青年マンガの感想・レビュー15408件<<488489490491492>>歴史の暗部で蠢き轟く銃声極東事変 大上明久利兎来栄寿「七三一部隊を扱ったマンガとかってないですかねぇ」 トリガーの常連さんとそんな話をしていたことがありました。流石においそれとは着手できないテーマであろうなと思っていましたが、この作品が登場しました。 若干ファンタジー要素はあり、舞台は終戦直後とはなっていますが、七三一部隊の人間やそこで作られた生体兵器らが中心となって織り成される物語です。 アクションマンガとしての質が高く、一癖も二癖もあるキャラ達により繰り広げられるガンアクションにはとても迫力と臨場感があります。言動にキレがあり、躊躇いがなさ過ぎる所は読んでいて疾走感があります。また、銃器そのものにも拘りがあるのが見て取れる丁寧な作画です。 折角七三一部隊を扱っているので、戦時中の回想などでより重みのある所にも届いて深みを増してくれたら良いなと思います。 これで新人とは思えないレベルで、今後が楽しみです。 なお、紙の本の方は遊び紙も凝っていてお洒落です。30年以上の積み重ねが生んだ精緻なアイヌ漫画にイヤイライケレアコロコタン 成田英敏兎来栄寿アイヌというと皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。近年ではゴールデンカムイやうたわれるもの、咲-Saki-といった作品で興味を持つ方も増えていると思います。 そうして少しでもアイヌに興味がある方にぜひ読んで欲しいのがこの一冊。筆者は30年以上前からアイヌの漫画を描きたいという想いを持っており、それが遂に結実したのが本書です。 1話10ページ前後の短編で、様々なアイヌの風習や文化、日々の営みが紹介されていきます。アイヌ式の求婚や犯してはならないタブーなど、今まで知ることのなかったアイヌにまつわる知識が得られます。特に丁寧に数多くルビが振られたアイヌ語は沢山学ぶことができます。 アイヌの歴史は悲劇の歴史でもあり、アイヌへの差別などについても意志を持って触れられています。元々、アイヌではなく知識も全然無かったという筆者が、それを自覚して真摯にアイヌについて長年調べて学び、蓄積していった膨大な知識が漫画という形に昇華されています。 私はかつて阿寒湖に行った時にアイヌコタンに入りカルチャーショックを受けましたが、この本を読んだ後に行くとまた違った視点から見ることができそうです。 これだけ高純度でかつ読み易いアイヌの本もなかなかないのではないでしょう。読んでおいて損はない一冊です。(物理的にも内容的にも)重量感抜群BIBLIOMANIA マッチロ おおばるsogor25ダークファンタジー斯くや有らんと言うような圧倒的な絵の書き込みと、前半から畳み掛けてるのに後半に進むに従って更に勢いを重ねるストーリー。300ページ超なのに一瞬で読み終えてしまう、でも世界観にはどっぷり入り込める。 商業作品ではなかなか感じられないB5サイズの本の重量感と紙の端まで印刷された画面の壮観さが素晴らしい。私は普段は電子書籍派ですが、紙で買って全く損はない作品。 (2019/5/16追記)「あなたのクチコミで1人が買いに行きました!」の通知が来ていたので念の為。 今作は電書単行本化されておらず、かつamazonでの取扱いも今のところなさそうです。調べてみた結果TSUTAYAでしか取り扱ってなさそう。直リンクを貼っていいかどうかわからないので、興味を持って頂いた方は「BIBLIOMANIA 蔦屋」で検索してみてください。なんなんだこれは…!抜刀(読切) ザビエラー長谷川たけ白黒のメリハリとデフォルメの効いた絵がすごい好き…!あと女の子が可愛いくて最高…! http://www.moae.jp/comic/reiwaproject/9 ストーリーの展開は正直「!?!!」となり、かなり唐突だったけどそれもまた作品の一部と思えるような独特の雰囲気があります。 