青年マンガの感想・レビュー15378件<<9394959697>>26歳と66歳のクロスロードブルース #1巻応援ブルーブルーそしてブルース 榎屋克優兎来栄寿『日々ロック』の榎屋克優さんが、ブルースを描く。それだけで事件ですし、熱いものがこみ上げてきます。 忌野清志郎と甲本ヒロトを愛していて「ブルースはどちらかというと古臭い」「ビートルズやストーンズの方がかっこいい」と思っていたという榎屋さん。ですが、この作品を描くにあたってブルースを聴いてみたらどハマりしてしまったそう。 そもそも、作中でも語られる通りロックのルーツもブルースですからね。必然的な帰着なのかもしれません。私自身も元々はロックが大好きでしたが、ジャズやブルースをこよなく愛する親族の影響で有名どころは聴いてきています。ブルースにはブルースの、また違った良さがありますよね。 本作では第1話「Change My Way」からサブタイトルがブルースの有名楽曲名となっています。ブルースに馴染みのない方も、まずはこのサブタイトルになっている曲辺りから聴いてみると良いのではないでしょうか(第2話の「Everything's Gonna Be Alright」は検索するとSweetboxの方が先に出ると思いますが、Muddy Watersの方でしょう)。 本題の作品内容は、26歳の健康食品会社の営業である田中が十字路で悪魔に40年の寿命と引き換えに「ブルースマンになりたい」という願いを叶えてもらう契約することで、憧れの66歳のブルース奏者である仲村弦と入れ替わってしまうというものです。27歳で逝去した伝説のブルース歌手ロバート・ジョンソンのクロスロード伝説に擬えているのは言うまでもないですね。 ただ、ロバート・ジョンソンは恐るべきギターの腕前を手に入れましたが、田中はさしてギターも上手くないまま弦と入れ替わってしまったことで、むしろ苦労します。 通常、転生モノや入れ替わりモノだと、元の体での経験や知識を活かして無双したり、あるいは替わった先の体の超絶技能を駆使する展開だったりが多いですが、田中はその逆を行っているのが面白いところです。もし自分が推しに転生したらと想像すると、恐れ多すぎて慄きまともに動けないことでしょう。田中の苦労は察するに余りあります。 一方、元の田中の体には弦が入り、ミュージシャンとして自由を謳歌してきた人生から一転して毎日満員電車に乗って出勤するサラリーマンとしての生活をスタートします。弦が未経験ながら持ち前のコミュニケーション能力で見事に営業の仕事を行うシーンでは、アンドリュー・カーネギーを思い出しました。このふたりの入れ替わり生活の対照的な様、それでも根底にある音楽の楽しさや素晴らしさが読んでいて心に響きます。 3月に発売した『メゾン・ド・レインボー』などでも顕著でしたが、榎屋さんの描くキャラクターたちの何とも言えない人間臭さや温かみが心地良く、随所で利いています。人生のどこかで交差したことがあるようにも感じられるサブキャラクターたちもとても魅力的で、ふたりと彼らの関係性も見どころのひとつとなっています。会社のメンバーとのカラオケのシーンや、ボトルネック奏法のシーン、京都の一幕など好きな良いシーンがたくさんあります。音楽が絡むシーンの熱量は流石です。 物語の行く末は開幕1ページ目で暗示されており、まさに憂歌の様相を感じさせていますが、40年の寿命を捧げた田中と40歳差の弦は果たしてこれからどうなっていくのか。 ウイスキーと音楽と一緒に嗜めば、良い夜になること請け合いの作品です。最近読んだ中でもダントツ好きな読切 #読切応援日向の手のひら 西原梨花starstarstarstarstarnyaeまだ年端もいかない孤独な少女がコミュニケーションの手段を奪われてひとの顔色を伺いながら日陰で生きている。これはしんどいやつかな…と思いながら読み進めましたが、あつお青年をはじめ、文を1人の人間として、そして新しい家族として当たり前のように受け入れてくれる人々の温かさに読者としてもグッとくるものがあります。 文ちゃんはそう遠くない未来に普段から堂々と手話を使って人と会話ができるようになるんじゃないかなと、明るい未来を想像できるラストで良かったです。