この味わい深い短いお噺がたまらない
そして犬が可愛い。こんな犬初めて見た。可愛い。 ときは大正時代、舞台は日本のどこか、多分東京かな?関西弁は珍しいらしい。 食べ物がちょっとずつ出てくる小噺と、それぞれおまけの1頁がついている。 1話を読んでるときはそういう和菓子屋の話なのかなと思っていたけど、町内(に限らないかもだけど近そう)の話っぽく、少しずつ素敵な物語で紹介していってくれる。 そしてこの各話が混じっていくクロスしていく感覚が読者を常に"こうふく"にしてくれる、というものだと思う、だってそうなったもの。 そしてこんなに目頭に来るとは思わなかった。声が出そうだ。 マストバイです。
こうふくは、「口(くち)」に「福」とも書けますし。
どれも、おいしそうです。
大福は柔らかくて一つ食べたくなる。
そのサンドイッチは‥まず味見して!
お赤飯はホカホカが伝わってくる。思わず小豆を煮たくなる。
キャラクターも良い雰囲気の登場人物ばかりなのですが、料理に注目してみても、ほんわかできます。
また、しれっと当時のレシピのようなフォントで書かれた、作中に登場する料理のレシピも登場します。
ストーリーは一話完結の短編。
繋がりがなさそうと思ったキャラクターが、別の短編に登場していたりと、世界は繋がっています。
そういえば、親戚のおじいちゃんが「大正生まれだと偉そうにされたけど、わしも大正生まれだ!」と話をしていたなあと、ふと思い出しました。
学校の授業ではサラッとしか習わないけど、大正時代というのは自慢したくなるような年代だったんでしょうか。
この短編集を読んでみると、その気持は分からなくはありません。