コマ割りとか構図もメチャクチャ格好いいので、他の作品も読んでみたいです。 …と思っていたらなんと!昨日の夜からTLに流れてきてたやたらインパクトのある漫画の作者でした!(石黒正数先生もTwitterでコメントしてます) ザビエラー長谷川先生、要チェックですね…! https://twitter.com/masakazuishi/status/1193941694581882884?s=20 ムーコ 連載200回おめでとういとしのムーコ みずしな孝之名無しムーコ連載の歴史が見れてよかった。もう8年なんだね人間のリアリティ刻刻 堀尾省太ニワカストーリーもさることながら、刻刻は人間の描き方がよかった。とくに家族側の俗物のお父さんが印象的だった。普通バトルものでは味方サイドの人間は成長する。それは大人でも、子供でも関わらない。良い見せ場を作り、退場したり、心を入れ替えたりする。しかし、お父さんは最後まで俗物のままである。 主人公や他の人物たちも成長というよりは、見えていなかった本質が徐々に見えてくるという形をとっている。この分かりやすい成長譚でないところが、自分には面白かった。ニートの翼が急に大活躍したりもしない。力を持っている人間が、ただ力を使う。 大きな出来事が起こるからといって人が変わったようになる、なんてことはなく、その本質が出る。そういう意味だとある意味リアルだなと思った。ハケンの麻生さんは虫オタクハケンの麻生さん 仲川麻子nyae麻生さんが会社の引き出しの中で芋虫を飼っていることに対して、虫嫌いの同僚・原さんは全力で否定したのに対し、その他の人たちは結構肯定的。 しまいには「机の上で飼えば?」なんて、正直まじかよと思いました。 私はどちらかというと原さん側で、もし仕事場で虫を飼育してる人がいたらやめてくれ‼‼というと思います。漫画の中で誰かが言ってたけど「理解できないからダメっていうのは違うと思うよ」いやその通りなんですけどでも虫嫌いだし… とはいっても一冊読んだ感想としては最初から最後までずっと面白かった。 お仕事マンガとしても読めるので、納期に振り回されて帰れないとか、正社員と派遣社員の間で揺れたりとか、会社員あるあるが満載だと思います。 とくに私は感情の起伏が少なめで淡々と日々をこなすけど頭ではしっかり考えてる主人公が好きなので、この漫画はピッタリ。 麻生さんの虫好きは筋金入りで、道端での虫探しは日常。自宅のベランダでも虫が好きな植物を育てているし、休日は虫探しに遠出することもしばしば。 そんな姿を見てると、さっきも書いた「理解できないからダメっていうのは違うと思うよ」という言葉が少し受け入れられそうな気持ちになってくるから不思議…。 絵を見てもらうと分かる通り、ほんわか優しいので虫嫌いの人でも読めます。 感想が難しい...いざ!竜馬 小山ゆうマンガトリツカレ男あらすじは父親が出社拒否症で息子の竜馬が出社し会社員をやっていくという内容 小学生が大人に対して特定の技能で認められていくという感じではなく、小山ゆうのマンガの主人公が持つ素直さと思い込みで成功と失敗を続けていく 個人的には最後に収録されている「ワシとタカ」の方が好きかな読むと駆け出したくなる!「トレイルランニング」という世界カゼキル GREAT TRAIL RUNNERS 本橋ユウコ YAMAP兎来栄寿名前は知ってるけれど、詳しいことは知らない。そんな世界を描いた作品というのは興味深く読めるものです。 本作が描くのは「トレイルランニング」。舗装されていない山野を駆け抜けるスポーツです。元々中学で陸上を頑張っていたものの最後にしてしまった大失敗により競技から離れてしまった主人公が、高校生になりトレイルランニングに出逢う所から物語は始まります。 私の地元である奈良県の吉野山でも、「弘法大師の道」として空海の歩んだと言われる吉野山〜高野山までの道を駆けるトレランが開催されています。