六文銭2023/11/26別角度の新選組マンガ思想の違いから新選組と袂を分かち、伊東甲子太郎を筆頭に組織された御陵衛士。 結果として、新選組から狙われ「油小路事件」へとつながる。 この一夜の事件をたっぷり3巻使って、新選組VS御陵衛士たちの奮闘を描いた力作。 とにかく、剣戟シーンが圧巻なんです。 日本剣術史上最大の戦いと言及されているように、今まで「戦」といえば、対馬上だったり、対鉄砲だったり、対弓矢だったりして、刀対刀での戦いは意外とマレだったんですね。 ガチの真剣勝負ってのは、戦争がなくなった江戸時代を通して、各流派による剣術指導が盛んになってからというのが面白い。 そんな、剣術を磨き込んだ猛者たちが、信念や仲間を背負い戦う姿は、格好いいの一言。 御陵衛士もそうですが、新選組もかつての仲間と戦わなければならない葛藤も、味わい深いです。 普段、新選組は主役になりがちですが、敵として表現される姿も新鮮で良かったです。 一部の過激な新選組シンパの人以外であれば(実際、御陵衛士の1人によって近藤勇は暗殺未遂、捕縛され、新選組の崩壊へとつながるので)、歴史マンガとして、またバトル・友情マンガとしても、楽しめる内容だと思います。ABURA貘九三口造 NUMBER84わかる
六文銭2023/11/22読めば読むほどクセになるハイテンションギャグゲーム製作部なる部活で巻き起こる、 学園×部活×日常×ギャグ×バトル×ちょいラブみたいなのを、全てにハイテンションさせたような作品。 色々突っ走っている感じが、ハマる人はハマル。 自分はハマった側の人間です。 ゲーム製作部と言いながらも、ゲーム製作はしないでダラダラと遊んでいるだけ。 だから、ガチでゲームつくっている本物のゲーム製作部が出てきて、何やら部員同士にも因縁があるので部の存亡をかけながら、バトったりもする。 けど、基本展開の早いギャグ漫画なので、読んでて楽しい。 とにかく、主人公の風間のツッコミが面白い。 ゲーム製作部(仮)の個性的な面々が放つ、自由な奔放なギャグに逐一応えていくのが面白い。 あと、オノマトペも独特で、つばを飲み込む音を 「ゴクリンコ」 とか言うのが、地味に好き。 本物のゲーム製作部の部長高尾さんと、風間のちょいラブも良い。 あと、どんどん絵がうまくなっているので、1巻で「うっ」ってなっても3巻くらいまでは頑張って読んでほしい。 ディーふらぐ!春野友矢3わかる
六文銭2023/11/19普通のおっさんがかわいいという誰得な作品イケおじとか、ちょい悪オヤジとか、枯れ専とか、おっさんを表現する言葉は数あれど、いずれにせよ前提として顔面偏差値が高いことが挙げられるので、 まぁ、年齢関係なく、顔だろ と思っていた。 本作に度肝抜かれたのは、ホントにただのおっさん。 ポマードよろしくオールバック小太りの中年。 無口だし、おしぼりで顔もふく。 これが可愛いわけ、、、あった。 あったよ。 大方の想像通り甘党だし健康診断ひっかかるし、部下にも気にしいだし、何よりすね毛がないくらい足がキレイ。 なんか色々バグった作品だが、読んでて謎に癒やされる。 書影のおじさんだけでなく、部長のおじさんも出てきて、2人でいちゃこらしているのも、なぜか楽しい。 おじさんからにじみ出る哀愁のような、ちょっとした影も良い。 ふつーのおっさんが可愛くて誰得な話ですが、新感覚なのが良かったです。おじさんがなぜか可愛い。水谷みちる2わかる
