流行りの異世界漫画と思って読むと火傷する
1巻にして、超重厚。 異世界漫画によくあるテンプレ、読まなくてもなんとなくわかってしまう背景や設定とは全く無縁な作品。 おっさんな自分としては、 「あーこういうのが読みたかったんだよ」 と唸った。 なんというか、若年層向けな最強系や成り上がり系な異世界とは一線を画して、ハイファンタジーそのものな内容でした。 錬金術といえば、なんでもござれのご都合展開が出そうだが、そんな気配は全くなく、緻密な世界観と理論が非常に良かった。 読者置いてけぼりでもなく、丁寧に描いているのも好感触。 だからこそ、読み手を選ぶと思う。 (わかりにくい部分だけでなく、手足のないエルフの描写とか結構グロいのも多い) 惜しむらくは、個人的に弱腰な主人公が苦手なので、このあたりも今後変わってくれることを期待しちゃいます。 なんにせよ、ザ・ファンタジーな漫画を求めていたらこれをおすすめします。
知る人ぞ知る傑作WEB漫画がついに作画付きで商業連載化されました!久しぶりに1話を読み返しましたが、初めて読んだ時と同じ興奮を感じました…面白すぎる。もし本作の冒頭だけ読んで、凡百の異世界マンガだと思った人がいたらそれは完全なる勘違いなので、絶対に1話を最後読んでください!後悔しますよ。
設定こそ異世界ファンタジーという王道すぎる設定ではありますが、中身は他のどんな作品とも違う砂漠のなかにある一粒の砂金のような作品なんです。
杉浦先生の描く男性主人公はいつも実直で、答えのない問題に誠実に向き合い考え抜くところが素敵だなと思います。
もう1つの連載作である『僕の妻は感情がない』でも、「ロボットを一個人として扱い愛すること」「ロボットを憎む人間&ロボットを憎むロボット」「ロボットである妻を所有するということ」を、作中で真正面から徹底的に議論していますが、本作も同様。
錬金術で命を扱うこと、奴隷を所有すること。
普段まったく向き合うことのない「倫理」について、ファンタジー世界だからこそ出来る激しい描写によって、倫理の重みがガンガンに伝わってきて打ちのめされるくらい面白いです。
杉浦先生のラフ作画でも十分に面白かったものが、美麗な作画が着くことによって解像度が高まってさらに魅力的になっていました。
気が早いですが、早く単行本で読みたいです。