金田一少年の事件簿R

金田一くんの本格シリーズ第三弾!

金田一少年の事件簿R 天樹征丸 さとうふみや
酒チャビン
酒チャビン

一番最初の連載から20年経ち、かなり時代なども変わってきたのに合わせて、金田一くんの作風も結構初期から変貌を遂げています。ネットやスマホなども登場して、かなり現代っぽくなっています。「キター」とか「ワクテカ」とかの用語が出てくるのがほほえましいですね。 全般的に言えることですが、時代の雰囲気を反映して、作風が軽くなってきてしまっているのが、少し残念です。初期のおどろおどろしい感じが薄れ、絵柄もスタイリッシュになってきて、いつ殺人が起こるんだろう・・というハラハラとした緊張感が薄れてしまっているように感じるのです。 ただ、犯人を指摘するために皆が集まったシーンで「あの…私ほとんど出番なかったんですけど…💧」にはクスリとしてしまいましたので、その軽さも悪い面ばかりではないのかなとも思います。 個人的には二事件目の「亡霊校舎の殺人」がヒットでした!基本「校舎もの」が好きなのと、あとはシリーズ屈指の思いもかけないトリック!!!!これは過去最大級に予想を裏切られました・・・。 また「秀央のホームズ」こと明智さんが主人公の短編も2編含まれています。そのうちの1編での決め台詞「ギリシャ神話の葡萄酒の神 デュオニソス神の何かけて」にシビれます。 あと金田一シリーズは読む順番が分かりにくいので、参考までにメモしておきます。 ①金田一少年の事件簿   LFILEシリーズ(1992~1997)   LCASEシリーズ(1998~2001)   L第2期(2004~2011) ②金田一少年の事件簿 短編集(1997~2000) ③金田一少年の事件簿 特別編(1998~2000)   L明智警視の華麗なる事件簿   L明智警視の優雅なる事件簿 ④金田一少年の事件簿 20周年記念シリーズ(2012~2013) ⑤金田一少年の事件簿R(2013~2017) ⑥金田一37歳の事件簿(2018~)   Lこれだけ金田一が大人です ⑦金田一少年の事件簿30th(2022~) あとこの「金田一少年の事件簿」の収録事件もまとめておきます。 ■雪鬼伝説殺人事件 ■亡霊校舎の殺人 ■狐火流し殺人事件 ■学生明智健悟の事件簿(短編) ■蟻地獄壕殺人事件 ■吸血桜殺人事件 ■なぜ暖炉は燃えていたか?(短編) ■人形島殺人事件 ■ソムリエ明智健悟の事(短編) ■黒霊ホテル殺人事件 ■白蛇蔵殺人事件 ■聖恋島殺人事件 ■金田一二三誘拐殺人事件

ジャングル大帝

アトムより前にはじまった初期の代表作!!

ジャングル大帝 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1950年〜1954年に漫画少年で連載された作品です。アトムより先に始まってます! 小学生のとき、西武の帽子持ってました!!!いとこのおばさんがスポーツ屋に連れて行ってくれて、帽子を買ってくれるというので、色とルックスのカッコ良い西武の帽子を選んだのです!! その時手塚治虫の名や、ジャングル大帝のことは知らなかったのですが、やはりキャラに魅力があったということだと思います!! アニメ化もされていて、名前もかなり世間に通ってると思いますが、意外と読まれてなく、内容も知られてないのではないかと思います。 レオの物語と思われがちですが、パンジャ→レオ→ルネの三代にわたる大河作品です。葵三代に通じるものがありますね。西田敏行さんの秀忠、好きでした! かなり初期の作品なので、読みにくさがあるのかな、と思いきやかなり読みやすい!!というのも、裏話があったそうで、アニメ化の際に、スタッフが絵の練習をしたいということで、一部の方が原稿を持って帰ってしまったそうで、その後紛失したため、15年後に紛失していた部分(主に前半部分)を書き直したそうです。なので、原稿の残っている部分はやはり初期特有の読みにくさがあります。 これは個人的な感想なので、決してディスりではないのですが、書き直した部分が圧倒的に読みやすいのと同時に話もかなり面白く感じるので、やはりコマ割りや絵柄などは、マンガの面白さの重要な部分を占めるのだなと痛感させられます。そういった意味で、興味深く読ませていただきました。 ちなみに最終話を藤子不二雄先生が手伝っていて、ヒゲオヤジなどを一部描かれているようです。私は素人なので、どこが藤子先生の筆によるものかはわかりませんでした。

