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悪女

本当の「悪女(わる)」とは誰?

悪女 深見じゅん
名無し

1988年というバブリーな時代真っ只中に連載が始まったOL漫画です。当時、テレビで流行していた"トレンディドラマ"の漫画版という感じかな。「悪女(わる)」という題名に目を引かれて手に取ったのですが、表紙には題名にはそぐわない可愛い女の子の絵。そのギャップに興味を持って読み始めました。 コネで商社に入社した麻理鈴がひょんなことから社内で出会った男性に一目惚れ。その人物探しから始まって、同時に麻理鈴が優秀なOLとなっていく様を描いています。その中で、恋や仕事のライバルに邪魔されたり、意地悪されたりするのですが、天性の天使爛漫さとお気楽さ、人の良さでライバルたちの心も和ませていきます。全37巻とかなりの長編ですが、クセのない画風とテンポの良さ、そしてコミカルなシーンも多いので、軽ーく読めます。 私の場合、題名の「悪女」の意味が最後まで気になっていました。麻理鈴は天然で悪女とは程遠いし、意地悪なライバルたちのことを指すのかと思ったのですが、実はみんな良い人たちで、最終的には麻理鈴と親しくなってしまうし、結局最後まで「悪女」らしい悪女は登場せず。でも、待てよ。天真爛漫さという武器で、誰もの荒んだ心や悲しみまでもやっつけて(=癒して)、みんなを味方にしてしまう麻理鈴こそが本当の「悪女(わる)」なのかなぁ。恋の行方の結果は、最後の最後までお預けです。バブリーな時代のOLを垣間見つつ、麻理鈴の恋が果たして実るのかをドキドキ待ちつつ、最後までとても楽しく読めた作品でした。

悪女

何度も繰り返し読み返してきた結果、感想が重い

悪女 深見じゅん
漫画を読む女S
漫画を読む女S

連載中から読んでいて、当時、私は子供心に大人社会、会社という場所に憧れたものです。 大きな会社には行ったことのないフロアや知らない場所がたくさんあって、そこには秘密が隠されていて、隠れキャラのオセロおじさんから主人公まりりんは隠しアイテム(いつでも真夜中でも空調が効いている、好きに使っていい一室)をもらったりします。対人関係のはったりや、夜のネオン街へのあこがれも、今思えばこのマンガで覚えたもののように思います。 ホワイトローズクラブの定例会、仲間たちと夏祭りの支度をすすめる様子にそれはそれはわくわくしました。 大人になって社会人になった私でしたが、あいにく運命的にT.Oさんと出会うことも、職場で峰岸さんや小野さん、山瀬さんと出会えることもなく、金曜の飲み屋で涼子さんと出会うことも出来ないままただひたすら年月を過ごしてきました。 さらに悪いことには、もしかしたら、私はたぶん、新入社員のまりりんを鬱陶しく思うタイプの大人になってしまった。つらいです。やるせないです。おかしいな? 果たしてT.Oさんに胸を張って好きですと伝えるのに恥ずかしくないような成長してこられたのか?できていないな… やるせない時、深呼吸をして、この37冊を読みなおしたりします。それを繰り返してきました。 昔ただよくわからない嫌な人でしかなかった上司、同僚、それぞれに暮らしがあって、考えがあって、だから働いていて、この漫画はそれを取り立てて肯定することもしないし否定もしていない。一時一瞬一緒に仕事をしただけの人、時を経て違う場所で再会した人、なんだかんだで関係が続いている人、いろいろ出てくる。まりりんは会社で人生を冒険していて、絶対の正義なんかじゃないけど、ひたすらまっすぐだ。ずいぶん遠くまで来てしまったな、そう思います。 さらに年を取って、そんなまりりんのまっすぐさに泣きそうになったり、実際泣き、何度も読み返したから隅々まで知っている話なのに、いつも節々で感動するのです。 大好きな社会人RPGコミックです。 なんせ冊数が多いので勢いで読むには大変だと思いますが、子供に、大人になっていく若者に、社会人になった人に、中年になった私などに、おすすめしたい漫画です。が、自分が抱くくらいに熱い感想を余所で見かけたことがないのが少し気になります。なんでみんな泣かないのん…? 好きなキャラクターは木村さんです。あと高田さんと小野さん。

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