ただの異世界転生物とは違うデッドマウント・デスプレイ 藤本新太 成田良悟starstarstarstarstar_border宮っしぃまずデュラララの原作者が入ってるので、物語の質がかなり高い 異世界で魔王的な扱いをされていたが、最後に転生をし現代の新宿へ そこから日本を舞台にした異世界・魔法・異能などなどが入り乱れたバトルや物語が始まり、ただの異世界転生物としては全く違う楽しみがある 特に元々新宿にいる異能力者的なキャラや殺し屋たちがかなりキャラ立ちしてて、どのキャラも味がある 物語自体がしっかり作り込まれてて設定とかも濃厚な雰囲気漂うなどなど、総じてクオリティが高い良作だったまっすぐ自分の通学路は曲げねぇ… #読切応援ギャル道 下元朗starstarstarstarstar天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。 勉強になるラブイズボーン 黒岩花奈子名無し人間の体を解体して骨だけにする方法。なるほどそうやるのか…と勉強になった。調べてないので事実かどうかわわかりませんが。オチも好きでした。なんて複雑で歪んだ愛なんだ #読切応援おちてきて やうやうとstarstarstarstarstar_bordernyae吾妻さんの雷への偏愛もだけど、異常なまでに雷を恐れて、雷を愛する吾妻さんのことも怖いのに、最終的にパートナーになってしまう桑原くんもよっぽどだなと思う。にしても絵が魅力的だな。短編集でないかなー。中世の戦争乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ 大西巷一starstarstarstarstar_borderゆゆゆかわいい女の子たちによる聖歌隊。 対して、戦争だからそういうものだとはいえ、残虐なシーンがごろごろ。 彼らの論理や倫理としては間違っていないとはいえ、今とは異なるため読み続けていると、ズーンと沈んできます。 シャールカが落ち込むのを見て、そうなるよねと同調したり。。 歴史ものでしばしば先が気になってやってしまうネタバレとして、フス戦争を調べました。 勝ったのか、負けたのか、なんだこれは。 いや勝ち負けでなく、歴史は変わったのかが重要か。 盛大なネタバレ覚悟でフス戦争について読んだのに、『乙女戦争』という漫画としては無傷でした。 ちなみに先に、チェコの伝説『乙女戦争』を読んでいたら人名に馴染みがあるものの内容が違って混乱するところでした。 この作品は、フス戦争とチェコの伝説をかけ合わせた物語だったんですね。 なお、冒頭で残虐なシーンと書きましたが、時代を考えると日本は応仁の乱前後。 日本も日本で、彼らなりのルールがあるものの、ヒャッハーな世界です。 世界的にそういうものだったのかもしれません。 現在、Kindle Unlimitedで全巻無料で読めるみたいです。 タイトルだけ知ってたなと言う方には良い機会だと思います。 考えさせられた半端なエリートの外山と申します。 太田ぐいや 吉尾きくよし名無し※ネタバレを含むクチコミです。たのし〜たのしいまちがいさがし ショルダー肩美名無しこんなまちがい探し、初めて!あのオチ、どういうこと!?しーウィーク~彼女とボクの1週間~ ショルダー肩美名無し最後のページの1ページ前までは予想できたけど、最後のあれはどう捉えればいいんだ…? なんか好きだったともだち 福岡ゆい名無し実際に言葉が通じないわけじゃなくても、つなぎの役割を担っていた友達がいなくなったときの残された二人の絶妙な気まずさと、でもこれで関係が終わるのも変だし…という関係性。この漫画のシチュエーションは突飛だけどそういった日常のあるあるを想起させる話でした。なんか好きです。「猫」を殴るために生まれた猫殴り 浄土るる名無し※ネタバレを含むクチコミです。恋した相手はAIだった?愛とずぶぬれ 古田青葉名無しなんとなくありえなくはない話かなと思ってしまう話。結局AIではなかったというオチだったけど、いやでもも本当の本当は…?と疑念は晴れませんでした。 龍虎と〇ョ〇〇〇の稀代のマリアージュ!!虎は龍をまだ喰べない。 一七八ハチ天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。キレイ好きな魔獣とずぼらなエルフの凸凹夫婦生活ミミさんと死なずに暮らしたい はりかも名無しなんてかわいい話なんだ!!!尊いってこういうマンが読んだときに使う言葉だよな…!!!夫婦生活におけるルールや価値観のずれは、片方が我慢するのではなくどっちも尊重できるのが一番いい。心がほっこりしました。彼女が水着を着たい理由水着の女です。 にことがめ名無し最後、そういうことか…!という驚きと気づきがありとても良かった。 でも例えば水着を着て海に行きたいとかではなく、誰かを癒やしたいという思考はどういうことだろう?と少々疑問は残った。 最愛の兄はなぜ自殺したのか?兄の死因 芳野嗣名無し※ネタバレを含むクチコミです。