ストッパー

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名無し

三原心平、18歳。左投げ左打ち。
東京大会2回戦敗退高校のピッチャーで
何の実績もないが、
「大阪ガメッツ以外のドラフト指名を
 避けるために実力を隠した」
と本人は自信満々。
しかし肝心のガメッツは実力不足と判断し、指名せず。
それどころか一位指名の怪物投手・渡の獲得が
難航し三原心平のことなど全く眼中に無い。
その状況から心平は、
ガメッツの渡獲得に貢献することで、
見返りとしてのガメッツ入団を果たす。
実力と無関係?にプロ野球選手になった心平。
そんな心平が開幕一軍入り、さらに大記録挑戦。
足の速さと度胸と発想だけしかとりえが無さそうだが、
メッキが剥げたかと思えば違うどこかがまた光る。
喰わせ者か超大物か?
敵も味方も心平という男を把握しきれない。
そして当の本人・心平は日頃に口にする
大言壮語とは別に誰にもあかしていない
「遠大なる計画」
を心の中に秘めていた。

三原心平、18歳。左投げ左打ち。
東京大会2回戦敗退高校のピッチャーで
何の実績もないが、...
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ストッパー」は1987年に連載を開始した、
ギリギリ昭和の漫画だ。
落合選手が現役で活躍していたり、
時代としては一昔も二昔も前の漫画だ。
だが令和になった今に読んでも、ほとんど古臭くない。
面白さが未だに色あせない。
その原因はプロ野球に付いての
プロという部分についても野球という部分についても
解釈が独特で自由闊達であり、
そのためにプロ野球の面白さを色々な方向で
味わいつくそうという内容になっているからだと思う。
選手や球団、その他のプロ野球というジャンルに関する
殆ど全てのものに関して、真剣勝負から反則から
ファンサービスを含めての興行としての面まで、
全てを楽しみ面白がろうとしている漫画に感じる。
プロ野球ドリームが広がりまくる楽しい漫画だと思う。

かつて水島新司先生が少年マガジンで連載していた
野球狂の詩」のキャラクターが大勢登場する。
(水原勇気は出てこないが)
「野球狂の詩・Ⅱ」という感じすらする。
メッツの誇る鉄人・岩田鉄五郎と
当事で言えば新人類の三原心平が
鎬を削りあう。
まさに
「岩田鉄五郎(53歳)の前に
 最強の敵(18歳)現る!」
という感じ。
いい歳をした男がガキ相手に大人気もなく
ムキになって勝負しているともいえる。
反則までバレなきゃOKという
フェアプレー精神からはみ出した戦いもする。
だが、その本気ぶりには好感をも感じてしまう。
ジジイもガキも、やるじゃないか!
どっちもトコトンやれ、と楽しくなってしまう(笑)。

かつて水島新司先生が少年マガジンで連載していた
「野球狂の詩」のキャラクターが大勢登場する。...

掲載雑誌が「コミック・バーガー」という
けしてメジャーではない雑誌だったからか、
作品の知名度は低い感じ。
たしかこの雑誌は新谷かおる先生が
クレオパトラDC」を連載しており、
自分の印象ではクレオとストッパー
雑誌の看板、2TOPだった。
コミック・バーガーは90年代半ばに休刊となり、
その後に誌名を変えて再スタート。
その後も出版社や名前をかえて「月刊バーズ」
になり昨年に休刊になった模様。
「ストッパー」自体はコミック・バーガーが
休刊になるまえに全106話で連載終了したようだが、
とくに掲載雑誌の都合でストーリーが
はしょられたとか打ち切られたとか
そういう印象は(自分は)ない。
むしろ野球漫画の大御所・水島新司先生が
他誌の連載も忙しかっただろうに、
随分と長期間、ジックリつづけられたものだなあと思う。

心平が常々口にしていた
「遠大な計画」についてはなかなか実行しないので
正直、ハッタリではないか、
水島先生も適当に後付けで考えるつもりなのでは
ないかと思ったりもした。
結局、物語も終盤になってから遠大な計画は
走り出すのだが、判明してみれば
初期設定からちゃんと考えていたであろう内容だった。
なので
「あ、水島先生、ちゃんと考えていたんだ」
と驚いた。
水島先生ゴメンナサイ
でも水島先生は描いている途中に
インスピレーションでストーリーを
変えちゃうこともあるらしいし、
その上、安定経営していたとは言いがたい
雑誌だったのだから場合によっては
休刊廃刊などで未完の作品になる危険も
あったのかもしれない。
そう考えると、106話という充分なボリュームで
中身のある作品が完成して、
それを自分が読めたことを幸運だなあと思う。

掲載雑誌が「コミック・バーガー」という
けしてメジャーではない雑誌だったからか、
作品の知...

