チ。が好きで、試しに読んでみたが魚豊さんの漫画はやっぱり面白い。 シンプルな言葉がズンと来る感じが、重たくて良い。
個人的仮説として、この世のスポーツ漫画は大きく4つに分類できるとする。 ①ビジュつよつよ型 ②必殺技「なにィッ!」型 ③精神性特化型 ④設定展開運転型 仮に例をあげると、①:『スラムダンク』『黒子のバスケ』②:『キャプテン翼』『テニスの王子様』④:『ブルーロック』で、弱虫ペダルは③にあたると考えています。(※異論他論認めます。個人的な見解です) ほかの分類は他で述べるとして、何をもって〈精神性特化型〉と言うかですが、基本的に弱虫ペダルの根幹はキャラクターの『気持ち』が非常に重要な鍵となっていると感じます。 日本であまり馴染みがなかったこのサイクルロードレースという分野をここまで認知度をあげ、経済的にも大きく影響を与え、ロードバイクの売上に寄与できたのか。何故ガチ沼した当時、私に20万以上もするデローザのロードバイクを買わせしめたのか。 全てはレース中の精神性、個々のキャラクターの精神状態、心理描写の熱さ、個々の気合、何を持って〈勝ちたい〉のか。それぞれの強い想いの描写が作品パワーを感じさせる重要な一因となっていると感じます。弱虫ペダルファンに聞くと面白いのが、他の漫画よりも最初にビジュ的に好きかも?と思ったキャラから、読んでからガチハマりするキャラが違うこと。 だいたい誰か、何かシンパシーを感じるキャラがいて、入り口とは違う沼に浸ることになることが多いです。 自転車漫画でありながら、レースの終盤や盛り上がり場面はテクニックとかよりも〈どれだけ勝ちたいと、どんな気持ちで思っていて、どういう精神状態で今臨んでいるか〉がかなり強く出ている印象で、やーもうやっぱり最後は気持ちですよ!!という気がします。スポーツ漫画というより気持ち漫画というか、精神漫画というか。 なので、スポーツ漫画や自転車に興味がなくても、人間で心を持っている方にはおすすめできる漫画だと思います。どのキャラが好きになるかでその人のなんとなく性格とか大事なものがわかる気がしますね。それがこの漫画の真骨頂であり、これだけ幅広い層に受け入れられた理由ではないでしょうか。 ちなみに私は手嶋純太の「フトン最高」が大好きですし、御堂筋くんを敬愛して止みません。結晶や。 ペダルの熱さにあてられて長くなりましたが、心を持っている方、熱くしたい方、わたしってこころあったかしら?とこの頃忘れてしまった方にもおすすめです。ぜひ心のありかを確認してください。
主人公と仲間たちがそれぞれの魔法を使って戦う姿はすごく迫力があります。読んでるこちらも一緒にドキドキ・ワクワクできます。 ストーリーがすごくよく考えられているなと思いました。伏線の回収や展開が上手。特に物語の後半は、感動的で意外性があってすごくおもしろかった! 派手なアクションと感動的なストーリー。ファンタジー漫画が好きな人には、ぜひおすすめです!
登場人物みんな、個性的で魅力的です。 試合シーンは緊迫感あふれる描写で臨場感がすごいです。主人公の成長やチームメイトとの絆を描いたストーリー展開はとても感動的で、胸が熱くなります。その辺は王道ジャンプ。 いじめられっ子の主人公が(顔隠してるけど)スターになるのは見ていて気持ち良いです。 試合のルールや戦術について分かりやすく解説してくれるので、アメフトの知識ゼロの私が読んでも十分楽しめました。おすすめです!