六文銭2023/11/19親権のためにあえて離婚しない男エッセイとか離婚切り出す系マンガが、大抵夫の不貞・非協力的な態度による嫁側の視点だったけど、本作は男性側が離婚を切り出し、ちょっとした法律的な話もわかる、目からウロコな作品。 自分も、本作を読むまで「母性優先の原則」という、離婚すると親権は大体、というか9割が母親がもっていることを知りませんでした。 本作の内容は、そんな親権を欲する父親が主人公の話。 嫁は専業主婦だが、家事をしない、それどころか浮気三昧で、また娘を自分のエゴで芸能界にすすませようとする。 主人公は、上記の原則を知りながら、なんとか親権を獲得すべく、仕事よりも家庭を優先し、浮気の証拠を集めるという流れ。 家事など子供のために色々やっていることも親権獲得のために有利に働くから。 内容も結構ドラマチックなのですが、上記の原則だけでなく、父親が親権獲得するためにやるべきことや、社会構造の歪さなど知れる、なかなか社会派な感じ。 共働きも多い現代で、まだ母性優先なのなんでだろ?と純粋に疑問にもってしまった。 離婚後も、女性が子供を育てて、夫は養育費を払う、という、男が外で働き女性が家庭に入るという考えが根付いているからだろうか? 夫目線としては、全般的に嫁側の行動が胸糞な感じなのですが・・・。 親権獲得のために弁護士や探偵を駆使し並々ならぬ努力する主人公の姿に共感&圧巻です。 離婚しない男大竹玲二10わかる
六文銭2023/11/12王道ながら独特な世界観に惹かれる#1巻応援読んでて お、名作の予感 と久しぶりに感じた作品。 王道ファンタジーなんだけど、作品ならではの独自の観点や、キャラも光っていて読んでて世界観への没入感がハンパなく純粋に先が気になりました。 さて、その内容ですが、勇者によって魔族が敗れた世界。 かつて魔族界に君臨した「六将軍」のなかでも、最強と称された獣王ガロン。 彼もまた勇者によって倒されたはずだったが一命をとりとめて、とある目的で医者として活動する。 そんな、ガロンに命を救われた冒険者の少女ティナは、彼に興味を示し一緒に旅をする・・・という流れ。 なんといっても、モンスターやダンジョンの設定が、この作品ならではのもので読んでいて面白いし、ダンジョンにあるという「龍脈」というワードや、まだ出てきていないガロンの「師匠」の存在など細かな伏線がはられて、今後出てくるのかと思うとワクワクしかない。 1話のルビードラゴンを治す話だけでも読んで欲しい。 かつて最強として君臨していた獣王が、人間に負けて、ある種生き恥をさらしながらも、モンスターの治療にかける信念にグッときます。 また個人的に、人外と少女のバディものってツボだったりするので、その点もポイント高いです。 まだ1巻ですが、個人的にはやくも名作の予感で、予感で終わらしたくないので1巻全力応援です! 獣王と薬草艮田竜和 坂野旭4わかる
六文銭2023/11/11クズ同士が別れを受け入れる話タイトルにひかれて読みましたが、総じて読後感もなかなか良かった本作。上下完結なのも、無駄なくダラケることなく読めてよかったです。 さて、その内容ですが、兄の元カノに一目惚れした主人公。 だけど、その元カノは、重たいというかメンヘラ気質な女性で(自分のことを僕というボクっ娘だし。)別れたのに、コソコソと兄に付きまとう。 ストーカーとか、そういった言葉が近い感じ。 それを見兼ねた主人公は、惚れた弱みもあって彼女に協力し、彼女も協力に見合った報酬ー頭をなでさせるとかーを与える、という話。 それを称してゴミと呼んでいる。 最初のうちは、倒錯した愛情をみせられているだけですが、段々と、「別れ」をしっかり自分の中で受け入れるためのプロセスのほうに話がすすみ、それが良かったです。 下巻の2人のエピローグも相まって、最初の頃のドロドロした粘着質さが嘘のようにスッキリして、冒頭に書いたように読後感は良いです。 この手の話って、なかなか後味悪い終わり方をしたりしますが(それはそれで好きですがね)本作は違うので安心してお読みいただければと思います。このゴミをなんとよぶ鉄一6わかる