山上からの美しい景色を見るために普段から数時間程度の山歩きは楽しみでしかない私は、多少の興味も持っていました。 作中でも、過酷な競技ではあるものの自然の中で得られる安らぎや綺麗な景色、そしてその環境で走ることで走る自体の楽しさを改めて主人公が見出していくシーンに爽快感があります。体を動かすのが好きな人なら、トレイルランニングをしてみたくなるかもしれません。 また、同じ高校生男子のトレイルランナーとして癖のあるキャラも多数登場。群像劇的な側面でも今後もより楽しみです。東村アキコが描く上杉謙信が女だったら、女であれば雪花の虎 東村アキコ六文銭戦国時代の歴史ものが好きです。 身を焦がす野望、生死を駆けた合戦、政治的駆け引きの数々--そこに人間ドラマが凝縮されてて読んでて胸アツなんですよね。 ただ、自分は「物語」として好きなだけであって、史実として正しいとかはあまり求めていないタイプ。 ライトな歴史好きです。 マンガにおいては、歴史にあった正しい情報を淡々と描かれるよりは、フィクションを混ぜたり多少脚色されてたほうが嬉しい。 史記における「キングダム」や、藤崎竜の「封神演義」などが良い例です。 そういう意味で、本作「雪花の虎」も、私的にツボでした。 戦国時代で一二を争う超人気武将「上杉謙信」が女性だったという説を題材にした本作。まさに、戦国タラレバ。 上杉謙信といえば、私利私欲では戦をしない、敵に塩を送るなど、欲望渦巻く戦国時代にあって「義」を重視することで有名な武将。その高潔さから、長年のライバルだった武田信玄からも、死に際、「何かあれば上杉謙信を頼れ」と遺言したほどです。 何度も戦った相手から、そんなこと言われてしまう謙信の人徳の高さ伺えるエピソードです。 その上、ほぼ負け知らずという戦国最強の強さも持っているかとか、なんかもう色々カッコよすぎる! 強いのに驕らないとか、ズルいっす。 本作は、そんな上杉謙信が女性として描かれ、東村アキコのもつ独特な女性観と相まって、また違った魅力の謙信を引き出してくれます。 東村アキコ節ともいえる、ブレない芯の強い女性像と、酸いも甘いも噛み砕いた人間臭いキャラクター描写が、歴史ドラマに見事マッチしています。 歴史好きも、そうでない人も楽しめる作品になっています。 (複雑な歴史的描写は、アキコのティータイムコーナーでゆる~く説明してくれる配慮も嬉しい。) 過酷な運命を背負い、女子のまま、女子らしく、強く、賢く、そして美しく成長していく女・上杉謙信に、私、釘付けです。 今後、曲者ぞろいの戦国武将たちを、女としての謙信が、どういなしていくのか楽しみな1冊です。 映画は人生を豊かにしてくれるものらしい。水曜日のシネマ 野原多央Pom 奈緒の自分の思いに正直で真っ直ぐなところが可愛くて応援したくなります。 一緒に映画見て感想などを話す中でお互いを知っていくのも素敵で奥田店長おすすめ映画見てみたいです。 そして奈緒の先輩林子さんが煮えきらない奥田店長に放った一言が格好良かったです!初めて漫画から入った田中芳樹作品七都市物語 田中芳樹 フクダイクミたかライトな田中芳樹ファンなので、まだ銀英伝とアルスラーン戦記しか読んだことがありません。なので、本作が初めて原作よりさきにコミカライズを読んだ田中芳樹作品となりました。 まずめっっちゃ絵がうまい!出てくるキャラがスタイリッシュなんだけど、きちんとたくましくて男らしいデザインなのが格好いい。 そして漫画を読んでいるはずなのに、キャラの言動やセリフからちゃんと田中芳樹を感じることができて不思議な感じがしました。 今は1巻を読み終えたところです。物語は予想通り当然面白かったので、このまま漫画を読み続けるか原作の方を先に読むかめちゃくちゃ悩んでます…。 https://comic-days.com/episode/13932016480030209636 (追記) フクダイクミ先生=コテリ先生だったんですね…! Veil最高でした。