あらすじ

弁天(べんてん)が虚空族(こくうぞく)になったのは、ある男を探し出すため。ようやく手かがりを掴んだ弁天は、彼を追い詰めた。銀行強盗を働き、少女を連れて逃亡していたイレズミの男・南宮(なんぐう)。長い月日を経ての再会は、弁天に遠い記憶を蘇らせる。まだ人間だった頃、鷹弥(たかや)と呼ばれていた頃の事を……。
鬼外カルテ(1) 水中童子

人間になりたくて、地上にあがった河童(かっぱ)の少年・星河(せいか)。人間になるためには誰かの“身も心も”手に入れて、その魂を奪わなければならない。星河は章吾(しょうご)という少年の魂を狙うが、いつしか彼に心惹かれていってしまう!!妖異族・河童のせつない恋の物語!!

鬼外カルテ(2) GoIden Child(1)

たった今、目の前で事故で死んだはずの双子の姉が、泣き叫ぶ実(みのり)の前に現れた。何かが違うのだが、実はそれを姉だと信じた。だが、実の声に呼ばれてやって来たのは、本当は座敷童子(ざしきわらし)だった。実はすべてを忘れ、仲良く姉・真(まこと)とともに育つが、座敷童子の成長には限界があった……。

鬼外カルテ(2) GoIden Child(2)

真(まこと)の姿を捨て、実(みのり)のもとを去った座敷童子。座敷童子を“GoldenChild”と呼び、探し続けていた遠山と契約し、彼の望む醒夢(せいむ)という少女となったのだ。だが、火事で何もかも失った実と醒夢は、ともに記憶のないまま皮肉な再会をし、強く引かれあっていく……。番外篇「X-Day」も収録!!

鬼外カルテ(3) 花も雪もきっと…(1)

時は元禄時代。十郎左(ジューローザ)は、ある日奇妙な赤ん坊を拾った。耳としっぽのついた女の子。菊となづけた彼女は言葉もしゃべれるのに、十郎左以外の人間は犬の泣き声にしか聞こえないし、犬の子にしか見えないらしい。菊は本当は雨(ビィ)という名の狗国(くこく)の民だったのだが……。

鬼外カルテ(3) 花も雪もきっと…(2)

美しく成長した雨(ビィ)は十郎左(ジューローザ)を恋い慕うようになる。だが、十郎左の中には消し去れない面影が一つ。彼は亡き主君の仇討ちを狙う赤穂浪士(あこうろうし)の一人・磯貝十郎左衛門(いそがいじゅうろうざえもん)だった。雨の思いはつのっていくが、吉良邸襲撃の日は目前に迫っていた……!!胸に痛いラブ・ストーリー!!

鬼外カルテ(4) 1/2<One half>

下っ端のヤクザの篠田吾郎(しのだごろう)は、銃で撃たれて死んだはずなのに、気がついたら怪我もなく生きていて、しかも名前も知らない青年になっていた。おまけに、「相方(あいかた)」と名乗るヤツが、自分たち二人でお笑いで天下をとるんだという。どうやら別の人間になりかわって生き返ったらしい……!?

鬼外カルテ(5) なつゆき姫

「雪女」と書いてゆきめ。花屋でアルバイトをしている彼女は、実は正真正銘のゆきおんな。母がいなくなってからずっと独りだった彼女は、人間の魂を奪って子供をつくろうと考えていた。そんな彼女が出会ったのは……!?表題作の他、天邪鬼(あまのじゃく)を偶然拾った少女の本気の恋と別れを描いた「X-Day2」も収録。

鬼外カルテ(6) Shiranami~白浪~(1)

弁天(べんてん)が虚空族(こくうぞく)になったのは、ある男を探し出すため。ようやく手かがりを掴んだ弁天は、彼を追い詰めた。銀行強盗を働き、少女を連れて逃亡していたイレズミの男・南宮(なんぐう)。長い月日を経ての再会は、弁天に遠い記憶を蘇らせる。まだ人間だった頃、鷹弥(たかや)と呼ばれていた頃の事を……。

鬼外カルテ(6) Shiranami~白浪~(2)

鷹弥(たかや)は武士を捨て家を捨て、「おかしら」のもとで義賊(ぎぞく)となった。自分たちの正義を貫き、新しい国を作る。理想と戦いの混沌(こんとん)の中、鷹弥には自分に想いをよせる、しずくの気持ちも南宮(なんぐう)の気持ちも顧(かえり)みる余裕はなかった。しずくは去っていき、そして……。

鬼外カルテ(6) Shiranami~白浪~(3)

夢の終わりの時がきた。京に潜伏していた鷹弥(たかや)=弁天は捕えられ、おかしらや仲間たちも捕まった。だがおかしらの命(めい)で脱走し訪ねた遊女は、絶命寸前のしずくだった。すべては南宮(なんぐう)の裏切りから……。一人生き残ってしまった弁天は南宮を憎む。だが、今、すべてが明かされようとしていた……。

鬼外カルテ(7) さとり宿の主人

「好きよ、覚」。女はにっこり笑ってそう言いながら、裏切り続けた。恋に傷つき、人に傷ついた「さとりの妖怪」、覚。人の心がわかってしまうが故の苦しみ。覚は人間たちのもとを離れ、山にこもった。そして時は流れ、癒されぬ人恋しさに、彼は気づく。狐たちとともに山間の静かな温泉宿の主人となった覚のもとには、今日も心傷ついた人々がやって来る……。やさしく深く人の心の扉を叩く「鬼外カルテ」シリーズ第七弾!!

