最高クラスの面白さ!
1970年〜1971年にかけて連載された手塚先生の青年向けマンガシリーズ。ハズレのないビッグコミック連載ものの1作品です。 なんか手塚先生というと、アトム、火の鳥、ブラックジャックときて、あとはジャングル大帝とかリボンの騎士とかアニメにもなった子供向け作品がドギツク有名なのですが、その偉業も功罪相半ばで、そのおかげでいまいち青年向けの傑作が意外と知られてないのは残念です。 本作は、面白さが凄すぎて、じゃあ読み終わった後に「どこが面白かった?」と聞かれても、なんとも答えにくいのですが、とにかくストーリーがあとひく面白さで、本当に時を忘れます。電車だったら乗り過ごし注意です。本当に没頭すること大うけあいです。 ある架空の奇病がテーマの医学ものではありますが、そんなことは全部すっ飛ばしてとにかく面白いです。 まず間違いなく手塚ベスト10には入ってくる超名作なので、是非読んでみてほしいです。
ハコヅメの作者さんが元警察官だったり、その仕事を経験した人が描いた漫画って最近すごく増えたような気がしますが、そういえば手塚治虫が医学生だったことを忘れてました。「ブラック・ジャック」も医学の知識がふんだんに盛り込まれていますが、ブラック・ジャック自身の生い立ちにまつわる復讐劇だったり、ドラマチックな内容が多くて純粋に漫画として面白い!が勝るので、意識してても忘れるんだと思います。「きりひと讃歌」は大病院の政治的なことも含めて、医師としての葛藤もリアルに感じました。ただ、医者である男性達が葛藤していく中で、いつも恋人である女性達が犠牲になっていたのが解せません。占部はシスター・ヘレンのことを愛してると言っていましたが、私にはそれが本心とは思えません。どうしても自己保身の為の言い訳に聞こえてしまいます。それから婚約者のいずみさんの髪型が途中でガラリと変わるのも不自然ですが、電話で桐人の居場所を教えてくれたのは誰なのかも謎でした…。しかし、色んな後味の悪さも含めて傑作だということは分かります。これぞ大人が読むべき人間ドラマですね…。読み終わると「きりひと讃歌」というタイトルもより深いな〜と思いました。