特殊能力によって人の心の闇の形が見えてしまう主人公。登場人物たちの内面の葛藤や欲望、トラウマなどの描写がすごいです。それぞれに独特な形態を持っていて、心の闇を象徴的に表現するとこんな感じなのかと関心してしまいます。 登場人物たちが抱える社会問題や偏見、性差別、虐待など、現代社会が抱える問題を扱っていて、それらを深く掘り下げながら、問題提起をしている漫画です。
なんと言っても登山の緻密な描写が素晴らしいです。山や自然の風景、登山道具など、細部にわたって美しく描かれているので、話の中に入り込めます。 登山に関する知識や技術について知ることができます。登山の醍醐味とか、逆に危険性とか。主人公が登山という過酷なスポーツを通じて自分自身の内面に向き合っていく成長ストーリーとしても魅力的。
自転車競技について全く無知の私が読んでも楽しめます。自転車やレースの種類、戦略など、細かくかつわかりやすく描いてくれてるので読みやすいです。 登場人物たちはそれぞれ個性的で魅力的。彼らが自転車競技に打ち込む姿を見て、読んでるこちらも一緒に感動できます。 ストーリー展開も、単なる自転車レースだけでなく、登場人物たちが成長していく姿や、ライバルとの熾烈な戦い、そしてチームワークの大切さなど盛りだくさんです。単なるスポーツ漫画としてだけでなく、青春群像劇としても楽しめる作品となっています。
コントロール抜群なのに気弱な投手。と自分が一番な捕手。この2人が信頼しあって強くなる。皆が支え支えられてチームが強くなる。すごく高校野球らしい作品です。ワンフォアオールオールフォアなんとかってやつです。 阿部君の頭の良さに脱帽です。
獣医学部って何をやっているのかよくわからなかったけど、この漫画で獣医学科の生活がわかった気がします。 夫の弟が同じ大学に通っているので、なんだか親近感がわきました。 獣医学の専門用語等、難しい部分も面白おかしく説明が入るので、そういう部分も興味深く読み進められると思います。
バレエをやると50歳で手芸の先生でもこんな色気がでます。私も見習わなくちゃ。 人生を50年も生きると起こるであろうな厄介な出来事を、面白く表現してると思う。ある意味シュールなコメディ。 「本来の自分」を取り戻すゆりあ先生の事をきっと共感できるようになるのだろう。(20年後ぐらいに)
辛いけど、最後まで読まずにはいられない作品です。 こうせいが成長していく姿がリアルな男の子っぽくてよかった。あとバカな所も。 椿ちゃんのつらさやさびしさも。 イヤな女の子にならないように努力するけなげさも愛おしい。 読んでいると、漫画なのにメロディが聞こえてくるのも作者の表現力のたわもの。 あっ、私が感受性高いからかな。
元警察官の口コミを見て、気になって読んでみました。警察の仕事についてはかなりリアルだそう。それも面白いポイントなんですが、なにより人間がリアルだと思いました。 正義感を振りかざすだけの人はいなくて、現実の私たちと同じように疲れたり怒ったり、理不尽な思いをしたり。でもそれぞに譲れないものがあって、がんばって警察官をやっている。 かなり個性的な登場人物ばかりですが、それもある意味リアルなのかも。いろんな人がいるけど、それぞれの個性でがんばってて、私たち一般人は守られているんだなと思いました。
思考に基づく感情の流れを描く能力が優れている。 良くも悪くも決して都合の良くない話。
実業団チームが題材というのはわりと珍しいのでは。 「さばきのエース」の異名を持つ凄腕営業マンが主人公なので、バレーよりもビジネスシーンの方が面白いかも。 小田原の有名かまぼこ店に取材したようで、商品開発など興味深いエピソードも登場する。(ビジネス漫画ほど掘り下げないけど) バリバリのスポーツ漫画というより、仕事とスポーツの両立の難しさを知る漫画という感じ。 バレー好きだけでなく、かまぼこが好きな方にも。
ヤバいバッドエンドから、ほのぼのするものまでバラエティ豊か。 私が一番好きなのは、ヤバいバッドエンドの作品(笑) リアルな絵柄ではないけど、少々グロ要素もあるので苦手な方はご注意を。 ネタバレというか… ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 本気で怖いのは2作くらい? 怪談的な雰囲気ではなく、洋画のサイコホラーのような感じ。
三部作品で一番気に入ったのがこの作品。 アクションシーンのノリが良い。ステレオタイプの刑務所生活と、出動時のSF的非現実感のギャップも面白い。 しかし、神と鍵の秘密、主人公の過去、刑務所に潜入したICPOメンバーの行く末は?と謎をてんこ盛りに出した所で連載中断!!! なんとか再開してくれないだろうか。
https://kc.kodansha.co.jp/calendar 新刊コミック発売予定表>>3月 2023.03.23 夏・ユートピアノ ほそや ゆきの 定価:本体700円(税別・予価) ついに…! 『夏・ユートピアノ』はもしそのまま収録されたらページが足りないみたいで、描き下ろしあるかそれとも『あさがくる』を…すごく楽しみ!
