オゾンホール問題やダイオキシン問題など、日本において環境問題への意識が最高潮に高まっていた90年代。その最中に連載されていたのがこの「ケントの方舟」です。

私の好きな「家栽の人毛利甚八魚戸おさむコンビなので、”良い漫画”として紹介をしたいのけど…いやいやこの漫画、なかなかの過激な思想を持つ漫画でした。

ゴリラの研究をしているサル学者・森野賢人が区議会議員選挙へ打って出て、型破りなやり方で環境保護政策を進めていくというのが基本ストーリーです。

森野の穏やかな表情とは裏腹に、突拍子もない構想を抱いている事が次第に判ってきます。
例えば、ゴリラのために東京都内に森を作り、森の壁で分断しようとする案。
さらにはゴリラと人間をかけあわせて森と人間の融合を図る案など、どう考えてもヤバい思想です。
環境問題に熱心な人ですら同意困難なレベル。
そういった考えを公に発信しているわけではないものの、ふとした時に本音が漏れ出てくるというか。もちろん漫画の中では肯定されています。
おそらく森野の中で優先順位は、自然>ゴリラ>人間なんです。
環境問題が加熱していた時代特有の狂気を感じました。

おもわず「マッド・エコロジスト」という言葉が頭に浮かんだので、ここに書き残しておくことにします。

読みたい
特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」

「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入

特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
ひさぴよ

https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。

本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
N.Y.(ニューヨーク)の弁慶

N.Y.(ニューヨーク)の弁慶

魔都NY(ニューヨーク)を舞台に“弁慶”と呼ばれる謎の東洋人が仇討ち代行人として暗躍する。人類の宿痾(しゅくあ)たる暴力の問題に鋭く迫る、超ハードボイルド!! ▼第1話/HAGGIS▼第2話/HOOK▼第3話/THROW BACK▼第4話/THE CRY▼第5話/SWORD FISH▼第6話/NECK LACE▼第7話/A BASEMENT●登場人物/弁慶(ニューヨークでバーを営み、復讐の請負いをする日本人。贋作画家でもある)●あらすじ/雨宿りをしていた一人の男がいた。その男の側に、弁慶と名乗る日本人が雨宿りをしに来た。弁慶は「雨が降ると酒がうまくなる」と、男に一杯の酒を差し出した。雨があがり、弁慶は男にビレッジでバーを営んでいると、名刺を渡す。その後、その男が弁慶の店にやってきた。男はベトナム戦争時、兵役を逃れるために旅に出たと話し始めた。そこに、一人の若い男がやってきた。「追憶のために」と、男と同じ酒を頼んだ若い男。不思議がる男に弁慶は、「戦争を嫌う人間が殺しをしたら笑えない」と呟くが……(第1話)。

家栽の人

家栽の人

植物を愛するように人を育てる異色の家庭裁判所判事・桑田義雄。父親が高裁の長官であり、自身も将来を嘱望される身であるにも関わらず、「家裁」にこだわり栄転を拒否したことのある桑田。そして、暇さえあれば裁判所の周囲の植物に会いに出かけたり、世話をしたりする彼を変人と言う者もいるが…。現代の人々の愛と孤独を優しく描く都会派森林浴ドラマ!!

裁判員の女神

裁判員の女神

3人の裁判官の他に、無作為に選ばれた6人の一般人が一緒に罪を裁いていく裁判員制度を背景に描く本格的裁判コミック!面白くて役に立つ!!裁判員制度の誕生の秘密から、裁判員辞退の方法まで……全てを明らかにする。あなたなら裁けますか?県内初の裁判員裁判は強盗殺人事件!!だが、女性裁判官・勇樹美知子(ゆうき・みちこ)のもとに現れた裁判員のひとり・戸浦(とうら)は、皮肉にも日給1万円というお金目当てにやってきたホームレスだった……。

地の子

地の子

西暦2007年夏、文部科学省入省5年目の夏目駿太郎は、突如首相より、3年以内に『農高卒の5割が就農する教育システム』を作り上げるよう命をうける。そして霞ヶ関から1,000km離れた山奥の農業高校に着任した夏目だったが、そこでプライドを持たない生徒達、農業の過酷な現実に直面し…。

試し読み
がんばりょんかぁ、マサコちゃん

がんばりょんかぁ、マサコちゃん

愛する夫の真実を知りたいと願う女性の物語 平凡な夫婦の幸せは、なぜ壊されなければならなかったのか? 国有地が不当な価格で売却された事件の渦中で、関係者の名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられた近畿財務局職員・赤木トシオ。その妻、マサコが「夫の死の真実を知る」ために国と闘うことを決意するまで、そして現在の迷い、怒り、葛藤とは――!? 夫の真実を知りたいと願う、一人の女性の物語。そして、愛する人の喪失に向き合う、すべての人に贈る物語――

