新旧オタクの同居生活
大ヒットのチャンスを逃した45歳のラノベ作家が居酒屋帰りに絡まれた女に捕まり自宅に連れていかれ「新しいパパよ」と息子を押しつけられてしまう。しかし奔放な母に慣れ切ってる息子は「職業はラノベ作家なんですか?代表作は?へー古典ですね」と妙に落ち着いる。 10代の息子はオタクだと判明してるけど、クリエイティブ能力については1話目では謎のまま。ただベテラン作家のおじさんとの相性は悪くはなさそう?こりゃ2話目も楽しみだね。
売れなくなった中年ラノベ作家と高校一年生の現役お絵描き少年。新旧おたくがワケあって共同生活!?かつてはヒットを飛ばしていたもののその後は鳴かず飛ばずの状態ながら何とか書き続けてきたラノベ作家、谷川清志45歳。奔放を絵に描いたような母親に振り回され高校一年生にて何かを諦めたような落ち着きを持つおたく少年、加納鷹斗。何の接点もなかった二人が出会いなぜか一緒に暮らしていくことに!世代の違うおたくは分かり合えるのか?ギャップ奮闘ホームコメディの開幕!!
昭和の終盤に生まれた中年と、平成後期に生まれた若者が織りなす不思議なハーモニーがクセになる作品です。
本作は行きずりで関係を持った背中にタトゥーのある怪しい女性から高校1年生の息子・鷹斗を押し付けられ、仕方なく一緒に暮らすことになった45歳の物書き・清志の奇妙な新生活を描いた物語。
エロゲーのシナリオライター等を経て、かつてはそこそこに売れたライトノベル作家として活動し中古マンションを買える程度には活躍しながらも、今はソーシャルゲームのシナリオやフレーバーテキストから匿名コラムのエッセイ、エロ記事など雑多に仕事をしている清志と、イラストレーターを真剣に志す15歳の鷹斗。ジェネレーションギャップはありながらも、創作者として通じ合う部分もあり、ときに清志が先達として有用なアドバイスをすることもあれば幻滅する部分もある。何とも言えない関係の二人のやり取りだけでも永遠に見ていたくなる面白さがあります。
そんな中で、清志が語る「かつてクリエイターはなるのは簡単だった。続けることが難しい」「歳を重ねると周りの同業者がひとりまたひとりとさまざまな理由で消えていく」といった件が非常に実感として解ります。たとえ仕事を変えたり辞めたりしたとしても、生きていて欲しいとささやかな願いを持ちます。
昨年の11月が初出の8話のエピソードでは、AIによる絵や文章の話も出てきていますが、数ヶ月でChatGPT4が登場して一気に状況も変わってきてしまったなぁと世の中の速度に思いを馳せました。まさに、フレーバーテキストや匿名コラムなどはAIでも量産できる世界に入ってきてしまったとき、清志のような人はどうやって生きていくのか。
30歳違いのふたりの語る創作論も面白ければ、少年である鷹斗が成長していくにあたって立ち向かうことになる女性関係の動向も気になります。
見所がたくさんあり、今後も楽しみな作品です。