六文銭2023/11/11燃える女子格闘マンガ『ケンガンアシュラ』の女子格闘版という言葉が一番しっくり本作。 キャラづけも、練られたストーリーも、躍動感あふれるバトルシーンも、本作では顕在です。 さてその内容ですが、さる格闘団体をクビになった希望(のぞみ)は、 幼馴染である、弱小ヤクザの組長はなと、問題おこして干された警官いちかの3人で裏格闘団体「ヴァルキュリア」を立ち上げる。 裏社会に通じてるヤクザの力と、警官のもみ消す力、そしてのぞみの企画力ではじまったものの、格闘大会に必要な大衆を惹きつけるようなスター選手が不在ですぐに行き詰まる。 そこで、とある宗教事件で話題になった女子高生姫奈をスカウトするも、実はこの女子高生がメチャクチャヤバイ子で・・・という展開。 この姫奈がスター選手に抜擢されるほど強く、若干戦闘狂的なサイコパス気味なのもカリスマ性があって個人的に好みです。 純粋にバトルものとしても面白いのですが、上記の宗教事件と絡むストーリーに奥行きがでて、今後の展開が気になる作品です。 『ケンガンアシュラ』の世界線とも同じようなので、その点の接点も気になるところ。一勝千金サンドロビッチ・ヤバ子 MAAM3わかる
六文銭2023/10/31ベランダでつながる関係マンションのベランダでコミュニケーションする関係。 しかも、お互いの顔はみせずに会話だけ。 字面だと、なんともコミュ障にはキツく感じるのだが(自分ならベランダにいて、隣の人間の空気を感じたら、物音たてずに絶対部屋に避難するわ。)フィクションだと楽しめるから不思議。 しかも、隣の美少女は俳優。 それに気づかずに、関係性を深めていくのも面白い仕掛け。 主人公は、ベランダで趣味のカーデニングをしており、その知識もチラホラでてくるので、こういうのに一度でも憧れた人は、それも楽しめる作品です。 ベランダって気づくと物置になっているので、こんな感じで楽しめる余裕が欲しいとつくづく思ってしまう。 ラブコメとライフスタイルマンガ的な感じが、ゆるく楽しめる作品です。今日もベランダで糸川一成2わかる
六文銭2023/10/31結局は、情熱が全てを動かす📷「天才と凡人の比較」 的な題材は、若い頃から結構好きで、とくに圧倒的な才能によって凡人を駆逐していく様は爽快感があり、同時に英雄的な憧れを抱いたもんでした。 自分には、そういう才能がないと気づいたのも大きな理由だと思います。 だけど、年食ってつくづく感じることがある。 月並みですが、天才と呼ばれる人たちはすべからく努力していること。 それこそ、寝食を忘れるほど、その対象に没頭しているんです。 才能にあぐらなんてかいていない。 人並み以上に光る才能がありながら、それを磨く手を一切やめない。 イチローはどんなに体調が悪い日でも素振りをやめなかったようだし、藤井聡太は寝ても冷めても将棋のことばっかり考えているっぽい。 凡人との差は才能ではなく、ひとえにこの狂気ともとれる情熱の差なんだと感じるようになりました。 しかも、空腹、睡眠欲、そして性欲などといった欲に負ける程度のものじゃない。むしろ凌駕していく、これを才能と呼ぶんだと。 本題。 本作の舞台は文芸界。 主人公は、やり手のサラリーマンだったが、ある日を堺に会社にいけなくなってしまう。 そんな時、大学時代の文芸部の後輩で、時の人となった黄泉野季郎と出会い、自分のなかにくすぶっていた文芸への思いを再熱させるという展開。 天才・黄泉野季郎と凡人主人公の対比だが、上述のとおり今では見る目も違う。 天才が凡人を圧倒する様よりも、凡人が障害に屈せずどう乗り越えていくのか、そこに焦点があたる。 何より滾る情熱を、現実とどう折り合いをつけるのか? 