あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
あらゆる物事は始まり、終わってゆく。生まれ、死んでゆく。物語も、恋も、そして命も。 死の波打ち際で生を振り返る時、または仮初の死から生還するとき、生は強く輝く。あるいは現実感がない喪失は、反芻していつまでも心を縛る。喪失が生きることに、輪郭を与える。影が光の世界にディテールを与える。 そんな影と光が描かれるのが、この大人百合短編集だ。強い物語も、ふんわりとした物語も、そこには喪失や影があり、それゆえに登場人物たちは複雑で、切実になってゆく。 どの物語もなかなか真相が明らかにされず、ショッキングな体験をくれる。そしてその核を貫くのはまごうことなき百合だ。昏くても明るくても、その百合は暗闇に差す細い光のように印象的だ。 ●chandelier 恋を失い死を願うレズビアン風俗のキャストは、好きな人との予行練習だと言う客に惹かれる。死の淵で手を取る二人。 ●ふたりの楽園 政略結婚に臨む花嫁と、彼女を束縛する幼馴染。昏い関係の真実に驚く。 ●えりちゃんのハイヒール 二丁目で私にキスをした、ゴツいハイヒールの小さな女性。たまさかの出会いと不在にぼんやりと心を縛られる感じ、なんかわかる。 ●水際 レズビアン風俗の30代のキャストは日本画の大家の女性にモデルとして雇われる。「よぼよぼのババア」に惹かれてゆく恋は強力だった。 ●転石苔むさず バイト先の苦手な先輩を、一晩泊めてやる。一瞬近づき、離れてゆくその距離感をこちらも想像する。 ●ひかり 母を亡くした新興宗教二世は、昔世話してくれた信徒の女性のために「神の子」になる。信頼を巡る物語は複雑に正しさを挫いてゆく。すごいものを見た……。
ななみ
1年以上前
今まで不倫なんてしてない夫なのに、PTAで運送会社の派手めなママ(男を自分の魅力で落とす事を楽しんでいる常習犯)に目を付けられ言い寄られカンタンにおちるのが情けなく腹立たしい。 こういう不倫女もイヤだけど夫がもっとイヤだった。 不倫を始めた途端、妻に冷たくなったくせにバレたとたん土下座し、離婚は絶対イヤだという。 家庭を壊すつもりはなかったのでしょうが、妻と2人で経営している自営業だから妻に去られると非常に困るからというのが大きな理由ではないかと私は思いました。 「浮気ぐらいで離婚なんて」と思っている夫に腹が立つ。 結局、離婚回避できそうな雰囲気になるが妻の心の傷が本人が思っていた以上に深く、病んでしまい夫も離婚を受け入れざるを得ないかたちとなった。 離婚後にたった一人になった1軒家で夫が「結婚生活はすごく幸せだった」「家族がいたからがんばれた」とか言ってたが、この状態になって気づいた様子。 不倫中の花畑脳では気づけないもんね。 夫はイケメン設定のようなのでそのうち再婚するのかも。 ただ、仕事の片腕の妻に去られた自営業はつぶれるかもね。 男って魅力的な女だとカンタンに堕ちてイヤになる。
ゆゆゆ
ゆゆゆ
1年以上前
主人公のプンプンが過去のトラウマと向き合い、歩んでいくというお話です。 と説明すると、この漫画の重要な要素をほとんど削り取ってしまった感じがする。 宗教やら恋愛やら人間関係やら、複雑に絡んでいる上に、登場する他のキャラクターサイドの物語もあり、非常に複雑になっている。 そして第91話で、南条幸の漫画持ち込み時に言われていた内容がまるで、いにお先生作品に対する講評に思えて驚いてしまった。 いわく、 「雰囲気でゴリ押しているだけで、中身は薄っぺら」 「サブカルというかサブカル風味?」。 さらに今後の伏線を張るかのような 「(同級生が自殺していたことを知り)主人公が勝手に自己完結して面白みに欠ける」 というセリフ。 どういうかんじで終わるんだろうと期待値がものすごく上がった。 こんなことをいうからには、死亡エンドはないのか。それとも敢えて死亡エンドなのか。 もしかしたら死ぬのはプンプンだろうか、他の人だろうか。 最終話が迫るに連れて、ドキドキしながら読んでいた。 また、主人公のプンプンは、変わった名前にくわえて、「リサとガスパール」みたいに変わった見た目の主人公一家なんだなと思っていたら、主人公一家の本来の見た目は人間だと判明するうえに、最終話を読むに名前も本当はプンプンではない気がしてきた。 どうして母親性は「プン山」的なものでなく、「小野寺」だったんだろう。 全編を通して「信じる」ということを描いたとあったけど、そもそも我々は架空の主人公の存在を信じることから始めないと、物語が始まらないのかもしれない。 なんてことを思ってしまった。