凄まじい画力と綿密な取材。 不定期連載なのでいつになるか不明だけど単行本化が待ち遠しい。 なお「死に神」(モーニング2017年30号)もすごかった。
顔の輪郭が限界まで省略されていて独特の空気感を感じる
「アキバ冥途戦争」なるアニメが話題になっていたとき、頭の片隅に引っ掛かる漫画の存在があった。 アキバを舞台にしてメイドが銃を手に取り抗争を繰り広げるお話? うーん… あ!「アキハバラ無法街 GUN MAID」だ! そう、最強の軍用サイボーグ女装ショタメイドと詰め込んだ設定の主人公がコギャルや等身大フィギュア等を相手に旧アキバを守る抗争で活躍するあの漫画だ。どんな漫画だ。 いやまあ、どんな漫画だと言っても本当にそんな漫画で、補足が要るとしたら各話の新キャラがだいたい死んで、新キャラ増加とともにどたばたが増す王道パターンを行かなかった、逆に硬派なキャラ退場で魅せることを選択した短い漫画(全4話)ということだ。あとは主人公のパンチラであれがついてるとわかるように毎回描いていてくれていることぐらいか。 新キャラを増やしていかなかったのが惜しく感じるが、まあそこは私と作者の好みの違いなんだろう。仕方がない。 なお、電子書籍化はつい最近されたようで、そのことについて ”今話題の「アキバ冥途戦争」人気に便乗して『アキハバラ無法街』まさかの電子書籍化!メイドGUNアクションの怪作ここに復活!" と作者がツイートしている。 例のアニメも終わって年を越してちょっと遅れてしまった感があるが、それでもいい機会であることには変わりない。 最強の軍用サイボーグ女装ショタメイド主人公がコギャルや等身大フィギュア等を相手に旧アキバを守る抗争で活躍する漫画に興味がある方は、手に取ってみてはどうだろうか。
「初期の作品にはその人の要素が全て詰め込まれている」なんて話を聞いたことがある。 反例がいくらでも出てくる主張だが、比較的合致する例だってある。福本先生の場合、この「天」が合致するだろう。 人情話、ピカレスクロマン、極限勝負下の心理描写、緻密な勝負を構成する理による駆け引き、勝負を制する理の守破離、そして福本先生による人生哲学… 面白いと評される福本先生の要素が、ほぼ全て詰め込まれていると思われる。欠けているのは敗者の悲惨な末路描写と格闘描写ぐらいだろうか(ただしバイオレンスシーンなら天にもある)。 成長も詰め込まれている。絵の成長、演出の成長、話の構成の成長も魅力的なキャラ描写の成長も全てある。初期~中期の福本先生と共にあった漫画なんだからそれは当然なわけだが… そういった点で、天を軸に他の同時期作品と並読するのも面白い。 ただし、葬式編からは並読はできない。読んでいて涙がぼろぼろ出てしまうあの最終章に、横槍は禁物だ。 この漫画には、私がどうしても取り上げたくなる一節がある。 あまり顧みられることのない、ともすればあまり触れないでおこうみたいな風潮もみられる最初期赤木の、印象的なセリフだ。 私はそれを、作者による自己言及も含んだ創作論だと勝手に思い込んでいる。 というわけで、独断と偏見に基づいて私的解釈によるセリフ改変を傲慢にも以下に記す。 『お前この世で一番うまいもの何だか知ってるか? たとえば漫画だ…世の中には頓狂な奴がいてよ こんなラチのあかねえ娯楽に… 自分の分こえた代価 人生さえ賭けちまう奴もいるのさ…… まあそんな奴だから… 頭は悪いんだけど…… 描きたい気持ちはスゲェーもんだ… 後のない…勝負処での大事な一作に バカはバカなりに必死さ… 持てる全知全能をかけて描き上げる 決断して そして躊躇して それでもやっぱりこれしかない……て そりゃもうほとんど 自分の魂を切るように描く漫画があるんだよ その魂の乗った漫画 そういう漫画を読むこと…… それはまるで人の心を喰らうようだ… この世じゃ人の心が一番うまいんだ……』
表紙の子、かわいいですよね。最高ですよね。 表紙の子、天使っぽいですよね。最高ですよね。 表紙の子と瓜二つの容姿を持つ双子がいるラブコメです。最高ですよね。 まあその双子は男女の双子なんですが。 主人公・力丸と双子の姉・かがみは付き合ってます。 ピュアな幼馴染同士のプラトニックラブ。応援したいですよね。 しかし力丸は女性恐怖症のトラウマ持ちで、苦しんでます。 距離を縮められないプラトニックラブ。応援したいですよね。 力丸もかがみも、自身の抱える弱みに勝てず、苦しんでます。 人間的に脆くて未熟な二人です。健気な二人です。応援したいですよね。 そんな関係の中、双子の弟・きょうが動き始めます。 主人公に協力してくれる幼馴染の男友達、最高ですよね。 主人公の悩みを聞いてくれる幼馴染の男友達、最高ですよね。 傷心の主人公を受け止めて背中を押してくれる幼馴染の男友達、最高ですよね。 幼馴染の友達ポジから恋人以上の積極性で迫ってくる美少年、最高ですよね。 姉と同じ容姿もこれまでの境遇も利用して迫ってくる美少年、最高ですよね。 人の弱みに優しく漬け込んでくる魔性の美少年、最高ですよね。 絶望の淵にいる主人公を翻弄し、さらなる深みへ堕ちるよう誘惑してくる魔性の美少年、最高ですよね。 脳の性的嗜好領域を破壊してくる禁断の三角関係双子ラブコメ。おすすめです。
