「死」にこめられた思い
火葬場で見つかった老夫婦の焼死体。 その夫婦は子供もなく、最近妻が認知症になり、夫がその介護をしていたという状況。 そこから介護疲れによる自殺とみなされたが、しかしその真相は・・・という話。 週刊誌の記者である伊能が現地を訪れ、事の真相を地域住民から聞き出していく展開は、ミステリーっぽさもあるけど、それ以上に人間ドラマ的な要素が強く、最後は感動した。 二人が死に至った思いというのが、懺悔でもあるし、故郷に対する思いもある。 何より、愛情もあるだろう。 相手を残して先に死にたくないという強い思いが、後半にかけて強くにじみでてくる様に、特に自分は感動しました。 子供のいないたった二人の家族だから到達した感情だと思います。 実際にあった事件ー老夫婦が焼死体で発見されたーをモチーフに、内容はフィクションではあるようだが、実際の事件にも、本作のような二人の何か思いがあったのか?と感じずにはいられません。 最期の瞬間、死に方にその人の人生観がでるとすれば、これほど美しいものはないのではないでしょうか?
人生の最後をどうやって迎えるか。
人間誰しも、死んでしまうのだから、その最後くらい自分で決められるものなら決めたい。
が、なかなかそうはいかないのが、現実である。
限界集落で起きた老夫婦の心中。
生まれた土地で、育ち、死んだら灰になって土に還る。
ふたりが亡くなるまでの、準備段階のなんと楽しそうなことか。
最後まで笑顔で、亡くなった、二人の秘密はずっと守られていく。