少年マンガの感想・レビュー7878件<<276277278279280>>All for GUNDAM Fan機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより- 矢立肇 富野由悠季 ことぶきつかさナベテツこの作品が「ガンダム」というコンテンツに興味のない方は恐らく手に取る機会は全くない漫画だということは、嫌になるくらい理解しています。「ガンダム好き」で「漫画好き」という市場はニッチでしょうし、たとえガンダム好きでも若い年代に訴えかけるような派手さには欠けているとも思います。 しかし、この作品の存在は「ガンダム」という作品の成熟を示しており、読み終えた時に感じる充実感は、ちょっと他では味わえないなあと思っています。 カイ・シデンという名前は、ガンダムの世界でも異彩を放つ存在です。1年戦争を生き延び、軍に残らずジャーナリストという生き方を選んだのはオールドファンにとっては語る必要のないことですが、どのように生きたのか語られることはあまりありませんでした(基本、ガンダムというアニメが戦場を描いているからですが)。 本作では、ジャーナリストとして中年となったカイ・シデンが、1年戦争の展示のオブザーバーとして自身の体験を語るというスタイルになっています。 そこで語られることは、勿論「原作」に準拠している部分もありますし、知らないと厳しい部分も多々あります。ただ、勿論それだけではなく、行間を埋め、語ることぶき先生の語り口は本当に素晴らしく、漫画の表現としての巧みさを感じます。 正直、ガンダムを知らない人には勧め辛いタイトルではあります。ただ、宇宙世紀のガンダムをある程度知っている方には、是非とも読んで貰いたい作品です。 前述の通り、決して派手な作品ではありません。しかし、原作を持ちつつ、その世界を活かし、新たな魅力を作り出すというのは、メディアミックスにおける成功例であり、漫画という異なるジャンルでこれほど優れた作品に出会えたことの幸福は、まだ出会っていない人に広く伝えたいと思っています。4コマギャグの、早すぎた金字塔変態性低気圧 なんきん(とりあえず)名無し吉田戦車『伝染るんです。』は、4コマというジャンルを超えて、ギャグ漫画の歴史における激震のサード・インパクトだった。 それは、劇画における大友克洋の存在に匹敵する衝撃だっただろう。 しかし、とりあえず4コマというジャンルに絞れば、吉田戦車に先行する才能として、今は忘れられがちなふたつのギャグ漫画家の名前を思わずにはいられない。 (「西の巨人」いしいひさいちは、ちょっと別格とさせてください) いがらしみきお(『ネ暗トピア』等)と、なんきんである。 彼らふたりがいなければ、吉田戦車に代表される「不条理4コマ・ムーブメント」は起こり得なかった、と個人的に思っているのです。 いがらしみきおは、『ぼのぼの』で大きな商業的成功を収め、『I (アイ)』のようなシリアス長編でも評価されていますが、もともとは「とんでもなく破壊的な4コマギャグ漫画家」だったのです。 そして、なんきん。 素晴らしく先鋭的、まさに「シュール」でキュートな4コマギャグを発表し、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』や『ポンキッキーズ』に絵柄を提供するなど、一部に熱狂的なファンを得た稀有な才能なのですが、なぜか漫画シーンからは早々に姿を消してしまいました。(WAHAHA本舗とか、ご本人はずっと活躍中ですが) 自分は『ネ暗トピア』と『変態性低気圧』が大好きだったので、吉田戦車が登場してきた時に、「ああ、ついに“この新たな流れ”の決定版が現れたぞ!」と、すごく嬉しかったし、納得感が強かったんですよね。 今は、ギャグ漫画不遇の時代だと言われます。 それについて細かく考察していくことは、このクチコミの趣旨と異なると思うので控えますが、「いがらしみきお」と「なんきん」が4コマギャグを描かなくなったということが、その手がかりになるのではないか、と思っていたりしています。 