野球に詳しいわけではないので
ストッパーという言葉がいつごろから使われ、
野球ファンの間で認識されていたのかは知らない。
自分としては野球用語としてストッパーという
言葉を知ったのはこの漫画を読んでからだ。
それまではストッパーという役目は
「リリーフ」という言葉で認識していた。
いい意味では救援役。
普通にいえば押さえ。
悪い言い方でなら尻拭いみたいな解釈をしていた。
なので主人公・三原心平が
「MVPをとります」と宣言しながら
「ストッパーになる」と言うのが良くわからなかった。
尻拭い仕事でMVPになんかなれるの、と。
そしてそんな漫画、面白く出来るの?と。
野球に詳しい人なら、ストッパーがいかに重要で
楽でない仕事なのかわかったのだろうが。
そんなわけで、私にとっては
野球に関して勉強させてもらって、
ストッパーという役目の重要性や大変さ、
また逆に、先発完投とか完封とかの
価値も改めて判らせていただいた漫画です。

野球に詳しいわけではないので
ストッパーという言葉がいつごろから使われ、
野球ファンの間で...

ストッパー」は、他のプロ野球漫画に比べて
その日の試合に観客が入ったとか入らなかったとか、
選手の年棒がどうとかの話がワリと多いように思う。
球団経営が赤字で危機になる、などの話も出てくる。
そういう儲かる儲けるとか金にまつわる話を
気に入るかどうかは読者次第だが、
私はそういうのは好きだ。

プロスポーツはスポーツという面で見れば
技術や体力やメンタルのいずれもの部分が
トップクラスの人間が集いハイレベルで
競い合う世界だと思う。
しかしプロという面からみれば
ファンを楽しませて金を落としてもらってナンボ、
という点が重要になる世界だと思う。
そしてファンを喜ばせた分だけ、
選手がそれに見合った収入を得たいと
思うことも当然だろうと思う。
けれどアスリート個人を見てみれば
技術体力メンタルをハイレベルで身につけ、
加えてファンを楽しませる才能があり、
プロとして球団経営や興行面の点を
意識し重視し関わる人は限られると思う。
殆どの人がスポーツを始めてプロを目指そうと
思ったとしても、そのときに
「プロスポーツは金を稼いで成り立つ」
とはなかなか思わないだろうから
それは当然だと思う。
しかもファンからしてみれば選手が
「高収入を得たい」と明言すれば
一流選手が高収入を得ることに夢を感じるファンも
いるだろうが、それとは逆に
反感を覚えるファンもいるだろう。
「純粋でない」「金にうるさい」などと。

話がそれるが、
そういう点を、ご本人の無邪気すぎる純粋さで
乗り越えてファンから素直に受け入れられた
スポーツ選手が例えば長嶋茂雄氏などの
スーパースターではないだろうかとも思う。

だが「プロは金」とか「客を呼ばなきゃ意味が無い」
というのは事実だと思う。
「ストッパー」には結構、契約金が幾らだとか
年棒がいくらだとかと話が出てくる。
球場への観客の入りを気にするシーンもある。
ファンからの金返せコールが飛ぶシーンも出てくる。
そのあたりをプロスポーツのリアルな描写、と取るか、
スポーツの純粋性とは無関係な世界、と取るかは
読者次第だとは思う。
ただ、漫画家・水島新司先生はプロの漫画家として
人気を取ってナンボの世界を生きている人だから、
プロ野球のそういうプロの面が気になって、
拘らずにいられないのだと思う。

連載当初の話で、主人公・三原心平が
大物ルーキー・渡の契約に関して
契約金の額やマスコミ対応に関して
暗躍するエピソードが出てくる。
そのあたりは心平というキャラが
普通の野球選手じゃないことを
強く印象付けるエピソードだ。
だがソレと同時に、
水島先生がプロスポーツについて
儲かるとか儲けるとかシビアな面が
ある事を認識していてそれと同時に
プロスポーツ選手の契約金や年棒に対する対応に
関して水島先生が抱いている理想やロマン、
それらを漫画にしたシーンだったのではないか、
そう思う。
プロだったら、金の扱いにも夢を見せて欲しい、
みたいな(笑)。

「ストッパー」は、他のプロ野球漫画に比べて
その日の試合に観客が入ったとか入らなかったとか、...
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