青年マンガの感想・レビュー15378件<<9192939495>>江戸川治の短編集マザー 江戸川治starstarstarstarstar_borderさいろく江戸川治センセイの作品の中でも、心にグッと来る話を集めた短編集。 胸を打つ、という表現が公式解説にあるとおりなのだけど、下手にこじらせておしゃれぶったりせずまっすぐに響かせようとしてくる作風はとても魅力的である。 絵柄も後半になるにつれ上手くなっていくのだが、漫画としての表現の幅の成長を感じ取れる1冊。 最近の作品との出会い方は仕込まれているかのようなパーソナライズレコメンドによるものが多い中、本作も最後の「マザー」をTwitterで公開されていた事で手に取ることが出来た。 本屋でうんうん唸って出会う珠玉の逸品はもちろん格別だったけれど、時代が変わった事に感謝できるほどサクサクと出会える今の時代もまたありがたいなぁと感じますね。そういえば最近聞かなくなったSAN値を振り切った漫画SAN値直葬!闇バイト ムクロメstarstarstarstar_borderstar_borderさいろくクトゥルフ神話ブームもほんのちょっとあったよね、というぐらい昔の話に感じるけれど、そもそもラヴクラフトのそれはもっと昔から在ったわけなのでいつ掘り起こしてもいいのだ。 ある意味歴史系ジャンルのような一ジャンルは確立された…と思うけどやはり難解過ぎるのか。。。 ほとんどの人はニャル子さんしか知らないのではないか。 そんなクトゥルフ神話の邪悪な神々とバイトのJKのアップテンポなまるで日常系のような流れで描くのが本作。もちろんくだらないのだがそこがいい。 なんというか、筆舌に尽くしがたいのだが意外と読みやすく、あっという間に1巻が読み終えれるので是非一度手にとってもらいたい。コピーライターとは。ゾワワの神様 うえはらけいたstarstarstarstar_borderstar_borderさいろくゾワワ。 ゾワワと来るコピーを書けるまで、如何なる戦いがあるのか。 コピーってライターのセンスだけで生まれてくるもんだと思っていたけど、実際そんな簡単なもんじゃないんだ、こんなに産みの苦しみがあるんだ、と知ると町中に溢れているあれやコレもちょっと違う目で見えてくる。 その良し悪しを決めるのは見た人全員である。誰しもが評する権利がある、それがコピー。 そのコピーを生み出す仕事を経験した著者が、ゾワワの神様に出会う事が出来るのか否か。 本作には華々しいようでいまいちふわっとしか想像出来ないコピーライターの世界が描かれている。とある先生お気に入りの工務店による"ゾゾゾ"な体験談ある設計士の忌録 鯛夢starstarstarstar_borderstar_borderさいろくYoutubeで"ゾゾゾ"という心霊スポット探検を行っているチャンネルがあり、私はすごく好きで全部観てるんだけど、いわゆるオカルトや心霊現象などが起こるといわれる曰く付きなものというのはたいていは建物やトンネルなどの人工物になる。 神降ろしと言われる儀式。 それは科学では解き明かせないような、人智を超えた謎の力で、新興宗教などでも「なんで?」という謎の造りをした建物があるのはそういったパワーであったり気であったりを汲むための構造になっていることがあると言う。 そういう「聞いたことあるな」という要素が散りばめられた建物を作るにはやはり人の手が必要である。 本作はそういった依頼をしょっちゅう受けることになってしまった工務店からの話をベースに描かれているそうです。 読みながらも色々「きっとこういう感じ」というのが想像出来てなかなか面白く、他人事としてのゾワッとする体験が読めるので、個人的にはこういったオカルト系には珍しいタイプの漫画としても評価したい。 絵がかわいいたまにはナマケもの ひぽたむ名無し生真面目な女性の家に突然ナマケモノが現れて…という話。絵がめっちゃ可愛くて好きなんですが、ナマケモノはどう見てもたれぱんだ。なぜゴリラなのか[10Pショート読切]ゴリライフ 安斎ウト名無しこの内容でなぜ主人公がゴリラである必要があったんだろうと思いましたが、もしかすると単にゴリラ顔の人間だった…?青春の闇鍋サマーポット 碧木りく名無し一軍と三軍の差ってこういうかたちでも出せるんだ…!と感心しました。 千代の過剰摂取ちよこ 六畳散歩名無し漫才みたいな男子高校生の会話が最高に面白かった。センスを感じます。 千代子、気になる存在。 華やかな衣装と舞台の裏側にある苦悩と熱 #1巻応援舞台袖のクチュリエ いしいゆか兎来栄寿『ゆめぐりっ!』