鬼外カルテ(8) マチビト

愛しい女を待たせ続けた。それは、二百年も前、もう取り返しのつかない過去のこと。今またテングの前に現れた、人待ち顔の少女。癒されぬ過去の傷に苦しむテングは思わず彼女に声をかけるが、彼女は自分を傷つける行為を繰り返す、孤独な少女だった……。傷つき彷徨い続けた孤独な魂がふたつ、巡り合い、惹かれ合う。だが、その頃、「大天狗の大将」の目覚めが近づいていて、否応なくテングは巻き込まれてしまう……!?人と、人ならざる者の恋を描く『鬼外カルテ』シリーズ第八弾!!

鬼外カルテ(9) プリンス・マーメイド

夢を語り、自由奔放に生きた父が海に消えて八年。残された家族を守り肩をいからせて生きてきた風渚生の前に、金髪碧眼の美少年が現れた。なんと彼は海の王国の第七王子で、風渚生に求婚するために地上にやって来たのだと言う……!!海辺の町を舞台におくる「鬼外カルテ」シリーズ、第九弾!!

鬼外カルテ(10) ゆめに雪 そらに花

悲しい恋をした三百年前。それは赤穂の国のひと。眠っていても忘れることのない、大好きなジューローザ。あの恋は、きっとまだ、つづいている……。亡くなった赤穂浪士を三百年も待ちつづける妖異族の少女・ビィに、悪夢喰らいの獏の少年が囁きかける。「ジューローザに会わせてやるよ」――。ビィの長いながい恋は、果たして叶うのか……!?「花も雪もきっと…」待望の続篇!!

鬼外カルテ(11) ミナス・ダ・プラタ

「銀鉱山王国最後の財宝を探そう」。鬼外のもとに届いた、一通のメール。それは昔なじみの妖怪からのものだった。閉山した銀山の街に、ワケありの人々が集う。彼らを集めたのは、不思議な青年で……!?銀鈍色の王国の夢が、今、よみがえる……!!

鬼外カルテ(12) 猫の王国

猫を自在に操れる不思議な青年。ぬいぐるみの黒猫ケットシーを抱えた少女・美埜。青年は美埜にカシャと名乗り、自分は猫又だと笑う。美埜はカシャに、ケットシーのためにどこかにあるという『猫の王国』を見つけてくれと頼み、ふたりの秘密の暮らしがはじまる……!!こころ揺さぶる“あやかし”と“ひと”との絆を描いたシリーズ、最新作!!

鬼外カルテ(13) 太夫(1)

もう一度、その男と巡りあいたい――。ある出会いが、太夫の記憶を揺さぶる……。それは、もうずっと遠い昔、吉原に売られた幼い子供の頃。やがて出会い、初めて愛したひとのこと。“虚空族”となった今も、太夫が待ち続けるのは誰なのか。永い、激しい恋の物語の幕があがる――!!

鬼外カルテ(13) 太夫(2)

「心と体、両方の真を尽くす相手は私ひとり」。初めて恋した島田にそう言われ、ゆきは彼を裏切らないと約束する。だが、江戸の大火の後、島田は行方不明に――。やがて高尾太夫となったゆきの前に仙台藩主が現れる。そのまっすぐな気性に惹かれていくゆき。だが、この恋の結末は……!?そして、現代。“太夫”の前に現れた凪という青年と翼という少年は、何者なのか……。太夫の永い、恋の物語が終わる――!!

鬼外カルテ(14) 非常ノヒト(1)

ビィが消え、弁天はそのかけらだけ。そして、太夫も去った……。ひとり残った鬼外は、自らのルーツを辿る旅に出ることになる。彼の胸によみがえるのは、遠い遠い記憶。その昔、天才といわれ藩主にとりたてられた少年、長じて、平賀源内と名乗るようになった男のこと――。心ふるわすロングシリーズ、ついに最終章が開幕!!

鬼外カルテ(14) 非常ノヒト(2)

他藩への仕官は許さない――。支配者である藩主の束縛から逃れた代償は大きかった。源内は、「鬼」から逃れるため、何にも捕われないため、より高みをめざし、本草学界に名を為していく。やがて燃えぬ布・火浣布を開発した彼は、時の権力者・田沼意次からの呼び出しを受ける!!そして、源内を待つ、もう一つの出会い……。

鬼外カルテ(14) 非常ノヒト(3)

源内は、直武の才を見抜き、江戸への道を拓く。だが、心の内なる鬼に追われ、己は何かを成し得たかと、焦燥を募らせる日々……。そんな源内を救ったのは、直武の絵と、まっすぐなその瞳だったのだが……。鬼外カルテシリーズ、完結!!