作者に何かが憑りついて生まれる作品、あるいは見えない力に突き動かされて生まれる作品は名作率が高いと思われる。 どの創作物がこのことに当てはまりそうかは各人が知っているものに思いを馳せてくれればいいが、永井豪作品なら、いや漫画ならこの手天童子がその代表だ。 永井先生は本作制作にあたって「鬼が赤ん坊をくわえている映像が見えて、導かれるように描いた」と巻末解説やインタビューで語っている。また鬼の首取材をきっかけに執筆中は「鬼に祟られていた」とも語り、数々の怪現象と悪夢に苦しめられた結果、おはらいを受けることで最後まで描き切れたと振り返っている。 こんな背景を基にして描かれた作品、締まらない終わり方じゃ一生祟られるんじゃないかと不安になるが、そこはご安心。まさに導かれたかのような綺麗なハッピーエンドを迎える。涙涙で描いたというあの最終回をもってお祓いは完了したといえるだろう。 本作は夫婦の前に突如として現れた、恐ろしい鬼同士の取っ組み合いの争いから始まり、鬼の口の中の赤子の存在に気付いた妻・京子の、鬼にも臆さない愛ゆえの行動から物語が動きだす。 ストーリーは第一話で鬼から語られた「15年後に迎えに来る」という約束が果たされるまでの前半、果たされてからの後半に分けて考えられる。 そう、前半の終わりこそが、物語の始まりから続いてきた、子を思う母の愛が鬼によって引き裂かれる悲劇の場面なのだ。この辺を描いてるとき、永井先生は無茶苦茶苦しめられたに違いない。もしここで読むのをやめれば、読者だって悪夢にうなされかねない。 前半はサスペンス・バイオレンスホラー漫画に分類できそうだが、後半では一気にSFスペクタクルにスケールが広がる。主人公は自身の出自の謎を追いながら宇宙と時空を駆け巡るのだが、子と妻を思って孤軍奮闘する父・竜一郎パートが都度挿入され、やがて家族愛で結ばれるべく物語はクライマックスへ収束していく。 あの父がこれまたかっこいいのだ。彼の「鬼とは…」と語って狂気じみた行動に出るシーンに私は痺れた。 本作は鬼の伝承について取り上げ、またその伝説を巧みにストーリーに組み込んでいるのも魅力の一つだが、展開的に取り上げられても不思議ではなかった、ある有名な鬼がいる。しかしその鬼は作中で触れられることはない。 その鬼について触れれば、「鬼とは…」で語られる本筋からやや外れたところに焦点が合うことになりかねないから、あえて避けられたのだろう。それがまた、本作を引き締まったものにしてくれている。
本作を読む前、どういうタイトルなんだこれは?と思った。もしや三麻漫画なのか?とか。 最終回を読み終わって思う。ズバリこのタイトルしかない(一応断っておくが、三人麻雀の漫画ではない)。 というかなによりもその最終回が良すぎる。 麻雀勝負も、登場するキャラクターそのものやその掛け合い、関係性の変化も良いのだが、最終回が良すぎる。 本来ならこの漫画はこういう内容でこれが面白ポイントでと順当に紹介していくべきだろうが、最終回が良すぎる。 思いっきり私の心の琴線に触れてしまった。四万十川の鮎を食べた京極さん状態に陥る最終回だった。 これから読む人のために深くは言及しないが、特に最終回に出てくる彼の、表情の変遷を追ってほしい。発せられる言葉を噛み締めてほしい。心情の機微を読み取ってほしい。 程度は異なるだろうが、私と同様に心の琴線に触れる人がいるはずだ。
