個性が凄いけど個性だけじゃない
ページを捲ったら何が出てくるか分からない、おもちゃ箱のような、短編集の鑑のような漫画だなと。毎話たのしめました。 私はやはりシンプルだけど「クーパー伊東さん」みたいな話が好きです。 「ヒトミとゴクー」は普通にめちゃめちゃイイ話で、クライマックスの演出と起承転結の美しさに魅せられました。 連載向きじゃないという意味で「出落ち」とタイトルがついていますが、短編として文句なしで面白いです。
いきなり現れた女の子と野球拳!? 「脱エバ!」ふとっちょな彼女がいきなりやせた理由は体にエイリアンを飼っていた!? 「エイリアンダイエット」他、ちょっと不思議で変で、でもあったかくなる絶妙な読み心地の短編集!
タイトルの通り、どの噺も、最初の設定一発で、まず一回目のオチがあるのです。
でも、それから短い中にも伏線と展開があって、もう一回の捻りがあって、笑わせて泣かせて戦慄させて、って言う、ストーリーテリングの妙がある、そんな短編集です。
記憶を失ったサムライが、現代の日本の川べりで呆然としていたら、謎の女性とじゃんけんをすることになり、なし崩しに野球拳に突入、って、第一話「脱エバ!」って、このタイトルからして実はネタバレ出オチで、そもそも変過ぎで素晴らしいですわ。
一瞬怖そうな話と見せかけて、泣ける話に着地する「ヒトミとゴクー」「おかんゴースト」
一瞬おもしろ展開に見せかけて、怖いオチに持っていく「お葬式フェア」
一瞬シリアス展開か?と思わせて、脱臼ギャグになる「エイリアンダイエット」「安楽椅子の解呪探偵」
こんな変な噺+この絵柄で、ヤンキン掲載だったんですね。 どう見てもモーツーとかIKKIっぽかったのですが。
っていうこれも、もしかして「出オチ」だったのかもですわ。