セミリンガルの少女が宇宙飛行士を目指すはなし
※ネタバレを含むクチコミです。
目指せ!日本人初女性宇宙飛行士コマンダー 朝日田ありすは、容姿端麗で人気者。彼女は幼い頃 両親からバイリンガル教育を受けていたが、その死によって結果的にどちらの言語も拙くなり、日々の授業についていくことができない。そんな中ありすが出会ったのは、孤高の天才・犬星くんで…? 「分かったんだ。朝日田のそれ。セミリンガル。」「おれが君を賢くする。」両親がいる天国に近づくために、一人の少女が日本人初の女性宇宙飛行士船長になるまでの物語。生きづらさを抱える少年少女が地球の引力圏を抜け出して、夢を叶えるまで… その熱き挑戦を、とくとご覧あれ!! 『MAMA』『ルポルタージュ』『インターネット・ラヴ!』の売野機子が描く、最新作!
一人の女性が、日本人女性初の宇宙飛行士の船長を任されるという快挙を成し遂げるまでを描く物語。
ありす、宇宙までも・No01「ありす、誕生」 目指せ!日本人初・女性宇宙飛行士コマンダー !! 容姿端麗で人気者だが、言葉が拙く日々の授業にもついていけない女子中学生・朝日田ありす。 彼女が出会ったのは、孤高の天才・犬星くんで…? 「おれが君を賢くする。」 一人の少女が日本人初の女性宇宙飛行士...
彼女が小学校の頃に話は遡る。
みんなから人気の小学6年生、朝日田ありす。小6の終わりに転校してきて、運動神経抜群の謎の美少女転校生として周囲からはいつも噂される存在だった。
「両親を亡くしている」「帰国子女だからカタコト」「天然キャラ」「ありすはウチらの赤ちゃんなんだから」と好き放題言われていた。
そんな彼女にはある悩みがあった。それは言葉が分からないこと。
親の教育で、海外に行きバイリンガル教育を受けていたが、英語と日本語どちらの言語も中途半端になってしまった「セミリンガル」というもの。両親はそれに気づく前に亡くなってしまった。その状態で、彼女はどこに行っても目の前の話についていけないまま12年間過ごしてきたのだ。
それに気づかせてくれたのは勉強ばかりしている神童と名高い犬星くんだった。彼女が天然ではなく、そもそも言葉を分かっていないことを見抜き「おれが君を賢くする。」 と宣言し、二人で奮闘していくことになった。
これは素晴らしい…。
読んだとき、これは自分の話か?と思ったほど。
「セミリンガル」としての状態はおそらくありすほどではなかったと思うが、自分も親の仕事の都合で5歳頃までアメリカにいて、帰国後また小6~中3でベルギーに渡った。
日本にいた5歳~小6のとき、親が相当な教育ママだったせいで運がよかったのかしっかり勉強をさせられていた。いま思い出すと当時いろいろ曖昧なまま過ごしていた部分がかなりあった。それは長いこと続いたし、4つ上にいる兄は話し言葉は大丈夫だったが書く日本語は壊滅的だった。
もし、よく分かっていないまま放置されていたら…と考えると恐ろしいし、自分には親がいたようにありすが犬星に出会えたことが本当に良かったと思う。
中学に上がり、毎日放課後にありすが犬星と学んでいくことで一つ一つ言葉を獲得し、世界の解像度が明確に上がっていく過程が面白い。
彼女から見える景色がめくるめく変わっていく。
知らない事が恥ずかしくない状態になる。それがとても重要だ。
胸を張って生きていける。
売野機子先生、ありがとうございます。
これからどうなってありすが宇宙飛行士の船長にまでなっていくのか、とても楽しみです。