あの鬼才・堀出井靖水があっためにあっため続けた題材を引っ提げて帰ってきた! 彼については某成人向け雑誌デビューのときから注目していた。特に2作目のインパクトは強烈だった。あの1作目からどんだけ成長したんだと度肝を抜かされた。成人向けの要素の成長もさることながら、キャラが生き生きとしていて掛け合いも冴えていた。これは"くる"と直感した。そして彼はすぐに某成人向け雑誌の漫画賞を取った。そこに掲載された編集長コメントで再び読者の度肝を抜き、期待と笑いをかっさらった。 その後彼はここで述べるのも憚られるような(というかどこであろうと憚られるような)、ひどく人を選ぶ傑作成人向け単行本を1巻だけ世に残し、FANBOXの闇に消えた。 彼は某成人向け雑誌での成長と共にtwitter漫画芸人化していた気がするが、その活動も沈静化していったと思う。というかtwitter垢がいつの間にか消えていた。彼がUPするtwitter漫画も大好きだっただけに、とても寂しかった。 話が前後するかもしれないが、どうやら彼は一般誌へ行ったようだった。『ブラックバウンズ』という作品を出したと知るが、1話を読んで作風どうしちまったんだと非常に困惑した。結局、私は『ブラックバウンズ』を読まなかった。それがよかったかはわからないが、とりあえず私の中の堀出井靖水の思い出を壊さないことには成功した。 そして今、彼は舞い戻ってきた。それもtwitter・pixivに上げてた漫画の中で、かなり人気の高かった本作と共に帰ってきた。ついでにtwitter垢も復活していた。 続きを望まれ続けて実に5年が経過していたが、ついに描かれる時が来たということだろう。ちなみに、これまで続きを描かなかったことについて彼は「インターネット小ネタ漫画じゃなくてちゃんと物語として描きたかったから」だとpixivで表明している。そんなこと言われては、読むこちらも気合が入るというものだ(なお、本作は肩の力を抜いて読むのが適切だと思います。多分。少なくとも、プロトタイプ版はそうでした)。 1話目を読んだ感触は、かなり丁寧にブラッシュアップされてるなぁとニヨニヨする、そんな感じ。とにもかくにも、今後に期待だ。 最後に、彼のtwitter上での叫びを無断でここにコピペしてこのクチコミを締めようと思う。 王道ラブコメのつもりで描いてるって担当編集に言ったら「認知が歪んでますね」って返されたけどっ……それでも余は……余はちゃんと王道ラブコメ描けたと思うからッ…………!!! これが余が考えた最キャワラブコメじゃからッ………!!!!! 絶対読め!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
『総員玉砕せよ!』は巨匠・水木しげる先生が自身の戦争体験を基に描き切った長編戦記漫画だ(※新装完全版を読んでのクチコミです)。 等身大の兵隊さんたちの日常が淡々と描かれる前半から、その淡々さはあまり変わらないまま物語のトルクは増していき、やがて感動的というにはあまりにも悲しく、あまりにも空しい結末を迎えて話は終わる。私はこれを読み返す度に泣いてしまう。 巻末の筆者あとがきで「九十パーセントは事実です」と物語の最後を脚色したことが語られ、寄せられた解説ではそのことについて「(ラストのフィクション化によって)”事実を超える真実”を描くことに成功した」と評される。 とても同意できるのだが、私としてはあのラストは水木先生にこみ上げてくる”わけのわからない怒り”を最も強く紙にぶつける挑戦であり、戦死者の霊たちがさせた仕業ではないかと思う。そしてそのラストが”わけのわからない怒り”をどれだけ昇華させることに成功したかはわからない。確かなことは、強烈な読後感を読者に与えてくれるということだ。 ラストも印象的だったが、天国のようなところだと作中で触れられる舞台の美しい背景、とりわけ数度あらわれる鳥と花、及び天から射す光が印象的だ。 どれも日本人の想像する天国と結び付けられる存在なのだが、そういった観点で、鳥は物語から姿を消すタイミングが、花は背景に現れるタイミングが、天から射す光はコマとして使われるタイミングがなんとも思わせられる。特に花は、水木先生が大胆に意図して配したフィクションではないかと考える。泣けてくる。 それからこの作品と一緒に、ズンゲン支隊に関するNHKの戦争証言アーカイブの視聴も薦めたい。 水木先生の生証言は当然だが、堀亀二さんの証言なんかも必聴ものだろう。印象深いキャラクターである中隊長の下で戦争を過ごしたズンゲン支隊の生存者だ(1965年にズンゲン支隊の本を出版されてもいる。水木先生も資料としてあたったかもしれないが、この本は簡単には手に入らなさそうだ)。 最後に、些末な不満点が一つある。新装完全版『総員玉砕せよ!』はなぜ文庫サイズで発売されてしまったのか。同時期に出た『漫画で知る「戦争と日本」』と同様のA5サイズだったらどれほどうれしかったことか…