まあ、そんな面倒くさいことは置いておいたとしても、なんきんの漫画は、超ステキですから、現在の読者にもぜひ読んでいただきたい! 手に入れるのは大変だと思うけど!ラストシーンは永遠です。ドロファイター 村上もとか(とりあえず)名無し※ネタバレを含むクチコミです。俺の人生もアゲイン中って思うとやる気出るアゲイン!! 久保ミツロウ名無し高校三年間、特になにもせず、友達も無く、ひねくれるだけ、ひねくれて卒業式の日を迎えた今村が、ひょんな事から入学式の日にタイムスリップ(作中ではアゲインと呼ぶ)。高校三年間をやり直して行く話。 自分も高校三年生の時に、今の状態で一年生から、やり直して〜〜って思ったことがある。多分、みんな1回はあると思います。 いわゆる「強くてニューゲーム」状態ですが、本作の今村くんは、強くないのがポイント。 自分の三年間がどうなるか知っているからこそ、勇気を振り絞り、失敗し、もがきながらも成長していく姿は、胸が熱くなります。 作中で今村くんは、やたらリア充化していくのですが、卑屈でネガティヴがベースにあるので、ヤキモキすることもありますが非常に好感が持てます。 本作を読みながら、オレも今アゲイン中って設定で生きることにしようと心に決めました。 アゲイン〜〜 野球を楽しもう。グラウンドでも観客席でも、球場の外でも。ストッパー 水島新司名無し※ネタバレを含むクチコミです。新たな百合マンガの金字塔あの娘にキスと白百合を 缶乃sogor25中高大一貫の名門女子校、清蘭学園を舞台に様々な少女たちの物語が描かれるオムニバスストーリー。 中心となるのは成績学年1位、品行方正の優等生、白峰あやかと、高校から編入してきて白峰さんから成績1位の座を掻っ攫った、奔放なのに一匹狼な振る舞いの黒沢ゆりねの物語。2人は対立しながらも徐々に関係性を深めてゆくという王道の物語が展開されます。 しかしながらこの作品の特徴は、メインの2人の物語と平行して、2人の周りの様々な登場人物の恋愛模様が描かれる点。2巻以降の各巻で異なるキャラにフォーカスが当たる構成ですが、登場人物ごとに関係性の深さ、濃淡が様々で、仲の良い友人関係のような組み合わせからお互いががっつり恋愛対象として見ている2人まで、まさに「少女たちの数だけ、物語は存在する」というキャッチコピーに相応しい、たくさんの表情を見せてくれる作品です。 そして最終巻では白峰さんが黒沢さんとの関係性に対して結論を出します。その過程でこれまでに登場したキャラが再登場し、黒沢さんとの関係性に悩む白峰さんに助言を与えていきます。再登場したキャラにしっかり焦点をあてつつ、最後に白峰さんと黒峰さんの物語に収束していくという見事な構成で、まさに万感胸に迫る最終巻。 各巻単体で読んでも、作品全体を通して読んでも素晴らしい、百合マンガの金字塔といえる作品だと思います。 全10巻読了異能の傑作エイリアン9 富沢ひとし(とりあえず)名無し※ネタバレを含むクチコミです。 不朽の名作…になるはずだったものチャンプ 七三太朗 ちばあきお(とりあえず)名無し※ネタバレを含むクチコミです。未来の話のようで実は現在の話でもあるAIの遺電子 山田胡瓜takaaki作品の舞台は,人間とほとんど同じヒューマノイドがいる未来.一見まだまだ先の話のようですが,子供ができないヒューマノイドと付き合う人の葛藤が描かれたり,「これは現在の人と人の関わりにも繋がる話なのでは?」と感じるシーンが多いです. 「超AI時代が来ても,結局は向き合うべきことは今と変わらないのかもしれない」と思わせてくれる名作です.あれ?面白いじゃん…!名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム) 新井隆広 青山剛昌名無しなんとなく抵抗があってスピンオフ作品は読まない自分だったのですが、読んでみたら面白い…! 読者がみたいであろう部分が漫画になってて補完的に面白買ったです! 安室さんが原作ではバリバリかっこいい感じなのに、こちらでは犬を助けたりして穏やか、隙がある感じ。 探偵的な蘊蓄も会話の中で出てくるのでへぇ〜と思って読みました。 