一般的な幸福と、自身の中にある情熱に従うべきかとの選択に揺れる表現が(水に潜ったようなシーンとか)、とにかく秀逸で読んでいてひきつけられます。 ただでさえ凋落の厳しい文芸界に、編集者の言葉の切れ味もスゴイ(添付参照) ホントに一握りの才能しか生きられない逆境の世界なんだと痛感させられれます。 だからこそ、主人公は何を武器に、そして全てを投げ売ってまで向き合おうとする世界でどう戦うのか、今後の展開が予想できなくて楽しみです。 そして、読んでいてつくづく、情熱こそが人を動かすんだと改めて感じた作品でした。 あくたの死に際竹屋まり子4わかる
六文銭2023/10/27何マンガというのだろうか?仕事に疲れて退職し、ニートさながらに自堕落な生活をしている独身女性の日常を描いた作品。 タイトルに「ごはん」とあるが、あんまり美味しそうに食べないというか、どちらかというと美味しくなさそうである。 ご飯を食べること自体苦痛みたいな。 『鬱ごはん』をご存知だったら近い雰囲気。 主人公は小さい頃からコツコツと真面目に生きてきた経緯があって、1回崩れると立ち直るのが厳しいんだろうなぁという感じが読んでて伝わってくる。 しかし、この手のマンガってカテゴリ的にはなんなんだろうか?とか考えてしまった。 グルメではないし、ちょっとしたお色気はあるけど、ただひたすら主人公のマイナス思考や鬱っぽい様子をみているのが多くて、自分自身何目的で読んだのかわからなくなる。 そういう意味では新感覚な感じ。 立ち上がりそうにないけど、再生を描くのかな? 最後に妹(モデル?アイドル?)も出てきて、姉である主人公とどうからむのか期待。 限界独身女子(26)ごはん的場りょう3わかる
六文銭2023/10/22家族の絆も診る小児科マンガ小児科を題材としたマンガは数あれど、大抵、障害の有無だったり虐待だったりが多く、読んでいてキツくなるんですが、テーマとしてドラマチックな展開ができるので(その表現が正しいか疑問ではあるが)、マンガとしてそうなる展開も是非に及ばずと思いながら読んでました。 が、本作は、なんの変哲もない家事や育児に追われた人たちが、ブッキーというデスメタルよろしくの文字通り一風変わった容姿の小児科医によって救われていくストーリー。 なんのドラマチックな展開もないのですが、淡々とした日常に潜むちょっとした苦労の数々に、子持ちの人なら共感必至だと思います。 ありていにいうとすごくいいです。 主人公のハネチンこと羽根田は、奥さんを亡くされて、幼い子ども2人の育児をしながら、仕事も人並み以上にこなそうとしてままならず、焦りから子供に当たってしまい、後悔する・・・ 後悔するくらいならやらなければいい なんて言えるのは、その感情に至ったことがない人間のセリフで、100%悪いとわかっていても、止められないことだってある。 特に子育ての場合は、理屈ではどうにも割り切れないことが多々ある。 それを的確に描いているのが、なんとも新鮮でした。 ブッキーの、患者とのつかずはなれずな程よい距離感もいい。 病気だけでなく、その病気に至る経緯から家族の関係性も診る小児科マンガで、今後も期待大な作品です。ハネチンとブッキーのお子さま診療録佐原ミズ6わかる
六文銭2023/10/21愛が重すぎて堕ちていく2人の女子高生クラスの男子・霧尾くんが、好きすぎる三好藍美と染谷波の2人の女子高生が主人公。 基本的に、この2人が霧尾くんに対してどっちが本当に好きか?のマウントをとりながら、愛を語りあう感じ。 これが漫才のようで面白い。 作者の独特のワードセンスが高すぎて、テンポの良い掛け合いと相まって笑いがとまらない。 『女の園の星』の和山やま先生が好きなら、たぶんハマると思う。 3巻の 「霧尾くんのドリンクバーがあったら、汗・涙・よだれ どれ選んで飲む?」 「おめえ なんで おしっこの選択肢ねぇんだよ」 が、マンガのセリフで衝撃うけた、おそらく今年最後のホームランです。 ただでさえ何言っているかわからないのに、それを超える狂気を繰り出す感じがたまらないっす。 だけど、1巻の最後とか、伏線なのか2人の関係に謎の描写があるのが、めっちゃ気になる。 霧尾くんが好きなフリして、2人は百合なのかな? それは、それでワイは好きだ。霧尾ファンクラブ地球のお魚ぽんちゃん4わかる