おなかがへったらきみをたべよう

鬼才・たばよう先生が生み出した残酷絵本 #1巻応援

おなかがへったらきみをたべよう たばよう
toyoneko
toyoneko

たばよう先生は、主としてチャンピオン系列の媒体に作品を発表している漫画家です。 デビュー作は、「TOILETPAPER MAN」。新人漫画賞で圧倒的な高評価を得た傑作です。 https://pyuupa.flop.jp/img/sm79_01.jpg たばよう先生は、その後の短期連載「くろすぶりーど」でもその鬼才ぶりを如何なく発揮し、2ちゃんねるのチャンピオンスレでは特殊な性癖に目覚める者が続出しました。 (なおこれらのデータは週チャンマニアクスから引用しました) https://pyuupa.flop.jp/index.html ところが残念なことに、これらの作品は単行本化されていません。 単行本化された唯一の作品は、宇宙怪人みずきちゃん(全2巻)。この作品も面白かったのですが、残念ながら(おそらく)打ち切りにて終了しています。 たばよう先生は、その後、コミックめづなどでマニアックな作品を発表したりしていたのですが http://www.comic-medu.com/wk/nunonechan 昨年(2021年)、久しぶりにチャンピオン系列の媒体で連載したのが、本作「おなかがへったらきみをたべよう」でした。 マンガクロスで連載された本作は、「今からぴったり10万年前!」を舞台にした、原始人の男の子と、こどもマンモスのお話。 一族が全滅し、一人ぼっちになった男の子と、親に捨てられたこどもマンモスの、一人と一匹の友情が描かれます。 しかし、10万年前の過酷な環境は、男の子に対して、生きるための残酷な選択を迫ります。 一人と一匹は、どのような結末に辿り着くのか…?というお話。 絵柄も素敵です。 もともと、たばよう先生は、ある意味で癖のある絵柄でしたが、今回は、全体的に絵本風に仕上がっており、一枚絵としても非常に美しいコマが多いです(添付)。 ただ、連載時はフルカラーだったものが、単行本化にあたってモノクロになったのは残念でした。電子版だけでもフルカラーにしてほしかった…。 本作は、生きることの過酷さと、我々現代人の傲慢さについて、深く考えさせられる残酷絵本です。全1巻で綺麗に完結しておりますので、興味を持った方は、ぜひ読んでみてください! なお、1~3話はマンガクロスで読めます。 https://mangacross.jp/comics/kimitabe/

鉄腕アトム

言わずと知れた世界のアトム!

鉄腕アトム 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1951年から1968年まで続いたようで大長編マンガです!!!アニメにもなり、アニメは世界中で愛される手塚先生がほこる日本がほこる大名作です! ただマンガの方はやはり今読むとさすがに古式ゆかしい感じがします。当然、当時は最先端だったと思いますが、手塚先生自身がググッと押し上げたマンガの表現レベルにより、ご自身の初期の作風もだいぶ古く見えるようになってしまいました。 連載開始時は「アトム大使」というタイトルで、アトムは脇役だったのですが、故あってアトムを中心に据え、鉄腕アトムとして再出発。そこからヒットにつながったようです。 最終巻の9巻に「鉄腕アトムのおいたちと歴史」というご自身による解説マンガがついているのが面白かったです。また、「鉄腕アトムができる日」という小エッセイも巻末についているのですが、それもめっちゃ面白く、手塚先生の考えを知れて、ためになりました。 ちなみに1巻には、デビュー前の石ノ森先生が大幅に手伝った回(電光人間)が掲載されています。かなり石ノ森先生が書いているようですが、私の目にはどこが石ノ森先生でどこが手塚先生かわかりませんでした。。。

ぼくの孫悟空

ブラック・ジャック創作秘話でおなじみの代表作!

ぼくの孫悟空 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1952年〜1959年に漫画王で連載された作品です。 足掛け8年にもわたって連載された大長寿マンガですが、雑誌掲載時は1回5ページ程度だったとのことで、文庫版にして3巻、1200ページ程度にまとまっています。 手塚先生のアニメ好きは有名ですが、若かりし頃に中国作品の「鉄扇公主」に夢中になっていて、その影響が出ているようです(鉄扇公主みてないのでわかりませんでした。) 当時はかなり人気だったようで、おそらく当時最先端をいくマンガだったことは想像に難くないのですが、さすがに今読むと、読みにくい、わかりにくい部分が目立ってしまいます。 あくまで個人的な感想なのですが、起伏がなく、先が気にならない感じがしました。 ただ、見所だったのが、やはり8年連載を続けているので、後半に行くに従って、かなり読みやすさがアップしていっています。現代のマンガ家さんでも、連載を続けていくに従って実力をアップさせていく例はよくありますが、手塚先生のそれは、マンガ表現の発展をなぞることそのものなので、そういった面ではものすごく興味深かったです。

マグマ大使

子供向けと思ってナメててすいません・・!!

マグマ大使 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1965年〜1967年に少年画報に連載された作品です。 子供向けの特撮っぽいヒーローものかな、と思って、手塚先生の作品を読み漁っていた時ですら、敬遠してましたが、結構面白いです!! 序盤は確かにシンプルな勧善懲悪ヒーローもの+ロボ要素なのですが、物語にスパイスが効いていて、なかなか面白く読めました! 前半部分の敵役のゴアの弱点が「子供好き」という点とかかなりほんわりします。自分が宇宙中で一番醜くて嫌われているので、一番美しい宝の子供たちが大好きという、悪役らしからぬ設定です! 他にも敵が生み出した「人間もどき」のエピソードでは、ちょっぴり後の火の鳥に通じるようなテーマが描かれていたり、所々に見所が散りばめられています! また、絵やコマ割りもすごく読みやすいです! 2/3過ぎたあたりから第2部っぽいものが始まるのですが、敵として魔神ガロンが出てきます。第2部終了後、第3部としてサイクロップス編というのがあったようなのですが、未収録です。 この時期、手塚先生は絶好調だったものの、仕事を受け過ぎていて、代筆部分が多く、自分の作品とは言えないと判断されたようです。