予言を忘れたくだんちゃん!くだんのくく 夜風さらら名無しかわいい。くだんってこんなに可愛い生き物として描かれることあるんだ。無気力で早く使命を全うして死にたいくだんちゃん。でも予言が思い出せない。いつか生きる喜びを知ってもらえたら嬉しいね。主人とメイドの中世医学サスペンス! #1巻応援塔の医学録 ~悪魔に仕えたメイドの記~ 尺鳥いんこ 澁澤まことstarstarstarstarstarたか※ネタバレを含むクチコミです。 くさっても猫なのでの感想 #推しを3行で推すくさっても猫なので 関口かんこstarstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ ヤングマガジンでの連載中にずっと楽しみに読んでいたが途中からWebになって読んでいなかったが今回まとめて読んだが最高だった。陸郎のツッコミとずれもどんどん面白くなるしどんな最終回になるかと思ったら予想以上の展開だった。ヤングマガジンで連載中に読んでいた人にぜひ読んでほしい ・特に好きなところは? 詐欺などをしようとするコンビの回だな。改めて読んでみると数回出ていた。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! ここ最近で読んで面白かった良いギャグマンガを教えてと言われてたら「くさっても猫なので」というね ヤングケアラー問題を丁寧に提起する1冊 #1巻応援ヤングケアラー みえない私 相葉キョウコ兎来栄寿今年の4月に発足したこども家庭庁によれば、 "「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと" と定義されています。現実には数多く存在し、私自身もヤングケアラーでしたがこの言葉を知ったのも10年は遡らないほどでした。近年は少しずつ認知されてきているように思いますが、高齢化が進む社会では子供の数は少なくなりながらもヤングケアラー化してしまう子供はなかなか減っていかなそうにも思います。未来の担い手が不条理にその先の道を閉ざされてしまうことは誰のプラスにもならないので、何とか社会のシステムでケアしていくべき課題のひとつでしょう。 本作は、自身もヤングケアラーとしての経験がある筆者によって描かれるヤングケアラーたちの短編集です。1話~数話完結型で、自宅介護や病院通いなどそれぞれ異なる事情を抱える少年少女たちが描かれます。 学業やバイト、友人たちとの交遊などは著しく制限され自分が本来やりたかったことも諦めざるを得ず周囲の「普通」から取り残されてしまうこと。元々は大好きだったはずの人が認知症の進行によってその優しさや知性や尊厳をみるみる失っていってしまい、あまつさえ自分へ加害するようになってしまったときの言葉に表せない絶望感・虚無感。子育てと違って終わりの見えない状況の中で痩せ細っていく思考力や判断力。閉ざされた将来への不安。そういったことに対する理解を得るのが経験者でないと非常に難しいという側面も、丁寧に描写されています。 そしてまた、そんな状況で人生において金輪際関わりたくない(しかしながら関わらざるを得ないことがまた多大なストレスを生む)と思うような親類が存在することの苦しさも生々しいです。 ただ、そんな中でも同じような経験をしている人や暖かく手を差し伸べてくれる人も世の中にはいるのだという大事なことを伝えてもくれます。現代社会の暗部が描かれていますが、決して辛く苦しいだけではなく希望の光も見せてくれます。 今現在も苦しんでいる人は多くいると思いますが、そういった方々には頼れる人やものには頼って欲しいですし、そういう道もあるのだと気付かせてくれる作品です。渦中にあると、心身の疲弊で正しい判断を下したり新しく誰かに会ったり何かをしたりする気力体力がないということも往々にしてありますが、だからこそ自分が壊れるという最悪の結末を迎えないように自愛して欲しいです。 相葉キョウコさんの絵が美しくかつ読みやすいのも特筆すべき点で、10代が背負うには重すぎるものを抱えた心情もよく伝わってきます。 ヤングケアラーという言葉を知っている人も知らない人も、当事者もそうでない方も読む価値のある作品です。良設定のシブいサスペンスだが竜頭蛇尾感が否めずオールド・ボーイ 嶺岸信明 土屋ガロン名無し韓国映画版のは気持ち悪さを覚えて嫌だけどオチ部分で厚みの 必要性には賛同出来てしまうのが。 ルーズ戦記というサブタイそのままグダグダ引っ張りまくった 末にこれでは物足りないなと。 このオチなら巻数を減らして短くまとめていれば納得度も上がった 気がする。 