子供が児童相談所に保護された経験
児童相談所に子供が保護されると親子といえども再び一緒に暮らせるようになるまで大変なんですね。でも児童相談所もそれが仕事ですし、その判断を間違えてはいけないので仕方ないですが、それって親側からしたら他人には言いたくない話だろうからリアルな体験が読めるのは貴重かもしれませんね。 https://note.com/shuho_sato/n/nbbe9ae0c0a6c 原作者のインタビューから察するに娘さんと離れて暮らすことになった原因はフィクションにしてあるみたいだけど、自分の不甲斐なさを悔やんでることや娘さんへの愛情は漫画からもとても伝わってきた。作品にすることに意味があったと思う。
郷田マモラは、稀有な才能である。
彼は、あのしなやかで硬質な、独自としか言いようのない描線で、極めて重いテーマを果敢にフィクションへと昇華する。
遺体の監察医が主人公の『きらきらひかる』、新人刑務官と死刑囚の友情を描く『モリのアサガオ』、さらに、裁判員制度を通して死刑を見つめた『サマヨイザクラ』など、彼の作品は不器用だけれど真率な力に溢れている。
関西の巷のエネルギーに満ちたはるき悦巳と、猥雑さにまみれた青木雄二を、足して二で割り、さらに端正にしたかのような、真にユニークな存在だったのだ。
だが、郷田マモラは、愚か者でもある。
彼が犯した罪について、ここで触れるつもりはない。
しかし明らかに、彼は愚か者だ。
本作『この小さな手』は、郷田が原作を担当し、吉田浩が作画を担当している。
マンバの「あらすじ」の、郷田が寄せたと思しきテキストにある通り、あまりキャリアがあるとは思えない吉田は、郷田が描いたネームを忠実に漫画に起こしたであろうことが、その画面からうかがえる。
本来は、郷田自らがあの筆致で描くべきだっただろう。
この、それほど優れているとは言えないかもしれない漫画には、しかし、確実に漫画家・郷田マモラがいる。
その愚かさが、傲慢さが、不器用さが、真率さが、弱さが、痛いほど脈打っている。
「漫画」という宿痾のひとつの内実が、ここにはある。