4.0
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幻想的な短編集。表題にもなっている『闇の鶯』は作者が「パソコンに疎かったからあまりうまくいかなかった」的な反省を述べているけど、面白かった。まず妖怪みたいな存在が現代的な技術を身に付けているのが珍しい。民話などで妖怪とされているのは実は人間で、生活習慣やコミュニティが異なる他者をそう呼んでいただけではないか?という説を思い出す。
神話や宗教、呪術に支配されていた時代があったように、現代は科学技術に支配されている。仕組みを理解していないものにとって、技術も一種の呪術のようなものだし、人間が使っているようで、実は技術に使われているケースも往々にしてある。
一度全てをフラットに並べてみて、何が自分にとってこの世界に生きている実感をもたらしてくれるのかは考えてみても良いだろう。科学的な事実であれ、論理的な正しさであれ、それらと幸福は直結しないのだから。
『涸れ川』も面白かった。説教めいた要素もなく、ただただ迷い込んだ異世界のルールを読み解く感じが良い。