宝石ロマン瑠璃の宝石 渋谷圭一郎素人ノワール宝石詳しくなくても読める! カラーじゃない白黒漫画なのに色とりどりの石を採掘してる感じがしてよいです…ギャル×カッパの最強友情かっぱとあずぽよ 今永マナトstarstarstarstarstar野愛ギャルとカッパの友情めちゃくちゃいい!これはバイブス上がりますね。 ダイエットのためにきゅうりを持ち歩くギャル・あずぽよが下校中に森で迷ってカッパと出会うところから始まります。 なんで森?なんできゅうり持ってるの?とか細かいことはどうでもよくて写真を撮ったら友達になれるギャルのマインドが最高です。 読切じゃなくてギャルとカッパの日常もっと見せてくれ!と思ったら読切だけど数話あってありがたいです。 あずぽよは誰とでも仲良くできる陽のギャルではなくて、なんか扱い雑だし友達も少ないし授業中寝て追い出されたりしています。 いつもニコニコのギャルも病んでいるのだ…と胸を痛めていると、カッパが隣で微笑んでくれるのです!カッパいいやつ!ウチらズッ友! ちょっとヌメヌメしてるカッパと強く明るく生きようとするギャルの友情に胸が熱くなる作品です。 やっぱりもっと読みたい!<<9394959697>>
『日々ロック』の榎屋克優さんが、ブルースを描く。それだけで事件ですし、熱いものがこみ上げてきます。 忌野清志郎と甲本ヒロトを愛していて「ブルースはどちらかというと古臭い」「ビートルズやストーンズの方がかっこいい」と思っていたという榎屋さん。ですが、この作品を描くにあたってブルースを聴いてみたらどハマりしてしまったそう。 そもそも、作中でも語られる通りロックのルーツもブルースですからね。必然的な帰着なのかもしれません。私自身も元々はロックが大好きでしたが、ジャズやブルースをこよなく愛する親族の影響で有名どころは聴いてきています。ブルースにはブルースの、また違った良さがありますよね。 本作では第1話「Change My Way」からサブタイトルがブルースの有名楽曲名となっています。ブルースに馴染みのない方も、まずはこのサブタイトルになっている曲辺りから聴いてみると良いのではないでしょうか(第2話の「Everything's Gonna Be Alright」は検索するとSweetboxの方が先に出ると思いますが、Muddy Watersの方でしょう)。 本題の作品内容は、26歳の健康食品会社の営業である田中が十字路で悪魔に40年の寿命と引き換えに「ブルースマンになりたい」という願いを叶えてもらう契約することで、憧れの66歳のブルース奏者である仲村弦と入れ替わってしまうというものです。27歳で逝去した伝説のブルース歌手ロバート・ジョンソンのクロスロード伝説に擬えているのは言うまでもないですね。 ただ、ロバート・ジョンソンは恐るべきギターの腕前を手に入れましたが、田中はさしてギターも上手くないまま弦と入れ替わってしまったことで、むしろ苦労します。 通常、転生モノや入れ替わりモノだと、元の体での経験や知識を活かして無双したり、あるいは替わった先の体の超絶技能を駆使する展開だったりが多いですが、田中はその逆を行っているのが面白いところです。もし自分が推しに転生したらと想像すると、恐れ多すぎて慄きまともに動けないことでしょう。田中の苦労は察するに余りあります。 一方、元の田中の体には弦が入り、ミュージシャンとして自由を謳歌してきた人生から一転して毎日満員電車に乗って出勤するサラリーマンとしての生活をスタートします。弦が未経験ながら持ち前のコミュニケーション能力で見事に営業の仕事を行うシーンでは、アンドリュー・カーネギーを思い出しました。このふたりの入れ替わり生活の対照的な様、それでも根底にある音楽の楽しさや素晴らしさが読んでいて心に響きます。 3月に発売した『メゾン・ド・レインボー』などでも顕著でしたが、榎屋さんの描くキャラクターたちの何とも言えない人間臭さや温かみが心地良く、随所で利いています。人生のどこかで交差したことがあるようにも感じられるサブキャラクターたちもとても魅力的で、ふたりと彼らの関係性も見どころのひとつとなっています。会社のメンバーとのカラオケのシーンや、ボトルネック奏法のシーン、京都の一幕など好きな良いシーンがたくさんあります。音楽が絡むシーンの熱量は流石です。 物語の行く末は開幕1ページ目で暗示されており、まさに憂歌の様相を感じさせていますが、40年の寿命を捧げた田中と40歳差の弦は果たしてこれからどうなっていくのか。 ウイスキーと音楽と一緒に嗜めば、良い夜になること請け合いの作品です。