のいしいゆかさんが手掛ける新作は、「アイドル×仕立て」の物語。 クラスメイトの隠れ美少女が実はアイドルだったというのはよくある設定だと思いますが、その子のために主人公・鬼島一犀(きじまいっせい)が衣装を仕立てるという筋書きになっています。 一犀は見た目は強面でヤンキーですが、かわいい妹を始めとして母子家庭での節約の一環として針仕事が得意になった少年。そんな彼の作った服を見た白坂凛々花ことアイドルグループ″Piemier″のリリィが、自分たちが輝くための衣装作りを依頼するところから物語が始まります。 この作品の何が良いかといえば、人生で熱くなれるものなんてないと思い込んでいた少年が同年代の女の子のひたむきな姿を見て、初めて本気で打ち込めることを見つけていくところです。 格闘家の那須川天心さんがファンからの質問で 「今日しんどいからやめとことか思う事もあると思いますがその時はどのように自分自身奮いあげますか?」 と問われて 「そのレベルで物事をやってないっす」 と答えたのが話題になっており良いなと思ったのですが、一犀の心を動かしたのもまさにそれに通ずる凛々花の真剣な瞳と、ひたむきに最高のものを観客に届けようと努力する姿。 答えのないものに向き合い続けながら華やかな舞台の裏側では泥臭く汗をかいてひたすら上を目指すその姿勢に魅せられた一犀に訪れる、憧れも悔しさもすべて綯い交ぜになりながら自らを大きく突き動かす感情が芽生える瞬間の描かれ方がとても良いです。自分が携わればこの輝きをもっと増すことができる、自分が存在する意味があると確信してしまう瞬間。人間の生が、ここにあります。 王道的な熱量に支えられながらどんなかわいい衣装ができ上がっていくのか、ふたりの関係性がどうなっていくのかも楽しみです。怪力女子はかわいい手加減できない強芽ちゃん 三波冬和名無し見た目ではわからないタイプの怪力女子ですね。いいですね。藍琉くん、強芽ちゃんのために強くなるんだ 4ページだけど良いラブコメ冷血令嬢と吸血鬼 オカモト名無し絵柄的にダークファンタジーぽいのかなと思ったけどニヤニヤ系ラブコメでした。もしもゾンビになったら何をしたい? #1巻応援ぼくらはみんな*んでいる 金田一蓮十郎兎来栄寿『ゆうべはお楽しみでしたね』を連載しているヤングガンガンで立ち上がった、もうひとつの金田一蓮十郎さんの連載作品が1巻発売となりました。 今期はちょうどアニメ・映画化もあって『ゾン100』が国内外盛り上がっていますが、この『ぼくらはみんな*んでいる』もゾンビと現代日本の日常が融合した作品です。ただ、本作が普通のゾンビものと大きく一線を画しているのは、ほとんどの人類が死後にゾンビ化するウイルスの保菌者となっているという世界でゾンビが日常に溶け込んだ存在になっていることです。 ジャンルとしてはゾンビが人を襲うことによるパニックホラーではなく、ゾンビが人間社会で普通に共存している中での金田一さんらしいコメディや人間関係のあれやこれやなどのヒューマンドラマが主軸となっています。 ゾンビ化ウイルスは12歳頃から3割ほどの発症率で、年々発症率は上昇中。 「今ゾンビ彼氏がブーム! ゾンビ彼氏のメリット大特集」のような記事がネット上では流布しています。 ゾンビになると人間にはない体のケアなどは必要ですが、睡眠の必要もなくなるので多くのゾンビは暇を持て余しているそう。私は読んでいてネトフリを無限に観ていられるゾンビたちが非常に羨ましくなりました。私も一睡もせずにこの世にあるマンガを読んでアニメや映画やドラマを観てゲームをしていたい。 こうした世界観の中で、毎回主人公が代わりさまざまな人及びゾンビの生きる(?)姿が描かれていきます。 死んだ体をそのまま描くと少々グロいので、本作ではモザイクの代わりに綺麗なお花がたくさん描かれているため目にも優しいです。普通のゾンビものが見られない方も、安心して楽しめるでしょう。 ゾンビという特殊設定をひとさじ入れることで、金田一蓮十郎さんらしい味わい深い人間(ゾンビ)たちのコクが引き立っています。 以前ヤンガンに掲載されていた金田一蓮十郎さんのリアルな妹さんである芋Utoさんとの合作読切「鳳凰院くんと何も始まらない話」も連載化して欲しかったですが、流石にこれ以上連載を増やすのは難しいと思うので、今後どこかの巻末にでも収録して欲しいです。今はその国で戦争が行われている。チェルノブイリの祈り スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 熊谷雄太(STUDIO H) 今中哲二starstarstarstarstar_borderゆゆゆ戦争前は聞いても覚えられなかった地名。 