壮大過ぎる歴史のif漫画
私の様に還暦を超えた世代には歴史のifを描き連合艦隊が絡むと言えば、高木彬光著「連合艦隊ついに勝つ」が先ず浮かぶ訳ですが、そんな爺さんに衝撃を与えてくれたのがこの「ジパング」です。大東亜戦争時代への現代の介入は、最新鋭護衛艦「みらい」がハワイ沖での演習中にミッドウェー開戦前夜にタイムスリップする事から始まります。しかし、この出来事は序章であり、壮大な物語の幕開けに過ぎません。頑張って読まねばエンディングを迎えない大長編漫画ですが、決して中弛みせず最後まで緊張が続きます。皆さんも気合を入れ時間をかけて読破するのが良いと考えます。蛇足ですが「みらい」付けている艦番号182は、現実には「ひゅうが」型2番艦「いせ」が付けており、イージス艦ではありませんので、「いせ」がタイムスリップしても「みらい」の様な活躍は出来なかったでしょう。
数年後に迫る破局的な結末を知り歴史の改変に動く草加と、その考えを深層で理解しつつも歴史改変に抵抗感を覚え、仲間を守りつつ別の方策で解決を図らずを得ない角松のジレンマが見事に描写され、ストーリーに深みを与えています。いざ自分が同じ立場に立たされたとしたら、どう行動するだろうか…と深く考えさせられる作品です。