主人公は医者ですが、医療漫画というよりはヒューマンドラマかもしれません。海底にお宝を探しに行ったり舞台設定が壮大な話が多いですが、作者本人が現役のお医者さんだけあって手術シーンにリアリティがあり、浮世離れした話になりすぎないバランスがいいなと思いました。万葉の会と月下美人の話が特に好きです。あと巻末に収録されてる後書き漫画「私と手塚治虫先生」と「くされ縁」がどちらも良すぎた。

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【ドクトル・ノンベ】右腕をガラスで切って大けがをしたボクサーが担ぎ込まれたのは、とある小さな医院だった。選手生命は終わったと絶望するボクサーに、医者は今までより強いパンチが打てる腕につくりかえてやると言い放った。酒ばかり飲んでいるいいかげんな医者ノンべの腕は確かなのか・・・

モリのアサガオ

死刑を執行する刑務官

モリのアサガオ
かしこ
かしこ

死刑という重いテーマと真正面から向き合った作品です。父親のコネで刑務官になり死刑囚と接することになった実直な性格の主人公・及川。凶悪殺人犯のことが怖いと感じるのは彼らのことを理解しようとしないからだ…という考えに至ってからは、積極的に彼らと関わり更生の道を一緒に模索するようになります。しかし心を入れ替えて自らの罪と向き合ってもすでに決まっている死刑からは逃れることは出来ません。いくら凶悪殺人犯とはいえ国が人を殺してしまう、命を持って罪を償うという死刑制度は本当に正しいのか、主人公は疑問に思うようになります。 登場する死刑囚たちの中でも渡瀬という男と主人公の物語を主軸に描かれていますが、個人的には食堂を経営していた家族を惨殺してしまった星山がメインの回が一番心に残りました。主人公が人形を手作りして家族というものを思い起こさせて自分の罪を認識させることに成功する訳ですが、改心してすぐに死刑が執行される展開にはなんとも言えなくなりました。そういう流れを組みながら親友と言えるまで深い仲になった渡瀬からの「死にたくない」という望みを主人公が却下したのには驚きです。最終的には疑問を持っていた死刑制度についても、死と向き合うことが自らの罪を反省するきっかけに繋がるんじゃないかという考えになっていました。 しかしモリのアサガオ2で、渡瀬の死に携わってから主人公が精神を病んだことが描かれていて、やはりこの問題は深い森の中にあるのだなと思いました。

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