あらすじ最後の平和を、目一杯楽しんでね。門出を救うために別の『平行世界』から来たタイムトラベラーである凰蘭。彼女の秘密を知った、大葉とマコト。穏やかな日常は静かに、確実に変化する。崩落し始める母艦。混乱を極める国家。人類終了のタイムリミットが迫る中、少女達の想いが、運命が、揺れ動く――
【5巻まで読了】 浅野いにお先生、達観しすぎて、言語化もビジュアル化もあまりに上手すぎて、才能が暴発しまくってる感じがあまりにも尊い。 世界をより高い視座から見渡すべきだというリベラルな思想と、それを万人たる読者に伝える難しさが、ある意味ハレーションを起こしたように、意地悪で冷笑的にも映る全方位射撃的な描かれ方が、序盤は特に強く感じられる。 しかし、ここまで散りばめられてきた伏線が回収され、少女が異邦人と果たして出逢い、ぼかされ続けた衝撃の真実が明かされた5巻は、感情を揺さぶる◯◯シーンで締めくくられる。 人間、特に現代人は、こと思想とかの話になると、言語化と説明能力(アカウンタビリティ)が不可欠であり、言語による対話の力を盲信しているフシがある。しかし実際には、身体感覚や感情の揺さぶりも同じくらい立派なコミュニケーションなのだ。 『デデデデ』は、お互いに言葉が通じない同士の、非言語コミュニケーションの物語であり、それがここまででもっともわかり易く表れた5巻だったように思う。