中学生と「毒」の話にコメントする
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たか
たか
1年以上前
チャイムの鳴らない中学校に通う2人の少年少女の物語。ストーリーを追うだけでしんどいので物語にのめり込むのはほどほどにして、その代わり2回読んだのですが、重たいテーマを語ると同時に細かな演出もたくさんしてあってすごく読み応えがありました。 ※以下、ネタバレを含むレビューと感想 https://comic-days.com/episode/13933686331672583437 主人公の少女は母親に中学受験を強制させられたり、GPSで行動監視されたり、身動きが取れなくなるほどの生理痛を「そんなこと」と蔑ろにされている。母にごめんなさいと謝るたびに「毒」が溜まる彼女は、人を傷つけてはいけないという母の教えを守り自分の腕を切っている。 ある日、少女が激しい生理痛で倒れているところを、遅刻してきた少年に助けられるが、腕時計を外した代わりにつけたリストバンドが外れてしまい自傷跡がバレてしまう。 少女が少年に周囲に言いふらさないよう頼むと、少年は「お互いの秘密を知れば漏らす必要がない」と言い、自分は母と2人暮らしで女装して男と会い金を稼いでいることを明かす。 ◆ ◆ ◆ タイトルのどクとは、そのまま毒親の毒であり「毒=母」だと私は解釈しました。 少女は、母が「あなたのために」というたびに空になり「母が入り込んできた」と述べていますが、つまりずっと少女の中には毒が入ってきたわけで、そりゃ毒を抜き(リスカ)したくなるのも当然の状況ですね…。 一番好きなのはラストの公園のシーン。学校で少年が男友達と水風船で遊んでいるところを「自分は彼と女友達ですらない」とただ眺めていた主人公が、最後に2人で(少年の鞄にあった、彼が使っていたであろう)コンドームの風船で遊んでいるシーンがとても明るく、ハッピーエンドに感じられました。 学校のクラスメイトも先生も誰も名前を呼ばない少女に、ようやく少年という居場所ができたんだなと救われた気持ちになったし、母親のせいでたとえ風船のように空っぽになっても、悪いばっかりじゃないと思わせてくれる終わり方は救いがあって好きです。 https://afternoon.kodansha.co.jp/afternoon/ 【メモ】 ・2回めに読み直してやっとこの読切には一切登場人物の名前が一切出てこなかったことに気づいた ・唯一の保護者である母に放棄され売りをして生き延びてる少年と、恵まれた環境で過干渉に苦しんでいる少女の対称ぶりがいい ・少年が倒れていた少女に母を重ねていたことの意味はなんだろう… ・柱のコメントで好きな言葉が「生きること以外かすり傷」だったけどこれは箕輪厚介のアレのオマージュなのか純粋にミスなのか気になる ・小学生が朝2時に勉強したり小鼓打ちながら英会話してたりと狂気じみてるのに絵が可愛い

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たか
たか
1年以上前
チャイムの鳴らない中学校に通う2人の少年少女の物語。ストーリーを追うだけでしんどいので物語にのめり込むのはほどほどにして、その代わり2回読んだのですが、重たいテーマを語ると同時に細かな演出もたくさんしてあってすごく読み応えがありました。 ※以下、ネタバレを含むレビューと感想 https://comic-days.com/episode/13933686331672583437 主人公の少女は母親に中学受験を強制させられたり、GPSで行動監視されたり、身動きが取れなくなるほどの生理痛を「そんなこと」と蔑ろにされている。母にごめんなさいと謝るたびに「毒」が溜まる彼女は、人を傷つけてはいけないという母の教えを守り自分の腕を切っている。 ある日、少女が激しい生理痛で倒れているところを、遅刻してきた少年に助けられるが、腕時計を外した代わりにつけたリストバンドが外れてしまい自傷跡がバレてしまう。 少女が少年に周囲に言いふらさないよう頼むと、少年は「お互いの秘密を知れば漏らす必要がない」と言い、自分は母と2人暮らしで女装して男と会い金を稼いでいることを明かす。 ◆ ◆ ◆ タイトルのどクとは、そのまま毒親の毒であり「毒=母」だと私は解釈しました。 少女は、母が「あなたのために」というたびに空になり「母が入り込んできた」と述べていますが、つまりずっと少女の中には毒が入ってきたわけで、そりゃ毒を抜き(リスカ)したくなるのも当然の状況ですね…。 一番好きなのはラストの公園のシーン。学校で少年が男友達と水風船で遊んでいるところを「自分は彼と女友達ですらない」とただ眺めていた主人公が、最後に2人で(少年の鞄にあった、彼が使っていたであろう)コンドームの風船で遊んでいるシーンがとても明るく、ハッピーエンドに感じられました。 学校のクラスメイトも先生も誰も名前を呼ばない少女に、ようやく少年という居場所ができたんだなと救われた気持ちになったし、母親のせいでたとえ風船のように空っぽになっても、悪いばっかりじゃないと思わせてくれる終わり方は救いがあって好きです。 https://afternoon.kodansha.co.jp/afternoon/ 【メモ】 ・2回めに読み直してやっとこの読切には一切登場人物の名前が一切出てこなかったことに気づいた ・唯一の保護者である母に放棄され売りをして生き延びてる少年と、恵まれた環境で過干渉に苦しんでいる少女の対称ぶりがいい ・少年が倒れていた少女に母を重ねていたことの意味はなんだろう… ・柱のコメントで好きな言葉が「生きること以外かすり傷」だったけどこれは箕輪厚介のアレのオマージュなのか純粋にミスなのか気になる ・小学生が朝2時に勉強したり小鼓打ちながら英会話してたりと狂気じみてるのに絵が可愛い
宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国 市川春子
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

どク
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