愛と呪い
作者の半自伝的作品。平成初頭のノスタルジックな空気感や思春期の閉塞感がリアルに表現されている。新興宗教を信仰する家庭において父親から性的虐待と母親から肉体的虐待を受ける主人公が、誰からも助けを得られず追い詰められていく過程が痛々しい。読んでいて重苦しくなるが、目を逸らしてはいけない。
物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待、宗教にのめり込む家族たち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺して欲しかった。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件……時代は終末の予感に満ちてもいた。「ここではないどこか」を想像できず、暴力的な生きにくさと一人で向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びたのか。『ぼくらのへんたい』の著者が綴る、半自伝的90年代クロニクル。
面白そうと思い軽い気持ちで手を出したけど、
これは軽い気持ちで読んじゃいけないなと感じました。
父親から性虐待を受けている愛子はどんな気持ちでいるんだろうとさわりの方で考えていました。
読み進めて行くと父親が気持ち悪くて愛子の気持ちを考えたときに苦しくなりました。
一緒に暮らしている母と祖母は父の性虐待をまるで問題視せず、笑い話にする始末。
一緒にお風呂に入ったり、一緒の部屋で寝ることを許していて気持ち悪い家族だと感じてしまいました。
宗教に入るのは勝手だとは思いますが、子どもたちにも強要する親でとても胸くそなストーリーではあったのですが、どこか惹かれるものがあり全て読むことが出来ました。
ほかにもストーリー性はある作品なのですが、そこが印象強すぎました。