シャングリラ・フロンティア

パンイチ、青い鳥

シャングリラ・フロンティア 不二涼介 硬梨菜
ゆゆゆ
ゆゆゆ

最近よく見かける青い鳥の漫画は、フルダイブ型ゲームを舞台にした話だった。 レベル1からのし上がるような、王道系ストーリー。 出てくる人たちはバーチャルな見た目なので、鳥だけでなく、美人や可愛い子やイケメンや鎧や、いろいろ出てくる。 閉じ込められたわけでないので、現実世界へちゃんと戻れる。 日常の話もありつつ、神ゲー「シャングリラ・フロンティア」以外のゲームの話も出てきつつ。 原作者さんはゲームが好きなんだなあと伝わってくる。 ちなみに、その他のゲーム(クソゲー)の設定がおもしろく、そのゲームだけで別のストーリーが作れるんじゃないかと思った。 そして、主人公の青い鳥の人が、ものすごくバトルが上手で、弱々レベルでもそこそこにビシバシ動けていてかっこいい。 青い鳥の人と書いたけども、鳥の人は初期装備を売り払って、素顔を隠しつつ欲しい性能を持つ「青い鳥の頭」を購入。それを被っただけ。 種族は鳥でなく人間。 さらに短パンと思っていたものは実はパンツ。 いわゆるパンイチ状態。あと裸足。 昔ながらのゲームであるある紙装甲な装備かもしれないけど…。 他の人に見られるのにパンイチかぁ。すごいメンタルだ。 コミカライズもとてもきれいな絵柄で、読みやすい漫画にされているので、さくさくと読めてしまう。 アニメ化、さもありなん。という気持ちになる。

旅に出るのは僕じゃない

妙にリアルな近未来ウィズコロナ #1巻応援

旅に出るのは僕じゃない いけだたかし
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

まさかの「204X年まで続くコロナ禍」という世界観は、枠組みから細部に至るまで徹底していて驚く。 技術が進んでいたり、変わらない伝統があったりという世界各国の楽しさを、明るい絵柄でたくさん描きつつシリアスな内容も多い。 例えば「日本人を嫌うベトナム人」という描写がある。技能実習生の問題を知っていれば「こういうことはありえる」と想像できるはずだが、何故か誰もそれを口にしない。他にもこういった「つい目を背けてしまいがちな可能性」を描き、考えさせられながら世界観に引き摺り込まれる。 奇妙にリアルで楽しいけれどシリアスな近未来を、主人公と共に旅行する。そこには創作物にしかできない、心を動かす実感がある。 VR旅行のための「体験」データを集めてまわる主人公の青年。彼の旅に強い印象と深みを与えるのは、各地で出会う女性たち。その出会いは彼にとっても女性たちにとっても、忘れたくない重要さを持つはずなのだが……。 旅の記憶を保持できない主人公の特性が、これらの出会いをより強く、切なく印象付ける。これらの旅は一つひとつバラバラに見えるが、今後もそうなのだろうか、それともこの先……?

旅に出るのは僕じゃない

近未来の世界旅行 #1巻応援

旅に出るのは僕じゃない いけだたかし
兎来栄寿
兎来栄寿

昔、PS1の『MYST』、『RIVEN』や『ワールドツアーコンダクター』といったゲームをプレイしながら「世界中をリアルな3D映像で自由に巡れるゲームがあったら良いな」と思いました。何なら、他にやらない人がいれば将来自分で作ってみたいと思ったほどです。 しかし、2006年にはGoogle earth日本語版が出現、その後street viewも登場し革命が起きました。今では当たり前のことで普通に使われていますが、最初に触ったときの感動の大きさは今でも覚えています。そして、近年でもたまにエズの街を散策したり、マチュピチュを遊歩したりします。果たして、私は満足してその道に進むことはなくなりました。 本作は、コロナウイルスが変異して世界中でまだ蔓延している2040年前後の近未来が舞台。VR技術が発達して、リアルな質感や匂い、温度などを感じる旅行を自宅で楽しめるようになった時代の物語です。 人々に仮想空間での旅行体験を提供するため、その元データとなる「旅の体験」を収集する新しい仕事が「無名旅行人」。その新時代の職務を背負う青年が、1話ごとにいろいろな国を巡る様子が描かれていきます。 ソーラーパネルが敷き詰められたパルテノン神殿前であったり、そこかしこにドローンが飛び交うセントラルパークであったり、その他の近未来ガジェット(翻訳機の設定なども凝っていて楽しい)が溢れている、世界各国の名所を眺めているだけで楽しいです。表紙も一生に一回は行きたいと思っていたギリシャのサントリーニ島っぽい景色で、思わず惹かれてしまいました。 時代が経っても変わらない名所や各国のグルメもいいのですが、旅の最大の魅力は「人との出逢い」だなあと感じます。私自身の海外旅行を思い返してみても、その土地その土地で出逢った優しい人達(あるいは犬や猫たち)との思い出が強く残っているのを思い起こされました。その部分がしっかりと描かれているのが好きです。 近未来の海外旅行を楽しんでみたい方にお薦めです。

