毒親
毒親を持つ二人の話 主人公の母親も子供の事を考えているようですべて自分の都合なんだな。と思いました。それが、どんどんしんどくなってしまって自分で何もできなくなる子供も可哀そう。 ネグレクトの親を持つ少年もかわいそうでした。 全体的に重いストーリーですが、実際こういう子供たちってどれくらいいるんだろう。色んな家庭の事情があると思うけど本当に幸せになってほしいです。
チャイムの鳴らない中学校に通う2人の少年少女の物語。ストーリーを追うだけでしんどいので物語にのめり込むのはほどほどにして、その代わり2回読んだのですが、重たいテーマを語ると同時に細かな演出もたくさんしてあってすごく読み応えがありました。
※以下、ネタバレを含むレビューと感想
主人公の少女は母親に中学受験を強制させられたり、GPSで行動監視されたり、身動きが取れなくなるほどの生理痛を「そんなこと」と蔑ろにされている。母にごめんなさいと謝るたびに「毒」が溜まる彼女は、人を傷つけてはいけないという母の教えを守り自分の腕を切っている。
ある日、少女が激しい生理痛で倒れているところを、遅刻してきた少年に助けられるが、腕時計を外した代わりにつけたリストバンドが外れてしまい自傷跡がバレてしまう。
少女が少年に周囲に言いふらさないよう頼むと、少年は「お互いの秘密を知れば漏らす必要がない」と言い、自分は母と2人暮らしで女装して男と会い金を稼いでいることを明かす。
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タイトルのどクとは、そのまま毒親の毒であり「毒=母」だと私は解釈しました。
少女は、母が「あなたのために」というたびに空になり「母が入り込んできた」と述べていますが、つまりずっと少女の中には毒が入ってきたわけで、そりゃ毒を抜き(リスカ)したくなるのも当然の状況ですね…。
一番好きなのはラストの公園のシーン。学校で少年が男友達と水風船で遊んでいるところを「自分は彼と女友達ですらない」とただ眺めていた主人公が、最後に2人で(少年の鞄にあった、彼が使っていたであろう)コンドームの風船で遊んでいるシーンがとても明るく、ハッピーエンドに感じられました。
学校のクラスメイトも先生も誰も名前を呼ばない少女に、ようやく少年という居場所ができたんだなと救われた気持ちになったし、母親のせいでたとえ風船のように空っぽになっても、悪いばっかりじゃないと思わせてくれる終わり方は救いがあって好きです。
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【メモ】
・2回めに読み直してやっとこの読切には一切登場人物の名前が一切出てこなかったことに気づいた
・唯一の保護者である母に放棄され売りをして生き延びてる少年と、恵まれた環境で過干渉に苦しんでいる少女の対称ぶりがいい
・少年が倒れていた少女に母を重ねていたことの意味はなんだろう…
・柱のコメントで好きな言葉が「生きること以外かすり傷」だったけどこれは箕輪厚介のアレのオマージュなのか純粋にミスなのか気になる
・小学生が朝2時に勉強したり小鼓打ちながら英会話してたりと狂気じみてるのに絵が可愛い
ワケありの女の子と男の子が出会う。【四季賞2019秋 萩尾望都特別賞】(アフタヌーン2020年年1月号)