すっかりわかるようになっていた。 キエフ、チェルノブイリ通り。 戦争がある日常が通常となってしまっている国。 読んでいて思い出したのは、その戦争が起こる前、コロナよりも前、まだスマートフォンもなかった頃。 原発跡地がある街に、ガイガーカウンターとともにバイクで出かけ、自然に帰ろうとする街を写真に撮っていた女性(たしか女性だった)のホームページがあった。 森に飲まれつつある、時が止まった美しい街だけど、これほど線量がある。ここから先は行けない。 など、写真とともに彼女は書いていた。 そのホームページに、街の手前、まだ放射線量が高い地域に、よそへ越さず、昔からの生活を続けている家族がいたとも書かれていた。 線量の高いものを食べる、それがなんだ、この土地から離れたくないのだと言っていた。 あの人たちは今どうしているんだろう。 さて、漫画に登場する人たちの行動に、どうしてそんな恐ろしいことを!と思ってしまう。 でも、そもそも知らないのだし、放射線も放射能も見えないからわからないのだし。 自分も言われなければ同じことをしているのだろうし。 未来人はやるせない気持ちにしかなれない。 読んでみて、第一話が鮮烈な印象を残してくれたのだけど、その中でも街の人がバタバタと亡くなっていく様子が淡々とした描写で、なんともそら恐ろしかった。 そして主人公の女性が少しでも幸せに今を生きるのはどの方法だったのか、考えてしまった。 口述史というのは非常にセンセーショナルなものだけど、この作品も類に漏れず、読んだ人に思うことを残す激しさがある。 消えた少女の跡をビーズ刺繍だけを頼りに追う #読切応援最下で彼女が惑うなら 梅田阿比starstarstarstarstarたか※ネタバレを含むクチコミです。沢山いるのに怖くない♬ぼくらはみんな*んでいる 金田一蓮十郎干し芋死んだ後も、生きていた時と同じ生活を送っているゾンビ化現象の人々。 食事はしなくていいけど、干からびないために水を飲み、処方された防腐剤を1日1回飲む。 身体は冷たい、心臓が動いていないのでドキドキはしない。 そして、眠くならないので、とっても暇なのである。 更には、死んだ後に一時的にモテ期がくるという面白いおまけ付。 死んだ後の人生の方が楽しそうに感じるのは、私だけだろうか?!臨場感抜群ですキングダム 原泰久名無し歴史ものや絵のタッチに初めは抵抗があったものの、読み進めるうちに、ハマるハマる。 主人公の人との出会いから成長していく様子は、涙あり笑いありです。 戦争ものなので決して気楽には読めませんが、すごく良い作品でオススメです。 厳しい時代ゆえの師弟関係、親子関係、友人関係の強さ、これを読んで今がいかに平和か そして、沢山の犠牲の上に私たちが生きていることを知ってほしいです。 始めは何コイツ?って思うキャラでも、だんだんその人を知るにつれ惹かれていきます。 戦いが進むにつれハラハラドキドキして、手に汗握るストーリー展開に目が離せません。 どうなるのかな・・・ディストピア~移住先は不貞の島でした~【単行本版】 杉野アキユキ名無し閉鎖空間が約束される島系漫画。安易な移住をした若い夫婦。 ドロドロやまさかの展開がありそうで続きが気になる作品です。 少しリアリティのあるすべり出しなので、ついつい先を読みたくなってしまう。 移住は現実でもトラブルが多いと聞くけど、こういうケースもあるのだろうか? もっとホラー的な感じかとも思ったけど、やっぱりかって感じです。丁寧に作られたストーリーに引き込まれた静かなるドン 新田たつお名無しドラマを観た記憶があって読み始めたけど、原作の方が断然いいです。 最初は、ただただサラリーマンとヤクザのギャップが面白く痛快と思って読んでいたけど、深みのあるストーリーに、どっぷりハマってしまいました。さすが80年代の漫画だけあって、オフィスにパソコンないとか、ダイアル式の電話とか、アキちゃんの髪型とか、ボディコンとか。それを楽しみつつも、二面性を持つ主人公にワクワクさせられっぱなし。さすが名作。男女問わず楽しめるマンガで一気に読みたい作品です。JJM 女子柔道部物語の感想 #推しを3行で推すJJM 女子柔道部物語 小林まこと 恵本裕子starstarstarstarstarマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ イブニングでずっと読んでいたがイブニングが休刊になってWebに移ってからは読んでいなかったが完結したのでまとめて読んだが最高の一言しかなかった。 