あらすじ

普請奉行の職をたやすくこなした藤吉郎は、信長の信頼をいよいよ厚くし、美濃攻略の糸口として佐久間・柴田が敗退した墨俣に、野武士の蜂須賀小六やその郎党を使い、一夜にして城を築いた。さらに、鵜沼の虎・大沢治郎左衛門と「意気と意気の戦い」をくりひろげ、稲葉山城の斎藤龍興は風前の灯となる。「殿(信長)は人間の心の内にかくされた自信をうまくあおりますが、藤吉郎は人間の欲のありたけを利用します……」と、二人の知恵は着々と天下平定に向っていった。
豊臣秀吉(1)[コミック]

応仁の大乱以後、弱い者は滅び、強い者だけが生き残れるという戦国時代が百年も続いた。天文五年(一五三六)正月元旦、ここ尾張に織田家の足軽で木下弥右衛門とお仲の間に、日輪の子――日吉が誕生した。生まれつき賢く、勝気で鋭い神経をもつ日吉は、光明寺宗忍和尚の「平和は日本一の大将の出現にある!」の言葉に、姉・おみつの叫びを背に故郷をでた……信長の天下平定から家康への架橋となった太閤秀吉の波乱万丈な生涯のスタート!!

豊臣秀吉(2)[コミック]

三河矢矧橋で僧随風(後の天海)に“天下取り”の人相見を受けた日吉……その地で南朝方の血筋・竹之内波太郎の配下である野武士・蜂須賀小六と血盟し、天下平定のために武芸にはげむ。元服後、木下藤吉郎と名を改め、六年の間、美濃・駿府・甲斐ほか諸国の情勢を伺い、織田信長こそ奉公先と定める。自由市場・清洲で前田犬千代につけ入り、いよいよ信長の轡取り・草履取りとなる。そこで、濃姫に仕える浅野長勝の娘・お寧々と出会い、ますます大器・藤吉郎の大ボラが吹きまくる……

豊臣秀吉(3)[コミック]

尾張のうつけ信長のくつわ取りとなった藤吉郎は、前田犬千代(後の利家)を自在にあやつり、あやしげなニセ恋文で寧々の嫁取りを……さらに蜂須賀小六ほか勤皇の志厚い野武士や土豪を、義戦の名目で来るべき日に備えさせた。時に永禄三年(一五六〇)、今川義元は足利幕府に代って幕府をつごうとする野心の上洛であったが、天の時・地の利の信長に、桶狭間で討死。今や戦国の主役に躍り出た信長の第一の家臣・藤吉郎は、台所奉行・薪炭奉行・山林奉行を賜り、その活躍やいかに……

豊臣秀吉(4)[コミック]

普請奉行の職をたやすくこなした藤吉郎は、信長の信頼をいよいよ厚くし、美濃攻略の糸口として佐久間・柴田が敗退した墨俣に、野武士の蜂須賀小六やその郎党を使い、一夜にして城を築いた。さらに、鵜沼の虎・大沢治郎左衛門と「意気と意気の戦い」をくりひろげ、稲葉山城の斎藤龍興は風前の灯となる。「殿(信長)は人間の心の内にかくされた自信をうまくあおりますが、藤吉郎は人間の欲のありたけを利用します……」と、二人の知恵は着々と天下平定に向っていった。

豊臣秀吉(5)[コミック]

稲葉山城主・斎藤龍興を見限っていた美濃の麒麟児・竹中半兵衛も、さすがに藤吉郎のソロバン勘定に一歩ゆずった。さらに藤吉郎は、マムシの道三秘策の稲葉山城搦手を探るうち、織田信清の家臣・堀尾吉久母子から後の馬印・千成瓢箪を得、名も丹羽の羽、柴田の柴、光秀の秀の文字を使い、羽柴秀吉と改名。信長は焼払った美濃の町を中国・岐山の故事にならい、この地を岐阜と改め、天下は武力で取るものと「天下布武」を宣言し、朝倉に頼る足利義秋公を擁して上洛の道を一歩一歩と……

豊臣秀吉(6)[コミック]

東に武田、北に朝倉、阿波に三好、南近江に六角からの包囲の中、信長は妹・お市を浅井長政に嫁がせて北の守りを固め、義昭公を第十五代将軍にすえ、永禄十一年(一五六八)九月に上洛。元亀三年(一五七二)、越前攻めのおりに殿軍の大役をつとめた秀吉の武名は高まる一方。さらに秀吉は、小谷城の佳人を救うべく長浜に陣をしく。天下一統を急ぐ信長は、姉川の合戦を経て天正四年(一五七六)まで、本願寺門徒を追い、叡山を焼き打つなど阿修羅のように荒れ狂い……

豊臣秀吉(7)[コミック]

信長を失った織田家中で、中国毛利攻めからいち早く行動を起し、小栗栖で光秀を討った秀吉であったが、跡目相続の清洲会議で家中は分裂。そして天正十一年(一五八三)、賤ヶ岳の戦を経て、北の庄城で柴田勝家を壮絶な死に追い込む。かくして、足軽の子から身を起し、知恵と奇略を縦横に使い、その人生を疾駆して天正十三年、壮大な大阪城を完成。朝廷もその実力に対し、関白そして太政大臣の位と豊臣の姓を授け、ついに名実ともに天下人となる。しかし、彼の晩年は……

豊臣秀吉

横山先生による豊臣秀吉

豊臣秀吉 横山光輝 山岡荘八
酒チャビン
酒チャビン

原作は山岡荘八先生の小説のようです。全7巻なのですが、前半生に重きが置かれており、特に子供の頃から墨俣城の築城くらいまでをしっかりと丁寧に描かれています。それがとても新鮮で、知らなかった情報もかなり入っていてすごく楽しめました! 柴田勝家さんを倒したあたりで終わってしまったのが心残りです。最後のコマで「晩年の秀吉はあまり良くないこともあった」みたいな締めをされていたので、そういった部分を描写するのが忍びなかったのかもしれません。 そういった負の部分に目を瞑って、いい感じに描くこともできたはずなのに、それをしないところが横山先生の美徳だったのでしょうか。潔す!! 全編を通して秀吉は頭が切れる弁舌家として描かれてますが、それが少し鼻につくことがありました。たまに出てくる寧々様が嗜めてくれ、道を外さずにやってこれたのですが、それがすごく良いです。豊臣秀吉さんがあそこまで立身出世なすったのは、ひとえに寧々様のおかげだと感じました。 あと蜂須賀小六さんが知略の男として描かれているのもビビりました。完全に猪武者の張飛タイプだと思っていたので。信長の野望 戦国群雄伝でも政治28でしたからね。。