いい時間の使い方大家さんと僕 矢部太郎starstarstarstarstar干し芋大家さんといると時間がゆっくりと流れる。 なんて素敵なことでしょう。 毎日時間に追われ、やらなきゃならない事をバタバタと感情もなくやり過ごしている私には、この本を読むだけでもゆったりとした時間を分けてもらえた気分です。 大家さんも矢部さんと出会えて幸せでしたね。 家の道を挟んだ前のおばあちゃんも雨が降ってきたら、わざわざドアホンで『洗濯物が濡れますよ!』と教えてくれます。 こんな将棋漫画、見たことがない!こんなレベルの低い将棋見たことがない! 安藤たかゆきstarstarstarstarstarひさぴよ「3月のライオン」や「ハチワンダイバー」が大好きだけど、将棋経験はゼロ!という作者が、棋譜を読めるようになりたいという理由から将棋を学び始めるエッセイ漫画。 同レベルの対戦者との勝ち負けに一喜一憂しながら、体当たりで学んでいく姿が、もう可笑しくて可笑しくてしょうがない! 特に先輩漫画家(伊丹澄一&さぬいゆう氏)とのやりとりはマジで爆笑もの。 序盤こそギャグ多めですが、どんどん将棋の奥深さにのめり込んで行き、次第に真剣さを増していきます。 2巻では、将棋界の実力者達から指導対局を受け、さまざまな対局を重ねていく作者。 自身の内面を描きながら、将棋の本当の面白さに気付いていく描写に、読んでいてこちらも思わず将棋がやりたくなってしまうほどの熱量を感じました。 物語は2巻の時点で一区切りついてますが、もし続きがあるなら読みたい。 「帯の推薦コメントを羽生善治氏にお願いしたら断られた」という、あらすじのエピソードも含めて、笑いも楽しめる漫画です。暇を持て余した神々の悪戯…?ああっ女神さまっ 藤島康介さいろく言わずとしれた藤島康介の代表作。 アフタヌーンの代名詞の一つにも挙がってくる作品。 久しぶりに1巻を読んでみたらこんな始まりだったなぁというのと同時に画風の変化に驚き、ベルダンディーのブレなさにも驚いた。 本当に女神としか言えない振る舞いと人間離れした天然っぷりに当時の読者たちは心がキュンキュンしていたであろう。 ちなみに私はウルド派で、ベルダンディーの良さは当時はわからなかった。今のオッサン世代にはどストライクに刺さるであろう女神達がいっぱい登場します。 スクルドもウルドも可愛いんだけど、今見ると最後の方はさらに画風が変わりまくってますね。 10〜20巻ぐらいまでのウルドが世界一美しい女神だと私は思う(推し) 最後の最後は1巻の第1話の流れを読み返してから読むと良いと思われます。 のほほんとした日常系コメディ漫画としても超名作。読む前から期待しかなかったし、期待以上だった哀シャドー 工藤かずや 平野仁starstarstarstarstarマンガトリツカレ男最近古本屋で見かけて読みたいけど、全巻揃っていないからまた今度にしようと思ってたら電子書籍で発売したので買ってしまった。 俺の大好きな「パイナップルARMY」「タイニー」の工藤かずやと「サハラ」の平野仁が書いているので面白いに違いないと期待していたが、期待以上だった。 あらすじは死刑判決を言い渡された主人公・諸橋悦子が死刑執行をされるが生きており、謎の組織に全てを変えて別人として生かしてやる、仕事内容は「殺人」だ。断れば「死」から始まる。そして依頼をこなしながら自分をはめた犯人を探していく 「サハラ」のチュチュ・ヒステリーカといい平野仁の書く女主人公はなんでこんなにかっこいいのだろうか あと工藤かずやが関わっている割には兵器とか世界情勢とかの話がないなーと思っていたがよく見たら「原案」だったのでその辺がないのかな やがて花開く…ことのなかった果実桜金造登場 相馬雅之(とりあえず)名無し相馬雅之を、たぶん、もう知るものは少ないだろう。 しかし私にとってこの漫画家は、ヤンマガの「漫画の可能性を広げるほどにトンがった青春物」という偉大なる系譜、大友克洋『AKIRA』をその淵源として、望月峯太郎『バタアシ金魚』と古谷実『行け!