主人公は色々あって、祖父母が経営していた仏具屋を受け継ぎ、代わりに「葬儀屋」を始める展開。

「葬儀屋」というあまり馴染みがない分野の経営方法は興味深く、また葬式を通したヒューマンドラマ的な側面もあるのが自分好みでした。

また、題材としても非常に今っぽいなと思いました。

人生100年時代。
長く生きられて健康なうちに死に方を選べるって人によっては重要だし、今後時代的にも生前葬とかその手の話題がでてきそうな予感なんです。

というのも、自分も年を重ねるごとに身内の死を経験することが多くなってきたのですが、ただ「死ぬ」だけで残された人に、結構、不便というか・迷惑がかかるんですよね。(甚だ不謹慎で恐縮なのですが)
本作にも描かれているように、相続やらお布施の仕方やら、細々ながらも決断をしなければならないことって結構負荷だなと。

死んでしまえば、後は知らん!

的な発想ができる豪快な人ならまだしも、自分みたいな小心者は突然死でもない限り
死んだ後くらい、迷惑はかけたくない
と思ってしまうので、予め色々やっといたほうがいいなと。

自分だけでなく、世代間格差で苦労してきた世代は、今後そういう考えの人が多くなるんじゃないかなぁと考えます。
下の代に迷惑をかけたくない的な。

一方で、そんなネガティブな側面だけでなく、思い出を残すという意味で予め準備しておくというのも重要だと思います。

本作の主人公も葬式を企画するプランナーとして、訪問客に対して色々提案する感じなのですが、その中で家族間のトラブルなども当然出てくるわけで、主人公のちょっとしたおせっかいや思いやりが重要になってきます。
こうやって第3者が介入して長年のわだかまりが好転し、死を間際にして後悔が減っていく感じが読んでいて心地いいです。

人に歴史ありとはよく言ったもので、その最後が少しでもハッピーエンドになるように尽力する主人公は応援したくなります。

心温まるヒューマンドラマな1冊で、今後も続いてほしいと強く願います!

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少年時代、ドラクエ4コマが好きだった私にとって、その作家さんたちがオリジナルを描いていた「ギャグ王」というマンガは宝物みたいな雑誌でした。 (残念ながら雑誌自体、短命に終わったのですが・・) ドラクエ4コマの中でも、牧野博幸という漫画家はグンを抜いて面白かったので、そのオリジナルである本作も大好きでした。 カルト的な人気で絶版されたギャグ王版の単行本が高値取引されており、そこから見事復巻されたと記憶してます。 (なぜか、仙台のブックオフで4巻4000円くらいで全巻買った思い出がある。) ギャグのセンスというか、笑いのツボが同じなのか、とにかく読んでて面白い。 会話の流れや、セリフのチョイスが的確なんだと思う。 ただ、あらためて読み返してみると、長編のストーリー向き(しかも、後半にかけてやたらとシリアスな展開になるので、そのジャンル向き)の漫画家ではないのかなと感じる部分もあります。 子どもの頃は感じなかったのですが、場当たり的な展開や後出しの設定が出てきて「?」ってなる部分が、本作には多い。 ストーリー漫画がうまい人は4コマもうまいと聞いたことがありますが、逆もまた然り、というわけではないのかな? それでも、瞬間最大風速のギャグは顕在なので牧野博幸という漫画家の価値が損なわれることはないし、むしろドラクエ4コマなどで作家のファンになった人にとってのファンアイテムとして一度読んでみてほしいと思います。
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