「賭けゴロ」という、現代では聞きなれない喧嘩賭博で食ってるプロの喧嘩屋・鉄次が己を押し通しながらその拳で大勝負を制していく格闘漫画。賭博よりも主人公の行う格闘(拳闘興行と言うべきかも)がメインで展開されていく。 全4巻とはあるが、紙の単行本だと全2巻。するりと読めておもしろい、'70年代後半に描かれた格闘漫画なのだが、結構時代を先取りしていたのかもしれないと思わせられる。 変則リングといえる場所で戦ったり、 悪趣味な金持ち達が集まって、命が危険に晒される舞台での勝負をワーワー観戦したり、 巨大グローバル組織同士の抗争の手段として喧嘩勝負が利用されたり、 王大人が出てきたり… 同時期とそれ以前の漫画等娯楽作品には全然明るくないので、上記の内容はこの漫画が初出だ、などと言い張るつもりはないが、少なくとも後の時代の漫画に使われるものを既に扱っていた、時代を先取りした漫画だと言えなくはない。と思う。多分。知らんけど。 あとどうでもいいけど、最後のコマが大好き。いい映画を見終わった気分に自分は浸れた。
※ネタバレを含むクチコミです。
漫画家・かわぐちかいじの名声を高めた代表作であり、今読んでも無茶苦茶面白くて熱い名作である。 まだ読んでない人は、すぐ読んだ方がいい。このレビューを読み終わる前に読破する方がいい。海面下の武骨な”てつのくじら”とそれを取り巻く人々が織りなす、全地球スケールに広がる風呂敷のファンタスティックな面白さに痺れること間違いなしだ。 そして、だからこそ、この漫画は要注意なのだ。 この漫画はファンタスティックを通り越すぶっ飛んだファンタジー作品であり、「いやいやそれはおかしい」と逐一ツッコむぐらいの冷静さが最終的には必要な、あぶない漫画である。 これは戦闘描写に限った話ではなく、軍人描写・政治描写でも同様の話だ。 というか、素人目にもわかりやすい戦闘描写の範囲だけでこの漫画のファンタジー成分を看破した気になりかねない点が余計にあぶない。このことに関しては、交渉を優位に進めるための心理的トリックに通じるものを感じる。あるいは(いい譬えではないが)巧妙なプロパガンダと似ている。 要するに、面白さに痺れたまま、作品に感化されたまま、染まり切ったままは危険だということだ。 本作はその面白さと現実世界に即した設定故に、なぜ現実はこの作品のようになれないのかと憤って、現実から離れたところに行ってしまって戻ってこれなくなってしまう恐れがある。これは最高の読書体験でもあるが、現実に生きる私たちはいつまでもそのままではいられないだろう。デビルマンを読んで「地獄へ落ちろ人間ども!」に共感しっぱなしでいてはいられないのと大差ない。 なお、私は本作を読んでしばらくはかなり感化されていた。最高の読書体験の一つであった。こんな気持ちいい体験、味わえるなら味わった方がいいに決まっている。 故に、本作が提供してくれるかもしれない最高の読書体験に水を差すようなものは、あらかじめ見ないよう注意(※読者の冷静さを取り戻す激うまギャグ)するのがよいだろう。 こんな長文駄文レビューを読む前に、最も面白く読めるうちに面白い漫画は面白く読むべきなのだ。
オカルトチャンネルを撮影している配信者と助手の男ふたりが主人公。 よくある怪異退治ものとは違う切り口と、一気に主人公ふたりの関係性をブチ上げていったオチがインパクト大でした。核心部分を描かずにここまで会話で魅せられるんだというのがすごかったです!
作品全体を通して「ハシシ」と酒の匂いが漂ってくるような、うらぶれた空気感とやくざ者のやりとりが特徴的な本作。 グループにひとりずつメンバーが増えていき、酒場から酒場へ移動しながら音楽を奏で、そしてまたひとりずつそれぞれの日常へ帰っていく…一昼夜を通した喧騒のなかでそんな出会いと別れが描かれます。 卑近な喩えであれですが、学生時代に気心の知れた連中と昼から集合して何件か店をハシゴしてそのまま「オールでカラオケいくか!」って息巻いて夜を過ごし、途中からもうガス欠になってるんだけど意地で起き続けて朝にはもうヨレヨレになって解散する…みたいな、仲間と騒ぐいつの時代もどこの国でもあるのかなぁ、と思って身近に感じました。 なんでもない一日ですが、本作の場合は戦争がすぐそこまで近づいてきている前提があるので、そこの捉え方はまた違ってきますね。 本編の内容とは別に巻末に登場人物紹介があるので、そこから読み始めるとキャラクターの把握がしやすくていいかもしれません。
クラスの中心・万能少女の世崎七色と隣の席になった少しひねくれた感じの少年星巻透。星巻くんは何事にもひたむきで前向きな世崎さんのことを自分とは住む世界が違う人間だと切り分けようとしますが、どうやったって惹かれてしまう。 世崎さんのキャラクターが曜日ごとに変わる理由のネタバラシも面白くて、なるほどと思いました。連載になった時に楽しいだろうな。 少年少女の淡い思いとエネルギーが世界に溢れている感じがして、とっても爽やかでかわいい読切でした!
