これがデビュー作!マジか!
本当にデビュー作なのかと疑いたくなるくらいのクォリティー。こんなに完成されてデビューする人って中々いない気がします。すごく面白かったです。 主人公は触れると他人のすべてが視えてしまう女性・草野慧。とある宗教団体が彼女の力を利用して勢力を拡大していた一方で、政府もその力を手に入れようと画策していたが、彼女に接触する任務を任されたオジサン・駿河だけはその境遇に同情していた。そして宗教団体から逃げ出した主人公は政府からも追われていることを知らないまま放浪生活を始める…。 特に主人公が視えているシーンがすごかったです。何回でも読みたくなります。私はうっかりアクションコミックス版を買ってしまったのですが、2巻のラストに「3巻へつづく」とあったけど、3巻は発売されてないんですね…。ビームコミックスから出ている新装版も同じ内容なんでしょうか?そもそも未完なのかな…。でも完結してなくても読む価値ありました。面白かった〜。
もしあなたが、超能力を持っていたら?
それを他人に知られたら?
理解不能なモンスターとして、社会から追われる身分になった時?
と言う、残酷な設定があります。
主人公、草野慧は、多分未成年で、両親のこともほぼ描かれません。新興宗教組織の建物に幽閉されて生きている。 でも、これしか生きるすべがないのです。
そう言うストーリーを、この柔らかい筆致で描き出されます。
自らの良心に基づいて、宗教組織を脱出し、あてもない旅に出た主人公を追う、政府組織、宗教団体、政府組織の中でも外れた一人のおじさん、この三つ巴で、色々やります。
最後の、彼女が、政府組織の工作員に対して、(所謂)「能力」を使うシーンは、これはもう息を呑み、手に汗を握る描写です。
本当に、単行本の表紙からは想像もつかない展開です。
超絶ネタバレなのですが、この後の作者の「銃座のウルナ」は、この1冊が12冊続くような作品なので、是非おすすめです!