雑多な街・下北沢の古着屋が舞台の、雑多な新連載
下北の古着屋というとおしゃれで"好きなことして生きてる"感があるけど、そういう人の人生にも色んなごたごたがあるよなあ、というはなし。犬がかわいい。
★1・2巻同時発売!「古着好きの憧れと悲哀が詰まった作品です! 古着漫画という新しいジャンルを体感させていただきました!」さらば青春の光 森田哲矢「俺のなにが悪かったのか……?」下北沢で古着屋を営む椹木(35)の人生は順風満帆……でもない。貯蓄なし、安定とは無縁の仕事。面倒なバイトたちも悩みの種だが、同棲中の彼女が理由も告げずに家から出ていったのだ。仕事を立て直し、最愛の恋人を取り戻す手がかりは、元カノたち!?ライブハウス、小劇場、そして古着屋。サブカルチャーの街で迷走する、こじらせ人生最後のモラトリアム、開幕。◎西尾雄太 ビームコミックス好評既刊『水野と茶山』◎コミックビーム 公式ツイッター@COMIC_BEAM
『アフターアワーズ』『水野と茶山』と百合マンガを描いてこられた西尾雄太先生が、今なぜ男性主人公を?と思われるかもしれませんが、読めば納得の内容でした。
本作の主人公は古着屋の店主にして、大の服マニア。
古着屋稼業・店舗経営の裏側を見せ、古着への拘りを開陳しながら、主人公が出ていった彼女とヨリを戻すヒントを得るために、昔の彼女たちに会う物語が展開します……さあ、ダメな感じがしてまいりました笑
よく、人柄は悪くなさそうな男性が、パートナー女性にものすごい怒りを買っていて不思議に思う経験、ありませんか?本作の主人公も一見まともなので、「趣味に夢中になりすぎると愛想尽かされるのかなぁ」と、同じ趣味人としては不安になりかけますが、次第に彼の「本当に悪いところ」が見えてきます。なかなかに胸が痛い内容。
男性から女性へのDV、モラハラ、マンスプレイニングやマイクロアグレッションなどには、実はかなり根が深く、複雑で言語化しにくい「悪さ」があります。
そういった「悪さ」が作品のあちこちに描かれて(時にそれは従業員にも向く)2巻末までにその一部はかなりはっきりと言語化され、ハッとさせられます。
服のストーリーと目上の人の言葉は聞けるのにher storyに耳を傾ける気のない主人公と彼にうんざりしている彼女の物語は、恐らくあらゆる男性と女性に普遍的な物語。今後も自分ごととして、丁寧に読みたいと思います。
(1、2巻同時発売ですので1巻応援とします)