あらすじ主人公・辰木桂(たつきかつら)が暮らす神戸の街を、彼女の家族や大学の友人との人間関係を通して描いた“神戸体験紹介記”漫画。第31話「初めて大阪に行った日。」ほか第26話から第36話までを収録。――読めばきっと神戸に住みたくなるはず!?
海と山の間のわずかばかりの平地で18年間育った私にとって、神戸は好きな街、というよりは憧れに近い街。神戸初体験は受験のときで、海はあるわ、丘はあるわ、繁華街に異人街に大学に、そして食べ物もおいしいと、ほんの少しの滞在経験で街にひと目ぼれしたような感覚になり、住んでみたいと思いました。この作品を読むと、その時の気持ちがよみがえります。神戸の大学に通う主人公の女性のモノローグで話が進むエッセイ風漫画。神戸の紹介的な部分だけがクローズアップされてるわけではなく、そこに暮らす人々のようすや友達のこと、お祭りなどのイベント、出会いと別れ、そして震災と、街のさまざまな側面を描いていて、タイトル通りの在住疑似体験ができます。コマの間に入る手書き文字や、トーンを使わない画風などもあって、全体としてほんわかとした雰囲気。ですがドキッとするセリフも出てきて、作者の土地に対する誇りやこだわりがいいアクセントにもなっているよう。う~ん、やっぱりいつかは住んでみたいと思ってしまいますね。けれどもうしばらくはこの作品で我慢します。