人気な理由がわかりました。 今まで読んだ中でトップクラスに疲れた平家物語 横山光輝starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男これで初めてみんなが「横山光輝」の絵が区別がつきにくいと言っていたのがなんとなくわかった。 「三国志」「武田信玄」「武田勝頼」「伊達政宗」「項羽と劉邦」などは比較的に前提知識がある状態であり、兜/鎧/着物/髪型/髭などの複数の要因で登場人物の判別がしやすいがこの「平家物語」の内容自体よく知らないし烏帽子/着物あたりで登場人物の判別を繰り返す事になり、登場人物の判別で読解力を使い本編の内容があまり理解できなかった。 多分あと三回くらい読めば本当の面白さが理解できそう知らないことだらけまんがサイエンス あさりよしとおhysysk結構前の作品なのに、今読んでも驚くような内容。カニの殻の成分が色んなとこで有効活用されてるとか、牛乳からボタンや服を作ってるとか全然知らんかった。単なる雑学の寄せ集めじゃなくて、科学的な知識を元にしたアイディアとか合理的な思考が描かれているのがめちゃくちゃいい。短くてテンポもいいしどんどん読んで賢くなりたい。女子ちょっと集合〜!ヤンキーがアイドルになるマンガだよ!ヒマワリ 平川哲弘たか「んもー!!こんなに面白いなら早く言ってよ〜!!」と言いたくなったマンガ。女子はちょっと悪い男の子とアイドルが好きですからね(諸説あり) 1話はある広島の田舎町で、男の子2人が伝統の神楽を舞うシーンから始まる。 もーーッ!!1人で舞ってても格好いい神楽を2人で息ピッタリやっちゃうとかさぁ、も゛ーーッッ!! でもちょっと待って!! どう見ても表紙ヤンキー漫画じゃない??そう!何を隠そう、蓮と清春はケンカばっかりのヤンキーで、幼馴染で、神楽のかけがえのない相方なんです!! しかしある日、清春は蓮と神楽を捨て町を去る。次に姿を現したとき、清春はテレビの中でトップアイドルになっていた―――。 というわけで、連は清春と同じ舞台に再び立つため東京で養成所に入る。 この養成所ってのが木造の古い旅館のような建物で、ここに住むポッチャリ、俳優の二世、漫画家志望、ちっちゃいヤンキーと共にアイドルを目指すことになるのです…! アイドルに夢中になったことがある人なら、この養成所の部分は語らずともどんなにドラマチックか想像できると思います。 そしてこのマンガはクローバーの平川哲弘が描き週刊少年チャンピオンに載ってるだけあって、とにかくヤンキー力が高い(アイドルものとは思えないケンカ率)。 つまり!! ・アイドル業界 ・ヤンキー業界 の2つの領域でそれぞれ熱い戦いを見せてくれる最高の漫画なんです…!!! そもそもよく考えたらヤンキーもアイドルも、仲間を大切にして夢に向かって頑張るんだから似たようなもんですよね。 男の子たちの血と汗と涙の青春。読めば必ず箱で推したくなります…!! ヤスダスズヒト新連載ブーツレグ ヤスダスズヒトmampukuあーもう最高。大好き。「夜桜四重奏」のヤスダスズヒト先生がこれほど素晴らしい少年漫画を新連載してくれるなんて願ってもみなかった。 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156648232530 ぱらぱらと読んでみるとホントにヨザカルの人ぉ!?って感じだけど、強くて不敵ででもどこか隙のあるお姉さん(しかも何故かナース服w)をみてこれは紛うことなくヤスダ先生の作品だわと確信。 それにしても、3大少年誌でさんざんやり尽くされてハードルが高いとされるバトルファンタジー漫画も図抜けた実力者がやるとこんなにも新鮮でスタイリッシュで面白くなるのか……というより、少年漫画を散々読んで読み飽きた我々大人だからこそヤスダ先生の凄さがわかるのかも。そういう意味では「大人向け少年漫画」と言えなくもない。真島ヒロさんや久保帯人さんのようなキャリアの長い実力派の作家が少年漫画を書き続けることにはやはり意味があるのだな。