が成就されても共感できず、むしろ当て馬とか報われないキャラに同情してしまうタイプ。 本作もそういう読者を主人公にみたてた感じで、冒頭で幼なじみにフラれた負けヒロインこと八奈見杏菜と交流していく流れ。 幼なじみキャラは、典型的な負けフラグですからね。 想い人である幼なじみが恋人とよろしくやっている様を歯噛みしながら、失恋をひきずっていく様を主人公は客観的にみていく。 そんな話。 さらに話数を重ねていくと、別の負けヒロインたちが出てくる。 脳筋っぽいヒロイン、ちょろいヒロイン、などなど、いかにも最初から負け確してそうなヒロインたちで、読んでいてざわつきます。 負けるとわかっていても、つらいもんです。 フラれたからって想いが断ち切れるわけではないのだから。 そんな不憫なヒロインたちを描いた一風変わったラブコメですが、笑いありっちょっと涙ありの、自分好みな作品でした。負けヒロインが多すぎる!@comicいみぎむる いたち 雨森たきび4わかる