あらすじ

自分の娘・光(ひかり)がサトラレだと気付いてしまった西山幸夫(にしやま・ゆきお)。周囲との接触を断ってしまった西山を救えるのは、妻・小松しかいない。長い間、西山を支えつづけていた小松の本当の愛を知り、核融合発電研究にもう一度携わる決心をする西山。しかし、その西山をテロ集団の銃弾が襲う!死の瞬間、西山の思念波は娘・光へと受け継がれた。優秀なサトラレを失ったショックから立ち直るべく、サトラレ対策委員会は、新たなサトラレとの共存を模索しはじめる――。悲しくも優しい人間たちの絆(きずな)の物語、サトラレ第1部完!!
サトラレ 1巻

「サトラレにサトラレであることを気づかせてはいけない」――“サトラレ”とは正式名を「先天性R型脳梁(のうりょう)変性症」という謎の奇病によって、口に出さずとも自分の考えが周囲の人に“悟られ”てしまう不思議な能力の持ち主のコト。そして、例外なくあらゆる分野で天才的な功績を残すほどの才能を持つ彼らを、密(ひそ)かに保護するサトラレ対策委員会。これは、サトラレの青年・西山幸夫(にしやま・ゆきお)と彼を警護する小松洋子(こまつ・ようこ)、そして……その他大勢による少し不思議な物語。

サトラレ 2巻

「サトラレ同士を出会わせてはいけない」――祖母を亡くしてから仕事に没頭する日々を送っていたサトラレの医師・里見(さとみ)は、久しぶりの休暇に祖母の墓参りへ行くことに。しかし目的地の寺は、幼年期のサトラレが自然に安全に暮らせるようにと、政府が極秘裏に作った“サトラレの町”にあった。そこには浩(ひろし)というサトラレの少年が暮らしていて、何も知らない二人の接触を避けるために万全の準備が整っているはずだったが……!?

サトラレ(3)

1960年代後半。大学に入学し、念願の一人暮らしを始めた青年・国光(くにみつ)ひろみ。新居の古いアパートに入った彼は、そこで頭の中に響く謎の声を感じる。戸惑う国光の前に現れたのは、彼の下の部屋に住む唯一の住人・椎名由紀(しいな・ゆき)。彼女はまだ世間にこの病気が知られていない時代の、最初のサトラレだった――。ある日、国光は大学の一方的な学費値上げに反対する学生運動に参加することになるが……!?

サトラレ(4)

元はと言えばサトラレとその警護役という関係だった西山(にしやま)と小松(こまつ)。そんな二人の間にも、ついに元気な女の子・光(ひかり)が誕生!しかし喜びも束の間、サトラレである可能性のある娘と一緒に暮らすことができない西山を北海道に単身赴任させ、再会するときにだけ父と子の両方に身代わりを立てるという苦肉の策がとられることになった。こうして始まった新たな生活だったが、光が思念波を出しはじめる前に一緒の思い出を作ってあげようと、小松は娘を連れて北海道へやって来たが……!?

サトラレ(5)

なにげない出会いのときから惹(ひ)かれながらも、自分にはないと思っていた汚い部分を見つけてしまったことで、美咲(みさき)との約束を破ってしまった浩(ひろし)。だが、そんなとき同じサトラレの白木(しらき)の中にも自分と同じ弱さがあることを知り、浩はついに白木と会う決心をする。その頃、美咲は浩が来なかった理由を知るために、名前も知らない少年を探して彼らのいる島へたどり着くが……!?

サトラレ(6)

核融合発電実現のため、北海道へ単身赴任中のサトラレ・西山幸夫(にしやま・ゆきお)。しかし、天才的な彼の頭脳をもってしても、壁にぶつかり研究はストップしていた。莫大な費用と労力を必要とする国家のサトラレ対策委員会は、西山の処遇を検討しはじめる。西山にサトラレ告知をし、外科手術を施して普通の人間に戻すというのだ。サトラレ先進国であるアメリカの例を知り、苦悩する対策委員・木下。西山にとって本当の幸せとは手術か、それとも……?

サトラレ(7)

サトラレとは、周囲の善意に守られて生きている弱い存在。しかし、川又忠(かわまた・ただし)は悪意をむき出しにしたサトラレだった。彼の強い思念派に影響され、周囲が少しずつ狂っていく。これ以上の警護体制を保障できないと判断したサトラレ対策委員会は、彼を手術で通常の人間へと変えた。そんなとき、北海道で研究に没頭していた西山幸夫(にしやま・ゆきお)の核融合発電の研究が成功した!喜ぶ西山と小松だが、核融合発電を阻止しようとする組織の陰謀で、命を狙われる西山。対策委員会は西山の処遇を検討する――。

サトラレ(8)

自分の娘・光(ひかり)がサトラレだと気付いてしまった西山幸夫(にしやま・ゆきお)。周囲との接触を断ってしまった西山を救えるのは、妻・小松しかいない。長い間、西山を支えつづけていた小松の本当の愛を知り、核融合発電研究にもう一度携わる決心をする西山。しかし、その西山をテロ集団の銃弾が襲う!死の瞬間、西山の思念波は娘・光へと受け継がれた。優秀なサトラレを失ったショックから立ち直るべく、サトラレ対策委員会は、新たなサトラレとの共存を模索しはじめる――。悲しくも優しい人間たちの絆(きずな)の物語、サトラレ第1部完!!