来陽と青梅
友達だと思っていた子からのアウティング描写が辛く、読んでいてもメンタルをやられてしまうので気分が安定している時に読むべき。デビュー作で「自分から言葉にして伝えること」を描いていたのに対して、今作では他人からのアウティングを正面から描いている。 同性愛者当人である淳と同性愛者に人生を壊されてしまった心とのダブル主人公でやりたかったのかな…?と思うが、描き切れていない感じも。 現役大学生作家としてデビューした深山はな先生、まだ別の作品も読んでみたかったが、これを最後に筆を折ってしまったようで残念。
何も考えずに楽しく読める漫画じゃないってことは1話を読めば明らかなんですけど、無視できない"引力"がある漫画です。読まないとな、という気持ちになります。
主人公の女子中学生・淳が、幼馴染の彼氏がいながらもある時自分のピンチを救ってくれた女子高校生・圭と知り合い、圭への恋心を自覚します。中学生って大人よりも大事なものや簡単に失うことができない物事が多すぎて、残酷な現実だなと思います。そのなかで大きな心で支えてくれようとする大人もいて、淳も自分なりにけりをつけるところにはつけて、初めての感情と向き合おうとします。
こういう場合、圭への恋心に蓋をするかしないかには正解も不正解もなくて、もし六丸くんと付き合い続けてもそれも間違いじゃないと思うので、読者としては淳のしたいようにしてほしいという気持ちしかないですね。
あと個人的には、もし知らない人がいたら伝わってたら良いなと思ったのが生理の描き方。もちろん全員がそうじゃないけど、生理ってこういうことが起きるんだってちゃんと描いているのが良かったです。
少年誌で描かれていることがちゃんと意味のあるものになってほしい作品です。
気になるのはあの梅島心くんという少年ですね。
淳たちのクラスメイトなのにまったく素性が明かされないまま1巻が終わりました。圭ちゃんと親しそうな関係みたい。