いよいよ来年1月から新作アニメーション『STAMPEDE』が見られるということで久しぶりに『トライガン』を読み返していました。現時点だと劇場とかの長編アニメではなくてTVシリーズっぽいのでなんだかそれもすごいなと思ってます(令和に作られるトライガンのオリジナルTVシリーズ、存在感がゴツすぎる)。 https://youtu.be/3V3CmVKbUNE 自分は『トライガン』といえばヤングキングアワーズというイメージがなんとなく出来てた世代ですけど、無印トライガンが連載されていたのは実は月刊少年キャプテン。Wikipediaを見てみるとキャプテンの休刊が97年1月で、アワーズで『マキシマム』の連載が始まるのが10月。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%B3 移籍や再開のお知らせがどこかであったたものとは推測しますが、それでもこの9ヶ月間、リアルタイムの読者は気が気では無かったのではないか…。どんな反応があったのか気になりますね。
本作、ベンチに座っていたエロイーズがふと記憶喪失になっていたことに気付くシーンから始まるのですが、その自然さがなんだか巧みで、ピンク色のカラートーンとともに強く印象に残っています。 メインとなるストーリーラインはサブタイトルにもある「本当のワタシ」探し。 少ない手がかりを元に記憶を失う前の自分がどんな人間だったのかを調べていく…と書くと壮大なミステリーやサスペンスのようでもありますが、そうそう大変なことが起こるわけでもないのが人生というものかもしれません。 どこにでも居る女性だった(と思われる)エロイーズ・パンソンの身の回りも、世の人のご多分に漏れずありふれた出来事ばかりだったようで、一生懸命過去の自分の身辺調査を行うほどに些細でちっぽけなことばかりが判明していきます。そのようすは親近感やおかしみと同時に、どこか空虚さというか、切なさも感じさせたり…。 「記憶を失う前の自分ってどんな人間だった?」というのを入り口に「そもそも根本的に自分ってどんな人間なんだろう?」という二重の意味で「本当のワタシ」を探すことになるのが妙味です。 そんな深いテーマもありつつ、バンドデシネとしてはかなり読みやすい部類に入ると思います。エロイーズのちょっとした仕草がどれもかわいかったり、普段縁遠いフランスでの「フツーの」暮らしが垣間見えるだけでも面白いので、読む機会があれば気軽に手に取ってみてほしい一作です。
元ヤンの蜂須賀すずめは高校入学を機に足抜けを図ったものの同級生の源元蛍に軽率に過去バレしてしまいます。このふたりが友好を深めていくのが尊すぎ。 蜂須賀ちゃんが元ヤンバレを防ぐための努力はけなげでポンコツでかわいいです(でもヤンキースタイルも素敵!)
今期最大のヒットと言っても過言ではないアニメ『リコリス・リコイル』のコミカライズが遂に始まりました。 1話を読んだ限りでは、基本アニメのストーリーを追っていく忠実なコミカライズになるのかなと思いますが、アクションシーンなどはすでにマンガならではの演出になっていたりして面白いです。絵もめちゃくちゃかわいい。 アニメだと一瞬聞き逃してしまうような専門用語や軽妙なやり取り(それが魅力ですが)もマンガだとしっかり確認できて復習にもぴったりかと思います。 マンガとアニメ、比べて楽しめるのが嬉しい!