六文銭2023/10/21カップル×デスゲーム真実の愛をカップルに試す「カップルゲーム」 いわゆるミッション的なものをクリアして、最後に優勝したカップルには1億の賞金がだされるという。 そして、ミッションをクリアできなかったカップルはその場で殺されることも含めて、デスゲーム的なスリリングな展開が面白い。 また、カップルにだされるミッションも、謎かけ的なものや、どう解決するのか?まで先が気になるようにつくっているのが絶妙だったりする。 主人公カップルの彼氏のほうの元彼女(しかも今も愛し合っている)が参戦しているのだが、 「カップルをシャッフルして〇〇する」 ミッションのときに、その2人が一緒になってしまったのは、さすがに続き気になりすぎた。 最新話がまだ、ここまでなのだが、この後、関係がどうなってしまうんだろう。 なんか、ネトフリかなんかで動画がつくられそうな感じがした。 カップルゲーム【合冊版】cheeery3わかる
六文銭2023/10/20容姿に翻弄された女の一生謎の読後感のある作品。 容姿に恵まれず、不遇の高校時代を過ごした主人公。 自分がブスであるから、見向きもしないし誰からも相手にもされないと思い込む。 メイク駆使して改善しても、いわゆるカースト上位の女子たちのダシに使われるだけ。 そんな日々に嫌気がさし、大学入学と同時に整形に手をだす。 ただ、ベースが悪いせいか整形したにも関わらず、望んだ姿にはなれない。 ロクでもない男にしか相手にされない自分にひたすら苦しむ。 そこで、祖母の遺産にまで手を出し、さらなる整形を実施。 やっと自分が「選ぶ側」の人間になったと感じるも、まだ足りない。 可愛いが足りないから結局何もかも上手くいかないと思い込む。 可愛くなれば幸せになれる、そう信じてきた主人公に、高校からの同級生が放つ最後の言葉 あなたの「可愛い」は誰かに依存しているものだ 自分の「可愛い」がないから一生満足できない これが刺さる。 結局、前提が崩れていて、同級生は最初からずっとわかっていたのだ。 わかっていたのに止められなかったことを悔いながら主人公のもとをさる。 しかし、そんな訴えも虚しく、主人公はとまらない。 この呪いとも思える思考に取り憑かれた主人公に、ラストはゾッとした。 人工的に容姿を手に入れても、その考え方を改めない限りブスはブス。 それをさしてブスの一生というタイトルなんだと自分は感じた。 巻末のエピローグは本来あるべきだった想いがつまって、そこがまた物悲しい。 1人の人間が堕ちていくまでを描いた作品で、サクサク読めるわりに、グサグサささりました。 ブスの一生 分冊版鳴宮苑9わかる
六文銭2023/10/16タワマンを通して描く人間模様📷タワマン文学なる、格差社会にルサンチマンこじらせたようなものがSNS界隈で話題になった。 そのコミカライズな本作。 テーマ的にあまり興味がなかったのだが、アプリで読んでいて特に添付画像にある2話目がよくてハマってしまった。 結局自分は、男側がうらぶれて、女性が現実をみて早々に見切りをつけて去っていく展開に弱いのだと思う。 それだけだと、男性がいつまで変わらず思い続ける純情っぽく描かれ、他方、女性が変わってしまい不純というか強かというかの対比になりがちですが、本作がグッときたのは 「自分の幸せを自分で選んだ」 というセリフ。 