映画のような劇的な愛と歴史の物語
男装して生きたユリウスと、ロシア革命を生きたクラウス、その周囲の人々の劇的な愛の物語で、その臨場感と高揚感、ロシア革命がどんなものであったかなど、半端なく感情移入してしまう物語です。歴史のうねりの中で一人ひとりが一生懸命生きていたことに強く感動しました。
ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校、聖ゼバスチアンの塔に400年前から伝わる「オルフェウスの窓」―――男性がその窓から地上を見下ろしたとき、一番はじめに眼界に入った女性と宿命的な恋におちるという伝説を持ったその窓で、ユリウスとイザーク、またユリウスとクラウスはそれぞれ出会う。ところが伝説には続きがあり、その恋はオルフェウスとエウリディケの悲恋にならって必ず悲劇に終わるという…
本当に!悲劇に次ぐ悲劇でびっくりしました(だからこそ続きが気になって読み進めちゃうってのもありますが…)。でも最後のあまりにも悲しい出来事の後に、お姉様の明るい未来を予感させるラストで締めくくられるので、読後感も嫌〜な気持ちにならないんですよね!
読み終えて数日経ちますが、ふと「オルフェウスの窓」に思いをはせる時間があるんです。こういう風に一生心に残るのかなぁと思いました。