小林まことのマンガは単行本になっているのはほとんど読んでいて小林まことが中心になってやった合作なども読んでいるくらい好きな漫画家だな。主人公もいいし主人公の周りのメンバーもいい。特に二瓶幸子がいい ・特に好きなところは? 本編はもちろんのこと、色んなところに過去のマンガのネタを仕込んでいるところ。初期に出てくるお好み焼き屋はあの西上馬之助だし鳴海頁二も出てくるわ、セルフパロディマンガ「柔道衣物語」の主人公は参豪っぽいがちゃんと三五のシーンを参豪を変えてあったり、女子柔道選手に秋山っぽいのがいたり上げたらキリがないレベルだ。合同トレーニングで七帝柔道の説明が入って北大の増田が締められているシーンとかわかる人は少ないかもしれんが面白すぎるだろ・・・ ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 小林まことのマンガが好きであれば好きであるほどおすすめします。一話の中に笑える部分と感動できる部分を入れる小林まことはやはりすごいな 南海トラフ巨大地震の感想南海トラフ巨大地震 よしづきくみち biki名無し南海トラフ地震は自分が子供の頃から警鐘が鳴らされ続けている地震にも関わらず、他地方のことだからと知らないままにしていました。しかし、関東大震災から100年の節目の年ということで手に取りました。 どの地域にどれだけの規模のどんな被害が発生するのか全く知らなかったのですが、マンガとして絵で見せられることでその恐ろしさが伝わってきました。 スマホの地震速報に表示された震度5と6の群れ、倒壊する家屋。 東日本大震災とは異なり津波は「じわじわ」と襲ってくるため気付きにくいというのが勉強になりました。 過去の様々な災害の教訓をもとに描かれたナマの手触りが感じられる作品でよかったです。 また巻末は監修の方による文章での解説があり、防災知識を得る入門編にぴったりだなと思いました。 漫画は1巻の最後良いところでクリフハンガーでしたので、続きが気になります。カメラがテーマの短編集シリーズ1/1000sec. 新谷かおるstarstarstarstarstarたか※ネタバレを含むクチコミです。ある男性を主人公にした箕田海道先生の漫画を初めて見た読者の感想俺の尿路結石と高橋さん 箕田海道名無しこれまで見た箕田海道先生の漫画の主人公は女性だったので、箕田先生が描く本作の男性の主人公は新鮮に見えました。 主人公の石崎さんがなんやかんやでヒロインの高橋さんと親睦を深めて良かったです。 努力の結晶俺の尿路結石と高橋さん 箕田海道野愛※ネタバレを含むクチコミです。海賊コブラCOBRA THE SPACE PIRATE 寺沢武一starstarstarstarstar_borderゆゆゆ寺沢武一先生の訃報後、「コブラの人だよ、読んだことないの?」と話題になったあとに、Amazonからおすすめされたので読んでみました。 これ、続編なんですね。まったく問題なく読めたので、気が付きませんでした。 島袋全優先生が『腸よ鼻よ』でコブラをモチーフにしたシーンがあったと画像をあげられていたのですが、漫画を読んでみて、コブラはそういうイメージだと納得。 序盤は平凡そうなサラリーマンのおじさんが、実は海賊コブラだったというのは夢がある展開でした。 前作を読んでいたらヒューッ!(口笛)となる展開だったのかもしれません。 強くてパワーがあって安心のバトルシーン、ちょっと昔のハードボイルドな感じ、気詰まりしないコメディ感、おもしろいなあと思いました。 カポッとはまる、物も隠せるあの手の仕組みが知りたいです。 リボルバー銃が博物館の品になるような未来なので、仕組みを言われても理解できないのでしょうが。<<9192939495>>
江戸川治センセイの作品の中でも、心にグッと来る話を集めた短編集。 胸を打つ、という表現が公式解説にあるとおりなのだけど、下手にこじらせておしゃれぶったりせずまっすぐに響かせようとしてくる作風はとても魅力的である。 絵柄も後半になるにつれ上手くなっていくのだが、漫画としての表現の幅の成長を感じ取れる1冊。 最近の作品との出会い方は仕込まれているかのようなパーソナライズレコメンドによるものが多い中、本作も最後の「マザー」をTwitterで公開されていた事で手に取ることが出来た。 本屋でうんうん唸って出会う珠玉の逸品はもちろん格別だったけれど、時代が変わった事に感謝できるほどサクサクと出会える今の時代もまたありがたいなぁと感じますね。