これがキツイ。 変わってないから純情とかではなく、ただその状態を、ともすれば結果的に不幸になってしまう状態でも、怠惰だとか思想に合わないからやりたくないだとか自己を正当化して選択しているだけに過ぎないことを突きつけられる。 そりゃフラれるし、そんな自分に酔っている感じが痛々しい。 (でも、自分はやっぱりこういう男主人公話が好きだったりします。) こんな感じで、うまくいかない人間関係や、一見順調そうにみえて裏がある人間模様をタワマンという現代の成功の象徴通して描かれる作品です。 題材を今っぽくしてますが、本質的なものはあまりかわらない感じが文学だなと感じました。この部屋から東京タワーは永遠に見えない川野倫 麻布競馬場3わかる
六文銭2023/10/15良い話だけではない、認知症介護のリアルも描く📷自分もおばあちゃん子だっただけにタイトルだけでグッとくるものがあって読んだが、予想の斜めうえをいく展開で逆にそれが良かった。 シンプルに祖母との関係を描いた泣ける話かと思ったが、どっこい認知症になってしまった祖母の介護で精神すりへっていく苦悩も描いた作品でした。 主人公の幼少期の複雑な家庭環境、母親がおらず父親はいつもいないから、祖母に育てられたという状況も相まって、祖母への愛情と、認知症になったことで罵詈雑言を投げかけられ辛さの愛憎渦巻く感じがリアルだなと思った。 添付画像のように、介護に疲れた主人公が泣き言を吐くシーンも多々あり、人によっては嫌悪感を抱くかもしれないが、自分は共感できてしまった。 良いところばかり強調し表現されるよりも、誤魔化しがなくよっぽど良かった。実際は、こういうもんだと身につまされた。 認知症の祖母との生活や、幼少期の不幸話が多いので基本暗い展開が多いが、それでも読後感は不思議と悪くない作品でした。 死んだら思いでしかもっていけないと言われているのに、大事な人も思い出も忘れていく認知症が一番怖い病気だと改めて痛感した。祖母の髪を切った日しかばね先生3わかる
六文銭2023/10/13俺もまだ本気だしてない件この本読むと謎に元気が出る。 中年のおっさんが、急にサラリーマン辞めて一念発起して漫画家になろうとする話。 突拍子もない展開だが、プロの漫画家にすんなりなれるわけもなく、当然父親にブチぎれられたり、世間とか社会の厳しさとか、そういうのが普通にやってくる。 バイトで糊口をしのぐのだけど、バイト先でも年下にからかわれたり(例えば店長と呼ばれる。ポジションではなく年齢的な意味で)、バイト先のメンバーと合コン行っても合コン相手にディスられる。 逆に、娘だったり、友人だったり、元会社の後輩だったり、応援してくれる人もいる。 人間同士のつながりみたいなのが色濃く出て、主人公を小馬鹿にする人と、そうじゃない人の対比が良い。 最初のうちは、何の根拠のない自信をもっている主人公を薄目でみているんだけど、抜けているけど味のある人間味にだんだん応援したくなってくるから不思議。 周囲の人間に恵まれてて、これはこれで楽しそうとか思ってしまう。 ダメでもいいじゃない、人間だもの、みたいなフレーズが浮かぶ。 俺はまだ本気出してない と思いながら、その可能性の中で生きていくのも、ある意味幸せなのかもなぁ。 俺はまだ本気出してないだけ青野春秋4わかる
