キャプテン ちばあきお
どのキャプテンの時代が好き?
新型コロナウイルスの影響で春のセンバツが中止になった。コロナなんかクソ喰らえ! 少年の頃から甲子園を夢みて日夜練習に励んでいた球児たちのことを想うとほんとうに涙がでる。色々と救済案が検討されているらしいが、おそらくどれも大した効果は生みはしないだろう。奇跡的にも90回、100回と聖地・甲子園の地で途方もない熱戦を繰り広げ続けている大会だからこそ球児たちの憧れになる。この奇跡的な歴史の積み重ねの上に、こんどは自らが新しい歴史を刻んでゆく、これほどの夢がほかにあるだろうか。
ジタバタしていても仕方ないので、ちばあきおの『キャプテン』を読む。もちろん、イガラシ編の春の選抜大会の巻だ。大会に向けた過激な練習が教育ママの松尾の母ちゃんに問題視され、そんなタイミングで運悪く松尾が怪我してしまい、イガラシは校長から選抜辞退を宣告される。
ジタバタしていても仕方がない。いまこそ我々はちばあきおの『キャプテン』を読むべきなのだ。可哀相な事態が起こったから救済措置を設けますといったって、この世界はマイナス1に1を足せばゼロにもどる数式のようにはできていない。無念は無念のまま残り、救済は救済としてあるかもしれないが無念とはすれちがったままだろう。それどころか、救済が何らかの形で夏の大会にまで及べば、さらなる無念や軋轢を生むことは想像に容易い。いまこそ我々は『キャプテン』を読むべきなのだ。