FGO宮本武蔵が主人公の1.5部コミカライズFate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 TYPE-MOON 渡れいmampukuFGOのコミカライズも本編スピンオフ合わせると数多いですが、その中でもこの作品はかなり絵が良いです。 武蔵を主人公に据えた途中のエピソードなので、本編のシナリオやほかのキャラクターをある程度把握しておく必要がありますが、人気キャラだけあって非常に魅力的ですね。 苦戦して共闘したり成長したり、人懐っこさも含めあまり英霊っぽくなく、主人公主人公してて好きです。絵が動くアリオン 安彦良和(とりあえず)名無しアニメーターという「絵を動かす人」が漫画を描いたら、紙の上でどのくらい「絵を動かす」ことができるのか、その恐るべき力を見せつけた快作である。 アニメーターが描く漫画と言えば、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』漫画版が有名だと思うが、連載時期がかなり重なるこの『アリオン』は、「絵が動く漫画」として、勝るとも劣らない素晴らしさだと思う。 漫画とアニメの二刀流だった神様・手塚治虫の出世作『新宝島』は、まるで映画のような臨場感溢れるダイナミックな画面構成で、多くの読者に衝撃を与え、現代漫画の始まりを告げたのだから、そうした「動く絵」の魅力は、漫画の本質的な要素だと思うのだけれど、最近の漫画界にはそういうタイプのヒット作が少ないのは残念だ。 安彦良和は以降、漫画家として多くの作品を発表しているが、この第一作ほど「絵が動く」魅力に溢れる作品はないように思う。 息子、いい子通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? 飯田ぽち。 冥茶 井中だちまmampuku くっさいしょーもないタイトルだなぁと思いつつも絵が好みだったのでつい読んでしまった……。 ちゃんと「ゲーム内世界」という舞台設定だったので安心しました。「異世界」でスキルとか属性とかやはり言われると少し萎えるので。。 ともあれ内容ですが、最序盤の第一印象としてはまぁ読みにくいったら。キャラ付けのためにか皆よく喋るのですがそれが冗長というか、無駄なセリフが多すぎてテンポよく読めない。絵も構図もそれほど上手いとはいえないですが、やはりそれ以上に言葉選びのイマイチさが目立ちます。 とはいえ「親同伴で冒険に出る」というのはアイデアの勝利だと思うし、ゲーム内世界という特殊な環境をメタな笑いに昇華してるのは上手いです。最初に出会った王様が「だってNPCじゃし…」と説明を面倒くさがるくだりの脱力感(笑) あの一言でこの作品がなにを狙っているのかがだいたいわかりました。異世界へ旅立ってからが本領発揮ですね。メタネタだけでなく、思春期の親子の微妙な距離感がほほえましく、単なる「バブみ」を売りにした漫画ではないんだなと良い意味で裏切られました。これは萌え漫画じゃなくてギャグ漫画なんだなと判ってからはとても楽しく読めています。ラブコメでありラブシリアスな傑作初恋ゾンビ 峰浪りょうふな平成を代表するラブコメ漫画。ニヤニヤ無しでは読めない展開で読者を悶絶させたかと思えば、キャラの悲しさや苦しさがダイレクトに読み手に伝わるような心に迫ってくるシリアスな展開は、見事と言うしかない。作中で少しずつ育っていく、幼馴染の恋は必見……!ジャンプで今1番面白い漫画アクタージュ act-age 宇佐崎しろ マツキタツヤニノ絶対に読むべき漫画 全盛期マガジンの後ろの方に載ってた漫画伝説の頭 翔 夏原武 刃森尊mampukuあらすじ割愛 「ゴリ夫」と共に、00年代初頭というマガジン全盛期に誌面の後ろの方で細々としかし短くない期間続いていたヤンキー漫画。正直あまり絵は上手くなく、似たような角度ばかり描くので毎週毎週いつも既視感の塊のような構図と絵面だったのが何より印象に残っていますが、ついつい飛ばさず読んでしまう不思議な魅力がありました。キャラが良かったですね。本田圭佑が『ファンタジスタ』に電撃移籍!!