六文銭2023/09/30ひたすら関係性を愛でる漫画リアリティとかどうでもいいんです。 陰キャオタクな男に美少女が惚れるなんてあるわけないし(その理由も、ちょっとヤンキーから、かばっただけ!)男が恐ろしいほど鈍感なのに、美少女が諦めずにずっーーーーーーとアプローチし続けてくれるとか、絶対ないんですよ。 そんなリアリティなんて、この手のジャンルには野暮ってもんで、厳しい現実から一時でも逃避するために必要な成分みたいなもんなんです。 なので、美少女・後藤さんのグイグイくる精一杯のアプローチと、オタクの前田くんのウジウジした感じ、その2人の関係性を楽しむ感じ。 なんかもう付き合っていいんじゃね?と思うくらい2人の距離感が0距離なのですが、ここもリアリティを求めてはいかんのです。 あと一歩いかない感じも、いとをかしと流すのです。 非現実的でも、ひたすら2人を愛でたくなる不思議な魅力のある作品で、ラブコメらしい定番の流れももりだくさんだし、何より当て馬的なもので関係性をかき乱してくるような輩も、今のところいないので安心して読めます。 ラブコメ好きにはおすすめしたい作品です。後藤さんは振り向かせたい!みきぽん1わかる
六文銭2023/09/30これぞ大人のSF何十年も子供に夢を与え続けている『ドラえもん』。 その著者藤子・F・不二雄は実は短編集のほうが凄いと噂で聞き読んでみたが、本当にそうだった。 あちらが子供のSFであれば、こちらは大人のSF。 価値観や倫理観が現実と異なる設定とか、人間のもつ醜さや残酷さ、社会風刺など表現してて、オチもハッピーエンドなんてほんとない。 どの話も全体的に暗いし、読んでて胸糞悪くなる展開も多い。 それにも関わらずただ1つ言えるのは、どれも無茶苦茶に面白いってこと。 1話完結形式なのに、その1話だけで映画がつくれそうなくらいの内容の濃さと完成度。 著者の漫画家としての非凡さが垣間見え、『ドラえもん』が今日までのヒットに繋がっている理由が、なんとなくわかってしまう。 絵柄の古さはどうしてもあるが、内容が面白いので、ぜひ読んでほしい。 自分は、『ミノタウロスの皿』や『気楽に殺ろうよ』『ノスタル爺』『ころりころげた木の根っこ』『カイケツ小池さん』(著者のマンガによくでるラーメン大好き小池さん?)からの『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』が特に好きでした。 藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>藤子・F・不二雄2わかる
六文銭2023/09/29本当に何でもないリアルがここにタイトルに偽りなしとはこのこと。 サラリーマン生活はもちろんなのですが、日常生活で起きそうなことを描いた作品。 例えば ・隣の上司のキーボード音や貧乏ゆすりがうるさい ・牛丼屋で自分の席だけアクリル板の幅が狭い ・コンビニでスープ春雨買ったのに箸ではなくスプーンだったとき などなど、理不尽だったり不憫だったりすることをおもしろおかしく描いた作品。 1話が短くするする読めてクスリと笑える感じが、スキマ時間に読むのに最高でした。 あと身の回りに起きたちょっとしたイヤなことを面白おかしくマンガにするの、良い再利用方法だなって思いました。 イヤなことはネタにしたほうが、まだ精神衛生上良い気がしました。恐らく誰の人生にも影響を及ぼすことはない僕のサラリーマン生活青木ぼんろ7わかる
六文銭2023/09/29魂に訴えかける食の思い出なんとなく手にとってしまったのだけど、誇張抜きで秒でもってかれた。 特に2巻のお弁当の話で涙腺は崩壊しました。 全話セリフなしのサイレントマンガ。 絵だけでキャラクターの関係や、背景を理解させるのも上手いし、絵柄にクセがあるけどゴハンは本当に美味しそうで、自分の中にもある原体験に訴えかけてくるから凄い。 誰しも食にまつわる思い出って共通しているのかもと思ってしまった。 どんな状況でも、人は腹が減る。 どんなに悲しくてつらくても、食べれば一瞬でも幸せになれて、生きる活力になるんだと改めて感じました。 全4巻一瞬で溶けて、グルメ漫画としてよりも、自分の中にある人生の大事な1ページを思い出させてくれる作品です。しあわせゴハン魚乃目三太7わかる
