泥臭い絵だから伝わる絶望と希望とリアリティ
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名無し
5ヶ月前
吉本浩二先生の描く漫画は私にとって 気にはなるけれど好みではない作風だった。 なんだか絵が泥臭い感じがして。 その印象はヒット作の「ブラック・ジャック創作秘話」を 読んでもあまり変わらなかった。 確かに面白いのだが、絵の泥臭さというか、 熱くるしさというか、 とても細かく書き込んでいらっしゃるのだが、 それが必ずしもプラスになっている漫画と思えなかった。 だが「さんてつ」を読んで、読みながら泣いてしまった。 なんら過激な演出などしていない。 ひたすら泥臭い絵をひたすら描きこんでいる。 その絵から、文字通りに被災地の泥の底に 色々なものが埋もれている感じが圧倒的に伝わってきた。 写真で見ることで伝わる被災者や被災地の惨状は 間違いなくリアルであり事実なんだろうけれど、 吉本先生の絵からはなにかそれ以上に伝わるものを感じた。
吉本浩二先生の...
愛おしい宮沢賢治像
野愛
野愛
12ヶ月前
宮沢賢治という人は『雨ニモマケズ』からも窺えるように、勤勉で生真面目でストイックである。 なんて印象を抱いている人にぜひ読んでほしい作品。 ハヤシライスや食パンやサイダーなどのハイカラな食べ物を無邪気に頬張る姿 農業実習の一環として、生徒たちと一緒にスイカ泥棒をする姿 小学校教師のヤスと秘められた恋愛をする姿 宮沢賢治は真面目一辺倒なお堅い人間ではなく、明るくて優しくて無邪気な太陽のような人間だったことが窺えます。 感受性が豊かで楽しむことに長けていたからこそ、数多くのすばらしい物語を生み出したんだなあと納得させられました。 宮沢賢治の作品の中で『土神と狐』『シグナルとシグナレス』の2つが最高傑作だと個人的に思っているのですが、賢治の切ない恋愛を知るとより胸に迫るものがあります。宮沢賢治の恋愛作品、悲しくて美しくて大好きなんです。 そして、これほどまでに宮沢賢治の存在を身近に感じられるのは魚乃目三太先生の力によるところが大きいです。 見たことのない景色やしたことのない経験を懐かしく親しみ深く描ける魚乃目三太先生だからこそ、可愛らしく愛おしい宮沢賢治を生み出せたのだと思います。 2人の天才がいたからこそ生まれた作品、ぜひ読んでみてほしいです。あと土神と狐も読んでほしい。
宮沢賢治の食卓
撮る/撮られる三角関係
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
10ヶ月前
舞台は岩手県盛岡市。高三のあかりは写真を撮る同級生・ユキと出会い、新しい世界を教わり、恋をする。 写真家を目指すユキと、彼女を追うあかりの撮る/撮られるが入れ替わる関係性。写真から互いの心を知る繊細さ。傷つく顔を撮らずにはいられないエモーション。「写真」を介して伝えられる感情は、多彩だ。 あかりの恋を軸に物語は進むが、あかりに恋する野球部の凛太郎、幼馴染の凛太郎を見つめるユキという三角関係が生まれ、切なさを加速させる。 それぞれが互いの弱さにつけ込み、都合良く築く関係性は、一時の安心の後、容易に崩壊する。その度に突きつけられる本心に、耐え切れず剥き出しになる感情は息苦しい。 一見「百合に挟まる」凛太郎だが、彼の恋心と真心が次第に見えると、彼のままならさが可哀想になってくる。彼も含めた三人それぞれに「受け入れられなかった」という瞬間が描かれ、崩れ落ちる苦しみの物語には〈三人の〉曲げられない恋心があり、それを突き詰めた先にある終局に感極まる。 三人のその後の、平和を祈りたくなる物語だ。
彼女とカメラと彼女の季節
動物の痛みを自分の体でも感じてしまう獣医
nyae
nyae
1年以上前
この漫画では、動物園獣医の知られざる仕事ぶりや、動物の痛みを自分も体で感じてしまうという主人公星野と、人に対して冷たすぎるけど腕は良い獣医・津川との交流?を描いてます。 獣医に限らず、働いてるスタッフも日々の仕事で辛いこともあるでしょうに、わざわざ休みの日に全国の動物園巡りをするなんていうエピソードも描かれていて(これはあるあるなのか?)、少し狂気のようなものも感じつつ、逆にそのくらいじゃないと務まらないのかなと感心しました。 津川がどんな人間なのかこれからどんどん明かされてって、もうすこし周りに心を開いてほしいという期待があります。キレると青森弁が出るとか面白すぎる。本当になに言ってるかわからない。笑 「めごこ」って言った時の津川はどんな顔してたんだろうな。 2巻も楽しみ!
イーハトーヴのふたりの先生