ファンタジスタ ステラ 草場道輝 本田圭佑ANAGUMAつまるところ本作は「本田圭佑がファンタジスタの世界に現れた件」であり、本田圭佑の異世界転生ものです。 恥ずかしながら当方ファンタジスタ未読ですが、ファンタジスタのキャラが日本代表になった時系列であること、そこに平然と本田圭佑が紛れ込んでいること、そしてなぜか違和感がないことは一瞬で理解できました。 ちょっと話題になった「ボランチなんてようせんで」など本田ファンのツボを押さえたセリフやエピソードも盛りだくさん。 マンガの中でも本田が世界と渡り合っている姿はグッと来るものがあります。 なにより坂本轍平らマンガのキャラと並んでも遜色ない存在感を発揮しているのがすごい。 きちんと彼らを引き立てて導いていくのは実在の選手ならではのパワーなのかもしれません。 プロフェッショナルことケイスケホンダの活躍がマンガで読めるのはファンタジスタ ステラだけですよ!※表紙のブラジャーは実在しますが作品には登場しませんいぐのべる ブラジャーはガスマスクになるんですか? 高田桂 bikisogor25理系のちゃんとした学術知識を上手く使ってバカエロコメディを描きたい…そうだ!イグノーベル賞をテーマにしよう! …という背景があったかはわからないけど、真面目さとアホさのバランスがちょうどいいコメディに仕上がってる。 実際、特に理系分野でイグノーベル賞を獲るのって至って真面目に研究してきた結果である場合が殆どで、この作品ではその「真面目だけど(一般人目線だと)変わってる」感じを上手くデフォルメして「真面目だけどアホ」な感じに変換されているので、引け目なしに笑える作品になってる。 登場人物全員がいい意味でバカなので、意外と「ぐらんぶる」や「惰性67パーセント」みたいな作品が好きな人には相性がいいかもしれない。 1巻まで読了 水木しげる先生の自伝的漫画のんのんばあとオレ 水木しげる漫画大全集】 水木しげる猫あるくこの漫画を読むと大人になって忘れていた小学生の頃の自分が持っていた、純粋な気持ちが少しだけ蘇ってくるような気がします。 水木先生の優しさが大好きなんじゃー!くく…大葉は合法ハーブの中でもとびきり最高だ紺田照の合法レシピ 馬田イスケひろりんぬTwitterで話題になってて読んでみたらうけるw<<276277278279280>>
この作品が「ガンダム」というコンテンツに興味のない方は恐らく手に取る機会は全くない漫画だということは、嫌になるくらい理解しています。「ガンダム好き」で「漫画好き」という市場はニッチでしょうし、たとえガンダム好きでも若い年代に訴えかけるような派手さには欠けているとも思います。 しかし、この作品の存在は「ガンダム」という作品の成熟を示しており、読み終えた時に感じる充実感は、ちょっと他では味わえないなあと思っています。 カイ・シデンという名前は、ガンダムの世界でも異彩を放つ存在です。1年戦争を生き延び、軍に残らずジャーナリストという生き方を選んだのはオールドファンにとっては語る必要のないことですが、どのように生きたのか語られることはあまりありませんでした(基本、ガンダムというアニメが戦場を描いているからですが)。 本作では、ジャーナリストとして中年となったカイ・シデンが、1年戦争の展示のオブザーバーとして自身の体験を語るというスタイルになっています。 そこで語られることは、勿論「原作」に準拠している部分もありますし、知らないと厳しい部分も多々あります。ただ、勿論それだけではなく、行間を埋め、語ることぶき先生の語り口は本当に素晴らしく、漫画の表現としての巧みさを感じます。 正直、ガンダムを知らない人には勧め辛いタイトルではあります。ただ、宇宙世紀のガンダムをある程度知っている方には、是非とも読んで貰いたい作品です。 前述の通り、決して派手な作品ではありません。しかし、原作を持ちつつ、その世界を活かし、新たな魅力を作り出すというのは、メディアミックスにおける成功例であり、漫画という異なるジャンルでこれほど優れた作品に出会えたことの幸福は、まだ出会っていない人に広く伝えたいと思っています。