アメリカン・ボーン・チャイニーズ  アメリカ生まれの中国人

交錯する3つの物語で描かれるアイデンティティの問題

アメリカン・ボーン・チャイニーズ アメリカ生まれの中国人 椎名ゆかり ジーン・ルエン・ヤン
ANAGUMA
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本作の最大の特徴は登場人物の異なる3つのパートに分かれて物語が展開することです。中国系アメリカ人の少年ジン・ワンの学校生活、全能神ツェ・ヨ・ツァーと猿の王孫悟空の伝説、従兄弟の中国人「チンキー」と暮らす白人の少年ダニ―の物語。 原書は2006年刊行ということですが、まったく古臭さを感じさせない視座に、なるほど2020年に邦訳が出るのも納得と感じました。(と同時に依然としてこうした物語が要請されるというか、需要があることにもちょっと複雑な気持ちになりますが…) 登場人物たちはそれぞれに、自身がその空間におけるマイノリティであることを感じており、みなアイデンティティの問題を抱えています。「自分が自分であること」をなかなか受け入れられずに、さまざまな問題を引き起こしていくようすは胸に迫るものがあります。その過程でなぜ3つのパートで物語が構成されているのかも徐々に明らかに…。 差別や偏見についてのメッセージ性もさることながら、交錯する3つの物語がひとつのテーマに向かって収束していくのはドキドキしますし、エンターテイメントとしてまず楽しめます。テーマがテーマだけに敬遠する方も居る気がしますが、あまり身構えず手にとってほしいです。読み終わった頃にはきっと前向きな気持ちになれると思います。

バジリスク~甲賀忍法帖~

原作が残したマンガへの影響

バジリスク~甲賀忍法帖~ せがわまさき 山田風太郎
せのおです( ˘ω˘ )
せのおです( ˘ω˘ )

2/22のマンバ読書会「忍者マンガ&マンガにでてくるネコ」の時に、ゲストの兎来さんのトークでとっても興味を持ったので読んでみました! 以下はトークショーで教えてもらったことですが、原作がなんと1959年。 しかし、60年以上も前の作品とは思えない、奇抜で斬新なキャラクターと忍法、展開の読めない10対10のチーム戦、そして伊賀と甲賀の一族を超えた想い…! 現代のマンガにも多く用いられている物語のテーマやキャラクター設定が本当に盛り沢山!! マンバ読書会のトークショーで兎来さんは、「この作品がなければNARUTO、ONE PIECE、H×Hやジョジョも生まれていなかった」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思いました!! 2003年から連載が始まったこちらのマンガですが、…かなり夢中になって一気読みしてしまいました。 絵がとにかく美しくて素晴らしい、、!! 少女漫画が大好きで、普段女性向けの作品を読んでいる私なので、 せがわまさき先生のお名前や作品名は知っていたものの、まず読むきっかけが全くありませんでした(笑)が、 今はとにかく読了後のあのラストの余韻と、こんな素晴らしい作品を読むきっかけをくれたマンバ読書会と兎来さんに感謝の気持ちでいっぱいです…!!