力道山がやって来た―はるき悦巳短編全集
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デビュー作からじゃりン子チエ連載後の読切まで収録されている短編集ですが、絵柄がまっっっっったく変わっていないことに驚いた。ユニークな猫キャラやいきいきとした子供などもすでに描かれていて、31歳でのデビューとはいえこれほど最初から作家性が完成してる人は珍しいのではないだろうか。巻末には作者本人の各話の解説もついてますが、Wikipediaなどもあわせて読むと「あの話も実体験が元になってるんだ」と分かって面白かったです。

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ドラゴンヘッド

本当に恐ろしいのは人間の心なのです…

ドラゴンヘッド
かしこ
かしこ

初めて読みました!が、昨年出版された「総特集 望月ミネタロウ」が出た後に読んでよかったかも。 全編通してみると、やっぱり序盤の修学旅行からの帰り道に新幹線がトンネルに閉じ込められて脱出しようとする場面が、何が起きたか分からないワクワクという漫画的な面白味がありますね。それが徐々に逃れられない自然災害だったと判明するのは、エンタメとしてはカタルシスが足りないかもしれません。ただ、(実際に連載中には阪神淡路大震災も起きたそうですが)前出のインタビューによると構想段階から「天変地異は起こるけどそんなスペクタクルな話じゃない」「闇をテーマにした地味な作品」というのは決めていたそうです。 人間は暗闇の中にいると存在しない怪物を想像して恐れてしまうけど、本当に恐ろしいのはそんな自分と向き合わないことである…というのは、ものすごく普遍的なテーマだから、いつ読んでも「今に通じる話だ、これ…!!」と思うんだろうな。特に今現在のSNSを中心にした不寛容な時代の雰囲気ってこれが原因なんじゃないかなって思いました。 ドラゴンヘッドを読むとその後に東京怪童を描かれたのも自然な流れだったんだな〜と分かりますね。

さよならキャンドル

赤羽よりヤバいかも…!

さよならキャンドル
かしこ
かしこ

赤羽の居酒屋「ちから」がなくなったことで新たな行きつけを探していた清野とおる先生がたどり着いたのが十条のスナック「キャンドル」だった。かなりの厚化粧なママが1人で営業しているその店はまさにカオスです。最初はママの強烈なキャラに引き込まれますが、常連になるにつれてママが教えてくれる十条のヤバい情報が面白くなっていきます。 特に、昼は弁当屋だけど夜はデリヘルをしてる「エッチな弁当屋さん」の実態を調査していく回がすごいです。ママのツテで実際にお弁当屋さんを利用しているおじさんから話を聞くことに成功するんですが、まず北区のどこかにある公衆電話に貼られてるピンクチラシを探し出さないと利用できない店という説明から「何それ?!」って感じですよね。でも普通の酔っ払いのおじさんがそんな創作話を作れると思えないし、本当に存在したってことでいいんだろうか…。 第1部完ということで単行本が2巻まで出ていますが、続編の再会がいつになるのか気になるところです。実際の「キャンドル」は2014年に閉店しているらしいので、その最後の様子はどんなものだったのかやっぱり知りたいです。

アイドルを探せ

80年代カルチャーと花の女子大生ライフ♡

アイドルを探せ
かしこ
かしこ

私は一応平成生まれなので80年代のカルチャーに疎いのですが(大江千里は名前だけ知ってる…くらいのレベル)、それでも面白かったのはやっぱりあの時代そのものに魅力があったのと、それを描き切ることが出来るパワーとセンスを持っている吉田まゆみ先生だからこそだと思いました。アイドルを探せを連載していた「mimi」という雑誌のことも初めて知りました。講談社から発行されてた10代後半の女性向けの漫画雑誌(主な連載作品はあさきゆめみしや白鳥麗子でございます!)で、アイドルを探せは当時大人気でドラマ化や映画化(ちなみに同時上映はLet’s豪徳寺!)もされたそうです。 「アイドルを探せ」といっても「私にとってのアイドルは誰?」という意味なので要は普通のラブコメなのですが、生まれも育ちも東京でオシャレな主人公のチカちゃんが風呂無しの木造アパートで一人暮らしするところとか、自分でも手が届きそうな夢の世界を見せてくれるので共感しちゃうんですよね。主人公は花野女子短大に入学したチカちゃんですが、漫画家志望のカンロちゃんとバスガイドをしている千明さんもアパートの入居者であり準主役です。ショートカットが可愛いチカちゃんはモテモテでいかにも主役って感じがいいのですが、地味でモテなかったカンロちゃんの恋が成就したことが何よりも嬉しかったです。番外編もカンロちゃんの話が一番好きでした。どうやら続編「夜をぶっとばせ」があるようなので、そちらも読んでみようと思います!