六文銭2023/09/18ただのエロかと思ったら童貞地味男のゴトウとビッチなギャル・アガワさん。 冒頭からアガワさんのビッチさ全開の姿を見せつけられ、ゴトウくんはカルチャーショックをうける。 と、いうのも普段は委員会が一緒で、ギャル特有のフランクさに童貞のゴトウくんは秒でやられて、アガワさんが気になる存在になっていただけに、生々しいビッチさにショックをうけてしまった、、という流れ。 そこで童貞特有の女性に対する幻想に、第3者的に苦しむだけかと思ったら、そんな葛藤も一瞬で、ゴトウくんもアガワさんとやることをやってしまう。 そこが、ひと味違い個人的に面白いと感じました。 ゴトウくんもアガワさんのセフレの1人に成り下がってしまったことで、どこか自分だけは他の男子と違うとか思っていただけに、その落胆さと、身の程をわきまえ始める感じが、哀愁漂います。 ピュアな気持ちなど、最初からなかったのか?と。 アガワさんも掴みどころなく、ポンポン相手を代えるから、またすごい。 そんな姿にゴトウくんが嫉妬で狂いそうになって、今後どう動くのだろうか。 そして、それにアガワさんはどう反応するのかな? アガワさんがヒキ気味だと現実味があって面白いと思ってます。だれでも抱けるキミが好き武田スーパー5わかる
六文銭2023/09/18これがホントの無敵な人特にマウント合戦や承認欲求などSNS疲れしてそうな現代人に響きそうな題材。 自分はSNSをやらない派なのですが、それでもニュースとかで入ってくるインフルエンサーや一般人の方々が、ちょっとした言動で炎上する様をみると現代社会の息苦しさを感じてはおります。 本作のフジイは、ホントになんの取り柄もない一般人。 夢、野心といったギラギラしたものはないし、40過ぎて正社員でもなく職場の同僚からも小馬鹿にされている。 でも、毎日楽しそうで、休みの日は散歩して目に映るものに、心ひかれるまま過ごす。 友人もいないから、一人で過ごす。 誕生日の日も1人でケーキを食べるような人間だ。 ただ、そこに侘しいとか寂しいとか、そういった気持ちはない。 また、ギターや絵画、陶芸など色々手広くやっているが、どれも決して上手いわけでもない。 ただ、本当に自分が満足するためだけにやっている感じ。 努力した以上結果や成果ばかり求めてしまう自分とはエライ違いだ。 フジイの中で、他人にどうみられるとか、誰かに評価して欲しいとか、そんなものはない。 背伸びもなく、卑屈な考えもない。 あるがままを生きている姿、人間関係や上述のようなSNSに疲れた人に刺さるのではないかなと思いました。 人生楽しむってこういうことだよなー 頑固というか、マイペースで自分の考えがしっかりしているフジイだけに、少しづつ周囲との人間関係で、彼も影響受けていく様はみてみたいなと思う。路傍のフジイ鍋倉夫4わかる
六文銭2023/09/17不器用な二人が尊い工作が得意な太鼓職人(太鼓を打つ方じゃなくて作るほう)の杉崎さんと、絵がうまくて美大を目指す伊吹くん。 お互いにないものに惹かれ合いながらも、二人共、職人気質特有の口下手と不器用さで、簡単には関係性がすすまない。 じれったくもあるけど、これがなによりも尊くて、読んでいて浄化されます。 杉崎さんの太眉で意思が強そうな感じが個人的にグッドで、終始ムスっとしているけど、時より見せる赤面顔と、何より1巻最後の笑顔で全部もってかれました。 二人共、自分にとって大事なものをしっかりもってて、どんなことでも真剣な姿って格好いいですよね。 青春時代は何かとトラブルはつきものですが、ピュアな二人は最後まで応援したいと思いました。半人前の恋人川田大智4わかる