あらすじ名人と謳われた祖父より江戸そばの技術を伝授された矢代稜。今回は、ヤル気をなくした漫画家を鼓舞するため、トマトを使った変わり蕎麦、“赤茄子切り”を作る。そのトマトというのは、漫画家の彼を心配する彼女が、トマト農家である自分の実家から送ってもらったもの…しかし、彼はそんなトマトにトラウマがあり!?さらには、必要以上に有り難がられる“手打ち”と、なぜか悪者にされがちな“機械打ち”という二つ言葉の意味と、その歴史に隠された真実に迫る!
蕎麦は和食の中での一料理として立場を確立はしている。 しかし和食について語り話題にする場では そこそこ以上の評価はあまりされていない気もする。 和食は美味しくてヘルシーで見た目も美しい、とか、 煮物や焼き物は素材の味を引き出している、とか、 天ぷら・寿司・鰻がいかに美味しいか、とか そういうことについて語ったものは多いが、 意外に蕎麦そのものについては熱く深くは 語られていない印象もある。 立ち食い店もあれば老舗名店もあるし、 家庭で普通に気軽に茹でたりもするし、 職人しか作れない手打ち蕎麦もあるし、 広くて深くて面白くて美味しい存在だと思うのだが、 一部の「通」と言われる人以外はあまり興味をひかないみたい。 それは多分、見た目に地味だとか、 脂肪分とか糖分とかの判りやすく刺激的な美味さよりも、 風味や旨味といった感覚的な美味しさを味わう存在 だからかもしれない。 インパクトに欠けるから、ともいえるかも。 しかし「そばもん」を読めば、蕎麦をもっと知りたくなる。 食いたくなる。味わいたくなる。 そして知って食ってスッキリとなれる。 蕎麦なんて嫌いだ美味しくないし、という人や、 蕎麦なんて立ち食いでサッと安く喰えりゃいい、という人や、 逆に、いや蕎麦は美味しいよ最高だよ、という考えの人や、 それぞれの人達に 「え、そういう食べ方って美味しそうだね」 「そうか今度はそうやって味わってみよう」 と思わせる面白い話が満載されている。 家で茹でて食べる蕎麦をより美味く味わう方法。 多数ある蕎麦屋の中から自分の好みの店を探し出す方法。 手打ちにも機械打ちにも良さ悪さがあり夫々が存在する意義。 蕎麦がいかに日本各地に根付き発展し様々な形態に至ったか。 読んだら 「今日は蕎麦を食おうかな」 となり、食ったら 「明日は、今日と違う蕎麦も試してみようかな」 と、なってしまう漫画(笑)。