稲中卓球部』の間を埋めるミッシングリンクとして、ずっと忘れることができない存在なのだ。 『桜金造登場』が刊行された時、その「予感」は充分にあった。ここから新しい時代が始まるかもしれない…そう信じられた。 だが相馬雅之は、その後『パオパオアッコ』という、ごくありふれた小ヒット漫画を一定期間連載し、そして、シーンから消えていってしまった。 当時自分が感じた「輝き」の信頼性を確認しようと思ったのだが、まったく整理の追いついていない自室の書棚から、当該コミックスを見つけ出すことが出来ず、読み直せていない。 それでも、このマンバにある書影を見ると、あの時の「ざわめき」を鮮やかに思い出す。 漫画界には、それこそ数え切れないほど「幻の逸材」が存在してきた。 相馬雅之もまた、そのひとりだった…と、私は言いたいのだけれど。愚者の詩この小さな手 郷田マモラ 吉田浩(とりあえず)名無し郷田マモラは、稀有な才能である。 彼は、あのしなやかで硬質な、独自としか言いようのない描線で、極めて重いテーマを果敢にフィクションへと昇華する。 遺体の監察医が主人公の『きらきらひかる』、新人刑務官と死刑囚の友情を描く『モリのアサガオ』、さらに、裁判員制度を通して死刑を見つめた『サマヨイザクラ』など、彼の作品は不器用だけれど真率な力に溢れている。 関西の巷のエネルギーに満ちたはるき悦巳と、猥雑さにまみれた青木雄二を、足して二で割り、さらに端正にしたかのような、真にユニークな存在だったのだ。 だが、郷田マモラは、愚か者でもある。 彼が犯した罪について、ここで触れるつもりはない。 しかし明らかに、彼は愚か者だ。 本作『この小さな手』は、郷田が原作を担当し、吉田浩が作画を担当している。 マンバの「あらすじ」の、郷田が寄せたと思しきテキストにある通り、あまりキャリアがあるとは思えない吉田は、郷田が描いたネームを忠実に漫画に起こしたであろうことが、その画面からうかがえる。 本来は、郷田自らがあの筆致で描くべきだっただろう。 この、それほど優れているとは言えないかもしれない漫画には、しかし、確実に漫画家・郷田マモラがいる。 その愚かさが、傲慢さが、不器用さが、真率さが、弱さが、痛いほど脈打っている。 「漫画」という宿痾のひとつの内実が、ここにはある。ジョーカーという絶えぬ狂気の「誕生」バットマン:キリングジョーク 完全版 秋友克也 アラン・ムーア ブライアン・ボランドキャップ推し※ネタバレを含むクチコミです。 「ひまつぶし」にはもってこいの本原色ひまつぶし図鑑 日高トモキチstarstarstarstarstarひさぴよまさに「漫画のような図鑑」といった感じで、どこから読んでも楽しめる本です。 各章は「いろは」順で構成されていて、 上巻は「い」〜「よ」 中間は「た」〜「ま」 というような分け方で収録されています。 漫画のコマ割りの中に、図や説明がおもしろおかしく描かれていますが、 なんといっても選定されているワードが独特で、フツーの図鑑とは全然違います。 日高トモキチ先生お得意の、生物系の分野はもちろんのこと、エンタメ的なワードから、しょうもないネタや、衒学的なネタまで、著者の興味のある分野だけを集めたような図鑑です。モノの好みの合う人ほど楽しめる本だと思います。 ただイラストにしているだけでなくて、一つ一つのコマに細かなネタが隠されているので、それに気付けるともっと楽しく読めます。 特に漫画にまつわるネタ。 例えば【ホルモン焼き】の項目には、「チエちゃんが焼くやつ」という説明とともに、はるき悦巳風のキャラクターが添えられていたり、【とぐろ】や【ヨネザアド】なんてものもあって、マンガ好きがニヤリとするような元ネタもあります。 本棚にこういう本を置いておきたいな〜と思わせてくれる、知識欲を刺激してくれる本です。ベルセルクファンは冷たいのかギガントマキア 三浦建太郎さいろくギガントマキアが始まった当時、別のもん描く暇あったらベルセルクの続きを描けという意見をめっちゃ見た。 