ルサンチマン

月子ちゃんはかわいい

ルサンチマン 花沢健吾
ゆゆゆ
ゆゆゆ

おもしろいから読んでみなよと言われたのが、2016年くらい。借りて読んだら、たしかにおもしろかった。設定に目新しさはないけれど。 そう、VRとかMRとか、身近にたくさん出始めた2016年頃だと、設定に目新しさはなかった。 しかし、他の方も書いているように、「ルサンチマン」は2004年にコミックス化した漫画。 2000年代半ばはまだ、VRゴーグルやヘッドギアなんて、普通に生活していたら出会わない。 発行年を知ったあと、「目新しさはない」だなんて大きな勘違いだったと知った。 それこそ映画「バーバレラ」をありきたりの設定詰め合わせのB級映画と思ってしまうくらい、わかっていなかった。 2004年当時に読んだ人たちは、もっと強い衝撃を受けたと思う。 いったいどうして、ヘッドギアをつけて部屋の中を動き回って遊べて、さらに専用グローブで仮想空間の女の子に触れるギャルゲーだなんて、あの頃描けたんだろう。 そして主人公は、団塊ジュニア世代の悲哀を感じるおじさん(でもまだ30歳になっていない)。 なんだか清潔感を感じない見た目。 人を馬鹿にしていても自分も同類。 生活が生活故に、漏れ出てしまう感情。 誰とでもないけど、既視感を覚えてしまうおじさん。 でも、このおじさん(今考えるとまだ若手)がかっこよく見えるときがあるのだから、花沢健吾先生の漫画は不思議だ。 「おもしろいよ」と勧めてもらったとおり、おもしろくて楽しめる漫画。 もし読まれる際は、これが2004年当時の漫画だと念頭に入れて読んでいただけたら、いろいろなシーンで、よりくすっとできると思う。

ルサンチマン

花沢健吾作品の中で一番好き

ルサンチマン 花沢健吾
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

『アイアムアヒーロー』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』が有名な花沢健吾だが、個人的には『ルサンチマン』が一番読むべき名作だと思っている。 2015年、町の印刷工場で働く主人公・拓郎、30歳が目前に迫りくるブサイクで、デブで、ハゲで、金もなく、童貞で・・と挙げればキリが無い情けないダメ男。誕生日についに現実の女を捨てVRギャルゲーに走るが、偶然にも手に取ったソフトは存在することすら怪しかった知る人ぞ知る都市伝説級のものだった・・。 実際に第一巻の発売が2004年で、約10年後の未来の姿として2015年を描いている今作。 現実の僕たちからしたら三年も前だがこれがなかなかにちょうどいい近未来感でたまらない。 過去に描かれた未来像って大好きなんですよね。 映画だと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「her 世界でひとつの彼女」だったり漫画だと「ドラえもん」や「ぼくらのよあけ」だったり身近な部分を描く近未来SFものはだいたい好き。 あの未来に追いついた、追いつきたい、みたいな。 2004年当時はVRなんて想像だにしていなかったものが描かれているし、ゲームに合わせて全身で体感せきるようなボディスーツや、それに連動した電動のTENGAのようなものも出てきてワクワクするガジェット感! 今読めば普通にあるよねって感じだけどそれでもそこを描いた漫画はまだあまりないはず。 打ち切りだったこともあるだろうけど、壮大な内容ながら全4巻にぎゅっと詰まってるし、現実と仮想現実の対比、ゲームの中に引きこもる社会問題、恋愛模様などなどいろんな側面を描いている。 最終話も読者が好きなところをくすぐってくるけど、何もない、というのが最高。 現実、何かありそうで無いのがたまらなく現実でいいのだ。

シャングリラ・フロンティア

クソゲーマスターの鳥仮面が神ゲーを本気でやってみた

シャングリラ・フロンティア 不二涼介 硬梨菜
さいろく
さいろく

クソゲーをマスターした俺なら良ゲーなんか簡単だぜ!みたいな時代ではなく、現代のVRどころじゃなく没入感MAXなバーチャル・リアリティゲームが台頭している羨ましい世界。 クソゲーですらVRでオープンワールドでとんでもない自由度を誇っている(ように見える)が、そんな世界で神ゲーと言われている「シャングリラ・フロンティア」に挑むことになったクソゲーマスター"サンラク"が主人公。 まだ2巻しか出ていないけど、展開はベタベタかと思いきやなんか自分はこの鳥の仮面のおかげで非常に読みやすく感じました! この手のジャンルは主人公含めみんなイケメンばっかりだぜーみたいな無個性な作画と感じてしまうような作品が多い気がするんだ…でもこれは違う(見た目だけではないですが) 物語は割とどういう展開になっていくかが読めないけど、彼が強くなっていく工程もライバル(?)たちも世界の設定や他ゲームとの兼ね合い(リアル世界の方も)割としっかり描かれていて読んでいて飽きない。 メインヒロインそれかよって感じでまたそこも良い。 なさそうだけどオフ会で会うシーンも見てみたいなぁ