DRAGON BALL モノクロ版

大人になってDRAGON BALLを読み返してみた

DRAGON BALL モノクロ版
かしこ
かしこ

夏休みで地元の日帰り温泉に行ったらDRAGON BALLがあったので小学生以来に読んでみたのですが、日帰りだと全42巻は読みきれませんね…。約20年前の記憶を元にザッと流し読みしただけになってしまいましたが、当時の思い出と共に感想を書きたいと思います。 どの漫画でもそうなんですがバトル展開があまり得意ではないので、DRAGON BALLは序盤のブルマと一緒にドラゴンボールを集めてるところが一番好きかもしれません。後世への影響などを考えると悟空が大人になってからの展開の方が真骨頂かもしれないけど、子供ながらに悟空が何度死んでも生き返ることが疑問でした。それがOKなら何でもありじゃん、と…。 しかし大人目線で読んでみて、鳥山先生の描くキャラクターの魅力に圧倒されたことで分かりました。悟空なら何でもありなのだ、と!!今まで自分は「漫画=キャラ」という考えに否を唱えていたのですが、改めてDRAGON BALLを読んだことで考えを改めるべきかもと思い始めました。圧倒的なキャラの魅力があればどんなストーリーでも秩序は保たれることを知ったのです。だから悟空は全方位的に宇宙一最強だと言ってもいいでしょう。 それから最終回ですね。小学生の頃はそれまでの盛り上がりに比べると、地味な終わり方だったので拍子抜けした記憶があるのですが、大人になって読んでみると、なんと素晴らしい最終回ではないですか…!少年ウーブが読者1人1人と重なって、まるで鳥山先生から「次は君が強くなる番だぞ」と言われてるような気がしました。ラストページの鳥山先生のメッセージを読むと、ご本人としては終わらせたい瞬間は度々あったかもしれないけど、それを押して世間の期待に応え続けてくださったんだと分かり感謝しかないです。 あえて私が言うまでもないですがDRAGON BALLは最高の漫画ですね!!

ボクの手塚治虫

この手塚治虫への愛は本物だ!!

ボクの手塚治虫
かしこ
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「9で割れ!!―昭和銀行田園支店」は矢口高雄先生が20代の頃ですが、こちらは子供時代の話です。 矢口先生って秋田県でも田舎の方の出身だったんですね。当時は日本のどこでもそうだったかもしれないけど、読み書き出来ない村人もたくさんいたそうです。しかし矢口先生のお母様は読書好きだったので子供達に読み聞かせてくれて、その中の一冊が自分にとって初めての漫画との出会いだと語られていました。この作品を読んで一番心に残ったのは、お母様の人柄の素晴らしさです。誰よりも働き者だからこそ日射病で倒れてしまったのに、舅から「怠け者」だと言われてしまうシーンには涙が出てきました…。そのことがきっかけで「俺は百姓にはならないぞ」という気持ちが芽生えたことで、銀行員になり、そして漫画家になったんですね。 娯楽のない生活を送っていた矢口少年にとって手塚治虫の漫画がどれだけセンセーショナルでかけがえのないものだったか、ということも全編を通して描かれていますが、雪道を5時間かけて歩いて本屋に漫画少年を買いに行った話なんて…これも泣かずには読めませんよ!! 矢口先生の作品は生まれ育った秋田県の豊かな自然を描いていますが、田舎臭さを感じず品があるのは、お母様と手塚先生の影響なんですね。

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帰って来たどらン猫

帰って来たどらン猫

「おまえこの世にもう一匹自分と同ンなじ猫が居るゆう話聞いたことあるか」ジュニアがまた訳の分からんことをゆうてる…。末永く愛され続ける名作『じゃりン子チエ』の大人気猫、子鉄とアントニオ・ジュニアが帰って来た!猫社会にも、面白キャラやエピソードが満載!小気味よいボケとツッコミ炸裂で、今日も明日もこれからも…ヤツらのまわりは大騒ぎ!

日の出食堂の青春

日の出食堂の青春

『じゃりン子チエ』の連載開始とほぼ同時期に執筆された、はるき悦巳の隠れた名作!!勉強しない働かない、大人になるちょっと手前の悪あがき。ボンクラ4人組が、大好きなミッちゃんの結婚話に直面し、グータラな毎日から卒業していくほろ苦い青春の日々。誰もが過ごしたちょっぴり痛く懐かしいあの日々が、ツンと鼻先をかすめる…そんな珠玉の一作が、このたび新たな装丁で[新装版]として復活しました!!

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