めちゃ面白い!世界一わかりやすくて熱いループ漫画のコピーに偽りナシです! 非業の死を遂げた人物をタイムマシン「リトライアイ」で救う「巻戻士」。何度もリトライできるなら余裕じゃん、と思ってしまいますが実際は過酷。主人公のクロノは対象者を救えない過去を幾度も繰り返し(新しい未来に辿り着ける確率は100万分の1だとか)、精神をすり減らしながらたったひとつの未来に辿り着くまで諦めません。その試行錯誤の過程、正解の出し方もトリッキーで面白い。何度も同じ場面が繰り返される退屈さは全く無いです。 これがコロコロの熱さだな〜と、久しぶりにシビレた次第です。やっぱりコロコロはすごい。 しばらくコロコロから離れていたひとも読んでみてはいかがでしょうか。
奈々果の家で働くメイドロボのマーガレットは最近不調続き。メンテナンスに出したところもう丸ごと交換するしかないと言われてしまって…そんな…という始まり。 ロボット三原則などクラシックなSFの装いもありつつ、ちょっと抜けているマーガレットの感じがかわいくて良かったです。 連載になったらメカニックのジバさんのところで住み込み仕事をする展開になるんですかね。
余命宣告を受けた合気道の達人のおじいちゃんが異世界に転生して無双する話…と単純に書いちゃうと「よくあるやつじゃん」となってしまうのでとにかく試し読みしてほしいです。主人公がおじいちゃんというところは捻りつつも、ストーリーラインや演出はド真ん中なのが気持ちいいんですよね…。 武道の達人であるカイチさん、物理的にも精神的にも本当にしっかりしているので安定感がすごくて、地に足ついた異世界の世界観をよりドッシリと感じさせてくれます。やはり体幹、体幹は全てを解決する。 カイチさんはファンタジー系の知識に疎いんですが、相棒の看護師トキちゃんはその手の専門家で、ふたりのやり取りもコミカルで楽しいです。とにかく色んな敵をびしばしスカッと倒して異世界ロードを邁進してほしい。 変化球と見せかけて王道な異世界ファンタジー、これ系に飽きている人こそ読んでみてほしい!
坂本先生といえば画力の高さが有名です。フランス革命題材に人の惨さ、また容赦ない処刑の描写など、他漫画では味わえないドキドキが待っている。
春輝先生の表紙をみて、桂先生を彷彿とした方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう、何を隠そう春輝先生の女性の描き方は非常に卓越している。ムフフな気分なときにこっそり読んで欲しい一冊。
クリスマスが近づくと思い出さずにはいられません! 日頃のコミュニケーションの能力が試される、こんな経験はしたくない。そう、野球が上手くなるだけでは生きていけない現実の厳しさまでも描くスポコン漫画。作者が伝えたい意図を知るためにもスクショのみならず前後の文脈を理解しリアルに活かしたい。
ゆるーい日常系4コマのパイオニア。埼玉は鷲宮神社を舞台に繰り広げられるオタ活に励む女子高生を取り巻く日常系。某秋元作品のような時勢を踏襲したオタク心を掴む作品。
同僚に激しく勧められ、辛い環境に身をおく同志として火の鳥は読んだ方がいいと言われ手に取りました。スタートから重々しく、気軽に手に取る漫画ではないですが、ハードメンタルを求められる環境に身をおく仲間はこちらの作品に支えられたそうなのでオススメです。
課長島耕作、中間管理職に自身がキャリアアップを告げられた面談時に上司より勧められた一冊。仕事ばかりに一生懸命に生きず、てきとーでいいんだよ、と遠回しに肩の力を抜けよ、というメッセージを感じました。 30代前半におすすめ、これからの日本を背負う若者に勧めたい不朽の名作です。
・不穏な空気をひたすら醸し出していて、読んでいる間は常に何が起きるという期待感と緊張感を強いられる。 しかし、不穏な空気をひたすら演出する漫画なのでなかなか何も起きず人によってはイラついてしまうかもしれない。 ホラーをたくさん見た人が一周する前にたどり着くタイプの漫画だと思う。 ・ホラーは何かが起きて少しずつ理解すすんだ時点で怖さが終わりに向かい始めている。なので、この不穏な空気が続くのはずーっとぼんやり怖くて好きだ。 ただ、これだけだと物足りないので連載をしてほしい。 ・まだ読んでいない人は、ぜひ夕暮れ時に一人で少し不安になりながら読んでほしい。
入れ替わりものというのは、すでに一つのジャンルと言ってもいいと思います。この作品もその一つ。しかし、「君の名は。」に代表されるようなコミカルで表層的なものではなく、ヤマシタトモコらしい表現で真摯に描かれています。テーマはかなり深くて、結局のところ自分とは何なのか?人と人とが関わり合うことの意味は?男らしさ女らしさとは?そしていつでもどんな状態でも新しい自分になれるんじゃないか?と色々含まれている思います。 わずか2巻で完結しますが、とても読み応えのある作品でした。
「無敵」が嫌すぎるw ラストシーンが完璧。
チ。が好きで、試しに読んでみたが魚豊さんの漫画はやっぱり面白い。 シンプルな言葉がズンと来る感じが、重たくて良い。