孤独な二人を包む大きな… #1巻応援
『綺麗にしてもらえますか。』では熱海の穏やかで美しい光景を描く、はっとりみつる先生。同時連載中のこの『かいじゅう色の島』ではもう少し荒々しく大きい、しかし美しい光景を描き、そこに二つの孤独を描写する。 離島に暮らす少女・棔(こん)と、家出少女の歩流夏(ふるか)。ぼっちの二人はまた、「普通の」恋が出来ない事も共通していた。 アワビの貝殻が供えられる社の前で、互いを知り、友達を一足飛びに近づく距離。発現する「かいじゅう」の不思議な力に包まれて、洞窟で触れ合い、睦み合う二人。 荒々しい波、磯、剥き出しの鳥居。優しくは無い場所で、二人の描線だけが柔らかい。 切なく苦しい世界で、二人はようやく見つけたお互いの幸せを願うことしか出来ない。二人はかいじゅうの生贄なのか、いつか引き離される時が来るのか……切なさが大きいからこそ、小さな幸せも、とてつもなく大きくなる。