私、能力は平均値でって言ったよね!

もしも平均値じゃなくて、中央値と言っていたら

私、能力は平均値でって言ったよね! ねこみんと FUNA 亜方逸樹
ゆゆゆ
ゆゆゆ

転生ものではあるが、転生前トラブルが、働きすぎによる過労ではなく、過度な期待に対する疲れというのが斬新だなと思った。 周囲から大注目され普通に過ごすことが難しかった女の子が、なんやかんやで転生できることに。 転生前に、あれほどの期待を受けていたのに、自分は世界を変えるようなすごい人ではなかったと悪意なく神様に指摘される。 次は普通に生活したいと願って神様へ「能力を平均値に」してもらえるよう、依頼する。 神様は守った! 平均値を与えた!! その世界に存在する偉大なるものたちの平均を!!! 神様は特大チートになるねなんて言わない。 そして生まれる、強強主人公(でも普通に過ごしたい)。 得てしまったものは仕方ない。強強主人公爆誕。 世界のせいか、前世の反省か。 強強すぎてバランスブレイカーすぎる、めちゃくちゃな存在ながらも、友人に囲まれ、やりたいことができて、前世ではできなかったような生活をおくれていて、よかったねえとほのぼの読んでしまう。 全然普通な存在でなくても、ちょっと変な娘と受け入れてもらって、普通に生活できているようにみえるので、普通ってなんだろうと考えてしまった。 ふと考えさせられるものの、漫画はタイトルのテンションそのままなコメディなのでとても読みやすいです。

公務ですから!

戦隊モノヒーローに求めるもの

公務ですから! 坂口いく 清水ユウ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

Uターン公務員就職し、常に「公務ですから」と業務に全力で取り組むイケメンエリート。 それだけでも眩しい設定なのに、彼がローカルヒーローの中の人まで演じることに。公務で。 人の心はあるのかわからないほど、機械めいたように見える彼だが「公務ですから」とスーツアクターも公務として全力でやりとげていく。 イケメンは何を着てもイケメン。 ローカルヒーローといえども、かなり凝ったスーツが作られている。 そのローカルヒーローをプロデュースしたのがデビュー後泣かず飛ばず、戦隊モノ大好きな漫画家。 なんやかんやののち、漫画家の彼女からはイケメンエリートへ好意の矢印が出ているが、イケメンエリートは気づくことがあるんだろうか。 まあ、気づかなくても青里市の公務には問題ない。 それに「公務ですから」を決め台詞に、イケメンが漫画家にあんなことこんなことを御奉仕してキャッ♡な展開になってしまったら、掲載誌も変わってしまう。 そうならないあたりが、少年誌掲載ラブコメである所以なのかもしれない。 と、つらつらと考えて、私の妄想はどこへ向かおうとしているのかと悩んでしまった。

めくり、めぐる

紙の本の良さに感じ入る物語 #1巻応援

めくり、めぐる 中陸なか
兎来栄寿
兎来栄寿

先日五反田に行ったのですが、数年前にあおい書店が閉店してしまったのに加えて、とてもマンガの品揃えや陳列センスが良かったかつてのあゆみブックスであるTSUTAYA五反田店すらもなくなってしまっており非常に寂しくなりました。 最近は書店がどんどん減っています。私が子供のころにお世話になった書店も今はほとんど無くなってしまいました。それは中古書店も例外ではありません。 本作は中古書店を営んでいた父親を亡くした息子の物語です。本にばかり感けていて自分の方を向いてくれなかった父親を、サッカー少年であった主人公・樹(たつる)は厭っていました。そんな父親が亡くなってしまい、経営していた古書店「佳日」に父親を下の名前で呼複雑な想いを抱えていたところ謎の少年がやってきて物語の車輪が回り始めます。 『めくり、めぐる』というタイトルの通り、古書店にある本はみな読まれた誰かの手から、また別の誰かの手へと渡っていくもの。考えてみれば、そこに置かれている本はみんな誰かが読みたいと思ったり、あるいは誰かに読んでもらいたいと思われたりした本なのだと思うと、その1冊1冊の裏側にある見えない無限の物語に想いを馳せます。こればかりは、電子書籍ではできない紙の本ならではの魅力ですね。 本が繋ぐ、世代や背景などを超えて生まれる絆。たとえ言葉が通じない人とでも、本が共通言語となって心を交わし合うことができる瞬間が確かにある。自分が長年心の底から探し求めていた本や、昔は興味がなくて読まなかったけど年月を経てから改めて読んでみたら夢中になった本のことなどを想いました。 1話から本当にいいお話ですし、中陸なかさんの絵がまた叙情性溢れる物語にぴったりハマっています。思春期の少年たちの眼がいいですね。 今月に上巻が、1ヶ月後に下巻が発売となるので、まずは上巻だけ買って続きを楽しみにするのも良し、上下巻あわせて買って一気に読むのも良しです。