ぐわんばれ金太郎

ぐわんばれ金太郎

後にテレビドラマ化された「家栽の人」などのヒット作を世に送った魚戸おさむ先生の初期作品は少年向け作品だった。なまず大夫に誘拐されたさくら姫を救わんとする少年忍じゃじゃ丸。「いっき」では嫁をもらえるあてもない貧乏百姓二人が神さまに唆されて、一揆を起こして悪代官に立ち向かう。「マイティボンジャック」では悪の手に倒れた兄弟にかわって、ジャックが魔王ベルゼブル一党に立ち向かう。「かんしゃく玉投げカン太郎の東海道五十三次」では花火修行の終わったカン太郎が、愛するももこちゃんに晴れ姿を見せるためにお江戸に急ぐ。しかしカン太郎の持つ製造法の巻物を狙う剛左衛門が、カン太郎をつけ狙う。「ぐわんばれ金太郎」では、山のお寺に合宿に来た強豪柔道部。お寺に住まう金太郎は熊をも従える野生児。柔道部のイケメン主将から挑戦を挑まれた金太郎。みんなが見守る中で行われた決戦の行方は?

はっぴーえんど-新型コロナ編-

はっぴーえんど-新型コロナ編-

新型コロナ禍で在宅医療の在り方を問う。2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が、当たり前の日常を一変させた――― ウィズコロナ時代に在宅医に何ができるか、在宅医療に何が求められるのか。函館の在宅医・天道陽は、失われゆく日常の中でも常に患者とその家族と向き合い続ける。

熱拳カンフークラブ

熱拳カンフークラブ

北ノ国小学校の4年のカン太郎は寒さに負けない元気いっぱいの男の子。6年生の矢沢栄一、5年生の斉東ミオ、空万坊たちと今日もカンフークラブで修業中。だが、頼りないクラブの顧問、大黒彦左衛門先生に全員失望気味。そんな時、少林寺拳法を教わったという用務員のおじいさんの凄腕を目の当たりにしたカン太郎たちは、指導を願うが…。

魚戸おさむ作品集

魚戸おさむ作品集

魚戸おさむの祖父が札幌で営んでいた写真店の記憶をきっかけに、「藤子不二雄先生のような四畳半SF的なものを描きたかったこともあって、ちょっとファンタジーっぽい作品」を描いた。「個人的にはとても好きな作品です」と自らが語る短編集。表題作「ニコパチですいません」他、筆者が大好きな与論島の百合ヶ浜を舞台に描いた「マズムヌの島」と「白球の軌跡」を収録。

玄米せんせいの弁当箱

玄米せんせいの弁当箱

国木田大学農学部の「食文化論」の講師として新しく赴任してきたのは、大きな桶いっぱいに詰まった糠を背負ってきた変わり者・結城玄米。「食べることは生きること」「食文化を学ぶことは、生きる術を学ぶということ」との信念のもと、講義を開始した玄米は、いきなり学生たちに糠床を作らせて…!?日本の「食」を考える食育コミック!!

ひよっこ料理人

ひよっこ料理人

一人でも多くの子どもたちに料理を作る楽しさを伝えたい……そんな思いを胸に『子ども料理教室』を始めた今田妃代子(独身)。料理は想像力や発想力や子どもたちの好奇心を伸ばします。料理を通して知るさまざまな喜びを主人公・妃代子と一緒に共有してみませんか?妃代子が料理教室を立ち上げる本書では、初めての生徒を迎え、おにぎりの作り方を丁寧に教える「おいしくな~れ!」の他、みんな大好き!卵焼きの作り方を描いた「700円の卵焼き」、肉じゃがを題材にした「みんなの肉じゃが」等8編を収録。妃代子の料理への思いがギュッと詰まった栄養満点の一冊です。

がんばるな!!!家康

がんばるな!!!家康

北辺家康は、傷心旅行で北海道に来ていた花菜恵と知り合う。花菜恵に恋した家康であるが、彼女は横浜に戻ってしまう。その花菜恵から、「300万円持って、横浜に来て!」と言われた家康は、会社を辞め、300万円を持って横浜に向かうのだが…。

ナイショのひみこさん

ナイショのひみこさん

僕・是又福助(30歳)小学校教諭と妻・姫密子(ひみこ・24歳)元OLは、昨年夏のお見合いで知り合い、この3月に結婚しました。31センチ――、それが僕とひみこさんとの身長差。僕157cm、ひみこさん188cm、すでにご近所ではちょっと噂のカップルのよう…。そんな身長差31cmカップルの織り成すナイショの日常、必見です!!

環境問題への意識が突き抜けているにコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。