でもね、よく考えてほしい。 三浦建太郎先生だって人間で、同じこと同じ作品しか描いちゃいけないなんて状況だったら狂ってしまう可能性があるのだ。 時既に遅し、かもしれないけど。 最初壮大な物語が頭の中にあって、それを描いていくうちに色々な情報が入ってきて自分も変わっていって好みも流行りも違う作品への意欲になってしまうのは非常によくわかるのだ。 そこでコレ。 というわけで、ギガントマキアはそういった視点でもとても感慨深い作品になりそうです。 プロレス大好きなので特に良い。なんか昔ゲーセンで怪獣を操作してプロレスするみたいなゲームがあった気がする(超うろ覚え。25年ぐらい前??) そして例によってまだこちらも未完な気がするけどきっと多くのファンにいろんな爪痕を残していく先生なのでこれはこれで一興なのだ。世界観と見開きが唯一無二マザー・コスモス 杉山実なかやま現在はイラストレータとして活動している作者のデビュー作 出版は「青林工藝舎」でいかにも青林工藝舎っぽいファンタジーSFロボット漫画的な作品 世界観と画力がマッチしていて読んでいて引き込まれ、その世界観と設定がぶっ飛んでる 【拳銃】 火薬で弾を打ち出すのではなく、小型の母性愛機関によってメンタルなエネルギーを衝撃波として放出する。 母性愛機関?メンタルなエネルギー?なんぞ? このザラッと殺伐とした設定と細かい書き込み(特に見開き)が実にマッチしている。 正直、「絵が上手い」わけではないのが、読み進めていけば気にならなくなり 、すごい作品読んだな・・・ という気分になれる。 残念なのが、この雰囲気の作品が次の ガール・デバイス の2作で終わってしまっている事 いつかまた漫画を描いてもらいたい作者さんです 河童と相撲を取ってはいけない!えんこうさん 西野マルタstarstarstarstarstarウマタロ五大湖フルバーストの作者による、人間と河童の相撲を描いた短編作品。迫力ある豪快なアクションと、爽快なストーリーで、河童の恐ろしさと強さを存分に味わえる。基本は「河童よりの相撲マンガ」だが、「ホラーマンガ」「友情マンガ」としても楽しめた。美女もヨシ。全3話の中では、やはり表紙「禿鷲山」が登場する話が一番好きだ。読んでいて言葉に表せないような、なにか凄いものを見てしまった、という感覚に陥る。ユーレイ窓がとにかく怖い三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 三宅乱丈nyaeこれ読んだのは結構前なんですが、表題作の「ユーレイ窓」がとにかく怖かったという記憶があります。それ以外の話がどんなだったか思い出せないほど。読み返せば良いんですが、ユーレイ窓が怖すぎてなんか読めない。 短編集ですが全部がホラーというわけではないです。ただこれだけは伝えておきたい。 ユーレイ窓はとにかく怖い。<<488489490491492>>
「七三一部隊を扱ったマンガとかってないですかねぇ」 トリガーの常連さんとそんな話をしていたことがありました。流石においそれとは着手できないテーマであろうなと思っていましたが、この作品が登場しました。 若干ファンタジー要素はあり、舞台は終戦直後とはなっていますが、七三一部隊の人間やそこで作られた生体兵器らが中心となって織り成される物語です。 アクションマンガとしての質が高く、一癖も二癖もあるキャラ達により繰り広げられるガンアクションにはとても迫力と臨場感があります。言動にキレがあり、躊躇いがなさ過ぎる所は読んでいて疾走感があります。また、銃器そのものにも拘りがあるのが見て取れる丁寧な作画です。 折角七三一部隊を扱っているので、戦時中の回想などでより重みのある所にも届いて深みを増してくれたら良いなと思います。 これで新人とは思えないレベルで、今後が楽しみです。 なお、紙の本の方は遊び紙も凝っていてお洒落です。