無敵の未来大作戦

冗談じゃなく本気(マジ)で全人類に読んでほしい! #1巻応援

無敵の未来大作戦 黒崎冬子
nyae
nyae
まず試し読みだけでもしてほしい。それで面白いと思ったら、気づいたら1・2巻ポチッとしているはずです。これは絶対。 これは簡単にいうと少子化対策で打ち出された「聖婚」という制度によって、結婚とは?愛とは?そして、自分の幸せとは?を考え、見つけ出す物語です。表面的にはわちゃわちゃおふざけして小ネタの大渋滞が起こってるから思いっきり笑えて楽しいんですけど、芯の部分では社会問題(少子化、児童の貧困、性差別、ルッキズム思想などなど)に真摯に向き合っていて、信念を持って描いているというのが伝わる本当に素晴らしい漫画です。フキダシ外の手書き文字すらも一文字も見逃せない。作者の愛に溢れた作品。 わたしはコミックビームの連載が始まったときからずっと、たくさんの人に読んでほしいと思って単行本を待ち望んでいましたが、結構な焦らしを経ていま、満を持して1・2巻同時発売したこと、通して読んで理由がわかった気がします。 もちろん試しに1巻だけ…というのもアリですが、1巻を読んだが最後、2巻を読まないという選択肢は無いでしょう。これも絶対。 このマンガがすごい!をはじめとした漫画賞でこの表紙を見る日は遠くないと確信しています。大好きです。 連載では毎号しつこいくらいにファンレターを募集してるところもほんと好き。
売野機子短篇劇場

売野機子のエッセンスが凝縮された短篇集

売野機子短篇劇場 売野機子
兎来栄寿
兎来栄寿
売野機子さんは長編ももちろん面白いのですが、改めてこの短篇集に収録されたエッジの利いた短篇たちを読んで、やはり格別だなぁとしみじみ思いました。 最初と最後こそ、連載したかったものの企画をどこにも受け入れられなかったことでコミティアで本にすることとなったという外連味溢れるSF「ロボットシティ・オーフェンズ」でスカッと楽しいです。しかし、その間に挟まれた作品、とりわけ「痴者の街で」や「成人式」などはビターな味わいで、順風満帆でない環境で躓いてしまった人にこそ刺さるであろう作品です。 物語を楽しむ必要がないほど現実が充実している人は幸せです。そのまま、世界に笑顔を増やしていって欲しいと思います。しかし、そうでない、笑えなくなってしまった人。そういう人に寄り添うのがこうした作品であり、その意義だと感じます。 売野さんには、人生や社会の理不尽に翻弄されて傷を抱えた少女を、その少女が傷を歯を食いしばって堪えたり痛みに喘いだり、克服したり圧倒されたりしながら生きていく時の生々しい息衝きをこれからも作品に宿して欲しいです。 なお、後書きで「〜しか勝たん」という表現を売野さんが使うようになっていたところもまたエモさを感じたところです。
カラオケ行こ!

紅だァァァァーーーーーーーッ!!!!

カラオケ行こ! 和山やま
兎来栄寿
兎来栄寿
私は最も好きなアーティストがX JAPANなので、「紅」が物語上でとても大きな役割をもたらすこの物語には一際愛着が湧きました。「紅」は前奏が長いし何ならギターソロも非常に長いんですけど、それも含めて最高なんですよね。 昨年、颯爽と発売されたデビュー単行本『夢中さ、きみに。』でマンガ好きに旋風を巻き起こした和山やまさん。今年も『女の園の星』に加えて、この『カラオケ行こ!』で見事にマンガ読みを熱狂の渦に巻き込み、その勢いは早くも一般層にまで波及しようとしています。 本作は絶対音感を持った組長が開催する恐怖の罰ゲーム付きカラオケ大会でビリにならないために、39歳のヤクザが歌の上手い中学生に教えを請うという設定でまず1オモシロ。 次々と展開されるヤクザエピソードが笑えて2オモシロ。 そこに、コメディだけでなく合唱部部長でコンクールを目前に控えながらも声変わりという難題に直面する聡実のシリアスな葛藤が加わり物語の厚みが増して3オモシロ。 聡実の家族の出番はほんの僅かですが、その少しの時間で見せる人間臭い魅力、4オモシロ。 そして全体を通したストーリーの素晴らしさ、計100オモシロ。本作も最高でした。 「紅」では 「紅に染まったこの俺を慰める奴はもういない」 と歌われますが、狂児には聡実という言葉では表せない関係性を持った人間ができた、紅に染まっても慰めてくれる奴がいる、その尊さ。 単行本ならではの描き下ろしも非常に嬉しいおまけでした。 巻末の狂児のプロフィールにおけるカラオケベスト3で、1位が紅なのはもちろんですが、2位と3位があの曲になったのはとてもエモいですね。狂児が歌う2位の歌も聴いてみたいです。夢花火。
伽と遊撃

理解が困難すぎて、面白い #1巻応援

伽と遊撃 有間しのぶ
nyae
nyae
コミックビーム購読してるんですが、これは単行本でまとめて読まないとダメなやつだと判断し連載は追ってませんでした。そして1巻が出たので待ってましたとばかりに読みました。しかし…一度通して読んだだけではこの物語の全体が全く見えてこない。というより、何もわからない。けど、読み返したり、重要だと思われるページに戻ったりを繰り返すと、やっと何か少しずつ掴めてきます。むしろそれほどに読者に親切じゃないところが逆に魅力的です。読み解きたい欲が湧いてくる。 とはいえ、感想らしい感想はまだ言えない。けどもしかしたらイムリのような壮大な物語になる可能性を秘めていると感じたので、#1巻応援クチコミを書こうと思いました。とりあえず早くタイトル「伽と遊撃」の意味が知りたい! 物語のキーワードは、幻想や妄想などフィクションの粛清、獣人的なAIロボット、チップで管理される記憶、時間軸のコントロール…?今後は過去や未来を行ったり来たりするような展開が待ってるような気がする。 あとは、非常に個性的なキャラクターが多い。記憶チップを開発したリヒト、彼には生きていてほしい。また100年ほど昔、時間の研究をしていた学者が遺し、リヒトがある意味蘇らせた野分兄弟。彼らががこれからどんな活躍をするのかが一番楽しみです。